海の花女学園が異世界に移動して7日目の深夜。
一匹の上級淫獣の檄が女学園近辺の地域に生息する淫獣達に飛んだ。
「新しくできたあの森は、若いメス達の巣だ。あいつらを獲物としたメス狩りを行なう！数百匹のメスだぞ、選り取りみどりだ！我に続け〜！！！」
その檄を飛ばした上級淫獣とは、牛の頭と黒光りするガッシリとした人間の身体を持つ牛頭人（ミノタウロス）であった。
彼の名は「ストレングス」、この近辺の淫獣達から｢剛の者」として知られている存在だった。
ストレングスは興奮していた。
若いメスだけでも約400匹、それだけの数を獲物にするメス狩りは淫獣達にとっても前代未聞であり、しかもその狩りを指揮するのが他ならぬ自分なのだ。
好みのメスを犯し尽くし、気に入った者は自分の棲家に連れ帰る。
さらにこれだけの大掛かりなメス狩りを成功させた後、自分の名がどのように淫獣世界に広まるか。
それを想像する彼の心の中では、肉欲と名誉欲が勢いよく燃え盛っていた。
淫獣たちはその檄に興奮していた。
そんな彼らを冷ややかに見つめる影も存在した。
上級淫獣「フール」である。
「ケッ、ドイツモコイツモ、アンナトシマドモヲアイテニ・・・ヨクモヒッシニナレルモンダ｡キガシレナイゼ」
九歳以下の幼いメスを犯す事を生きがいにしている彼にとって、女学園の生徒達は皆年増にしか見えないのだった。
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9日目の午前2時ごろ、夜陰に紛れ女学園の周りの森に向かって走る十ほどの影があったが気づくものはいなかった。
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9日目の午前9時ごろ、唐沢美樹は鉄パイプを片手に持ち、高見沢麗子や石橋知世と共に7日目からはじめた見張りをするため一つの校舎の屋上に上がった。
麗子は親友の付き合いで、知世は狼のような化け物に女生徒が襲われていた所をその化け物を追い払った武勇伝を美樹に聞かせるために付いて来たのだった。
だがその知世の目論みは、屋上に着き眼下に広がる荒野に目をやった美樹の「ゲッ、マジ！？」という言葉により儚くも崩れることになった。
荒野をこちらに向かって疾走して来る数十匹の化け物が見えていたのだから。
「たっ、大変だよこりゃ！」
真っ青になる知世に「落ちつきなさい」と顎を手で押さえながら思案していた美樹が静かに言った。
「こういう時のために見張りに出たのだから・・・・知世、あんたはすぐに放送室に行き、化け物が群れをなしてをこちらに向かっている事を放送するの。機材の使い方は知っているといつも自慢してたでしょ？」
次に麗子に向かって
「・・・こんなこと頼むのは心苦しいんだけど、あんたはここに残って見張りを続けて。私はメイに渡す物があるの」
「美樹さん、ではあれを！・・・・わっわかりましたわ」
「麗子、用事が済んだら必ずここに戻ってくるから。知世行くよ！！」
二人は勢いよく階段に向かった。
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知世の放送が全校に鳴り響き、その事態に気づいた警備員たちが正門に集まった頃には既に50匹の淫獣達が正門から60メートルほど離れ、それを正面に見据えることのできる場所に集結していたのである。
日本で有数の名門女子校である海の花女学園の正門と裏門は電動式になっており、緊急の際はその厚い門を閉じる事が出来る。
そして今、ピタリと閉じられたその門の内側では数少ない男性警備員をまじえた警備員たちが集まっていた。
そのほとんどが女性の中で茶髪の若い男性警備員・金子研作（かねこ けんさく）が緊張しながら
「ちくしょう、こんな化け物どもを相手にするなんて完全に業務外だろうが」とつぶやくのを、一人の女性警備員・丘律子（おか りつこ）が
「不審者や暴漢から学園の人間を守るのは立派な警備の仕事でしょ。少し変わった変質者と思いなさい」と言った。
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そのころ教師たちは警備員の指示で校舎内で待機していた。
校長を含め教師たちは一部を除いて、警備員だけに任せるのは心苦しいが一方では直接戦わずにすんで助かったとも思っていたのだ。
一方、警備員たちにも厚い扉が閉じているので「なんとかなるさ」という安心感もあった。
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『……ｚ…ザこちら裏門…化け物達の姿は見えません……』
「了解。」
裏門に回った警備員からトランシーバーで連絡が入った。
この時正門に集まった警備員以外の学園の人間にとってまだしも幸運と言えるかもしれないことは、淫獣達の指揮を取っているストレングスが戦力をいくつにも分散させ学校周辺のあらゆる場所から攻撃を仕掛けなかったことかもしれない。
そうなればもっとパニックが広がっていたかもしれないが、ストレングスはそういうチマチマした事を嫌いメスたちの巣の入口から堂々と押し通る事を望んだ。
これは何事に対しても力押しと豪快さを好む彼の性格所以であった。
今ストレングスは自分のすぐ横にいつも連れ歩いている大蛙を、そしてすぐ後ろに淫獣達を控えさせ仁王立ちで正門を見つめている。
と、その時だれもが予想だにしなかった事が起こった。
なんと、正門の扉が大きく開いていくのだ！
「ちょっ・・・冗談だろ」
研作が呆然とし、その横では慌てた律子が
「す、鈴木さん。何やっているんですか！」
とトランシーバーで校内にある警備センターに連絡を取っていた。
その警備センターに正門と裏門の扉を開閉させるスイッチがある。
そしてその時、皆が出払って唯一センターに詰めていたのは鈴木一平（すずき いっぺい）という男性警備員であった。
化け物たちが大挙して攻めてきたという恐怖に耐えかねた鈴木は先ほどの裏には何もいないという連絡を聞き、自分だけ逃げようと裏門の開閉スイッチを押そうとして手が震え誤って正門の方を押してしまったのだ。
一度開いてしまった扉は再び閉じるためには何十秒も要する。
律子の声や監視カメラで自分の失策を知りパニックになった彼はさらなる愚行に走った。
もう一度、今度は間違えずに裏門のスイッチを押すとそのままセンターから転げるように逃げ出してしまったのだ。
正門のスイッチを元に戻す事をせずに・・・・。
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「仕方ない、白兵戦よ」
と正門では律子達が悲壮な覚悟をしていたころ、扉は完全に開かれていた。
やがて警備員や屋上から双眼鏡で麗子が見つめる中、ストレングスは大きく振りかざした右手を勢いよく振り下ろした。
「ギヤ―ッ」「グルグルウウウ！」
それを合図に淫獣達は様々な奇声を上げながら正門に向かって突進していった。
石橋知世の放送を聞いた黛皐月は寮の部屋でしばらく瞑目し、やがて木刀を片手に立ちあがった。
ルームメイトはちょうど部屋にいなかった。
そしてドアを開いてみるとそこには肩で息をしながら鉄パイプと細長い革の袋を持った唐沢美樹が立っていた。
「美樹先輩・・・？」
「はぁはぁ、間に合った。メイ、知世の放送を聞いたらあんた正門に行く気になるんじゃないかと思っていたよ」
「さすが先輩。・・・こんなとき出来る事があるのに、この部屋でじっとしてなんかいられませんよ」
「そう言うと思った。・・・メイ、これを使いな」
美樹から革の袋を受け取り、その中の棒状の物を取り出した皐月は
「こっ、これは！？」と思わず息を呑んだ。
それは鮮やかなあずき色の鞘に納められた一振りの日本刀だった。
「美樹先輩・・・これってまさか？」
皐月も名は知らないが、この学園に伝説の名刀があることは聞いていた。
「そう、それが伝説の名刀だよ。桜吹雪（さくらふぶき）という名前なんだって」
「！・・さっ、桜吹雪！これが！！」
慌てて鯉口近くの鞘を見ると桜の花の絵が紋のように描かれており、
さらに鞘から抜いてみると、刃文は桜花乱刃（おうかみだれば）で仕上げられた美しく見事な刀身だった。
皐月は桜吹雪の名と存在は剣を教えてくれた亡き祖父・黛竜一郎（まゆずみ りゅういちろう）から聞かされていた。
そしてさらにその剣を自分がこうして触れていることに奇妙な因縁も感じでいた。
桜吹雪―刀匠、不明。名前の由来は桜の花弁が散ったような刃文や相手を斬った時に出る血しぶきが桜吹雪を思わせる事からからそう呼ばれるようになった。
さらにいくら斬っても刃毀れもしなければ切れ味も悪くならないお手入れいらずという、現代では殆どの者が作り話だと思う様になった程の幻の名刀である。
「真剣を振った事のあるあんたなら十分使いこなせるだろうと思ってね」
それにしても、まさか学園の至宝ともいえる刀をパクッてくるとは。
皐月はまじまじと美樹の顔を見た。
と、その時皐月の脳裏に祖父の言葉がよみがえった。
「――わしは刀を見世物でも鍛錬の結果としてでもなく、使うことを想定して教えておる。何故ならば、装飾を凝らせど刀は刀。戦い、命を守り、友を守る道具だからだ。」
（・・・・友を守る。）
皐月はキッと美樹を見つめ
「美樹先輩ありがとうございます」と言うと寮の出口に向けて駆けだした。
「がんばれよ。・・・さて私もすぐ麗子のところに戻らないと」
皐月は桜吹雪を片手に走る。
寮や校舎の窓から外を眺めていた生徒たちが次々に呼びかけたり叫んだりしているが、彼女の耳には何も入らなかった。
ただ正門を目指すのみ！
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一方正門では、開いた扉から雪崩込んで来た淫獣達を相手に警備員は
警棒や対暴漢スプレーを使い必死で戦っていた。
男性警備員・金子研作も
「なぜ俺はこんなことをやってんだ！・・・ここから先へは通さないぞ、チクショウ！！」
と叫びながら警棒を振るっていた。
自分たちより数の多い淫獣相手に警備員はよく奮戦したといえるだろう。
その様子を正門の外から見ていたストレングスはつぶやいた。
「なかなかしぶとい、これくらいの予想はしていたが」
すると横にいる大蛙が何か言いたげな目で自分を見ているのに気がついた。
「わかっている。このままでも数で押しきれるだろうが、お楽しみの時間がこんなことで遅れるのはつまらん・・・・やはり使わざるをえないか」
ストレングスは大蛙に向き直り
「別働隊に連絡！当初の予定にしたがって行動を開始せよと」
「ゲーッ、ゲコゲコゲーッ」
と大蛙は天を向き大声で叫んだ。
その声は正門から少し離れた森の中に身を潜めていた11匹の淫獣達に届いた。
そのうちの一匹である灰色の体毛を持つ怪猫（人間の体格をした猫・化け猫）が片手で合図をすると、淫獣達は塀を乗り越えはじめた。
この怪猫は5日目に伊藤可奈子を襲い犯そうとしたところを傘を持った皐月に邪魔されたあの淫獣である。
これがストロングスが取った唯一の作戦だった。
彼もさすがにメス達の巣の入口では抵抗があるかと思っていた。
そこで以前にも侵入した経験のある怪猫に10匹ほど淫獣をつけて別働隊を組織し、日の出前に女学園の森の中に先行させておいたのだ。
塀を乗り越えた淫獣達が正門で前方に意識を集中させていた警備員たちに背後から襲いかかったのは数分後の事である。
まったくノーガードだった背後をつかれ、前後から挟撃された警備員たちは大混乱に陥った。
もっともストレングスにとってはこの作戦すらまわりくどいやり方に思え、あまり乗り気でなかったのではあるが。
研作は後ろから飛び蹴りを受け顔から地面に倒れ、律子やその他の女性警備員は押し倒されたり、服を剥がされたりしはじめた。
そんな様子を満足げに見た怪猫は学園の奥に向かおうとした。
メスたちの巣の入口の抵抗を切り崩せたら、そのまま巣の奥に入り好きな事をしても良いとストレングスから約束を取りつけてあったのだ。
すると向こうから一匹の若いメスが走ってくるのが見えた。
そしてそのメスは以前邪魔をしたあいつだと気づいた怪猫は駆けだした。
彼の脳裏には裸に剥かれ泣き叫ぶ皐月とそれにペニスをねじ込む自分の姿が浮かんでいた。
皐月も自分の前に走ってきて立ちふさがった怪猫を見て
「お前は、あの時の！」と気づいた。
制服を剥ぎ取られ押し倒されている可奈子を思い出し、皐月の心は再び怒りに満たされた。
皐月は静かに桜吹雪を鞘から抜いた。
襲いかかってくる怪猫の攻撃をきれいにかわした皐月は上段の構えから刀を振り下ろした。
ある意味5日目と似た攻防だったかもしれない。
だが傘と手練の物が使う日本刀では振り下ろされるスピードが違った。
ズビュッ！
「？」
怪猫は自分の身に何が起こったのか一瞬わからなかった。
肩からわき腹にかけて身体に斜めの線が入り、そこから鮮血が噴き出した。
すさまじい切れ味だった。
やがて怪猫は倒れ二度と動かなかった。
皐月が刀を片手に正門に向かって駆けて行くのを寮や校舎の窓から多くの生徒たちが目撃した。
引きとめようと声をかける生徒達もいたが、皐月の行動を見て「ああ、やっぱり」と思った生徒も数多くいた。
剣道部前主将・３年生の冴島静香もその一人で彼女は走り去る皐月の姿を自室の窓から見ると、ベットの脇に立てかけてある木刀を手に取った。
また別の部屋では三上唯が自分の机のひきだしからナックルを取りだし手にはめた。
彼女は中学時代、夜中にこっそり家から抜けだしそれをつけてストリートファイトをやっていた。
自分の技がどの程度か実戦で試したくなったのだ。
そして最中に警察が来た時は皆チリジリになって逃げたので、唯は最後まで捕まらなかった。
高校入学後も、ナックルはお守り代わりに寮にこっそり持ってきていたのだ。
一方、エリザベス･アンダーソンは寮を飛び出し理事長室に向かって走っていた。
（もはや迷う事は何もありません。こんな時に使わなければ何のために学んできた剣術でしょうか。・・・お父様、私に力を）
静香や唯、その他に何人もの生徒が手に手に武器を持って寮や校舎から出てきた。
そんな彼女達を止めようとする生徒もいたが、静香がその生徒だけでなく皆に聞かせるように語りだした。
「この学校は今や私達の家なのよ。私達に与えられた生活の場。もしここが安心できる場所で無くなったら、化け物たちが四六時中好き勝手にうろつく場所になったら、私達はどこへ行くと言うの」
３年生の中でも特に人望のある静香の言葉は生徒達の心に響いた。
そして、ほんの少し沈黙が流れたあと唯が力強く
「冴島先輩のおっしゃるとおりです。人の家に不法侵入してきたあいつらをたたき出してやります！」と言った。
すると他の生徒達も口々に
「そのとおり」「私も行く」「皆でメイに続こう」
と言った。
静香はその気勢をあげる生徒の中に医療班の腕章をつけた生徒が居ることに気づき、彼女に言った。
「あなたは今出ない方が良いわ」
「え？なぜですか？」
「あなた、いえあなたたち医療班の出番は私達が化け物どもを追い払ってからよ。その時は思いっきり働いてもらうから」
その生徒はほんの数秒黙りこんだが。
「わかりました、待機します」
とはっきり言った。
「よし、では出陣といこうか！」
「「「オーッ」」」
静香や唯をはじめ生徒たちは正門に向かって駆けだした。
さらに寮や校舎から生徒たちが次々と出てきてその後に続いた。
一方、唐沢美樹は高見沢麗子が残っている屋上にたどり着いた。
「麗子、無事か？」
「はい、大丈夫ですわ。美樹さんこそ」
「私はなんともないよ、よかった」
「あの美樹さん、気になったことがあるのですが」
「なに？」
「ええ、あの化け物達の中に牛の頭をしたのが居るのですが。ほら、あの正門の外にいる」
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「ハアッ！」
スバシャ！
その頃皐月は３匹目の淫獣を切り伏せていた。
さすがの淫獣達もこのメスは手ごわいと気づいたのか、皐月を取り囲もうとしはじめた。
それを見た女性警備員の一人が、自分は淫獣に覆い被さられながらも
「あなた、早く逃げなさい！」と叫んだ。
するとその時。
「メイ〜！」
多くの足音が響き、生徒たちが到着した。
「冴島先輩、唯、みんな！」
静香の声が響いた。
「いいわね、化け物一匹に対し最低３人でかかるのよ！」
さらに理事長室からレイピアを持ち出してきたエリザベスも到着した。
その時のベスの顔を見た生徒の一人は「え・・？」と思った。
鞘から抜いたレイピアをかまえる彼女の顔は、普段の母性あふれる面影は無く、冷徹な表情と獲物を狙う猛禽類のような目をしていたのだ。
この時、正門付近には少女たちの体臭が強く漂い始めた。
淫獣達は次々とやって来た少女たちに一瞬ひるんだが、その匂いを嗅ぐと目を輝かせぺニスを勃起させはじめた。
そして少女達に飛びかかって行ったのだが・・・・。
「フンッ！」
ベスが目にもとまらぬ鋭い突きをはなった。
ズブッ！
レイピアが狐の顔を持つ淫獣・狐頭人の心臓を正確に貫いた。
「うりゃッ！」
唯のナックルをつけた拳が水色の体毛に覆われたゴリラのような淫獣の顔面にめり込んだ。
「はは、寸止めしなくてすむから普段の稽古よりもずっと楽だわ、こりゃ」
と唯は皆に聞こえるように努めて明るく言った。
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数十分後、ストレングスの苛立ちと怒りは頂点に達していた。
メス達の巣の入り口の守りさえ切り崩したら、後は正面から巣の奥に乗り込んで逃げ惑うメスどもの姿を楽しみ、泣き叫ぶメスを押さえつけ存分に犯す自分や仲間達の肉欲に満ちた情景が展開される筈だったのに・・・・なんだこれは！
若いメスどもが向こうから次々と出てきて抵抗し、しかもこちらが押されているではないか。
いくらむこうの方の数がこちらより多くなったとはいえど、たかがメス相手に。
「ええい！どいつもこいつも不甲斐ない。俺がメス狩りの手本を見せてやる！！」
ストレングスは正門に向かって全力で駆けだした。
そのあとを慌てて大蛙が追う。
もはやストレングスの頭には自分が狩りのリーダーであり、指示を出す立場であるということは完全に抜けてしまっていた。