10年。非常に長い月日である。
幼稚園に一緒に通っていた隣の家の咲夜ちゃんと、ちょっと歳上の沙夜姉さんが、蝶が蛹を破るかのように美しくなるには、十二分な時間だったのだろう。
同じ高校に通いながらも、俺は平々凡々とした高校生で、咲夜ちゃんは学園のアイドル。
疎遠になるのは必然と言える。
太陽に憧れる向日葵のような、月に憧れるスッポンのような、そんな俺を救ってくれたのは、他でもない沙夜姉さんだったのだ。
とある日の夕方、偶然街中で再会した俺と沙夜姉さんは、一緒に帰る中で携帯番号とメアドを交換し、懐かしい思い出話に花を咲かせながら帰った。
その日の夜、沙夜姉さんの会いたいというメールに答えた俺は、公園で沙夜姉さんと会い、恋人になった。