「……性的快楽で目覚めた超能力ねえ………。」
『課長』がそう言ってポッキーを口にくわえたままポリポリと食べる。
『石川』はあの後、正拳突きを受けて、"診察室"で診察中。
ここには、『課長』と『女医』、鉄江と真心だけしかいない。
「……私ってエッチなんでしょうか?」
鉄江が縮こまって言う。それはそうだ。性的快楽といえばエッチなことに決まっている。
「……『超能力』が目覚める原因は一概じゃない。ある日突如目覚める場合もあれば、
徐々に力が発動していく場合もある。大体においては突如目覚める方が多いけどな。」
くわえていたポッキーを食べ終わり、次のポッキーを取り出そうと袋をあさるが食べ終わったらしい。
「……問題は自分の能力がわからないって事だ。使うにしても使わないにしても、
自分の能力がわからないままだと制御すら困難だ。」
『課長』の片手から魔方陣が開き、そこから蟻にも似た異形の機械……『破壊神』が現れる。
「……確かに自分の能力がわからんと制御できないよな……。」
何か嫌な思い出があるのか真心が呟く。
「……もう一度性的快楽を味わってみるか?」
『破壊神』がとってきたポッキーの箱を開けると、『課長』は再びポリポリと食べ始めた。
「………味わってみるって………。」
「『課長』!」
「だってそれしかないだろう?それともなんだ?彼女は何時爆発するかわからない
爆弾をかかえたまま生きれば良いっていうのか?いつ何時、自らの意思でなく、人を傷つけても良いっていうのか?」
鉄江は顔を赤らめ、真心の抗議の声を『課長』は却下する。
「一人でやっても良いんだろうが、何かあった時対処できる人間がいた方が良いよな。」
「一人でって………。」
『課長』の赤裸々な台詞に顔を真っ赤に染める鉄江。
「わたしが〜〜〜。いましょうか〜〜〜。」
「いや、駄目だ。治癒能力だと、何かあった時対処できない……。」
『課長』は頭を抱え………。
「真心、お前がやれ。」
『「えっ!?え〜〜っ?えっ?」』
いきなりの言葉に、3人が同時に反応する。
「なんで〜〜〜ですか〜〜〜。」
「真心の能力なら少々の攻撃なら何とかなるしな。それに知り合いだろう?
私でも良いんだろうが、私の能力はとっさの出来事には対処しにくい。」
「…………ですけど、良いんですか!」
「他に良い奴がいればそうしても構わんがー。」
「………鉄江が良いっていうんだったら、俺はかまわねえけど………。」
ふてくされて、真心が言う。仕方が無いという事らしい。
「……真心くんと一緒だったら………大丈夫だと思う。」
顔を赤らめながら、そう答える。
「よし、ならば善は急げだ。準備すっから、しばらくゆっくりしてろや。」
『課長』はそう言って、部屋の外へと出て行った。
「「…………。」」
二人は只、顔を赤らめて只、うつむいていた。
「………本当に俺で良いのかよ。」
鉄江から顔を背けつつ、真心が顔を赤らめながら言う。
「!!!言ったことには責任を持ちなさいよ!」
鉄江は顔を真っ赤に染めて言い返す。
「……わりい………。」
鉄江の方をちらりと見て、言い返す。
「ん〜〜〜。」
その様子を見ていた女医が複雑そうな表情でそのやり取りを見ている。
「だいたいねえ〜〜!!」
「少し〜〜よろしいでしょうか〜〜〜。」
何かを言いかけた、鉄江の言葉をさえぎり、女医がゆっくりと言葉をつむぐ。
「彼女が〜〜もしもしてる時に〜〜。暴走したらどうしますか〜〜〜。」
「……なんだよ、いきなり。」
真心がそういって不機嫌な顔をする。
「まだ〜〜能力を制御できてないから〜〜〜。暴走したら大変な事に〜〜〜なると〜〜。」
「……一体何が言いたいんだ?まさか彼女を縛り付けてやれっていうのか?」
「は〜〜い。真心君〜〜〜正解で〜〜す。後で〜〜。」
「ざけんなよ!大体そんなので鉄………」
「私は……良いわよ。」
そう言って、立ち上がった真心を止めるように鉄江は言う。
「私だって、どんな能力なのかわからないし……そっちの方が安全だっていうんだったらそっちの方が良いわ。」
「…………良いのか?」
「うん……真心くんとだったら……。」
「………。」
「決まったようですねえ〜〜〜。でしたら〜〜こちらも色々と〜〜準備しておきますから〜から。待ってて下さいね〜〜〜。」
女医はそう言って、部屋の外へと出て行った。部屋には只、二人だけが残された。
夜の病院は暗く、静かだ。
「この部屋は、まあ色々と問題のある奴……基本的には取り調べの必要な時に使う部屋だからな。
どんなに騒いだって、声は外に出ない。まあさすがにロックバンドでもすれば話は別だが。」
課長はそう言って、ポッキーの箱を開ける。後で聞いた話だと、歯磨きの時以外ずっとポッキーをくわえてるらしい。
(………ポッキー代幾らなんだろう?)
そんなたわいの無い事を考えてると、女医が手押し車に大量の物を乗せてやってくる。
「……ありったけ持ってきました〜〜〜。」
「そんなにどこにあったんだ?」
『課長』が呆れ顔で聞いてくる。
「秘密〜〜〜。」
「「…………。」」
聞くだけ無駄と考え二人とも黙り込む。
「それじゃあ、ちょっと準備しときますから〜〜、『課長』さんは〜〜ちょっと水谷くんの方を〜〜お願いします〜〜。」
「わあった。」
次のポッキーを口に含むと、『課長』は夜の病院の通路を歩き始めいていた。
「じゃあ〜〜〜まず今着てる服を〜〜脱いでください〜〜〜。」
「なんで??」
「服を着たまま拘束すると〜〜〜服が脱げなくなる可能性が〜〜あるからです〜〜。」
質問に対してゆっくり答えながら、女医はガサゴソと準備を始める。
服を脱ぎ、近くの籠の中に入れる。
「じゃあ……まず〜〜これから着て下さい〜〜〜。」
そう言って女医が取り出したのは、黒いシャツみたいなものであった。
よく見ると、黒光りするラバー製の服で前の方に大きな穴が二つ開いている。体の胸と背中を隠す物だ。
服の所々には、銀色の大き目のリングがついており、それには小さな鍵がちゃらちゃらとついていた。
「うー。これきなきゃ駄目?」
「は〜〜い。なるべく頑丈なのを選んできました〜〜」
触ると、つるつるとした感触があり、それがまたなまめかしくもある。
穴を後ろにして着るが、胸の辺りに変な感触がある。
「逆ですよ〜〜〜。」
「ええっ、でも逆に着たら……。」
「でも逆でぇ〜〜す。」
女医にそう言われて、仕方なく逆に服を着る。穴は胸のところにあり、小ぶりな胸が穴の外へと出る。
「じゃあ次はこれぇ〜〜を〜〜。」
絶句……同じ黒いラバー製の品で、所々銀のリングがついているのも同じだが、異常に小さいなショーツである。
おそらく秘所を隠すのには使えまい。
「ううう………。」
涙ながらに、そのショーツを着る。
「うふふ……鉄江さん色っぽいですよ〜〜〜。」
女医はそう言ってゆっくりと何かを取り出す。
「少し大きいかもしれませんけど我慢してくださいね〜〜〜。」
そう言ってラバー製の布を彼女の太ももにあわせ、ベルトをして、きっちりと縛り付ける。
「ちょちょとそこまでする必要が……。」
「あ〜〜ちょっとしばらく待っててください〜〜〜。」
女医はそう言うと、彼女のむき出しのおなかに掌を合わせる。
ゴウン!!体内に衝撃が走り、彼女はもんどりうつ。いや衝撃が走ったのではない。
治癒能力によって過剰になった神経が"衝撃を受けた"と感じたのである。
だが、鉄江にとってみれば衝撃を受けたのと同じことである。たちまちのうちに息がむせ、せきを始めた。
その隙に、女医はゆっくりとした動作で彼女に拘束衣を着けていく。
両足のふくらはぎのラバーについているベルトをしっかりとしめ、両足にブーツをつける。
両足のブーツの間に棒を通すと、足を大の字型にしブーツと棒についているリング同士を鍵で止める。
ふくらはぎとショーツの間にある大きめのリングに鍵をつけ、どうやっても体が抜けないようにする。
「ちょっとぉ!何をするのぉ!!」
鉄江が抗議の声を上げるが、彼女はゆっくりと答える。
「あなたが〜〜彼に〜〜色目を使えないように〜〜しっかり〜結び付けて〜〜おくんです〜〜。」
「色目めって……。」
顔が赤くなる。
「治療中に〜〜好きな人がいるって言いましたよねえ〜〜実は〜〜。」
「あいつのこと?貴方の好きな人って?」
「はい〜〜。ですから〜〜彼が〜〜必要以上に〜〜あなたの事を好きにならないように〜〜。
こうしておこうかな〜〜と思いまして〜〜。」
次に彼女は、彼女の腕に拘束衣をつけていく。
「……あなたが〜〜彼に抱きついて〜〜『貴方のこと昔から好きだった』〜〜って言われるのは嫌ですから〜〜。」
腕にも同じように拘束衣をつけると、脱げないように両方にリングをつける。
それを後ろに回すと、最初につけた服についているリングで彼女をの体と腕をくっつける。
「ま、待ってよ、いくらなんでも誤解よ誤解!!私の学校には他にも合気道してる子いっぱいいるから!」
「でも〜〜。万が一って事ありますから〜〜。」
体を捻って動こうとするが、足が開いてるため中途半端にしか動けない。
「あー。まだ動いちゃだめー。」
そう言って、彼女の胸に触り、神経に治癒能力を作用させて激痛を与える。
「うっ!!」
「大丈夫ですよ〜〜傷一つ残りませんからぁ〜〜。」
そう言うと女医は穴だらけのボールがついた猿轡を取り出し、後ろを鍵で閉める。
「むーーー!むーーーー!!」
恐怖のあまり、鉄江は抗議の声を上げる。
「大丈夫ですよ〜〜〜。」
そう言って女医は、鋼鉄製のパンツを取り出し彼女に嵌める。「貞操帯で〜〜す。」
次は露出している胸とおなかを隠すような前後に分かれたレオタードを取り出すと、
それを彼女の体に合わせ、そのまま貼り付ける。
「これを外すか外さないかは彼にお任せ〜〜〜。」
そう言って、周りについている紐を蝶結びで結びつける。
「後は〜〜〜。」黒い、ラバー製の目隠しをして、後ろのリングを鍵で止める。
「これで〜〜OK!」
「んんんんーーーーーー!!」
「おーい、連れてきたぞー。」
外から『課長』の声が聞こえる。どうやら、真心も来たらしい。
「それじゃあ、鍵は〜〜私が持っていますから〜〜そう伝えといてください〜〜。」
そう言って、女医の足音が離れていく。
漆黒、何も見えない、何も聞こえない。
そして近づいてくる足音。
(嫌、見ないで………見ないで………。)
恐怖が鉄江の心を支配した。
===
いくら思っていても、声はうめき声となるばかりで、外へとは出ない。
「どうしたんだ?……って!!」
そう言って、足音が早くなる。
「おいおいおいおい!一体何があったんだ?」
彼の腕が首筋に回される。カチリ。何かそんな音がした。
次の瞬間、口に挟まれていたボールと目隠しが外される。
「げほっ、げほっ!!」
思いっきり咳をしながら、鉄江はむせびこむ。
「……大丈夫か?」
「あっ……うん。」
心配されるのも悪い気分ではない。
「……ここまで強く縛らんでも良いだろう?罪人じゃあるまいし……。」
呆れ顔で真心が言う。
「……そう言えば鍵は?」
「『超能力』で外した。俺の『能力』は『道具の支配者』この程度の鍵なら簡単に外せるさ。」
こともなくそう言って、彼女の後ろでにつけられた鍵に触る。
次の瞬間、鍵は意志を持ったかのように開き、彼女の背中と腕は外れる。
「こっちの方も外しとくな。」
そう言って、足の方についていた棒を取り外す。
「……外しちゃって良いの?」
「体きついだろう?鉄江が楽だと思う姿勢でもう一度つければ良いからさ。」
「あっ……そうね。」
鉄江はそう言って足を閉めようとするが、貞操帯が邪魔で閉まらない。
「これが邪魔なのか?」
そう言って、真心がレオタードの横隅からはみ出している鉄の貞操帯をコンと叩く。
鉄江は恥かしそうにそれを見ると、コクンと頷く。
真心が強く貞操帯をコンと叩くとカシャカシャッと子気味よい音を立て、
貞操帯が外れるが、ラバー製のレオタードに邪魔されて、上手く外せない。
上手く外そうとがしゃがしゃするが、なかなか外れない。
「…………これ、外すね。」
鉄江は意を決してそう言うと、皮のレオタードの前後を結びつけていた紐を自らの手で外し、
貞操帯を自分の股間から外す。
「…………鉄江………その服……。」
「……女医さんが選んだんだけど……やっやっぱり変よね。」
顔を赤らめながら、鉄江が答える。下のショーツは秘所を隠すか隠さないかの小ささで、上の服には胸が露出してる。
さらには、所々、リングとロープで繋がっているパーツがその服の淫靡さをさらにかもし出している。
「……良いのか?そんな服で?途中で襲ってしまうかもしれないほど色っぽいぞ。」
真心も顔を赤らめて言う。さすがにこういうことには慣れてないらしい。
「その前に『能力』に覚醒して、あんたを止めるから。」
鉄江も顔を真っ赤に染めて言い返す。さすがに色っぽいと言われたのは心外だったらしい。
「ぜひそうしてくれ。そっちの方が俺も気が楽だ。じゃあ楽な姿勢をしてくれるか?」
「あっ、そうね。」
そう言って、鉄江は足をしっかりと閉じ、手を隠すように組む。
「じゃあ、お願い。」
その願いに応じて、真心が南京錠をとり、グローブとブーツについたリングと服のほうのリングをぎこちなく繋げていく。
「じゃあ、初めて良いかな?」
「うん………。」
その言葉に応じて、真心は鉄江の首筋にキスをした。