「ちょっとー!!あんた!もうすぐ授業はじまるんだからねー!」  
そう言って彼女……皆は委員長と呼んでいる……が俺に声をかけてくる。  
いちいち叫ばなくてもわかってるって。それに『組織』からの連絡だから下手な所で返事をするわけにはいかない。  
『俺』の名前は……どうでも良い。たいした名前じゃない。  
「わりい!時間までには戻るから!!」  
そう言って、俺はトイレに駆けて行った。まあ『組織』がらみの仕事だ。一筋縄で終わるわけが無いが……  
 
『組織』の名前は『現状科学非認知能力研究機関』って長い名前があるんだが、  
誰もそんな名前で呼ばず『組織』って言ってる。どうやら国独自の機関で色々と研究しているらしいが……。  
読んで字のごとく超能力を研究する機関……。ちなみに『俺』も超能力者。  
『組織』は有能な人材に任務を課すことがある。内容は様々。  
小さな物では、ペット探しや『組織』の部屋の清掃や、引越しの手伝い。  
でかいのになると、スパイの真似事や、古代の遺産の護衛までもやる。  
まあ、部屋の掃除ぐらい自分でやれと言いたくなるが、金がもらえるので文句は言えない。  
…まあ少しは文句があるが、今は苦学生。金は無くて困るものでもない。  
「はい、もしもし……」  
電話に出て用件を聞く。相手は『実働部非認知能力課課長』……通称『課長』。  
任務がごく簡単に伝えられる。『現状科学非認知能力犯罪者を捕獲せよ』。  
まあ、時々はある話だ。  
「……わかりました。協力します。」  
後は簡単に報酬の約束をした後、教室に戻った。  
 
「はいはい、きちんと席に着く!」  
『委員長』がそう言って、俺を席につける。  
「はい、教科書出して、ノートと筆箱出して!」  
俺は言葉に従い、教科書やノートを出していく……。  
こいつは学校の中でも成績優秀で、合気道部の副部長をやっている。  
お節介焼きで、クラスの中の人気者って奴だ。  
黒くなめらかなセミロングの髪の毛はよく手入れがされてるらしく、これといって癖が無い。  
目鼻もくっきりとして可愛らしいというよりもボーイッシュな雰囲気を出している。  
(良い奴なんだけどな。)  
心の中ではそう認めている。そして普段どおり授業は始まり、普段どおり終わった。  
 
この任務についてきたのは『俺』を含めて4人。  
ちびの『桶屋』。能力は『特定人物追跡』。でかい『石川』。能力は『物体透過』。  
そして『課長』……能力は『破壊神召喚』……としか言いようが無い。とにかくすごい能力なのだ。  
腰まで届きそうな長い髪をポニーテールでまとめ、首から下はボンテージも似た戦闘服は、  
彼女の肉体を全て覆いながらも、彼女のくびれた体をいっそう引き立たせていた。  
偽装の為のコートを体にかけ、お気に入りのポッキーを口にくわえ、お気に入りの赤いスポーツカーのボンネットに  
足を組んで座っている。ちなみに俺達が座ると怒る。  
ちなみに『俺』の能力は、『道具の支配者』……  
手っ取り早く言うと、道具を完全に自分の支配下に置くことができるのだ。そして支配下に入った道具はその力を増大させる。  
刃は万物を切り裂き、銃弾は敵のみを確実に貫き、そして紐は自らの意思で相手を縛り上げる…。  
まあ、現状では色々と便利屋に使われてるだけなのだが。  
「全員、そろったな。任務は聞いているか?」  
『俺』はこくりとうなずき、『桶屋』は手をひらひらとさせ、『石川』は「無論」と答え、肯定の意思を唱えた。  
「ところで、捕まえるべき犯罪者ってのは何者なんだ?」  
「ああ、まずはこの資料を見てくれ。」  
そう言って、『課長』は資料を渡す。俺は資料を見て読み上げる。  
「本名……能力は『精神念動』。犯した事件は、殺人、強盗………その全てが能力を使用しており、  
 立件は不可能。秘密裏のうちにこれを抹消されたし………。」  
抹消と一言で言っても様々な場合があるが、大抵の場合が能力者の死でその事件が終わる。  
たまに運が良いと脳内爆弾を埋め込め、メタ○ギアソ○ッド真っ青の任務につかせることがあると言う。  
最初のページを読み終わると、次のページが勝手にめくれる。ちなみにこれも俺の能力の一つだ。  
「なお、能力については、以下の項目を参考にされたし……。」  
そこから後は、奴の犯罪歴についてこと細かに書いてあった。  
 
「追跡については『桶屋』に任せる。」  
そう言って『課長』は小瓶を『桶屋』に渡す。  
「奴の精液だ。それで追跡できるな。」  
『桶屋』は何も言わず小瓶を開け、サムズアップをする。こいつがこの動作をする時は可能ということだ。  
「では行くぞ、諸君。」  
課長はそう言って、皆をスポーツカーに乗せた。  
 
「……ここか?」  
「ああ、俺の能力が信頼できるんならな。」  
そう言って、『桶屋』がゆっくりと降りる。  
「拙者が調べてまいろう。」  
そう言って、『石川』はスッと立ち上がり、車のドアをすり抜けて外へと出る。  
「ドアぐらい開けていけ。めんどくさがるな。俺も行きます。」  
そうつっこみを入れてから、俺も能力を使いドアを開けてから降りる。  
「ドアぐらい自分で開けろ。めんどくさがるな。『桶屋』は残ってろ。」  
『課長』に言われて、『桶屋』はドアにかけていた手を引っ込めた。  
どうやら『課長』が期待していたのは『桶屋』の追跡能力だけだったらしい……。  
 
 
『委員長』はぐっすりとまどろみの中にいた。  
腕の中にはウサギのヌイグルミ。寝巻きはピンク色の可愛らしい服だ。  
「こらこら、そんなことしないで……きちんと準備して……。」  
彼女が寝声でそう言っている最中、彼女の部屋の物が万有引力の法則に反して宙に舞い上がる。  
彼女はそれに気づくことなく、すやすやと眠っている。  
やがて、宙を舞ったもののうち、長いリボンが宙で止まりほどけだし、彼女の体をベッドに縛り付ける。  
「なっなに?」  
あまりにも異常な事態に『委員長』は素っ頓狂な声を上げる。  
「黙りな。」  
男は唐突に部屋に入ってくると、『委員長』にナイフを突きつけた。  
「あなた、誰?あたしの家に何か用?」  
「黙りな!」  
次の瞬間、勢いよく彼女の顔に猫のぬいぐるみが叩きつけられる。  
彼は指先一つ動かさず、ぬいぐるみは叩きつけ、『委員長』に迫る。  
「てめえは、只、俺を楽しませれば良いんだ。」  
そう言って、男は『能力』を使い手近な布切れで……白い靴下を彼女の口を詰める。  
「むーむーむー!」  
なおも抗議を上げる『委員長』を無視し、『男』は彼女の頬にナイフを突き当てる。  
「黙りな、雌!突き殺すぞ!」  
だが彼女はなおも黙ることなく、拘束を解こうともがく。  
『男』はそんな『委員長』頬にナイフを当てる。彼女の頬から赤い血が流れ出し、ベッドを染める。  
痛みに彼女は一瞬ひるみ、その隙を逃さず『男』は彼女の頭を押さえ込む。  
「むー!むー!むー!」  
「いっとくが、親父さんやお袋さんを呼んでも無意味だぜ……下できちんと縛りつけてるからな。」  
「むー!!むー!!」  
「後であんたが小×垂らしながら死ぬところを見せてやるんだからな。それまで殺してたまるか。」  
その台詞に『委員長』の顔が真っ青に染まる。こいつは人を殺したことがある。しかも自分を殺す気だ。  
 
「まあ、あんたがキチンと俺の処理をしてくれたら3人ともすぐ楽にしてやるよっ!」  
その台詞が終わったとたん、彼女を巻きつけていたリボンが妖しく動き始める。  
「むー!!むー!!」  
彼女の胸を股間を走る衝撃に彼女は叫び声を上げるが、口をふさぐ靴下が彼女声を塞ぐ。  
「邪魔だな、これ。」  
無造作にそう言い切ると、男は持っていたナイフでウサギのヌイグルミをバラバラに切り裂く。  
「むー!!!むー!!!」  
「そうあせるなって、まずは上の口からやってやるからよ。」  
そう言って、男は『委員長』の口に詰めた靴下を取り除くとジッパーから大きくなった自分の紳士を取り出す。  
「じゃあ、俺の息子をなめてもらおうか。」  
だが彼女は頑なに口を閉じたまま、彼の息子を入れようとしない。  
「てめえ……!!」  
そう言って男は彼女の腕を掴み力の限り捻る。  
「口を開けやがれ!」  
腕をぎりぎりまでひねると次に男は逆の手も同じように捻る。  
「んーーーー!」  
叫び声であけようとする口を必死の形相で防ぐ『委員長』。  
「てめえ……!人が下手に出てりゃ付け上がりやがって!」  
次の瞬間、『男』のナイフが宙を切り、彼女の寝巻の上半身をリボンごと切り裂く。  
「!!!!」  
ナイフが通った後は赤い傷跡がうっすらと出始める。  
「ゆるさねえ!もうゆるさねえええええええっ!」  
切り裂かれたリボンがまるで蛇のように彼女の体を大の字に拘束した事であった。  
(一体何が起こってるの?)  
『男』は掌を彼女の胸に当てる。  
「てめえなんて、すぐにでもヒイヒイ言わせて………!」  
それから先は凄惨な言葉の羅列だった。だが彼女はしっかりと『男』を見つめていた。  
 
次の瞬間、『委員長』の体に雷撃が走った。念動力で金属中の電子を放出させ放電する男の技である。  
「びりびり痺れやがれぇ!」  
雷撃によって彼女の体が一瞬跳ね上がる。収まる直後にもう一度電撃が走り彼女の体をもう一度跳ね上げる。  
「あああああっ!!」  
「どうだ?苦しいだろう?だがこんなもんじゃ収まらんぞ!俺の怒りってのは!!」  
電撃と拳が連続で叩き込まれ、彼女の体に赤い痣がつき始めるが男は電撃を当てるのを止めはしない。  
「ああああっ。」  
痺れの為か、そううめき声を上げている『委員長』の下の服をショーツごと切り裂き股間に電撃を与える。  
「ひゃっはあ!ついにもらしやがったかあ!」  
ジョジョジョジョジョ………そんな音を立てて、彼女の股間から黄色い液体が流れ始める。  
「あっあんたっ……。」  
息も絶え絶えに『委員長』は声を上げるが、もはやその声は『男』の欲望に火を注ぐだけに他ならない。  
『男』は伸縮型のステッキを数本取り出し、念動力で持ち上げ彼女に襲い掛からせる。  
たちまちのうちにステッキは彼女を十数回殴りつけた後、彼女の下二つの穴に入って強引に彼女の体をむさぼる。  
「いやあああ、いやああああっ!!」  
「ひゃっはあ!悪夢は始まったばっかり………。」  
次の瞬間、男に野球ボールがぶつけられた。  
 
「始まったばっかりで悪いが、すぐ終わらせてもらおう。」  
その台詞と共に、『俺』はその男の前に身を出す。  
「てってめえええええええっ!」  
男の念動力が爆発し、鉛筆をヌイグルミを、写真立てを叩きつけてくる。  
「無駄だ。」  
俺は『道具の王』我が前に、すべての道具は平伏し、すべての武器はただの塊に成り果てる。  
叩きつけて来た物は意味を失い、地面へと落ちる。  
「て、てめえも『能力者』か!!なんで人助けなんてする!なんで同じ『能力者』の邪魔をする!」  
『男』の台詞にため息を一つついて、『俺』は鉛筆を『男』に投げつける。鉛筆は奇妙な弧を描き『男』の足へと命中する。  
「そんなことはどうでも良い、『俺』のすべきことはあんたをどうにかすることなんでね……。」  
「……くん??」  
『俺』の名前を呼ばれ、一瞬体が止まる。  
「『委員長』?」  
そう叫んで、自分がとんでもないミスをしたことに気づく。  
慌てたのは一瞬だが、その一瞬が命取りだった。男は念動力で自分の体を持ち上げると、すさまじい勢いで逃げ出したのだ。  
「しまった!!」  
追いかけようとするが、『委員長』が抱きつく。  
「待って!行かないで!何があったの?何でここに来たの?『能力者』って何?」  
がたがたと震えながら聞いてくる委員長を抱きかかえつつ、『俺』はしっかりと彼女の瞳を見る。  
「後で説明する!」  
「はぐらかせないで!」  
奴を追いかけないと大変な事になる、だが今ここで『委員長』を見捨てては……。  
『かの奴は私達が追いかける。お主はその者の怪我を治してやれ。』  
「!!だが!!」  
『安心しろ、逃げ足の速い男一人、どうにでもなる。それにきゃつにもはや心休まる場所など無い。  
 少なくとも、涙の女子を収めるよりは楽な仕事よ。』  
そう言うや否や『石川』の気配が消える。  
 
「……まいったなあ。」  
そう呟いて、彼女の怪我を見る。  
「お願い……説明して……。」  
涙ながらに歩いてくる彼女を抱き返して俺は答えた。  
「後で説明するから、今は大人しくしてろ!」  
そう言って、横のポーチから軟膏とか包帯を取り出し、『力』を使う。  
その前に彼女の下の穴に入っている、ステッキを慎重に外す。  
「あああぅ!!」  
今にも泣き出しそうな顔をしてたので能力を使ってステッキを優しく外す。  
「……軟膏塗るからな。」  
そう言って、彼女の痛々しく火傷の後のついた体にゆっくりうっすらと軟膏を塗っていく。  
「なんか、気持ち良い……。」  
『委員長』がそう言って気分を落ち着かせるように目を閉じる。  
……軟膏を塗りながら気づいたんだが、この状況ってやばくないか?  
裸同然の『委員長』に軟膏を塗りながら、俺は自分の分身がいきり立つのを感じる。  
興奮を抑えて、ねじれた腕や背中に軟膏を塗って、胸に塗ろうとする。  
「ひゃあっ!」  
『委員長』が叫び声を上げる。  
「ごめん、冷たかった?」  
「う……うん。でも大丈夫だから……。続けて。」  
ねっとりとした軟膏を胸に薄く塗っていく。  
「次は包帯巻くからね。」  
……包帯を巻き終わった時、『課長』達が戻ってきた。  
「……こっちは終わったわ。そっちは…………終わってないようね。」  
そう包帯まみれの『委員長』を見て、『課長』は頭を抱える。  
「とりあえず、貴方の怪我はひどいようだから、病院でゆっくり話をしましょう。」  
『課長』はそう言って、走ってくる救急車を指差した。  
 

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