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第1話Sideゴールドトラップ1  
ガゴンガゴンガゴンッ!  
ボスはそこらへんにあるものに八つ当たりをしていた。  
「くそっくそっくそっ!!」  
基地は壊滅し、研究成果は難を逃れたものの、敵の能力は不明であることがボスをイラつかせていた。  
「くそっくそっくそっ!!」  
下手に何か言葉をかければ何をされるかわからない。そこにいるメンバーは冷ややかな目でボスが、暴れているのを見ていた。  
「はーはー……『シーフ』!」  
そう言って、ボスは基地で一緒にいた女性……基地で意見を言った女性を呼びつける。  
「なんでしょ……  
「今思い出したが、基地の中で俺に意見したよな!」  
『シーフ』の言葉もそこそこに、ボスは『シーフ』胸倉を掴み、地面に押し付ける。  
「その分の罰を今あたえてやる!」  
「は、はいわかりました」  
『シーフ』はそう言って、体を小さくする。  
下手に反抗することは無い。反抗すれば逆に殴られるだけですむ。  
そう思って、『シーフ』は抵抗しないことにした。  
「……」  
が、ボスにしてみれば気勢がそがれ、一瞬動きが止まるが、次の瞬間さらなる邪悪な考えが浮かび、  
近くの手下に、何かを持ってくるように命じた。  
 
部下が持ってきた物をみてボスはにやりと笑い、『シーフ』の体を荒々しく押さえる。  
それはネコ耳カチューシャと少し大きめのネコの尻尾、それと少し小さめのネコ手用の手袋、  
そして赤の首輪である。  
カチューシャを『シーフ』の頭につけ、それを融合させる。  
『シーフ』は怒られる恐怖と命令からピクリとも動かない。  
腕を掴み、手袋をつけ、それも融合させる。これで何かを掴もうとしても大変なことだろう。  
首輪は見えづらいように首の下のほうに融合させ、  
そして、最後に後ろを向けさせ、お尻に尻尾を融合させる。  
「少し回ってみろ」  
そういわれ、『シーフ』は慌てて体を回す。  
お尻からはえている尻尾がぴょこぴょこと動き、『シーフ』のお尻の奥を刺激する。  
「……なんか変な気分です」  
『シーフ』は顔を赤らめながらそう言う。  
「……語尾は『にゃふう』だ。それ以外は認めん」  
「「「は???」」」  
ボスの台詞に、メンバーのうち数名が聞き返した。  
「だから、言葉の最後に『にゃふう』をつけろと言っている」  
「『なんか変な気分にゃふう』……こんなかんじですか?」  
『シーフ』の台詞にボスは大きくかぶりを振って答える。  
「違う!!『『なんか変な気分にゃふう』……こんな感じにゃふ?』だ!!」  
ボスの台詞に一同が凍てつく。  
「まあ、良いじゃねえか語尾ぐれえ」  
そう言って、巨体の男が言う。あきらかに肉体しか信用していない目は、この中で異彩を放っていた。  
「……なんで『にゃふう』なのかい?」  
眼鏡をかけ、緑色のぴっちりとした服とした細い縦じまでレオタードを思わせるような服。  
少し膨らみかけた胸と、股間の様子から女性だとわかり、声だけなら男と間違うかもしれない。  
奇術師を思わせるような大げさな動作をして、ボスに聞く。  
「決まってる!俺の趣味だ!」  
「そうかい、そうかい、それは良かった」  
大げさに肩をすくめながら、その女性は首をふった。  
 
「いいじゃねえか『サモナー』ボスの勝手にやらせておけば」  
そう言って巨体の男が言う。あまり、そういうことに興味を持たないようだ。  
「……あまりね、そういったの嫌いなんだ。個人的に」  
「……で、そんな姿をさせて一体何をする気なのですか?」  
「このまま、町を歩かせようかと思ってね」  
沈黙------思考--------発言  
「何考えてるんですか!」  
「只の変態ですよ!ボス!考え直してください!」  
「静かにしろっ!」  
ボスの一喝で全員の声が止まる。  
「こいつは……『現状科学……なんだっけ」  
「……非認知能力研究所』ですか?」  
「ああ、それだ。そいつらに対するおとりに使う」  
「おとり?……にゃふ?」  
慌てて語尾を付け加えて、『シーフ』が疑問系で言う。  
「ああ、さすがにその姿で行けば奴等の目を引く確立も高くなるだろう」  
「……でもにゃふ〜〜私の顔は誰も知らないにゃぁふぅ〜〜」  
「「……」」  
「……『マジシャン』お前もついていってやれ、さすがに『水谷真心』と同じ顔だったらしってる奴もいるだろう。」  
えらく疲れた顔で『サモナー』が言う。  
「『マジシャン』……おねがいにゃふぅ」  
「ボス、良いですか?」  
「かまわんさ」  
「だ、そうだ」  
短く答えて、『マジシャン』は立ち上がり、『シーフ』の手を握った。  
少し体温が上がったかなと『マジシャン』は思った。  
 
Side:研究所1  
「で、研究施設はぶっ潰したと」  
機関研究所の支部の一つでポッキーをポリポリ食べてる女性と、黒ずくめの男、そして眼鏡をかけた神経質そうな男。  
それぞれ戦闘部一課、二課、三課課長である。  
女性の言葉に2課課長は肯定で答え、残党がまだ残ってることを言葉で示す。  
「水谷 真心は1週間前から連絡が取れません」  
三課課長がそう言って、言葉を濁す。  
「……能力も顔も同じクローンですが、可能性としては0ではありません」  
「偶然にしては出来すぎだな」  
一課課長がそう言って、さらにポッキーの箱を取り出す。  
「もしかすると……」  
二課課長がそう途中まで言いかけたが言葉を止める。  
「……憶測で話をするのは止めておきましょう」  
「なんだよ、じれったいな」  
「そうですよ、はっきり言ってください」  
「あくまで憶測です。はっきりしたら話します。まずは敵を探すことから始めましょう」  
二課課長はそう言って討論を打ち切った。  
 
聖地『秋葉原』……人がごったがえすこの場所に『マジシャン』と『シーフ』は立っていた。  
『マジシャン』は青いバンダナと、青い服に青いズボン。『シーフ』はネコ耳、ネコ手、ネコ尻尾に燕尾服といういでたちである。  
「にゃーふー」  
「無理しなくて良い」  
『マジシャン』はそう言って、『シーフ』の肩をポンと叩く。  
「疲れるだけだ」  
その言葉に安心したのか『シーフ』が『マジシャン』の腕を掴んで聞く。  
「あのさ、少しへんな事を聞くんだけどさ」  
「なんだ?」  
『シーフ』の問いに、『マジシャン』が答える。  
「水谷真心って……どう思ってるの?」  
「あまり、戦いたくないな」  
そう言って、『マジシャン』は空を見上げる。  
「お互い戦い方がわかってるから、戦い方は限られてる。ならば長く戦ってる相手のほうが有利だ」  
「……それだけ?」  
流れる沈黙。「その他に………」  
次の瞬間『マジシャン』が『シーフ』の腕を掴み、走り出す。  
「何?何?」  
混乱している『シーフ』が自分の足元を見る。ナイフが刺さってた。見た瞬間痛いと感じる。  
気づかなかった。油断ではない。『マジシャン』が叫び、考えを述べた。  
「敵は姿を消せる超能力者!おそらく機関の人間ッ!」  
 
「んっくぅ……」  
路地裏の廃ビルで『シーフ』の治療を行う。  
『マジシャン』が持っていた救急パックで、ナイフを抜き消毒する。  
「…ここでしばらく隠れてろ」  
そう言って、『マジシャン』は『シーフ』を壁の方へと押し込み、ビルから出て行く。  
ビル内に訪れる静寂、次の瞬間、何かが壊れる音が鳴り響く。  
「……何?」  
立ち上がろうとした瞬間、『シーフ』の体が押さえ込まれる。  
「捕まえたぜ子猫ちゃん」  
『見えない姿の何者か』が『シーフ』に声をかけた。  
 
『見えない姿の男』は現状非認知能力研究所戦闘部三課所属……元犯罪者である。  
とは言っても、やったことは痴漢や下着泥棒、透明になりながら裸で路上を走る程度の事である。  
最後の一つはともかく、前二つは十分犯罪であるが。  
見えない敵に抱きつかれて、そのまましておくほど『シーフ』も甘くない。  
助け声を上げようとするが、唇を何か暖かい物でふさがれる。  
「むむぅっ!!」  
「言っとくが、クローンの方は別の奴が相手になってる。つまりはてめえを助ける奴はだれもいねえ」  
何かの歌で透明人間の歌は透明だから、何を歌ってるのかわからないそうだが、この男はそうではないらしい。  
「それにな、こんな子猫を捕まえて、そのままにしとけねんだよ」  
顔は見えないが、想像できる。『シーフ』は自らの足元に罠を仕掛ける。  
たちまち爆発が巻き起こり、『シーフ』と『透明な男』を吹き飛ばす  
「げほっげほっ………」  
想像以上の煙に『シーフ』は咳をしながら、立ち上がろうとする。  
ガシリ。体が後ろ抱きしめられ、見えない足が『シーフ』の足の間に入り込み、無理矢理開かせる。  
「にがしゃしねーぞ、いたずらネコ」  
透明な声が響き、燕尾服の下のズボンのジッパーが外され、そのまま見えない指先が秘所へと潜入してくる。  
「はうっ」  
腕をがむしゃらに振り回すが、見えない敵に当たるはずがない。  
「『マジシャン』……『マジシャン』!!」  
愛おしい人を呼ぶように、『シーフ』は『マジシャン』の名前を呼び続ける。  
ふと、股間をまさぐっていた手が外される。  
「邪魔だな」  
 
そんな言葉と共に、両腕が後ろに引っ張られ、見えない『何か』に縛られる。  
それは麻縄であった。それを猫手が融合している腕にぐるぐると巻きつけられた。  
「むーむー!!」  
「いくら叫んでも無駄だって、あの『マジシャン』の方も死ぬ。お前は後で基地へ連れていく  
 そして、あいつは報酬を、俺は刑期の短縮を得ることができるってわけさ」  
再び、股間に生暖かい腕が進入を始める。  
「やだ!汚い手で触らないで!」  
「なんで見えないのに『汚い』って言えるんだい?」  
そのまま男の指は『シーフ』の秘所へと入り込み中のクリストスを刺激する。  
「やっ!!」  
「だから言ってるだろう?あいつは死ぬ。『奴』が殺す。まあ、あんたは良い女だ。  
 胸はそれほどでかくないし、顔も良い。ここで死んで人生終わりじゃつまらんだろう?」  
そう言って、もう片方の腕が『シーフ』の胸を刺激する。  
「やだっ……変になっちゃう……早く来て……『マジシャン』!!」  
逃げないととは思うものの、体が上手く動かない。  
恐怖が『シーフ』を支配した。  
 
「ひゃはっはぁぁぁっ!無駄無駄無駄無駄無駄無だぁ!」  
『マジシャン』はそう叫ぶ能力者と戦っていた。  
その能力者は腕、足、胴体、頭、全てが機械のようなパーツで構成されていた。  
近くにある岩を投げつけ、敵の腕が砕ける……次の瞬間別の腕パーツが飛んできて、合体する。  
戦闘部二課『灰馬 理事絵(はいま りじえ)』。戦闘マニアで、  
戦闘中戦闘が予想される場合は真っ先に指定される。  
「これが俺の能力!パーツをあらかじめ作成しておき、状況に応じて肉体と変化させる能力!」  
「しかも、普通の道具ではないから俺の能力でも操れないというわけか」  
「んんっ〜〜クローンにしちゃあ良い読みだ……オリジナルもいけすかねえ奴だったが、  
 クローンというのは性格似すぎじゃねえか?」  
「俺はオリジナルを知らん。だから性格が似てるかどうかなどは関係ない」  
ナイフを取り出し、灰馬を切りつけるが、壊れたパーツをすぐに取替え、ダメージは0に等しい。  
「言ったはずだ!無駄だと!」  
(透明な奴が襲い掛かってくる気配が無い……となるとこいつはおとりか!)  
ならば、急いで『シーフ』の方へと急がなくてはいけない。が灰馬はそれを妨害する。  
「やれやれ、仲間思いなのも同じかよ………気にいらねえ……気にいらねえなあ」  
ズガガガガガガガッ!胸部からマシンガンがせり出し、連射する。  
「ふははははははっ!貴様が防げるのは『道具』による攻撃のみ!  
『素手』や『超能力』による直接攻撃ならば、いくら貴様でも防ぐことはできない!」  
灰馬はそう言ってビル影に隠れた『マジシャン』に向かい突進を仕掛ける。  
「それになあ……仲間にかかりきりになってると敵が殺せないじゃないかぁ!!!」  
襲い掛かる灰馬の攻撃に傷つきながら、マジシャンはビルの中で『何か』を探す。  
(何を探してる?鉄パイプ?石ころ?……違うな)  
 
そんなものは脅威に感じない。すぐに別のパーツを持ってくれば良い。  
次の瞬間、『マジシャン』が灰馬の前に姿を現す。持っているものは巨大な……  
(新聞紙の束?)考えたは一瞬。灰馬はその技を知っていた。が『マジシャン』が使えるとは思えなかった。  
新聞紙の束がバチバチと燃え始める。さらに火は巨大化し、灰馬の元へと向かう。  
『 業 火 拳 嵐 』それがその技の名前である。『火』という道具を強化し、そのまま叩きつける、  
単純といえば単純な技である。がそのかわり防ぐ手段も少なく、破壊力は抜群である。  
「うぉぉぉぉぉぉぉっ!!」  
凄まじい業火に包まれ、慌てて外へと飛び出す灰馬。次の瞬間、『マジシャン』の姿が消える。  
「……ちっ、逃したっ!!」  
通信機を入れるが反応は無い。  
「お楽しみ中なのか?これだから三課の人間は!」  
灰馬はそう叫び、周りを見渡した。  
 
目隠しをされ、ぐるぐる回され、どこか別の場所に連れられた『シーフ』  
相手は透明人間一人だが、腕は後ろに回され、抵抗さえできない。  
「この尻尾は・、自前かい?」  
尻尾を引っ張られ融合しているお尻の奥がぎゅぅーと唸る。  
「やっ……」  
痛みと快楽で涙目になりながら、『シーフ』は逃げる手段を考える。  
が、相手が見えないとどうしようもない。  
見えない腕に股間と胸をまさぐられつつも、脱出の手段を考える。  
「……彼の事を考えてるのかい?」  
「…………」  
その言葉に顔を赤らめる。  
「無駄だね。彼がいくら優れた能力者だからと言っても万能じゃない  
 彼を裏切った方が少しはましだと、こちらとしては思うね」  
「……嫌……」  
軽く言葉を返して、『シーフ』は目を潤ませた。  
 
見えない指先でもてあそばれながら、『シーフ』は快楽を感じていた。  
「結構引き締まってるじゃねえか」  
指を抜かれて、勢いが無くそのまま休むまもなく、太い棒が入る感触がある。  
「んっ……」  
全身の力を入れて抵抗するが、腕を縛られてはそれも出来ない。  
「『マジシャン』……お願い『マジシャン』……」  
「来るわけ……」  
そこで言葉がつまる。ドアの向こうに水谷真心と同じ顔がある。  
「クローン野郎か!」  
その姿に透明人間は驚愕する。現状では勝てない。『シーフ』の体を床に叩きつけて一目散に逃げさる。  
ほっとしたのか『シーフ』が声をかける。  
「『マジシャン』………」  
「もう一人いた。早めに離れた方が良いだろう」  
そう言って、周りを見渡す。  
「……どうやら誰もいないようだ、歩けるか?」「うん」  
そう言って、ちょこっと地面に降りる。『マジシャン』がスッと服をなでると、  
ぐしゃぐしゃになっていた燕尾服がピシッとなる。  
「さっさと逃げるぞ」  
そう言って、『マジシャン』達はビルの中を駆けて行った。  
 
この時『マジシャン』達は逃げなくても良かったのだ。  
灰馬は透明人間を探して1人だけなのだし、透明人間は逃げている途中、青信号で渡ってる時に、  
曲がってきた車にはねられたのだ、しかも透明化している最中に。  
透明人間が能力を解除していたのなら、はねられなかったであろう。  
だが、見つかったらまずいという恐怖心が透明人間が姿を現すのを止めさせたのだ。  
(ああ………せめて死ぬ前に………研究所の女湯に入りたかった………)  
目の前に見えるトラックのタイヤそして………  
 
透明人間→再起不能(DEAD)  
 
 
 

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