第2話:最弱ゆえ最凶、最強ゆえ最弱
秘密基地、一通りボスの小言の後、『シーフ』は個室で休憩をしていた。
「……『マジシャン』……」
そう言って唇をきゅっと締める。
「ん……」
彼の事を思い浮かべるだけで体が火照り始める。
透明人間にされた事を彼がしたのならどうなるだろう。
ふと、そんな事を夢想しながら、顔が赤くなる。
何時の間にか指先が自らの秘所へと手が伸びている。
「あっ……」
ショーツの上にかかる圧力に彼女は顔を赤らめる。
「ん……」
胸に手を当てそっと撫で回す。
熱くなる体に恐怖と好奇心がさらに増す。
「やだっ……」
突然、ノックがなった。慌てて服装を整えて返事をする。
「はい」
「次の任務だ。『グラップラー』と一緒にやってもらう」
そう、ボスの言葉があった。
「はい、『マジシャン』は?」
「あいつには別の仕事を任せようと思ってる」
ボスはそう言って、部屋の外へと出て行った。
『一課課長』は不機嫌だった。真心からの連絡は無い。
任務をほったらかしているような形跡も無い。そして……クローンの存在である。
「ちっ」
空になったポッキーの特大パックを見て、次の箱を取り出す。
「『課長』」
ふと、どこからともなく声が聞こえる。
「『石川』か……なにかわかったか?」
「ええ、いくつか。『ゴールドトラップコーポレーション』の生まれた経緯がわかりました
生まれたのは3年ほど前。当時の研究は『不老不死』の研究だったそうです。
その途中で超能力による基礎研究が必要となり……そのまま『超能力』の研究が主になり始めたそうです」
「で」
「クローンの方ですが、研究はされてるようです。ですが……水谷真心のクローンについては一文もありませんでした」
「怪しいな」
「はい、もし本当に同じ能力の能力者がいるのならば徹底的に研究をしてるはずです。その欠片さえないというのは少し変だと思われます」
「だとすると………本人か?」
「そう考えるのが妥当ですな。『ゴールドトラップコーポレーション』の急速な成長を考えると……」
次の瞬間、『石川』の声が途絶える。
「なっなんだこれは……体が勝手に……うぉっぐわっ!!」
たまらず地面から出てきてもだえ苦しむ石川。
「なるほど、そこまでわかってたのかい」
そう言って、一人の男が現れる。
「あんたが『ゴールドトラップコーポレーション』のボスか」
「いや、ボスの補佐さ」
「『課長』!!逃げてください!!こいつの能力は………」
次の瞬間、『石川』が自らの舌を強くかんだ。
「ぐわあああああっ!」
「『石川』!!」
「あまり叫んでほしくなんだよ」
「ぐっがっ………」
「精神操作か!」
「当たりだよ。色々と楽だったさ。人をちょっと動かすのにはね」
そう言って男は邪悪に笑う。
「水谷真心もか?」
「ああ……なんでわかったんだい?」
「最良手を考えればそうなる」
そう言って、課長は男の方を睨む。
「あの『マジシャン』が『水谷真心』と同一人物で、貴様が操ってるとなると……」
「人聞きの悪いこと言わないでくれよ。こちらとしては彼に別の行動原理を与えただけだ。
別に操ったと言うほどすごいことはしてないさ」
「………貴様……自分が何をしてるのかわかってるのか?」
いっそう強く課長が詰問する。
「なに……独裁者なら誰でもすることさ」
軽くそう言って、その視線を受け流す。
「『課長』……こいつは強敵で……す……逃げて……」
石川が口から血を流しながら叫ぶ。
「……何故こちらが姿を現したかわかるかい?」
次の瞬間、課長の体が倒れこむ。
「私の能力の射程は決して長いものとは言えない。けれど近づけたのならこれほど強力な能力は存在しえないんだ」
「なるほど、そういうことかい」
ぎらぎらと目をぎらつかせて、『一課課長』はギラリと目を光らせる。
もう一つの影が生まれる。そは打ち砕きし物そは只の力『破壊神』。
『破壊神』で強引に体を引っ張りあげる、『石川』も抱き上げさせ、そのまま路地裏の方へと逃げる。
「逃げたか、まあ良いさ。仕込みは十分しておいた」
そう言って、男はゆっくりと立ち去り始めた。
「『石川』、先に二課の方に連絡をしといてくれ」
そう『一課課長』が言う。
「体がどうも言うことを聞かん。一真に手を借りるのは癪だが、仕方ないだろう。
真心と正面きって戦える奴はそうそうおらん」
「真心がかかわってるとするなら、勝手に動くのでは?」
「そこまで積極的なら、3年前の事件はおきとらん」
そう言って、課長は下を向く。
「人質になった女性を……真心の母を自らの手で犯人ごと殺した男だぞ」
そこまで言って、言葉がつまる。
「……こんな話ばかりしてると暗くなる。さっさと連絡に行ってくれ」
「わかりました」
『石川』はすぅと床に消えていった。
石川が去った後、『課長』はすぅとへたたりこむ。
「くっそっ………」
『破壊神』が出てきて『課長』の体を4つの足で器用に押さえ込んだ。
もちろん自らの意思ではない。だが完全に自らの意思で動けるわけではない。
「ややこしい催眠術かけやがって……」
『破壊神』の口がやさしく『課長』の服を切断する。
「この止めろ止めろ……」
奴に聞こえてはならない。小さく声を出しながら、自らの巨大な胸を撫で回す
『破壊神』をしようとするが、なかなか止まらない。
ふと、食べていたポッキーが落ちる。
破壊神は破れた服の胸ぽっけに足を突っ込むと新しいポッキーを取り出した。
「この……」
わいてきた怒りを押さえて制御しようとするが、なかなか上手くいかない。
『破壊神』は前左足で、本体である『一課課長』の命令には従わず只貪るように、
蜘蛛のような口で股間の秘所を無理矢理と開ける。
「うっ……」
あまりの気持ちの悪さに唇をつぐむが、体の火照りは止まる事はない。
『破壊神』は蜘蛛のような足で『一課課長』の足を押さえながら、そのまま69の姿に持って行く。
自らの生霊に犯されるなんて。『一課課長』は嫌悪しながら自らの生霊を弾こうとする。
「こっのっ………」
かなり強力な精神的な暗示なのだろう。『破壊神』はゆっくりと彼女の秘所に口を入れ、そのまま拡大させようとする。
ぽたぽたと流れる愛液が流れ始め、お尻を通って地面を濡らす。
『破壊神』は構わず前足を自らの本体の『課長』の花園に入れて荒らす。
「ぐはっ」
少し、大き目の声。驚愕のため、口をつぐむ。だが周りから反応は無い。
なおも構わず、『破壊神』はゆっくりと前足を動かし、『課長』の股間をまさぐっている。
ねっとりとした感触、自らの指で自慰をしているような、けだるい背徳感。
それらが重なり合い、『一課課長』の体が火照り始め、日にうっすらとやけた肌にほんのりとした赤みと
真珠のような汗が流れ始めた。
「はは……こんなの他の奴等には見せられんな」
自嘲気味にそう言うと、目を閉じて精神を集中させる。
(止まれ!止まれ!止まれ!止まれ!)
が『破壊神』は止まる事無く、中の足で『一課課長』の大き目の胸をなぶり始めた。
「止めろ!まだ30超えてないんだから、そこまで……」
言って気がついた。近づいてきた男に。
見られた。顔が青ざめる。気を落ち着かせる為にポッキーを口にくわえる。
「やれやれ、自らの悪霊を使ってオ○ニーとは……部下が見たら恥かしいだろうね」
「あんたが精神操作してやったんだろう」
「おや、気がついてたのかい?」
軽そうな声でそう言う。
「まあ……ね」
苦しそうな顔で返事をする。
「まあ、『彼』の性能テストにちょうど良いと思ってたからね」
そう言って、男は後ろを指差す。鋭い目つきの少年、『水谷 真心』……否『マジシャン』。
「『マジシャン』、彼女を捕まえるんだ、但しなるべく傷つけないようにたのむ
反抗するようだったら、少し痛めつけても良い」
「わかりました」
即答構えを取る。
「それじゃあ、何かあったらインカムで連絡してくれ。私は別の仕事があるから」
そう言ってボス補佐はゆっくりと立ち去っていった。
「『マジシャン』……いや、『水谷 真心』!!」
「それはオリジナルの名前だ」
課長の言葉に軽く返して『水谷 真心』否『マジシャン』は構えを取る。
最初に仕掛けたのは『一課課長』の方だった。『破壊神』が『マジシャン』に襲い掛かる。
軽くステップしてかわす。
「殺気がないぞ」
「いくら操られてるからって仲間をほいほいと殺せるか!」
「俺は『水谷 真心』じゃない。奴と同じ能力と同じ顔を持つ『マジシャン』だ」
そう言って『マジシャン』は『破壊神』にワイヤーを引っ掛ける。
が『破壊神』は一瞬でそのワイヤーを断ち切る。
「さすがの破壊力だな」
「一真ほどじゃないがな!」
次のポッキーを取り出し、そのまま口にくわえる。
「一真といってわかるか!?」
「知らん。今のところ知る必要も無い」
にべも無く言い切って、次のワイヤーを投げつける。
『破壊神』に巻きつくワイヤー、力で切り離す『破壊神』。『何か』を投げつける『マジシャン』
『破壊神』の体に緑色の粘液が覆いかぶさる。
「暴徒鎮圧用のタングラー弾か!」
その言葉の直後、『一課課長』の体にワイヤーが巻きついた。
「クソッ!」
頼みの綱の『破壊神』は粘着液で拘束され、自らもワイヤーで拘束され、じたばたともがくしかない。
汗がねっとりとする。体中に冷や汗が流れ出る。
「捕まえました」
『マジシャン』はインカムでそう連絡を行う。
「早いな……困ったなこっちの用事はまだ終わってないのに」
そう言って、向こうで少し考えてから言う。
「まあ、適当に痛めつけといてくれ」
そう言ってインカムが切られる。
「………」
『一課課長』の服を掴むとまるで魔法を使ったかのように『一課課長』のきっちりとした服が動き始める。
「はっ!!」
全身をなでられる感触に『一課課長』は嬌声を上げる。恋人への愛撫ではなく、子供が友達にするような愛撫。
何時の間にか下半身がすうすうする。くすぐったいがさすがに目を下に向ける。
ブーツとスパッツが脱がされ、下半身は生まれたままの姿である。
『マジシャン』は持っていた注射器を手際よく課長の腕に刺した。
(ねちゃ駄目……)
そうは思っていても、『マジシャン』の能力で強化された睡眠薬は確実に『一課課長』の寝る時間を増やしていった。