現状科学非認知能力研究所外伝:プロローグ  
 
とある無人島に一人の女性がジャングルの中隠れていた。  
「すさまじいわね」  
女性はそう言うと、崖の下を見てやった。  
無人島と言うのは間違いである。何故ならば彼女の目下に研究所が一つあるからだ。  
「ゴールドトラップコーポレーション」  
彼女はそう言って、情報を頭の中で確認する。  
裏社会のみで名前を広げてきたその組織は、超能力者を使い、戦争を巻き起こし、  
暗殺し、破壊し、焼き尽くしていた。  
「……でも、こういうのは一課の真心くんのでばんでしょー」  
 
現状科学非認知研究所の実戦部は3つに分かれている。  
対超能力犯罪組織一課、対外交工作組織二課、そして犯罪者を纏め上げて作られた三課である。  
水谷真心。『道具の王』といわれる能力の持ち主で、昔は二課に所属していたが、  
ある理由があって一課に異動したらしい。  
が、現状彼は、別の任務で2週間前から、外国へ行ってる。  
ぐだぐだ言っている暇があるなら行動するしかなく、彼女…七海 広江はため息をつく。  
「なるほど、上手い迷彩だな」  
後ろから声をかけられ、広江は後ろを振り向く。  
そこにいたのは、虚無的な目に、黒いぼさぼさ頭、青いバンダナをした一人の少年であった。  
「あなたは……水谷真心!!なんでここに!?」  
「……残念だが、人違いだ」  
次の瞬間、少年が手にしたダーツを投げる。  
そのダーツは普通の軌跡を離れて広江に突き刺さる。  
「つ!!」  
体中の体力が抜け落ち始める、  
(水谷真心と同じ能力…同じ顔……一体何者なの?)  
「とりあえず名乗っておこう。俺のコードネームは『マジシャン』。  
 水谷 真心の……クローンらしい」  
ダーツに塗られた睡眠剤のせいで、気絶しそうになりながら、広江はその言葉を聴いていた。  
 
広江が目を覚ました時、そこには何名かの兵士がいた。  
手に手に銃を持っている。  
(あまり良いこととは思わないわね)  
超能力者を相手に一般人が複数で戦う時、一番良い武器は『拳』とされている。  
銃などは、同士討ちになる可能性が高く、また銃を超能力者に奪われたのなら、逆に大変な事になる。  
なので、超能力者に対しては人海戦術を取るか、同じ超能力者を当てるしか無くなってくる。  
(逃げる方法は……)  
考え付く限りの作戦を頭に浮かべるが、あのクローンがいる限りどんな作戦も失敗するきがする。  
(でも、なんで縛り付けないのかしら?)  
よほど自身があるのか、それとも間抜けか。両方の可能性を考えて、動くことにする。  
(能力……発動!!)  
腕に力を集中させ、力を発動させる。  
バゴンッ!凄まじい音を立てて腕から火の玉がはじけ飛ぶ。  
大爆発が巻き起こり、兵士達が騒ぎ出す。  
(今のうちに!!)  
そう言って、広江は駆け抜けようとするが、ドアを開けようとした瞬間、体の動きが止まる。  
「何?何が起きたの」  
「あはははははははははははは!」  
兵士の一人が笑い声を上げて、広江をあざけ笑いはじめた。  
「引っかかったよ、もろに引っかかったよ!」  
その兵士はそう言って、マスクを外す。そこには生意気そうな顔の一人の男がいた。  
「大丈夫ですか?」  
マスクをしたまま女性の声で、一人の兵士が倒れてる兵士に声をかけている。  
年のころは20代前半で、黒い髪を短めに切っていた。  
「なんなの?これ?」  
体中が動かなくなった広江が体を動かそうとするが、足と手は何かに張り付いたかのように動かない。  
「それは、こいつの能力『トラップマスター』。てっとり早く言うとそこに『足止め』の罠を設置しておいたんだよ」  
そう言って、他の兵士に声をかけていた兵士を指差す。  
 
「あの、他人の能力を勝手にばらすのはいけないと………」  
「うるさいだまれ……この組織のボスは僕だ。僕に意見するな」  
そう言って、そのボスだといった男は、その兵士をけり倒し、腹の上を何回も蹴る。  
「げほっ、がはっ……」  
兵士がもんどり打っている間に、ボスは広江に手を伸ばし、胸をさすり始めた。  
「さてと、色々と聞こうと思うんだけど、良いかな?」  
そう言ってボスは悪魔のように笑らいはじめた。  
 
「簡単に……話すと思うの!!」  
次の瞬間、広江とボスの間で爆発が起きる。  
「耳がー耳がー」  
衝撃のため、腕を放してしまったボスはそのままのた打ち回る。  
「くそっこのっ!」  
次々と壁と床に連続爆破し、張り付いている欠片を消し飛ばすと、そのまま走り出す。  
「待て!逃げるなっ!」  
そう言って逃げない奴はいない。  
 
次々出てくる兵士達を爆破能力で吹き飛ばし、広江は基地の中を駆け抜ける。  
(兵士の錬度が低いくせに数だけは多いわね!)  
次のドアを吹き飛ばそうとした瞬間であった。足が急に地面へと埋まった。  
「これは??」  
「はぁーっはぁーっ。よくもやってくれたなぁこの尼っ!」  
ボスはそう言って、床の下から出てくる。  
「触った物同士を融合させるのが僕の能力!てめえの足と床を融合させた!  
 これを解除できるのは僕だけだ!」  
床と融合していたボスは、能力を解除して広江の後ろにたち、肩を後ろに引っ張る。  
「何?一体何をするの?」  
広江は力を振り絞って暴れまわるが、  
体と床が融合は止まる事無く彼女の体を拘束していた。  
肘が大体埋まったところで融合は止まる。  
「くっくっ!」  
体を捻るが、大半が融合した体が動くはずが無く。  
「さーて、組織のネコちゃん。色々聞かせてもらおうか」  
そう言って、ボスは勝利を確信した笑みを浮かべた。  
 
基地の床に貼り付けたままと言うのは面倒だということで、  
広江はまた別なものに融合されることになった。  
「くそっ離せ!」  
無数の兵士達に押さえこまれ、生まれたままの姿で広江は牢屋の中に置いてある石柱に抑えこめられる。  
ずぶずぶと右足が石柱の中に入っていくように融合し、そのままつられるように他の四肢も融合が始まる。  
「ちょっと、聞きたいことがあるんだけど」  
そう言ってボスは広江に話しかけるが、  
「聞かれたくないんだけど」  
そう言って取り合わない。  
「だったら体に聞くとしようか」  
そう独創的でない台詞を言って近くにあった道具箱から大きめの鉄のリングを取り出す。  
鉄のリングを握り、そのまま勢いをつけて広江の右胸をストレートで殴る。  
「!!」  
広江は身構えたが痛みは来ない。目を開けてみると自らの胸に鉄のリングが埋まっている。  
ボスは何も言わず、左の胸にもリングをつけると、それを両方に手をかけて捻り始めた。  
「うっ」  
体の奥からひねられる感触に広江は嗚咽を漏らし、目を閉じる。  
鉄の輪で強く捻られそのまま引っ張られる。  
「どうした?気持ち良いのか?」  
「良いわけな……痛ッ!」  
急に胸を押し込まれ広江は顔を歪めた。  
 
「あははははっ!だけどなあ………この程度じゃ終わりじゃねえぞ」  
ボスはそう言って、ゆっくりと広江の胸についているリングを掴み捻り、押し、引き伸ばす。  
「くっ……」  
痛みに耐えるように広江は顔を歪ませ、そのまま顔を上に上げる。  
大粒の油汗が流れ出るが、広江はゆっくりと耐えつつ、そのまま体をひねろうとするが、壁に埋め込まれていては  
それもままならない。  
「……一回やってみたかった事があるんだ」  
そう言って、ボスは自らの股間にバイブを近づける。  
「………!!あんた……」  
「少しは想像力があるってことか」  
にやりと笑い、肉とバイブが融合し、二つになった肉(?)棒を見せつけ、ボスがにやりと笑う。  
「地獄のバ○○回し!!」  
そのまま壁に張り付くように、ボスは広江に抱きつき、自らの棒を前の穴に、バイブを下の穴につっこむ。  
(作者注:ちなみにこの技の名前は○年○○板のとあるスレで出てきてます。暇でしたら探してみてください)  
「このっ………」  
お尻の中でぶんぶんとねじれる音がしながら広江はゆっくりと体を捻らせながら、逃れようとするが、  
壁に埋められてはそれもままならない。  
「この……××野郎!」  
広江の悪口はボスを良いながらも、体を貫く二本の棒をまさぐる感覚に冷や汗を流す。  
(早く……何とかしないと!!)  
広江は慌てて考えるが、考えがまとまらず身を焦がすばかり。  
次の瞬間であった。基地に爆発が起きたのは。  
「何事だ!」  
部屋の近くにあった通信機を片手にボスが連絡を入れる。  
「わかりません!ただ今調査中です!!」  
「わかりませんですむかっ!!さっさと調査しろっ!」  
「はっはい!」  
通信機の向こう側からそんな返事が返ってくる。  
が次々と被害状況が発表され続ける。  
「撤退するぞ!!」  
ボスのその台詞が始まりとなり、次々と基地を離れていくメンバー達。  
混乱の中、一人の男が基地の中に入っていったことには誰も気づかなかった。  
 
プロローグのエピローグ:始まりの終わり  
 
「やれやれ、私も焼きが回ったか」  
広江は燃え盛る火を見ながらそう呟いた。  
体は壁の中へと埋まり、逃げようにも逃げられない。  
「そうはいきませんよ」  
片言の台詞で炎の中から一人の男が出てきた。  
「『課長』……」  
(作者注:ここで言う課長は1部2部で出てきた課長とは違う人です。現状名前を明かせないので『課長』で通します)  
「『機関最弱の超能力』者」と呼ばれる彼……性格には『2課課長』は、冷静沈着で、一人の部下を救うために突撃するなどありえない。  
「こちらとしても、彼等についての情報を色々聞きたいですしね」  
「私の裸を見ても、興奮しないんですか?」  
広江が冗談めかして言う。  
「私が愛した女性は一人だけです」  
そう『課長』が言いる。  
 
爆炎が舞い、基地の機能が次々と破壊されていく。  
その火炎の中を見ながら、数名のものは気づいていた。  
これは終わりではない、始まりなのだと。  

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