放課後。  
6時も半ばを過ぎると校内にのこっている生徒は少なくなる。  
生徒の完全下校時刻も近い。  
生徒会の仕事が予想外に長引いてしまったが、僕もようやく帰れる。  
後輩の不始末を片付けるのも、まあ仕事のうちだ。  
校門をでてしばらくすると、うちの高校のランニングウェアを着た女の子が向うからやってきた。  
ロードワークのラストスパートだろう。ずいぶん追い込んでいるようだ。  
なかなかの早さで、みるみる内に近づいて、あっという間にすれちがってしまった。  
その後からほんのりと彼女の匂い。  
甘酸っぱい、汗と、リンスや制汗剤もまざっているのだろう。運動部の女の子の匂いだ。  
誰も見ていないのをいいことに、すぅ、と深呼吸。  
うん、そそる匂いだ。フェロモンとでもいえばいいか。  
それを十分に堪能する。  
 
お互い、帰り道にすれ違っただけだ、彼女は僕に気づいていないだろうし、誰だかも知らないだろう。  
しかし僕は知っている。  
いや、僕どころか校内のほとんどが知っているはずだ。  
彼女は戸田あやか。  
まだ一年だというのにいくつもの大会で活躍している陸上部のエースだ。  
運動の盛んでないうちの高校では、陸上競技で表彰台に毎回といっていいほど登る彼女はいやでも目立つ。  
それに、容姿がいい。  
スッと通った鼻筋に、猫のような、それで居てどこか人なつこい大きめの目。  
あまり動かない唇は薄く引き締まり、艶やかな髪はたいてい首のあたりで一つにまとめられ、走るたびに風になびく。  
平均より小柄ながら、アスリートらしく引き締まった四肢。しかし、腰や胸には少女であることを主張するように、やわらかな肉が淡やかにのっている。  
そんな彼女がもてないはずもなく、月に一度は告白されているとの噂だ。その全てを断っているらしいが。  
 
僕自身はそんなに彼女に関心はなかった。  
僕はもっとこう、肉感的なほうが好きだし、どちらかというと年上がいい。  
しかし、その汗の匂いのせいだろうか。  
ふと、彼女に興味がわいた。  
少女漫画かなんかだったら、これを恋に落ちたなんていうのだろうが、どうだろう。  
とにかく、その日から彼女はなんとなく気になる存在になった。  
 
それから、彼女の練習を観察するようになった。観察といっても、バレるもの良くないから帰りがけに横目で覗いたりとか、窓から不自然でない程度に見下ろしたりだ。  
なんとなく興味のある子のことを知りたいと思うのは当然のことだろう。  
そうすると、彼女のこまかい癖や習慣なんかがだんだんわかってくる。  
たとえば彼女の放課後はこんな具合だ。  
 
授業が終わって、放課後になると誰よりも早く部室棟で着替え、ストレッチを始める。  
他の部員がのんびりと着替えをして、ダラダラと話しながら準備体操をしている間に軽くウォーミングアップ。  
集団でのランニングでもペースメーカーとなり、個別練習でもひときわ熱心に練習している。  
そんな彼女に釣られてか、陸上部の他の部員も最近は練習に熱が入ってきているようだ。  
実際、中距離を走り抜ける彼女の姿はインドアの僕でも胸をすくものがある。  
部活の練習が終わった後はすこし休憩をはさんで自主練習だ。  
さして業績を上げる気のないうちの陸上部の練習は彼女にとって物足りないらしい。  
他の部員が三々五々に帰るなか、一人だけ残って練習をしている。熱心なことだ。  
ゆるめな部活の練習の鬱憤を晴らすかのように厳しく自分を追い込んでいる。  
再度、基本的な確認から、丁寧に自身の身体を追い込んでゆき、最後は校外でのロードワークでしめる。  
ラストにグラウンドに駆け込んでくる彼女は全身が火照り、頬も上気している。そのせいか荒い呼吸は妙に色っぽい。  
ロードワークのあとは酸素缶というのだろうか、口を覆うようなカバーのついたスプレー缶を使って息を整えているようだ。  
後は軽く流してストレッチをして練習終了。  
練習後は部室棟でシャワーを浴びて着替え、ウイダーやカロリーメイトなんかをかじりながら帰る。  
先程まで厳しい顔で荒い息をついていた彼女が、こころなしか頬をゆるませてもぐもぐしているのは実にほほえましい。  
 
他にも、水筒を飲むときは必ず3口に分けて飲むだとか、走る時と普段で髪のゴムを替えるだとか、金曜日の練習のあとは駅前の甘味処によるだとか。そんな細々したことまで目について、覚えてしまった。  
放課後に彼女を観察しない日はなかったし、時々は帰る時間を合わせてあとをつけたりもした。  
こうして、彼女のことを知るたびに、彼女をめちゃくちゃにしたい欲求が高まっていった。  
 
いっそ、やってしまおうか。  
しかし、彼女の男嫌いは有名だし、僕に彼女をたらしこむスキルがあるはずもない。  
無理やり襲おうにも、彼女に暴れられてインドアの僕が勝てるわけがない。それに、うまく行ってもその後の人生は檻の中だろう。そこまで分別がないわけじゃあない。論外だ。  
意識がある彼女をどうにかすることはまず無理だろう。  
じゃあ、意識がなければ?  
うん。それならどうにかなりそうだ。幸い薬を調達するアテもある。  
医師の叔父が裏でやましいことをしているという。どことなく陰湿な所があり、親戚の間でのウケは悪いが、僕は似たような性格のせいか叔父とは妙にウマが合うのだ。  
その叔父に相談しつつ、計画を練る。  
自分でも何回か確認して、大丈夫だというところまで練りあげたらいよいよ決行。  
人も少なく、彼女の帰りが遅くても怪しまれない次の金曜日に襲うことに決めた。  
 
細工をするのは酸素缶だ。  
彼女がつかっているものと同じものを用意して、空吹きして中身を開ける。  
そうしてから叔父に頼んで、吸入麻酔薬とコンプレッサーを使わせてもらう。それぞれを繋ぎ、圧力計を見ながら十分な濃度まで注入した。  
これで、よし。  
はじめてはいる叔父の家の地下室には、他にも色々とヤバそうなものが置いてあったが、見なかったことにした。深く突っ込んではいけない気がしたのだ。  
他にも細々とした薬をもらったり、簡単な注意を受けてから叔父の家を後にした。滅多に笑わない叔父の、別れ際のゆがんだ口元が印象的だった。がんばれよ、ということだろうか。  
 
そうして金曜日がきた。  
生徒会室の窓から、グラウンドを見下ろす。  
他の役員はいない。そもそもそんなに忙しい時期ではないし、わずかな仕事も僕が引き受けてしまったからだ。  
これで誰にも邪魔されることはない。  
陸上部の練習が終わり、練習器具が片付けられたあと、部員がわいわいと騒ぎながらまとまって帰る中、彼女だけがストレッチを入念に行っている。  
まるで今までの練習がウォーミングアップであったかのような態度だが、もう皆なれたものだ。皆の別れの挨拶に応えて、彼女の唇がわずかに動くのが見える。  
それから彼女の自主練習がはじまった。  
 
もう見飽きた、というほど見ているはずなのに、いまだ飽きがこない。しなやかに動く小さな身体は、実に躍動的で、美しく、薄紅に上気した頬は欲情をそそる。  
今日、あの身体を抱く、と考えるだけで興奮がいやましてゆく。実際、ずいぶん前から一物は硬くなり、ズボンのなかで存在を主張している。確認してはいないが、先走りで下着は汚れているだろう。  
いつものメニューが終わり、彼女が一旦部室へ戻る。最後の走りこみの前の水分補給だ。彼女の喉が三回コク、コク、コクと動く様さえ想像できる。  
少々はしたなく手の甲で口元をぬぐい、部室から出てきた彼女は、後ろ手に戸をしめる。二、三度軽く跳ね、調子を整えると、校門から走り出して行った。  
さて、行動に移ろう。  
 
ジャージに着替え、鞄を持って部室棟へと向かう。これでたとえ誰かに見られても、運動部員が忘れ物を取りに来た、くらいにしかみえないだろう。  
部室の扉はナンバーロックだけれど、管理しているのは生徒会だし、番号簿も生徒会室においてある。まったく意味のないものだ。手早く番号を入力し、ノブを回して中にはいる。  
扉をしめて、一呼吸。落ち着いて行動しなくては。薄暗い室内は部室棟特有の臭いと湿り気の中に、彼女の甘酸っぱいような匂いがわずかに漂っている。  
 
肝心の酸素缶は……あった。水筒と並べて、長椅子の上に置いてある。  
自分のカバンから例の麻酔ガス入りの酸素缶を取り出す。指が震えるのを抑えて、ぴったり同じ位置、角度になるように置き換える。  
よし。  
これで、あとは彼女が帰ってくるのを待つだけだ。  
部室の使われてなさそうなロッカーを開け、中に入る。すえた臭いとかび臭さ、更には蒸し暑さで不快だけれど、外に出て不審に思われるわけにもいかない。都合のいい事に、ちょうど目の高さにスリットが開いていて、部屋の中が見渡せた。  
息を潜めて、彼女が戻ってくるのを待つ。  
 
緊張で時間の感覚がうすれ、時間がたつのがやたら遅く感じる。  
何時間にも思える静寂の後、ナンバーロックが押される音がした。  
心臓が跳ね上がる。  
彼女だ。  
扉越しにもわかる荒い息遣い。今日も相当追い込んだようだ。  
扉が開き、薄暗い室内に外の光が差し込む。蛍光灯がつけられ、ランニングウェアに身を包んだ彼女の姿があらわになる。  
ずいぶん疲労した様子で入ってきた。汗で額に張り付いた髪にゾッとする程の色気を覚える。興奮がいや増してゆく。  
 
そうして彼女はその細い指で偽の酸素缶を取り上げ、カバーを口に当てて、深く吸い込んだ。  
ひと呼吸、ふた呼吸、ぐらり。  
全身の力が抜け、床に崩れ落ちる。  
 
……やった!  
使用したのは即効性のハロタン。加えてロードワーク直後の疲れきって酸欠気味の身体だ。  
たった2口で意識を飛ばすのも当然だろう。  
いまにも暴発しそうな下半身をなだめ、ゆっくりと気持ちをおちつける。  
しばらく観察し、動く様子がないのを確認して、ロッカーから出た。  
 
まず、開いたままの戸を閉め、内側から鍵をかける。  
そうしておいて一呼吸。振り向いて見下ろすと、彼女が倒れている。  
いつもは引き締まっている唇は軽く開き、ひどく無防備に浅く呼吸をくりかえしている。  
しなやかな肢体は力なく投げ出され、抵抗の意思など見せるはずもない。  
さて、いつまでも床ではかわいそうだ。長椅子に上げることにする。  
 
脇に手を回すと、しっとりと湿った生地のむこうに、柔らかい彼女の身体を感じる。  
ぐっ、と力をこめ抱き上げると、鼻が彼女の首筋にあたり、むわっとした熱気に包まれる。  
ふらつくほどの甘酸っぱい、濃密な少女のにおい。  
このまま思い切り、存分に堪能したいところだが、まだもう少しだけしなくてはいけないことがある。  
 
意識のない人間を持ち上げるのはなかなかの重労働だ。少し苦労をして、彼女を椅子へと持ち上げる。  
椅子の上に仰向けに寝かせて、まずはズボンの腰紐をとく。へりに指をかけてゆるめ、両足を抱えて持ち上げ、オシメを替えるような体勢に。  
そのままランニングパンツを引きずり上げると、汗に蒸れた血色よく色づいたお尻があらわになる。  
谷間に食い込むインナーを引き剥がすと、大事な部分がすべて蛍光灯の光のもとに晒された。  
股間の茂みはまだ淡く、彼女が数ヶ月前まで中学生だったことを思い出させる。  
 
あの戸田あやかの秘部が目の前にある。興奮を通り越して、もはや現実味がない作り話の世界だ。  
おかげでその後の作業も、淡々と進めることができた。  
自分のカバンからもう一つ薬を取り出し、包装を破り捨てる。先の尖った流線形の特徴的な形。座薬だ。  
使った麻酔は即効性が高いぶん、覚めるのも早いらしい。襲っている最中に目覚められたらすべてが水の泡だ。  
意識をより深く落とすために睡眠薬を併用する必要があった。それも吸収のはやい直腸からの投与が望ましいとのこと。  
 
彼女の薄褐色の慎ましやかな窄まりを、指に唾液をつけて湿すと、座薬を押し当てグッと押し込む。  
麻酔の効果でここの力も抜けているのだろう。すんなりと全部入ってしまった。  
さらに中指で奥まで押しこむ。彼女の体内の予想外の熱さが指先に伝わる。  
ゆっくりと指を引き抜き、ティッシュで拭う。腸内におさまったあの薬はじわじわと溶けだして、彼女の意識を十分な時間眠らせるはずだ。  
これでようやく、準備がすんだ。  
 
スパイクの紐をとき、片足ずつ脱がせる、靴下も脱がせてスパイクのなかへ。  
膝のところで止めてあったランニングパンツも全てぬがす。下手に服を汚してしまって行為があからさまに露呈するのは望ましくない。  
上を着たまま、下半身を丸出しにされた彼女は少々滑稽にも見えた。途中まで日焼けした足は引き締まり、吸い付くような肌の奥にしなやかな弾力を感じさせる。  
次は上をまくり上げようと、上着の裾に手を掛けたところで、急に現実感が戻ってきた。  
抑えられていた興奮が猛烈に暴れて、ズボンの刺激だけで射精しそうになる。  
慌ててジャージの下を降ろすと、痛いほどに勃起した先端から先走りが糸をひいた。呆れるほどに出たらしい。下着に大きく染みができている。  
もう睡眠薬も回っているだろう。  
思い切って荒々しく彼女の上着をまくり上げる。黒いスポーツブラが出てきたので、それもずり上げる。  
小ぶりながら形のよい乳房があらわになると、もう我慢できない。  
彼女に覆いかぶさるようにのしかかり、両手で胸を掴む。やわらかな感触に震えながら、鼻先を彼女の匂いの凝縮であろう脇の下へとつきこむ。  
この上なく濃縮された彼女の匂いを鼻いっぱいに吸い込むと、脳がチカチカとして真っ白になった。  
無意識のうちに肉棒を彼女の太腿にこすりつけていたらしい。あっけなく最初の射精に至った。  
驚くほどの勢いと量を、僕の腹と彼女の脚とにぶちまける。何度吐き出しても止まないかのような錯覚の後、腰が抜けたような快感がやってきた。  
荒い息遣いを彼女の脇におしつけて、余韻にひたる。  
 
すこしして、ようやく立ち上がることができた。射精したばかりだというのに、もう完全に勃起している。実際、いくら出しても出し足りない気分だった。  
まだおぼつかない腰でしゃがみ込むとカバンからローションとコンドームを取り出す。  
まずはコンドームをつけ、今度はローションを手にとる。  
そうして、まだ固い彼女の秘裂に透明な粘液を塗りこめた。指をいれて、膣内にも塗ると、もう我慢できない。  
自分にもつけ、そのまま彼女の中に押し込んだ。ひやりとローションの冷たさを感じたのも一瞬のこと、熱くぬるむ彼女の膣につつまれる。  
鍛えられた身体の締め付けはおもったよりも強く、すばらしい肉感。  
猿のように腰をふり、瞬く間に射精。  
ゴムをつけ替えるのをもどかしく感じながら、膣で、腹で、脚で、胸で、欲望のままに彼女を使い、射精した。  
 
 
どれだけ絶頂を迎えただろうか。肉棒の根本に鈍い痛みを感じるほどに、射精を繰り返した。  
彼女の脚には何筋も白濁が垂れ、うっすら割れた腹筋のなかのへそにも精液が溜まっている。乳房は唾液にまみれ、意識のないままに屹立している。  
何度も何度も使った秘裂は、度重なる刺激で赤く充血し、膣口からはローションとおそらく彼女の分泌液がこぼれて、長椅子に広がっている。  
もう限界だ。それに、そろそろ僕も帰らなくてはいけない。  
名残惜しくも、片付けを始める。  
 
力なく垂れ下がった自分のものを揺らしながら、彼女の身体を拭き清めてゆく。  
乳房、腹、太もも、ふくら脛、脚、尻、股間とまんべんなく、粘液の残らないようにぬぐい、アルコールで消臭。  
特に秘所は丁寧に清める。陰毛にからみついたローションを拭うのに手間取って、ようやく完了。  
ブラをもどし、上着を元通りにする。下も全て彼女が部室に入ってきた時のように繕うと、先程までの陵辱がなかったかのように見える。  
部屋の清掃と、些細なゴミの片づけ、消臭をして、彼女のカバンと水筒、それと酸素缶を元通りの位置に置きなおす。  
最後に、倒れた時のように彼女を床に寝かしておしまいだ。  
 
自分の制服を着込んで、そっと扉をあける。外はもう暗い。案の定あたりに人影はない。  
薬もあと一、二時間で切れるだろうし、用務員の見回りはもっと遅くだ。  
彼女が起きてどうするかは僕の知ったことじゃない。  
ただ、部室で数時間意識をうしなったという事実があるだけだ。  
秘部の違和感に疑問を覚えるだろうが、証拠はないし、彼女には何がおこったか想像しかできない。  
僕は深い充実感につつまれて、床に倒れた彼女に、おやすみ、と声をかけて、扉をしめた。  
 
 

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