一人の女の子がダッシュで教室へと向かう。階段を駆け上る。  
二階廊下にたどり着くと同時に体の向きを廊下方向に反転させる。スカートがなびく。  
目的の人物発見。後もう少し。ラストスパート。  
 
「りっちゃん。おはよー」  
立花はその小さな体をオーバーに動かし手をブンブン振って廊下を走ってきた、  
 
「立花。廊下を走らない。あと学校であだ名も止めてよ」  
クラス委員長の陸野久美子は美しい瞳を輝かせながら友人がやってきた方向に振り向く。  
しなやかなストレートのロングヘアーが肩筋に流れる。  
久美子はいかにも端整な美少女と言う雰囲気をかもしながら  
友人の落ち着きが無い動作に少し困り気味の顔をし返事をした。  
 
「久美子は本当に真面目だね〜。そんなことでは青春は謳歌できないぞー」  
立花は久美子の肩を叩きながらごめんごめんと少しおどけた感じを見せながら謝る。  
 
「学生は真面目に励まないと駄目でしょ。さあ、一緒に教室行きましょう」  
久美子はその困った表情とは裏腹に立花と一緒に登校する約束を最後の最後で果たせてホッとする。  
流石に廊下を全力で走ってきたのは驚いたが、  
あんな約束をきちんと守ってくれた立花に感謝していた。  
 
「そういや昨日あの銭湯に行ってたでしょ」  
立花は昨日のことを思い出し話題を振った。  
 
「なぜしっているの」  
「いくら浴槽で隅っこにいても気がつくよ。話しづらい雰囲気だったので声はかけなかったけどさ」  
「ごめんね。私は裸を見られるのがとにかく嫌で誰にも合わないようにしていたから」  
「でも家のリフォームもまだまだ掛かるんだったらいい加減慣れないと駄目だよ」  
 
「そうはいってもね。今でも誰も見ていないのはわかっているのに脱ぐ時は人の視線を感じてしまって」  
久美子は何度もあの銭湯に行って、何処で脱げば番台から見られないか、  
浴槽に行く最短コースは何処か、などの情報を全て把握したつもりであったが、  
それでもあの銭湯の雰囲気には未だに慣れないでいた。  
 
「そうだ。今度一緒に行ってみようか。2人だと案外平気かもよ。  
もちろん武には絶対に見るなと念を押す。脱ぐ場所も番台から死角になる場所で脱ぐ」  
立花は久美子の手を握り一緒行こうと強く勧める。  
友人を助けたい気持ちもあったがそれ以上に一緒に楽しくお風呂に入りたい欲求もまた強かった。  
 
「……そうね。2人で行ってみましょうか」  
肌を見せるのが嫌いな久美子にとっては友人と銭湯に行くという行為も十分すぎるハードルであったが  
あの意味不明の羞恥を克服したい一心で承諾する。  
 
後日 銭湯入り口前に立つ2人。  
久美子はかなり緊張しているようで少し体が震えていた。  
「では入るよ」  
立花はそんな久美子の手を握りながら入り口のドアを開け中に入る  
 
「ちわ、大人2枚」  
「なぜ2枚なんだよ。って委員長じゃないか。どうしたの」  
「今日はこの寂れた銭湯に友人を連れてきたよ。ありがたく思うように。  
ただし友人の裸は見たら駄目。こちらを向くな。ずっと男湯のほうを見ていて」  
 
「無茶苦茶言うのよ。でもクラスメートだし銭湯の良さをわかってほしいから見ないようにするよ」  
武は心にもないこと言い2人を安心させる。  
確かに新規のお客はありがたいしずっと来て欲しいのも間違いないが、  
同級生。しかも堅物の委員長、久美子の裸を見逃す手はなかった。  
 
「では武くん。お願いね」  
久美子は少し顔を赤らめながら上品な雰囲気を醸しながら番台の前を通って行った。  
 
「私はいつものところで脱ぐけど久美子はあの隅っこへ行く?。あそこなら見えないだろうし」  
立花はあそこが魔のゾーンであることは気がつかず親切心であの場所を指差す。  
 
「そうね。私はあそこに行くわ」  
久美子はいつもの場所にいく。既に見慣れた場所ではあるがどこか歪な感じがする空間だった。  
そんな違和感を押し殺しながら久美子は上着のボタンをはずしブラウスを脱ぐ。  
スカートに手をかけ脇のホックをはずしその下にある小さなファスナーをおろす。  
下着姿が露になる。  
上下お揃いのピンク色のブラとパンツが久美子の真っ白な肌をいっそう引き立たせた。  
ブラを外そうと手を回すとどこからか視線を感じる。  
振り向いても番台は見えないし立花も少し離れたところで脱いでいるので回りには誰もいない。  
完全に意識過剰なのは理解しているが脱ぐ時に感じるこのいやらしい視線は常に羞恥を与えていた。  
震える手でプラを外すと標準より少し小さな胸が出る。  
またも感じる視線。こんなことなら立花と一緒に脱げばよかったと後悔した。  
 
武は魔のゾーンに引っかかった哀れな委員長をずっと見ていた  
学校では真面目すぎて面白みがない女子でしか無かったがこうして見ると意外といい体しているな。  
パンツもフリルの付いたピンク色というのもいい。さて胸はどんな形をしているのか。  
立花からあれだけ見るなと言われていたのにまるでエロビデオでも見るように  
同級生のストリップを楽しんでいる。  
 
「コラ。何やっているのよ。例え相手が見えなくてもこちらを見るな。久美子が恥ずかしがるでしょ」  
服を全て脱ぎ終わりタオルで前を隠しているだけの半裸の立花が番台の前に立ち抗議する。  
 
「うるさいな〜。そう言うお前はそんな格好恥ずかしくないのかよ」  
「幼稚園の時からずっと番台の人に見られて育ったので  
今更番台の人が幼馴染に変わってもなんとも思わないよ」  
 
「そんなものかねぇ。しかしこうして見るとお前も結構胸がでかくなったな。  
タオルの前からでも大きさがわかるぞ」  
武は立花の体を上から下まで舐め回し、  
小柄な体には不釣り合いな胸の谷間を見ながら感想を言う。  
 
「な、なにを。変態エロ魔人死ね。番台が客の体のことを言うなんてなに考えているだよ」  
立花は顔を真っ赤にし、手を胸を隠す仕草をしながら怒鳴りつける。  
散々罵倒を言い余った挙句に久美子の元に歩いて行った。  
 
「なんだよ。やっぱ恥ずかしいのか。女心わからん」  
武は、最後に委員長の全裸を確認しようといつもの角度を見ると綺麗なおしりが見えた。  
そしてそのお尻にはホクロがあった。  
え、と思いもう一度見るが既に立花とともに移動したのか誰もいない。  
だがあのお尻を見違えるはずがない。あの割れ目な綺麗な憧れの彼女は委員長だったんだ  
 
翌日 学校  
武は久美子の行動をを一日中観察していた。  
彼女が手を伸ばす姿、制服から少し見える肌。  
体のラインを見るだけで何度も見た裸のイメージがはっきりと思い出せる。  
今までは気にもしなかったが、こうして見ると久美子は可愛い。  
あの体を抱きしめたい。あの胸も股間も自分だけのものにしたい。  
合法的にあの体を手に入れるためには男女の仲になるしか無い。  
武は思い切って告白することを決意した  
 
武は放課後になると久美子を校舎裏に呼び出す。  
 
「武くん。伝えたいことってなに?」  
「久美子さん、僕と付き合ってください」  
武はいつになく真剣な顔をし委員長に告白していた。  
 
「え?なぜ私なの」  
当然のごとく戸惑う。  
久美子にとって武は銭湯の番台。  
しかも裸が見られているかもしれない相手でありむしろ会いたくない人であった。  
 
「銭湯で見た裸が忘れられないんです。これは真剣です」  
武は告白する時は全て本心で語ると決めていた。  
本心こそ相手の心を動かす力をがあると信じきっていた。  
 
「さ、最低。大嫌い」  
久美子は羞恥で顔が赤くなる。  
やはり裸を見られていた。  
恋の告白より見られていた事実を突きつけられた衝撃でその後のことは全く頭に入っていなかった。  
早くこの場から逃げ出したい。  
その一心で久美子はこの場を走り去る。  
 
「なぜ……」  
本当に事を言って最大限褒めたのに一発で嫌われた。  
愕然とする武。  
 
 
後日、立花は武の様子が気になり銭湯にやってきた。  
 
「ちわ。まだ落ち込んでいるの」  
「うるっさいな。初恋が敗れた男に声をかけるな」  
「何を言ったのかしらないけど久美子怒っていたわよ。あの様子だともうこないんじゃないかな」  
「はぁー、あの綺麗な裸はもう見れないのか」  
「エロ魔人は勝手に落ち込んでいなさい。はい、お金」  
立花は落ち込んだ幼馴染に呆れながらも脱衣場の番台の死角への歩いて行く。  
 
「ん。立花そんなところに行くのか」  
「うーん。先週胸の大きさがどうこう言われたら恥ずかしくなったからしばらくこの見えないところで脱ぐね」  
「何、色気づいているのやら」  
あそこは銭湯初心者がその初々しい裸を隅々まで見せる場所であり立花のようなベテランに使われてもなぁ  
と思いつつ、武は魔のゾーンで脱ぐ立花をぼーと見ている。  
立花は番台から背を向けて服を脱ぐ。  
斜め右の鏡には立花の着替える姿がはっきりと映し出されていた。  
昔から散々見た立花の脱衣シーンだったが、前から後ろから見られる魔のゾーンで、  
脱ぐ幼馴染の姿は、武の心に興奮を感じさせるものだった。  
立花はブラウスを脱ぎ捨てスカートを乱暴におろす。  
人に見られていない安心感からか、上品とは程遠い服の脱ぎ方だったが、  
その生々しく健康的な体とマッチした豪快な脱ぎ方でもあった。  
武にその下品な脱ぎ方を見られているとも知らない立花は躊躇いもなくブラを外しパンツも脱ぐ  
 
武の視線には全裸の立花が隅々まで見える。  
童顔で小柄なのにすくすく育っている胸。綺麗に生え揃った陰毛。形のいいおしり。  
行動や見た目とは裏腹に一人の女として見られる裸体がそこにはあった。  
なんだ、少し見ないうちに色っぽい体になりやがって。可愛いではないか。  
武は無意識にうちに立花を自分のものにしたいと思い始めた。  
 
「おーい。立花。俺たち付き合わないか」  
「はは。やだよ。ばーか」  
武は場も考えずに思わず告白するが冗談と思われたのか笑いながら拒否される。  
立花はまったく何考えているのよとグチグチ言いながら浴槽へと消えていった。  
 
ガランと誰もいなくなった脱衣場、  
武は先ほど見た立花の全裸を思い浮かべながら、  
これからの2人の関係を考えるのであった。  
 

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