【5.理緒の初体験〜電気アンマ】  
 
 
美緒に対する歪んだ欲望を抱く私の思いは、それだけに留まらなかった。  
 
(でんき……あんま……)  
私が急所攻撃以上に思いを馳せるのは電気アンマだった。  
急所攻撃は試合で体験する(出来る?)し、それは受ける方もする方も何らかの形で実現可能  
だろう。プロレス技の一つなのだから。そしてそれでも足りない時は……今日みたいに自分で  
叩く事も出来る。かなり変態チックだけど……。  
 
でも、電気アンマは相手がいないと出来ない技であった。こればかりはどうしようもない。  
まさかプロレスの試合で電気アンマをするわけにもいかないし(出来なくはないが、やったら  
かなりの顰蹙物だろう)、ましてや「して欲しい」等とはなかなか言い辛い。  
さっきの急所攻撃計画の様に先輩をこの部屋に連れ込む事に成功すればやりたい放題だろうが、  
現実にはそこまで到達するのがなかなか難しいし、『教育』するまで時間が掛かる。  
 
(もっとエッチな事が出来る先輩か友達を見つけておくべきだったなぁ〜)  
私は現状の付き合いの中でそれに乗ってくれそうな子を考えてみる。候補者は……いなかった。  
急所攻撃には『反則』と言う大義名分?があるが、電気アンマの様なエッチ技だと、やったは  
いいが、その後口を利いてくれなくなる可能性がある。特に小雪先輩の様なノーマルな人だと  
色々と面倒な事になりそうだ……やってみると、とても面白いだろうけど。  
 
(祐一と付き合っている間にやってもらえば良かった――)  
私は思わず溜め息をつく。これについては人生でも一大痛恨事だと言っても良かった。  
彼が電気アンマに興味があると知ったのは、この前の美緒との対決時だった。  
(あいつがあんなに興奮するなんて――)  
祐一は明らかに美緒が電気アンマされている姿に興奮していた。レスラーパンツの中身は天を  
衝かんばかりに立ち、その中にいるのが苦しいかのようにブルブルと震えていた。  
他のシーンでも祐一のチンコは立っていたけど、あそこまで屹立する姿は見ていない。  
 
まさか、祐一が電気アンマに興奮するなんて――知らなかったから付き合っている間にそう  
いう事をしてもらった事は無かった。むしろ、電気アンマなんて知らない顔をしていた。  
迂闊におねだりして相手にその気が無かった日には十年の恋も一夜にして冷めてしまう。  
流石にそんなリスクは侵せない。  
 
(だから私、ホントは美緒に自慢するほど電気アンマってされた事が無いんだよね〜)  
残念ながら学校生活では経験した事がない。美緒との姉妹喧嘩や悪戯でもした事はなかった。  
その頃は電気アンマがそんなに凄い物だとは知らなかったし、急所攻撃と同じく、その概念  
すら自分の中になかった。  
(やっぱり……あれは最高だったなぁ♪)  
私を目覚めさせた電気アンマ――それはプロの世界に入って偶然起こったものであった。  
 
 
          *          *          *  
 
 
その日の興行のテーマは『コミックプロレス』だった。  
TV向けのちょっとエッチな企画で、芸能人の男性と私たち女子プロレスラーが男女混合戦、  
つまりミックスファイトを行う、と言うものだった。  
勿論真剣勝負ではないので、技などはちゃんと手加減してるし、男性芸能人も大げさな  
リアクションで笑いを取っていた。  
 
エッチな部分と言うのは、男の人たちが使うのが、軽いセクハラ技だったりする所だ。  
私も新人として参加させられ、いきなりお尻を触られて悲鳴を上げるなど、ちょっと嫌な所も  
あったが、この日は男性芸能人のノリが良くて、試合が進んでいくうちに段々気にならなく  
なっていった。逆に男の人を技で苦しめたりすると面白おかしくリアクションを取ってくれる  
ので、それが見たくて加減をきつくしてみたりした。その時はマジ痛の悲鳴を上げていたが、  
その反応の違いが楽しくて、私もついつい画的にサービスしたりした。  
 
試合がヒートアップし、そろそろ番組のクライマックスを迎えた所で、司会者の合図で全員  
リングインの指令が下された。男女混合バトルロイヤルへの発展だった。  
私もその乱戦に参加した。男の人達のセクハラ技もヒートアップし、私もお尻どころか、  
胸まで掴まれたりしてしまった。  
 
「この〜〜! ちょうしにのるなぁ〜〜!!」  
先輩の一人が度重なるセクハラ攻撃にキレて、ひ弱そうな男性を捕まえる。そして、両足を  
掴んで開き、その間に自分の右足を差し入れた。  
「食らえ、でんきあんま〜〜〜!!!」  
「ひぃぃぃ〜〜!!」  
その先輩がにやりと笑うと足をブルブルブル……と震わせた。それと同時に下になった男の  
人が情けない悲鳴を上げて体を捩っている。  
 
(でんき……あんま……?)  
私はその言葉を聞くこと自体、初めてであった。そして先輩がやっている事をよ〜く見る。  
すると――。  
(やだ、先輩……! な、何をしてるの?)  
先輩は男の人のアソコを踏んで震わせていたのだ。男の人はその動きにあわせて悶える。  
大げさなリアクションではあったが、幾分本当に反応しているのもあるだろう。やられて  
いる男の人はひくついた笑いをしていた。  
(あそこって確か男の人には凄い急所なんだよね……?)  
女の子だって勿論股間は急所だが、男の人は更に大変だと言う事は知識として知っていた。  
だからってそこを狙うのは、当時ウブだった私には考えられない事だった。いろんな意味で  
フケツだもん……。  
そのシーンを見た他の先輩もサービスとばかりに次々と男の人たちを餌食にしていった。  
男の人たちも女子の水着を引っ張ったりして反撃する。戦いは泥沼の様相を呈していた。  
 
そんな時だった――。  
一人の先輩が男の人を押さえつけていた私を背後から捕まえ、マットに引きずり倒した。  
「きゃ……!? な、なんですか!?」  
一応アイドルレスラーとの触れ込みだった私は可愛い悲鳴をあげて力なくマットに倒れる。  
その時の先輩は――本当にほんの気まぐれだったのだろう。彼女にとっては男の人苛めに  
飽きて、ついやってしまった程度の事かもしれない。しかし、私にとってはそれからの私の  
運命を左右するぐらいの大きな出来事だった――。  
 
「理緒ちゃ〜〜ん♪ 折角だから男性視聴者にもサービスしちゃおうか?」  
「えっ……? ええっ!? わ、私……脱ぐのなんかイヤですよ!?」  
男性サービスと聞いて咄嗟に胸元を守る。水着を脱がされるかもと思ったからだ。  
それこそが失敗の始まりであったのだが――。  
「そんな事しないよ。でも……」  
「で、でも……?」  
「考えようによってはもっと酷い事かもね〜♪」  
「いっ……!? ちょ、ちょっと待ってくださいよぉ〜〜!!」  
私の抵抗空しく、もう一人の先輩が参加して二人掛りで捕まり、一人には上半身をがっちり  
押さえられた。もう一人の先輩が私の両方の足首を掴んで両脇に抱え込む。  
この姿勢はまさか、さっきの――。  
 
「理緒ちゃん、電気アンマって……された事、ある?」  
やっぱり〜〜!! 私は慌てて逃げようとして体を思い切り捩る。しかし、上半身は完全に  
押さえ込まれているので、辛うじて腰を捻ったり足を動かして抵抗するぐらいしか出来ない。  
しかも両手も使えないので、いざ電気アンマをしに先輩の足が太股の間を割ってに侵入しよう  
とした時に、自分の手で股間を守る事が出来ない。  
 
「ちょ……ちょっと……だ、ダメです……」  
私は生まれて初めての体験に恐怖し、必死で脱出を試みる。  
男の人なら冗談で済むが、女の子がやられたのではシャレにならないのでは? と、当時は  
思ったし、そんな辱めには到底耐えられそうになかったからだ。  
しかし、それは完全に徒労に終わった。二人掛りでしっかりと捕らえられた状況から逃げ  
出せるほど当時の私は強くなかった。  
 
「まぁ、まぁ、まぁ……何事も経験だし♪」  
「ここで色っぽく悶えたら人気急上昇かもよ?」  
「二人とも無責任な事を言わないで下さい〜! こんな経験いりませ〜〜ん!!」  
私は半泣きになって抗議したが、先輩たちは「その様子が可愛い〜♪」とか言って離して  
くれない。そして、ついにピンクのレオタードに包まれた股間に足があてがわれた。  
 
「ひゃうん……!?」  
その初めての感触に私は小さく悲鳴を上げる。それは先輩達の悪戯心を刺激したらしく、  
二人ともニヤニヤと意地悪に笑っている。  
「や、止めて下さい! そんな……TVに映ってるのに〜」  
「だから男性視聴者サービスなんじゃない♪ みんな〜、今から理緒ちゃんに電気アンマ、  
やっちゃいま〜す!」  
先輩が高々と宣言すると場内は一気に沸いた。  
「おおっと!? これは掟破りの女の子受け電気アンマか!? しかも、されているのは  
美少女アイドルレスラー、柊理緒ちゃんだ〜〜ッ!!」  
司会者の声が響き渡り、ますますボルテージが上がっていく。もう……皆でいい気になって!  
「やだ〜〜もう! …………はぅわ!?」  
私の悲鳴も聞こえないぐらいの喧騒の中、先輩の電気アンマが繰り出されてくるのを感じた。  
そして私はそれが容易ならない事態である事をすぐに悟った。  
 
グリグリグリ……ダダダダ……ダダダダダダダダダダダ……!!  
 
「ひゃうううん……!! せ、先輩そこはッ……!!」  
私はいきなり自分の最大の弱点を突かれた事を知った。多分、先輩は狙ったのではなく、  
単なる偶然なんだろう。狙っても簡単に出来ることではない。  
クリトリスのやや下から突き上げるように振動させられる――これは私の最大級の弱点なのだ。  
自分で慰める時にも最後のフィニッシュで責める所でもある。  
 
「うぁああああ……!! やめて……先輩!」  
私は殆ど悲鳴を上げていたが、周囲の喧騒に何を言ってるかが先輩には聞こえない。  
むしろいい感じで盛り上げているように見えたらしく、先輩の電気アンマの圧迫は更に  
強くなる。グリグリと割れ目に深く踵が食い込むように振動を与える電気アンマ――それに  
耐えるのは無理だった。  
 
「ギ……ギブアップです! ギブ! ギブ〜〜!! ああん……せんぱぁ〜い……!!」  
私は上半身を捕まえていたもう一人の先輩の縛めを振り切って電気アンマしてくる足を退け  
ようとした。しかし、手と足では力の差が大きい。それに今されている電気アンマはする側の  
力が最も入れやすいポジションで、される側の私の方は力が入りにくい状態だった。  
だから自力での脱出は殆ど不可能だ。  
(せ、先輩が止めてくれないと…………はぁんんッ!)  
先輩は止めてくれるどころか私が抵抗すると更に面白がってしつこく電気アンマし続ける。  
私の太股はピンと伸ばされ、電気アンマの振動だけではなく、内側から込み上げる震えで  
プルプルと震えていた。もう限界なのだ――。  
 
「おね……がい……。せんぱ……い……。やめ……て……」  
止めてくれなきゃ……とんでもない事になってしまう――私は腰の辺りから下腹にかけての  
一帯が、ビクビクと不穏な震えに襲われるのを感じていた。  
それは、おしっこを我慢し続けて限界を越えそうな感覚に近かった。  
「だめ……もう……うぁぁああ…あッ!!」  
おしっこをしたければトイレに駆け込めば間に合う。だけど、電気アンマされている状態で  
逃げ出すのは不可能だった。何かを解き放ちたい気持ちが高まる中、それを無理矢理止められ  
た上に、どんどんと女の子の秘密の割れ目をいじめられて、強制的に高まりをヒートアップ  
させられる気持ち。勿論、限界など考慮してくれない。  
先輩は私の内心など知らないだろう。ほとんど無邪気と言って良いほど、悪戯小僧の様な  
表情で電気アンマを楽しんでいる。  
私は、もしかしたら先輩はワザとやっているのでは? と疑問すら抱いた。  
 
「やめて……。やめてよぉ……」  
私はこの時、我慢の限界が来ているのに強制的に電気アンマされる辛さを痛烈に味合わされた。  
先輩にそれほど悪意が無い分、電気アンマそのものには容赦が無かった。おそらく先輩は  
テンションが上がりきっていて私の状態を見極める事が出来なかったのだ。  
 
その一方で――。  
(なんだか……へんだよぉ……)  
やめてほしいのにやめてもらえない、このもどかしさと焦燥感、そして内側から熱くてとろり  
とした蜜が溢れるような感覚。  
(私……感じちゃってる……の?)  
それが性感だったのかどうかは今でも分からない。しかし私は間違いなくこの強制されている  
に対して、邪な期待が募っていたのは事実だった。  
女の子の大事なところから体の中に強制的に送られてくる振動がどんどん体内を駆け巡り、  
それが逃げ場を失ってもどかしい感覚が蓄積する状態。おしっこを出したいのにその入り口を  
無理矢理押さえられて放出できない様なちょっと苦しいような切ないような気持ち――実際に  
それはその通りの気持ちだったのかもしれない。自分を解き放って快楽に溺れたい気持ちを  
抑える様に先輩は私の女の子の急所を圧迫したのだ。  
 
「ハァ……ハァ……ハァ……」  
私は抵抗する力もなくなり、大きく息を荒げて先輩のなすがままになっているしかなかった。  
そして、もう少しであられもない姿をTVで晒してしまいそうになる瞬間――。  
 
ピーーーーーッ!!  
 
おぼろげな意識で私は笛の音を聞いた。  
「終了〜〜!! 女子プロレスラーチームのフォール勝ちで〜〜す!!」  
気がつくと、どうやら試合(なのか?)は両軍の選手が入り乱れる中、悪戯されている私に  
関係のない所で男性芸人に折り重なってフォールを決めた先輩達がいたらしい。  
体重の重い二人の女子レスラーの下にはひ弱そうな芸人が3人程潰されていた。  
「アハハ、もう終わり? 楽勝ジャン!」  
私に電気アンマしていた先輩も私を解放し、芸人達が折り重なっている更にその上から  
フライング・ボディプレスで上からのしかかった。下の芸人達が蛙を踏み潰したような  
声をあげる。  
 
みんなが楽しそうな中、私はただ一人、潤んだ目で呆然としていた。女性レポーターがそれに  
気づき、私にマイクを向ける。  
「理緒ちゃん、なんか凄い事されてたじゃない!? 大丈夫だった?」  
周囲が大笑いする。私は体の火照りが全く治まらない状態だったが、それを隠すように笑顔を  
向けた。  
「ホントですよ、もう〜〜! 智絵先輩!! 冗談でやっていい事と悪い事がありますよ!」  
私が先輩にポカポカと冗談の様な攻撃で叩く。周囲が微笑ましげにそれを見て笑っていた。  
本当だったら拳で顔面パンチを食らわせてやりたい気持ちだったが、オンエア中なので引き  
つった笑顔でごまかす。こんな事でイメージを悪くして商品価値を下げたくない。  
 
「でも、大丈夫だった? 大事な所、痛くなかった?」  
女性レポーターの指摘にカメラが私の股間にズームインしてきたので慌てて両手で隠す。  
「だ、大丈夫です……ちょ、ちょっと! どこを撮ってるんですか!!」  
私は股間を押さえたままカメラに蹴りを入れる真似をする。カメラは慌てておどけた様に  
引き下がった。みんながその様子を見て笑っている。  
 
そう――さっきの先輩の電気アンマはバライティ番組のお笑いのエッセンスに過ぎない。  
普通の人から見ればただのハプニング映像。次の日には忘れてしまう一幕だ。ちょっとエッチ  
だったけど、女子アナのスカートが捲れたとかその程度のものでしかない。  
 
だが、それが本当はそうでない事を、私は後日知ることになる。  
それはやはり、私の体が熱く火照って苛められた所がじんわりと濡れるに値する出来事だった  
のだ。私はそれを最近覚えたインターネットで思い知る事になる。  
 
 
【6.電気アンマサイト】  
 
 
その『柊理緒・電気アンマ事件』があった数日後――。  
「おはよーございま〜〜す……ふぁあ〜」  
私が欠伸をしながらだるだると事務所に入ると、ある机に群がっていた先輩達が一斉に  
こちらを見る。私が気がついてそちらを見ると先輩達はクスクスと笑っていた。  
一体何なのか。  
 
先輩達が集まっている机に近づいてみる。どうやらみんなノートパソコンの画面に見入って  
いる様だ。私が近づくと、先輩のうち何人かが道を空けた。クスクスと忍び笑いしながら。  
(…………?)  
不審に思いながら、その画面を覗き込む。その瞬間……私の顔面の筋肉は凍りついた。  
 
画面には、なんと先日の電気アンマ事件の様子の静止画が中央に大きく掲載されていた。  
この様なセンセーショナルなテキストを添えて。  
『NEW!! 神降臨! 柊理緒(女子プロレス)の電気アンマシーン!の動画アップ』  
『これほど完璧な電気アンマシーンがかつてあっただろうか!? 三森智絵GJ!』  
 
「な……なんですか、これは……?」  
私はひくつく唇で、辛うじて呟いた。周りの先輩達が一斉に大笑いする。  
「アハハハ! 何って、書いてある通りじゃないの?」  
「智絵もとんでもない事したよね〜。クックックク………」  
「それにしてもすごぉ〜い! 男の人達、こういうのが好きなんだ」  
 
先輩達は面白がってサイトのリンクをあちこちクリックしてゆく。そこには電気アンマ  
されている女の子達の写真や絵などが沢山あったりして先輩達を引かせていたが、BBSで  
私の事を論議しているスレッドを見つけると、キャーキャー言いながらその文章を声に出して  
読み上げたりしていた。  
 
「何々……『生きてて良かった〜(ー人ー)』って、これ拝んでるの?」  
「『さいっこうのシーンです!』って、良かったねぇ、この人」  
「『抜きますた…… (;´Д`)ハァハァ』って……きゃあ〜!!」  
 
私は恥かしげに俯くしかなかった。たかだかバライティ番組の1コーナーなのに、ネットの  
片隅ではこんな大騒ぎになってたなんて……。  
小雪先輩が私を気づかってか、あまりカゲキな映像が出ないように?戻りアイコンを  
頻繁にクリックしてくれたが、それでも十分に私がそのサイトでどういう扱いを受けている  
のかがわかる……。  
 
「あの時はノリでやっちゃったけど、こうしてみると随分エロエロな事しちゃったね〜〜。  
ごめんね、理緒」  
智絵先輩が両手を合わせて悪戯っぽく謝る。今更謝られても遅い。私は既に『彼ら』の  
アイドルになってしまったのだから……。  
「あ、あんまりそんなのを見てちゃ理緒が可哀想だよ……そろそろ練習を始めよ。ね?」  
例によってとってつけたように取り成してくれるのは小雪先輩だ。他の先輩達もひとしきり  
私をからかえたら満足したようで、クスクスと笑ったり、気の毒そうに私の肩を叩いたり  
しながら練習場に向かっていく。  
 
ぽつん……と一人事務所に取り残された私は、その画面に見入っていた。  
動画はまさに電気アンマが最高潮に達しようとする所だった。  
(私が……『おもらしした』所だ――あっ!!)  
動画はその時、一気に電気アンマされている股間をズームアップしていた。  
その時、ほんの僅かな秒数だと思う。私の股間に染みに似たものが映っている場面があった  
のだ。多分、カメラワーク自体は意図的にそれを映そうとしたのではなく、単なる偶然なん  
だろう。私が気づいた次の瞬間には電気アンマされている全体画に切り替わっていた。  
普通に見ている分には只の悪乗り乱痴気騒ぎにしか見えないはずだ。  
念の為にもう一度動画を確認し、そのシーンがそんなにハッキリとは映っていないを見て  
ホッと一息つく。  
 
(だけど、それを意識してみている人たちの目には、どう映ったんだろ……?)  
私はブラウザの履歴画面を開けると、一時ファイルとリンクを消去した。  
多分、気のいい先輩達がこのサイトを再び見に行って私を苛める事はないだろう。少なくとも  
全員でこんな大騒ぎをする事は無いはずだ。彼女たちにとって、それは一時のネタに過ぎない  
のだから――。  
 
でも、そうじゃない人達にとってはどうなのか――。小雪先輩はほんの触りだけしか見せなか  
ったが、もし電気アンマに興味がある人があれを見たら――。私はノートパソコンをシャット  
ダウンしながら、胸騒ぎを抑える事が出来なかった。  
 
 
          *          *          *  
 
 
その日の夜――。  
昼間の一件のせいで身が入らなかった練習を終えて帰宅した私は、着替えもそこそこに部屋の  
パソコンの電源を投入した。OSが起動し、ウィルスチェックが始まった後、デスクトップ  
画面が立ち上がる。  
私はそこで一息つき、コーヒーを入れながら、ブラウザのアイコンをダブルクリックした。  
(多分、これで見つかるはず……)  
起動画面から検索ルーチンを選択し、検索語を入力する――『柊理緒 電気アンマ』と。  
問題のサイトはすぐに見つかった。検索一覧の一番上に出ている。  
『電気アンマFAN』と言うのがそのサイトの名前だった。  
 
(…………まったく)  
思わずがっくりと肩を落として溜め息をついてしまう。こんな検索語で10件も引っかかる  
なんて。世の中、自分の事をどう思われてるか分かったものじゃない。  
私はコーヒーを一口すすり、気を落ち着かせてからそのサイトのリンクをクリックする。  
程なく年齢コード確認画面になり「ENTER」をクリックすると、トップ画面が現れた。  
昼間事務所で見たやつである。  
タイトルには大きく『電気アンマFAN』と。"since 200X.X.XX"と見ると足掛け4年もの間  
このサイトは運営されていて、しかも需要が途絶えていないようだ。ページの作りもかなり  
使いやすく良く出来たものだった。  
先輩達は笑い話で済ませていたが、この様なマニアックな内容にしっかりとしたサイト  
運営ができている事自体、私は不思議な気持ちを覚えた。  
そして……その需要のあるサイトの表紙を飾るのが私なのだ――。  
 
トップ画面は私が電気アンマされているものだったが、使われている画像は違っていた。  
電気アンマされている場面のアップだ。隣には私の水着姿の全身像と、その股間のアップの  
画像も掲載されている。いずれも"NEW"マークがついている。更新も頻繁らしい。  
(ここに来る男の人たちは、これを見ながら想像してるのかな……?)  
それを考えると私は物凄い羞恥心に襲われた。私の水着姿は雑誌などにも出ているから、  
それが公開されている事についてはそれほど抵抗も違和感もない。  
しかし、それが『電気アンマ』のサイトで、その部分のアップを載せられていたら、それが  
何のためかは容易に想像がつく。  
みんなこれを見て妄想するんだ――そう思うだけで私は体の奥からじゅん……と溢れるものを  
感じていた。  
 
"GALLERY"の項目をクリックして私は更に目を見張る。そこにはサイトの主催者自らが撮った  
写真や動画、或いは投稿写真・イラストなどで埋め尽くされていた。  
一番の驚きは、そこに”特別室”扱いで私の特集がある事だった。  
その入口には私のキュートな笑顔があった……。商売用とは言え、自分の媚売った顔に迎え  
出られると、当人としては思わず拳を握り締めたくなる。こういう目的で勝手に使うか、と。  
(ホントに、もう……)  
気を取り直して自分の笑顔をクリックすると、そこには数々の私の写真と動画、それに  
イラストまでが展示されていた。  
 
(なんだか、"NEW"マークが凄く多い……)  
どうやらそれは先日のバラエティの電気アンマ関係の編集をしたものらしかった。高画質で  
掲載されたその静止画群は私が電気アンマに悶える姿を余すところ無く捉えていた。  
 
電気アンマされて悶えている表情。  
電気アンマされている部分のアップ。  
電気アンマされている高画質の動画。  
 
どれを見てもそれは先日の体験を如実に思い起こさせられる――私は当事者なのだから。  
しかも、驚いた事に"NEW"の大半は先日の中継とは別角度のカメラワークで撮影されたもの  
だった。現場にいた関係者が撮ったものなのだろうか? まさしくお宝映像なのだろう。  
 
このホームページの主宰者のコメントを見る。ハンドル名は『議長』と言うらしい。  
『まさに我々が長らく待ち望んだ電気アンマシーンが繰り広げられた! 加害者の三森智絵は  
明るいキャラが売りの中堅レスラーで、被害者の柊理緒は言わずと知れた女子プロレス界  
ナンバー1の美少女! 先日の急所攻撃悶絶シーンで我々を熱く燃え上がらせてくれた  
彼女がまたやってくれた! 彼女は我々のアイドルだ! 大切に育てていこう!』  
 
「………………」  
何と言うか、開いた口が塞がらないとはこういう心境を言うのだろう。  
なにか、凄く間違ったアイドルにされている気がする……というか、やられたこっちの気も  
知らず、何が『熱く燃え上がらせてくれた』だ。すっごく痛かったんだから!  
 
『素材も最高なら、この電気アンマ自体も今までの中で最高クラスの物と言える。加害者の  
三森嬢のリングシューズがしっかりと理緒ちゃんの割れ目の部分に食い込んでいる状態が、  
この絵でご覧いただけるだろうか? その時の理緒ちゃんの表情がこれである』  
 
私はその構成にドキリとしてしまった。まさしくその画の通り、私は最初に足を股間に  
置かれた時から困惑していたのだ。こんなサイトにしては無駄に分かりやすい解説だ。  
 
『まだ電気アンマは動いていないのにこの切なげで困った表情の理緒ちゃん。これは彼女の  
急所中の急所にピンポイントで食い込んでいる証拠だ。三森嬢がそれを知っていたかどうかは  
ともかく、この最初のポジションセットで我らが理緒ちゃんの運命は決まってしまった』  
 
(………………)  
私は思わずその解説に見入ってしまった。『議長』のコメントは全て的を射ていた。私の  
急所もしっかり見抜いている。刺激するポイントと反応する表情で、女の子それぞれが持つ  
最大の急所の場所を画面から見抜くなんて――この人は女の子の扱いに長けているのかも  
しれない。  
 
『議長』のコメントは更に続く。  
 
『そしてここから理緒ちゃんにとっては甘美な地獄の時間が続く。この画像を見てもらえ  
れば分かるとおり、理緒ちゃんはこの段階でギブアップしている。しかし三森嬢は周囲の  
喧騒に全く理緒ちゃんの様子に気づかない。これこそが史上最高の電気アンマを生み出す  
要因となったのだ』  
 
『電気アンマの魅力はいくつかあるが、その中でも大きいのが”電気アンマは一人でする  
ものではない”と言う事だ。振動が好きなだけなら自分で電動バイブを股間に当てれば事が  
足りる。しかし、電気アンマは相手が止めてくれないと終わらない。また力の加減も自分の  
意志では決められない。このシーンはその電気アンマされる女の子の悲劇がしっかり演出  
されて最高のモノとなった』  
 
『理緒ちゃんは限界を既に越えているのにやめてもらえない。その苦悶が表情に表れ、  
我々のリビドーを刺激していく。そして、その結果がこれだ! この画像を見て戴ければ  
理緒ちゃんがこの苦悶をどう感じていたか、手に取るように分かるだろう!』  
 
(………………!!!)  
その画像は……私が智絵先輩に電気アンマされている時の股間のアップだった。そこには  
電気アンマされて局部を濡らして悶えている私の姿が映っていたのだ!  
(な、な、な、な…………なによ、これぇ〜〜!?)  
思わず私は画面に掴みかからんばかりに近寄った。私が事務所で念のため確認したTV中継  
カメラの映像からではそのシーンはほんの少ししか映し出されていなかった。  
だからこそ私はホッとしたのだったけど――これは……この別角度からの映像にはしっかりと  
捉えられている!  
 
(何て事するのよ、もう!!)  
目の前にこの『議長』が居たらぶん殴ってたに違いない。このサイトを見てる人たちは私が  
この電気アンマで感じてしまっている事を知っているのだ――そう思うと顔から火が出そう  
になる。明日からは表を歩くだけで周囲の人の視線が気になってしまうかもしれない。  
この『議長』って人、それから流出映像を提供した関係者――もし犯人が判明したら覚悟  
しなさいよ――と、私は復讐の炎を燃やした。最低でも金玉蹴りの刑は確実だからね!  
 
それにしても、昼間、先輩達にこの映像を見られなくて良かったとつくづく思う。  
あれ? でも……先輩たちはどうしてこの画までたどり着けなかったんだっけ?  
ちょっと思い出せなかったが、誰かが深く潜らないように操作してくれていた気もする。  
 
電気アンマ事件特集以外の私のコーナーに目を向けると、私がデビュー戦でディアナに  
食らった急所攻撃の特集もあった。  
こちらには『日本女子プロレス史上、最高の急所攻撃シーン』と名打ってあった。  
 
(…………)  
よくよくこのサイトの『最高』に縁があるものだ、と思った。  
光栄なんだろうけど、やられる身となれば、賛辞の言葉を貰ってもありがたくも何ともない。  
こちらの方は公開試合と、あってあらゆる角度からの静止画と動画が掲載されていた。  
過去のトップ画としてインパクトの瞬間が大写しになった高画質の静止画像があった。  
(こんなのが表紙になってたの……? やだなぁ……)  
女の子が急所攻撃で苦しんでるシーンを見て喜ぶなんて……もうサイテー! ……と思い  
ながらも、私がもしそういうコメントを残したらきっとこの『議長』は喜んだりするんだろう  
な……と、力が抜ける。  
 
ここにも勿論、『議長』のコメントが掲載されている。  
『この急所攻撃は加害者の打ち上げた角度、力、インパクト、全てが完璧であり、また被害者  
のルックス、リアクションともこれ以上は望めないほど理想的なものであった。被害者が  
悶えている横で加害者が挑発している姿もGOOD。このシーンを演じてくれた二人の女子  
レスラーには多大な感謝と惜しみない賛辞を送りたい』  
だと。喜んで頂けて光栄ですわ、『議長』様。思わず、はぁ……と、溜め息が漏れる。  
まぁ、プロレスの楽しみ方は人それぞれだし、喜んでもらえるなら――ここまでこれでもかと  
ばかりに自分の電気アンマシーンや急所攻撃シーンを見せ付けられると、諦めに似た心境にも  
なってくる。とは言え、女の子としてのピンチになりかねないので、これ以上の期待には  
応えたくないけれど。  
 
リンクを辿って”BBS”や”チャットログ”を開いてみる。  
そこにはこのサイトを訪れる人達の妄想が溢れかえっていた。ここの所の話題はやはり私が  
独占していたようだ(ふぅ……)。何人もの人が、何ページにも渡って私の電気アンマ  
シーンについて語っている。  
 
 
 
『プロレスでは電気アンマがないのが残念……』  
『ディアナに電気アンマを教えるというのはどうだ? 外国人選手は電気アンマを知らない  
だろうから』  
『それ、イイ!(・∀・)』  
『どうやって教えるんだよ!www』  
『議長ならツテもあるし、なんとか……(・∀・)』  
『私……? 出来なくもないけど、ディアナはハードコアタイプだから攻撃的な反則なら  
やってくれるけど……』  
『電気アンマは反則じゃないんですか?w』  
『多分w。ヒールにはヒールのポリシーがありますからね。急所攻撃は反則だからやって  
くれるんであって、ディアナが意地悪技とかエッチ技として見てくれているかどうか……  
ただの遊びと思われたらやってくれませんね』  
『急所攻撃と言えば理緒ちゃんにも是非ディアナに反撃してホスイ!』  
『そのまま泥沼の股間打ち合いとか……イタタ (;´Д`)タッテキチャッタ』  
『うーん、ディアナが理緒ちゃんに電気アンマしてくれたら最高なんだけどな〜。もうあんな  
シチュエーションはないのだろうか』  
『こうなったら理緒ちゃんをキャットファイトの道へ引きずり込むとか』  
『だったら議長にマッチメイクをキボン!ヽ(゚∀゚)ノ TVイベントとかでどうですか!?』  
『う〜〜ん……(^^;。理緒ちゃんがせめてハタチだったらなぁ……』  
 
 
 
私はカップを手にすると残ったコーヒーを一気に飲み干した。そして――。  
(…………。お前ら全員、金玉つぶしの刑だ〜〜〜!!ヽ(`Д´)ノ)  
モニターの前で握った拳がワナワナと震える。ホント、好き勝手に書いてくれて。  
何? もし私がハタチだったら、エッチプロレスの場に引き出されて電気アンマ三昧の日々  
なんですか? まったく……。  
 
それにしても、『議長』はここに書いてあるのがフカシじゃなきゃ、うちの興行にも関われる  
立場の人なのか……? 誰だろう……うちで興行権を一手に握ってるの社長は現役レスラーの  
女性だし……テレビ局関係の人? だとしたら『お宝映像』の謎も解けるけど……。  
 
 
 
『それにしても、女の子って急所攻撃されるとどのぐらい痛いのかな?』  
『理緒ちゃんは大悶絶してましたね〜。他の子もやられた時は痛がってるし』  
『頑張ってアソコを押さえない子もいるけど……?』  
『恥かしいからだろうね 。その時の表情もいいなぁ』  
『だけど、最後には崩れてしまう。頑張ってても耐え切れなくてダウン、ってのは萌えだな』  
『理緒ちゃんみたいなクリーンヒットはなかなか見れないね。一番やられて欲しい娘が一番  
最高の急所攻撃を受けたなんて……何度でも言う、ディアナ、GJ!(゚ー^)b』  
『どう痛いのかが興味あるな〜。議長、女性陣はどう言ってました?』  
『流石にそれは……聞いた事ないかな^^;。でも、理緒ちゃんの悶絶具合を見れば女の子も  
間違いなく股間は急所だね』  
『ディアナにはもっと沢山急所攻撃をするように伝えて置いてくださ〜い!ヽ(´▽`)/』  
 
 
 
…………痛いです。女の子も痛いんです! 思わず飛んじゃいます!!ヽ(`Д´)ノウワァン!!  
だからお願い……ディアナを煽るのは止めてください……orz>議長。  
 
……と、ここまでは半ば冗談の様な(私にとっちゃ冗談じゃすまないけど)会話が続いていた  
けれど……。  
 
 
 
『電気アンマは無理かぁ〜』  
『議長がそう言うなら理緒ちゃんがハタチになるまで待つか』  
『そうだな、それまでは理緒ちゃんに電気アンマする妄想で楽しもう』  
『やっぱり、電気アンマは座った状態? 立った状態?』  
『座った方がしっかりと安定するからな〜。立った状態でやられている表情を良く見るのも  
ありだけど』  
『リバース式もいいぞ。ノーマル式と違ってうつ伏せだから絶対に逃げられない』  
『つか、おまいら、理緒ちゃんを押さえ込めると思うかね? 相手はプロだぞ?』  
『プロと言っても、力は案外大した事ないですよね?>議長』  
『ん……? まぁ、握力とかは40kgなかったりするだろうね』  
『へぇ……そんなもんか。ぢゃあ、腕力は楽勝で勝てるじゃんヽ(´▽`)/』  
『だけど、女子も下半身の力は結構強いよ? 電気アンマにするまでに持って行くのは  
大変かも』  
『大丈夫、何なら先にボディに一発……』  
『外道だ、外道!w でもまあ、抵抗されたらやるしかないか?』  
『集団なら楽勝だな。二人居ればOK?』  
『ボディならいっその事、股間に打ち込んでみるのはどう?』  
『急所攻撃炸裂!(・∀・)イイ!! けど、電気アンマの感度が下がったりしないかな?』  
『濡らせばそんなに痛くないんじゃないか? 先に捕まえてみんなでいじくって遊ぶ?』  
『いいな〜、悪戯w。カンチョーとか乳首攻撃とか』  
『そしてしっかりと両足を抱えた電気アンマ!! やっぱり電気アンマは両足を抱えて  
やらないとな!』  
『俺は片足だけの崩れ電気アンマでもいいけどな。二人居ればツープラトンだ』  
『理緒ちゃんってどこまで許してくれるかな?』  
『集団で剥くって段階で、もはや許しも何も無いと……w』  
『もう、やってしまえる気でいるしwwww』  
 
 
 
(…………。なんか……ヘンな気持ちになってきちゃった……)  
私は自分がおかしくなったのか、と錯覚する。彼らの会話を違和感なく読んでいけるなんて。  
彼らは私を――犯そうと企んでいるのだ。手段が電気アンマになっただけの集団レイプ。  
私は彼らにとってアイドルかもしれない。それと同時に見て楽しむだけの人形じゃない。  
オナペットでもあるのだ。私を穢し、弄んで楽しむオナペット――。  
 
このマニア達の執着心に嫌悪感を抱かなかったわけではない。しかし、何故かそれに対し、  
ゾクゾクと体の内から込み上げてくるこの震えはなんだろう――最初はマニア達の自分を  
見る目に対するおぞましさかと思った。けど、それはすぐに『それだけではない』もので  
ある事が自覚できた。自分の気持ちに嘘はつけない――そう、私は感じているのだ。  
彼らの欲望の視線に晒されている自分の肉体を思い浮かべて。  
 
(もし、このBBSに私が自分の名前で投稿したら……この人たちはどう反応するかな?)  
半分悪戯心が混じった気持ちで私は想像してみる。  
どういう事を書けばいいだろう。電気アンマされた時の感想を書いてみるか。彼らが疑問に  
思ってる『女の子が急所攻撃された時の痛さ』について詳しく書いてあげようか。  
或いは、『電気アンマレイプ』を企むやつらに対し、宣戦布告してやろうか。  
それとも――私の本心を書いてみようか。  
 
『みなさんに 電気アンマ されてみたいです……』と。  
 
私は思わずその光景を思い浮かべて自分の股間に手をやった。そこは熱く湿っている。  
(なんだか……気が遠く――)  
私は熱く湿ったそこに優しく指をあて、ゆっくりと上下させていった――。  
 
 
          *          *          *  
 
 
暗い部屋で一糸纏わぬ全裸の私を沢山の裸の男達が囲んでいた。男達は大きくて太ってて  
醜かった。何故かみんな一様に度の強い眼鏡をかけ長い髪を伸ばし、腹は三段腹だった。  
そしてその肉に埋もれるようにして小さな怒張が時折姿を覗かせる――その先っちょは赤黒く  
テラテラと濡れて光っている。  
彼らは運動神経は大した事が無さそうだった。1対1ならまずは私が勝てる。あの汚らしい  
怒張を蹴り上げてやれば4〜5人は……いやもっと倒せるかもしれない。  
 
しかし、そこは出口の無い部屋だ。懸命に抵抗して逃げ回って男達を倒しまくっても私は  
逃げる事が出来ない。私は襲い掛かって来る男達の金玉を次々と蹴り上げて撃退していっ  
たが、いくら倒しても後から後から押し寄せてくる。そのうちに蹴られた男達も復活して  
懲りもせずに私ににじり寄ってきた。蹴られた怒張は赤く腫れていたが、怒りを示すかの  
ようにプルプルと奮い立つ姿を見て、そのおぞましさに私の背中の産毛が総立ちになる。  
 
そしてついに、力が尽きた私は部屋の隅に追い詰められ、怯えた目でにじり寄る男達を  
見つめていた。彼らはゆっくりと私を怖がらせて楽しむかのように四方八方から近寄ってくる。  
私はもはや抵抗する気力も無く、只ひたすら両手で胸を隠し内股になって股間を守るだけ  
だった。股間を守る太股から足元にかけてガクガクと震え、立っているのもままならない。  
 
男達は震える生贄の私を捕まえ、そのまま床に敷いたマットに寝かしつけた。  
(やめて……許して……)  
声はちゃんと出たと思う。私は許しを請いながら怯えた瞳を見開き、男達に縋るような哀願の  
視線を送る。しかし、男達は粛々と私の両腕を捕まえ、身動きできないようにして座らせた。  
その私と向き合うような体勢で一人の男が目の前に座った。その男は私と視線が合うとニヤリ  
とイヤらしく笑った。そのねつい視線に私は再び全身の産毛が総毛立つ。  
 
男は私の両足首を大きな手でがっちりと掴んだ。  
(い……いや……)  
私はつかまれたままの状態で、引き寄せられまいと懸命に抗った。だが、男の方が力が強い。  
足首が痛くなるほどギュッとつかまれ、私は小さく悲鳴を上げる。  
怯えた目でその男の股間を見る。腹の肉の間から顔を出したそれは、それ自体が別の生き物の  
様に赤黒く屹立し、ブルブルと震えていた。  
(私を見て……興奮してるんだ――)  
自分が相手のものを見えているという事は、相手も私のモノを見ているはず……私は恥かしく  
なって真っ赤になりながら懸命に内股になる。しかし、男にがっちりと両足を掴まれている  
ため、完全には閉じられなかった。男の視線をそこに感じる。きっと隠れていないに違いない。  
そう思うとカァァ……と頬が熱くなる。  
 
(少し……腫れてる?)  
男のモノをよく見ると少し腫れ上がってるのが分かる。屹立しているものだけでなく、ぶら  
下がっているタマもだ。きっとさっきの乱戦で自分が蹴ってやったからに違いない。  
(仕返し……されるのかな?)  
私は自分の胸が高鳴るのを感じた。男はきっと復讐心に燃えているだろう。男の急所を蹴り  
上げられたのだから当たり前だ。そして今は蹴り返すのに絶好のチャンス。  
(や……やだよぉ……)  
私は半泣きになる。急所攻撃はディアナに受けた事がある。それ以外にも練習中にそこを打つ  
のはしばしば……だけど、それは全部女の子にされた事だ。  
(男の人にされるなんて……ヤダ……)  
私は間違いなくそう思った。女の子の大事な所をデリカシーの無い男なんかにいじられたく  
ない。勿論、蹴られるのもいやだ。だけど……。  
 
(本当に……本当に『それだけ』なの――?)  
 
私は思わず全身を振るわせた。勿論、いやに決まってる。ましてや目の前にいる男は祐一でも  
好きな男でも自分好みのハンサムな男性でもない。ぬらぬらと小汚い欲望を発するだけの只の  
デブのキモヲタ男なのだ。それなのに……そんな事を聞くのは……『誰』?  
(『誰』って……決まってるじゃない。ここは『あなたの』空想の世界なんだよ? この状況を  
望んでるのは一人しかいない――それは『あなた』。柊理緒ちゃんなんだよ)  
ち……ちがうよ! 私はその答えに首を振った。認めたくない。そんなのヤダ。これが私の  
望んだ姿だなんて――絶対にイヤ!!  
 
しかし――私の思いとは裏腹に男はゆっくりと私の股間に足を割りいれていく。男が何を  
したいのか、すぐに分かった。勿論、電気アンマをするつもりなのだ。  
「いや……いやぁ!!」  
私は泣き叫んで暴れようとする。しかし、上半身をデブ3人がかりで押さえつけられ、辛うじて  
動いたのは膝だけだった。懸命にじたばたしたが、密着するデブの気持ち悪さで力が入らず、  
その体重を跳ね返すことが出来ない。そのうち二人は私の胸を揉みだした。胸を触られるおぞ  
ましさに私は悲鳴を上げた。そして――。  
 
「うっ…………ああッ!!」  
下半身を担当している男の踵が私の股間に到達した。そしてゆっくりと私の割れ目の部分に  
圧力を掛けていく。無骨な男の踵のが女の子の敏感な柔肌にあてがわれる感触!! 私は  
思わず両足をすぼめて相手の足を挟みこむようにしたが、それはより一層股間に踵を食い  
込ませる効果しかなかった。  
「はぁううう……!! だ、だめぇ〜〜!!!」  
私は左右に首を振り、全身を暴れさせる。しかし、首以外は殆ど動かない。逆に私のショート  
カットの髪が上半身を押さえているデブヲタ達の鼻腔を擽り、悦ばせているだけだった。  
 
「うっ……ううう…………はぁ……あ……んッ!」  
男は踵を震わせて振動を送ってくる。私の女の子の急所はブルブルと強制的に震えさせられ、  
喘ぎ声も震えたように途切れ途切れになる。  
男の力でされる電気アンマは強烈なインパクトがあった。女の子同士と違って全く容赦が  
ない。私の両足はピンと伸ばされ、いきなり踵での圧迫から始められた。  
 
(これって……さっきの画像にあった男の人にされる女の子たちと同じ……)  
”M→F特集”と名打っていたコーナーでは男の人にされる女の子の画像ばかりが集められ  
ていた。ホテルのベッドなどが多かったので実際に女の子をスカウトして撮ったものが  
多いのだろう。そこで電気アンマされている状況で多かったのは、両足をこれ以上なく  
ピンと伸ばされた状態で股間をグリグリされている場面だった。女の子たちはみな一様に  
仰け反って悲鳴を上げていた。辛そうな表情や感じている表情、あるいはくすぐったそうな  
表情もあったが、『効いている』と言う意味では確実にその急所責めは効いている様だった。  
 
多分、威力その物が違うのだ。男の人がする電気アンマは100%の力でする事が多いの  
ではないか、と先程の画像群を見て思った。どれもこれも『遊び』が感じられないのだ。  
強弱はともかく、いつも本気で電気アンマしている、そんな印象だった。  
女の子同士ならもっと沢山遊びを入れると思う。ゆるゆるとじゃれあいの様な悪戯電気アンマ  
から、優しく感じさせる甘甘電気アンマ、濡らす事が目的のレズ前戯型電気アンマ――勿論、  
100%の力で苛めたり感じさせたりする事もあるが、バリエーションが豊富に出来るはずだ。  
経験はそれほどないけれど、女の子としてそのぐらいは思いつく。  
だけど男は――私がさっきこいつらに渾身の金玉蹴りをしたように(それが死ぬほど痛い事は  
知識として知っていた)、異性間の責めの方が同性間の責めよりも容赦が無いらしい。  
お互いにその気持ちが分からないのだから仕方が無いのだろうか――。  
 
「ふわぁああッ!!……くっ……!!」  
男の電気アンマは容赦なく私の急所を苛む。全身汗だくになって抵抗しているが、男は  
涼しい顔でブルブルと股間を震えさせ続けるのだ。この単調でも威力のある攻撃に私の  
体にも変化が訪れる――男の踵の滑りが段々良くなってきた。柔らかな急所を嬲る感覚から  
ぬるぬると滑る様な感触に――それに気づいた男がニヤリと私に笑いかけた。  
(そんな顔で見ないで……!!)  
私は頬を赤らめて男から顔を背けた。男は私を見る事で私を辱めているのだ。  
(いいんだろ? 感じてるんだろ?)  
男の囁く声が聞こえてくる気がした。私を淫乱女の様に見つめる視線が耐えがたかった。  
だって……「違う!」とは言えないのだから――。  
 
「あっ……アッ……アッ……! ……あああッ!!」  
男の電気アンマは繊細さの欠片も無かった。だけど、その乱暴さがこの濡れ濡れの状態の  
私には頼もしく思えた。もっと強く……乱暴にして欲しい……! 私が霞む目で男の方を  
見ると、男はニヤリといやらしく笑う。私の心の中を見透かしたように――。  
(そうだよ……あなたが思ってる通り、私は淫乱なの! 先輩に悪戯でされた電気アンマでも  
濡れちゃう子なの!! だから……もっと!!)  
悔しい――。口惜しい――。こんなキモヲタにおねだりする屈辱! 私は悔しさのあまり、  
思わずその目の前のいやらしく屹立しているものを蹴飛ばしてやりたくなる。  
だけど、それは出来なかった。よってたかって拘束されているからではない。おそらく、  
上半身が解放されていてもそれは出来なかっただろう。なぜなら――その時の私は電気アンマ  
の続きをもっとして欲しかったから。もっと強く乱暴に蹂躙して欲しかったから――。  
 
男は激しい振動を踵から私の秘密の割れ目に送っていく。ガガガガガガ……と殆ど工事現場の  
コンクリート粉砕機の様な激しい動きだった。男の足は私の股間に深々と食い込み、ピンと  
伸びた足は激しく揺さぶられる。  
「ハッ……ハッ……ハッ……!! ああああ………! ああ…………ああああッ……!!」  
私は悶え狂わんばかりに髪を振り乱し、上半身を激しく仰け反らせた。私を捕まえているデブの  
一人が悲鳴を上げる。私が爪を立ててそいつの足を掴んだからだ。電気アンマに耐えるための  
行為だったが、心の底で私は、どうせなら金玉を掴んでやれば良かったかな? とこんな時  
ながら物騒な考えにほくそえんでいた。そして――。  
 
「もうだめッ! んっ……!!! あああああぁああああああぁ〜〜〜〜〜ッ!!!」  
 
 
 
私の脳裏は真っ白に飛び、そのまま意識を失った。  
きっと男たちは交代で私に電気アンマし続けるだろう――輪姦する陵辱犯達の様に。  
けど、私にとってそれは悪い事ではないような気がする。  
見も知らぬ男たちに寄って集って次々と電気アンマされる――それは私には受け入れられる事  
だった。男たちが望むなら電気アンマされている間にヌいてやってもいい(タイミングが悪け  
れば握りつぶしちゃうかもしれないけど……クスクス)。精液を掛けられたって平気。  
キスとセックスさえされなければ、何をされても構わない。  
 
(だけど、本当に私がそう望んでも、あのサイトの男の人たちは乗ってこないかも――)  
私がそう書き込めば男の人たちは願いが叶った事に狂喜するだろうか。それとも疑心暗鬼に  
囚われて様子見を決め込むだろうか。多分、後者だと思う。そういう度胸は妄想で満足して  
いる人たちには無い。  
(でも――そうでない何人かはいると思うな……『議長』とかは……)  
私の思いは混濁する意識の中に飲み込まれていった。  
 
 
          *          *          *  
 
 
「ふぅ……ぅ……。……ん?」  
私はいつの間にかベッドに寝転んでいる事に気づいた。全身汗でぐっしょりだ。上半身に  
辛うじてTシャツを着けていたが、下半身は丸裸。そしてその惨状は……想像に任せる。  
 
(酷い夢見――)  
私は半ば眠った状態での妄想から抜け出し、シャワーを浴びる。熱い湯の刺激を受けて漸く  
囚われた悪夢から抜け出せた気がした。  
(悪夢に引きずり込んだのは――あのサイトね)  
私はシャワーを浴び終えると軽くバスタオルを巻いただけでパソコンに向かう。画面は黒かった  
が、まだ電源は入っていた。スクリーンセーバーが起動しているだけだ。マウスを動かすと  
さっきの電気アンマサイトの画面が現れた。  
(ここを見ながら、あんな事をしちゃったんだ――)  
その時の事を思い出し、私は羞恥心でカァァと全身が熱くなる。  
 
(それにしても酷い想像だよね――)  
クスクス……と私は一人で忍び笑いをする。その夢(妄想?)に登場するこのサイトの住人  
達は一様にデブなキモヲタだった。実際にはハンサムな人もいれば若い子も年を取った人も  
いるだろうし――このサイトを見てるからといって引きこもり系とは限らない。健全な?  
スポーツマンだっていないとは限らない。  
(祐一なんてもしかしたら毎日ここを巡回してるかもね)  
その姿を想像し、私は声を出して笑ってしまう。ありえない話ではないからだ。  
(そういう人たちを十把一絡げにキモヲタ扱いしちゃ失礼かな?)  
と思ったが、良く良く考えてみるとこうやって自分をオナペットにしている連中である。  
それを考えたら、自分が失礼な気持ちになる必要などない気がしてきた。精神的なイメージは  
合っているかもしれないのだ。  
 
(私みたいに女の子がいるかもしれないし、ね――)  
自分は間違いなくここを毎日の巡回サイトに入れるだろう。自分の事はともかく、それ以外の  
女の子たちのレベルが異様に高いのだ。特に『沙耶の部屋』と書かれた特別室の少女は目線こそ  
消していたが、どこかで見た事のある美少女だった。ティーン誌か何かだったと思う……。  
 
本番サイトで無いから、気軽に撮影参加する女の子が多いのかもしれない。  
ある意味、電気アンマと言うのは『悪戯』に過ぎないので、性的なものではない、と強弁する  
事も可能だ。一応、年齢コードチェックはしていたがパンツなども見えているので形式的なもの  
として置いてるのだろう。彼女たちをスカウト出来る主宰者にも少し興味が湧いた。  
 
(やっぱり……カッコイイ男の人なのかな?)  
さっきと違い、今度はそのカッコイイ男に電気アンマされる姿を想像しそうになり、私は  
慌てて首を振った。折角シャワーを浴びたのにまたびしょ濡れになってしまう。  
(その人は……私に興味があるんだよね)  
この特集振り、そしてBBSでのコメント――。『議長』というハンドル名で私の電気アンマ  
シーンがいかに素晴らしいかを熱く語っていた。対象の当人の私からすれば困るような照れ  
くさいような感覚だが――。  
 
(ま、次の更新を楽しみにしますか……BBSにも匿名で参加しちゃおう。エヘヘ♪)  
BBSには明らかに女の子からの投稿がある事が読み取れた。こんなエッチ系サイトで女の子  
が現れるとネカマ騒ぎになったりして荒れるものだが、この『議長』なる人はしっかりと  
相手が本物の女の子かどうかを見極めて、女の子らしき人には紳士的に振舞っていた。  
女の子が居易い空間が作られており、そこに住人として居続ける女の子も何人かいる。  
私は昼間の小雪先輩の行動を思い出した。今から考えると小雪先輩はあの時にカゲキな場面が  
出ないように配慮していたような気がする。もしかしたら、ここの住人だから知っていたのでは  
ないのだろうか? そんな疑問も頭をよぎった。  
 
そんなこんなで――私にとってこの『電気アンマFAN』は日課として巡回するサイトに  
格上げになった。しかし、このサイトの縁が今思っている以上に深くなるとは、この時の私には  
気づきようも無かった。  
 

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