「桜井、帰りに西野の家寄ってこれやってこい」  
帰り際に先輩の医局員・伊藤に渡されたのは点滴用の輸液だった  
ソルラクトの入った袋にアセトアミノフェンと書かれている  
「それを西野に投与してこい。あいつがいないと仕事が溜まるから」  
西野は昨日から休んでいる。医局に入って初めての病欠。  
なんでも40度近い熱が出てしまったらしい、途中で医局長に帰されたのだ  
「え・・・でも私、西野くんの家なんて知らないですよ?」  
「そんなもん、電話して聞けばいいだろ。じゃ、頼んだよ」  
香奈は少し動揺している。一番近いようで遠い存在の西野のプライベートに  
はじめて足を踏み込む事になる・・・確かに彼の状態も心配ではあるけど・・・  
――いつも降りる駅の4つ手前の駅で下車  
そこで携帯電話を取り出し、西野にコールしてみる  
・・・・・・「はい」  
だるそうな西野の声。平静を装い香奈は頼まれて今最寄り駅にいる旨を伝えると  
西野は自宅までの道順を教えてくれた。駅からそう遠くはないマンション。  
途中のコンビニでミネラルウォーターを買って、案内どおりにたどり着く  
・・・なんか、変。  
医局での、あの西野の姿しか知らない。  
チャイムを鳴らすとTシャツにハーフパンツ、寝癖だらけの頭  
・・・やっぱり、少し顔が赤い。まだ熱がある様子の西野の顔。  
 
「いらっしゃーい・・ま、上がれよ。汚いぞ」  
「病人の部屋が片付いてるなんて思ってないから大丈夫」  
無愛想に答えて靴を脱ぐ。狭い玄関にはスニーカーが何足も転がっている  
奥の部屋へと入ると・・・西野はごろんとベッドに倒れこみながら  
「で?何持ってきた?座薬なら桜井が入れてくれよ」  
「馬鹿。なんで座薬なのよ。そりゃあ即効性はあるけど」  
そんなやりとりをしながら、思わず香奈は部屋の中を見回す。  
―――正直、女の影はない。  
脱ぎ散らかされた服、タオル、雑誌、医学書・・・足元に少しだけ散乱している  
「どうなの?熱」  
「夕方くらいに測ったら、まだ39度くらいだったかな」  
だるそうに答えて、ベッドの上で大の字になる西野・・・やっぱり少し、弱ってる?  
香奈はカバンから輸液、ゲージ針と脱脂綿を出す。  
「なんだよ、準備万端だな」  
その様子を横目で見て西野が鼻で笑う。  
「伊藤先生が、早く西野くんに治ってもらわないと仕事が溜まるって持たされたの」  
彼の右腕を取って、点滴針を刺しながら香奈がふてくされたように言うと  
「よかったー桜井で。伊藤先生が来ても全然面白くない」  
「あのねぇ、別に楽しませようと思って来た訳じゃないわよ。はい、安静安静。」  
壁のハンガーに輸液の袋を上手く下げて、腕時計の秒針を見て点滴の速度を調整する  
・・・何か食べた形跡はない。スポーツ飲料とミネラルウォーターを飲み捲くった形跡だけ。  
「・・・もしよかったら、おかゆくらいなら作ってあげるけど?」  
「お願いします、桜井サマ」  
サマ付けされ、思わず笑い出して香奈は適当にやるから、と言って台所へ。  
西野は相当弱っているのか、そのまま気づいたら眠っていた  
 
1時間程で点滴は終わった。西野はぐっすり眠っている。  
香奈はその間に、卵粥を作り、散らかっているものを適当に片付け  
小さくため息をつきながらベッドの横に座る。  
脈を取ると・・・落ち着いてきてるみたい。よかった・・・  
針を抜いて消毒などの処理をして、道具を片付け  
そっと彼の額に触れてみると、まだ少し熱はあるようだが。  
顎のあたりにうっすらとヒゲが生えて、まだ少し赤い顔、何なんだろう、この人――  
と、そこでゆっくりまぶたが開く。  
「あ・・・起こしちゃった?」  
「知らないうちに寝てた・・・」  
西野はそっと香奈の頬に手を伸ばす。少し熱い手が気持ちいい。  
「安心しろよ、今日は襲いこむような体力ないから」  
いつもの西野らしからぬ言葉、初めて聞くかもしれないやんわりとした口調・・・  
彼の手にそっと自分の手を重ね、香奈は顔を近づけて彼と額同士をくっつける  
「やっぱりまだ、熱下がってないみたい。でももう少しで効いてくるだろうね」  
そのまま、香奈はそっと唇を重ねた――唇が熱く・・・自分の舌が冷たく感じる。  
その温度差が気持ちよくて、離れたくない・・・もっと奥に入りたい  
香奈はそのまま舌を奥まで入れた。  
男の人が、挿入した時ってこういう気分なんだろうか――そんな事を思いながら  
自分の体温より約2度程高い舌が、少し躊躇するように動きが鈍い。  
「桜井・・・?」  
息継ぎをするように一瞬離れた隙に、西野は不思議そうに言う  
「ごめん・・・なんか・・・キスしたくなったの」  
 
香奈は自分の行動が衝動的なのはわかっているが  
もっと、もっとという勢いのほうが強かった。欲?そんなのじゃなくて、何だろう。  
西野の上に馬乗り状態で、温度差を楽しみながら遊ぶようにキスを続ける  
単純に、いつも強気な西野が弱っている姿が、かわいく思えた・・・それだけ?  
部屋に入ってから、ずっと彼のにおいがする。彼の家なんだから当たり前だけど・・・  
そして両手で頬を包み込むように触ると、やっぱり暖かい  
首筋にキスをしようとしたところで、西野がぼんやりとした口調で答える  
「今日まだ風呂入ってないから汗くさいぞ。しかも相当ぼけーっとしてる、頭」  
「わかってる」  
ぎゅっと抱きついて、彼の胸に耳をつけ心臓の鼓動を聞く。  
「心拍110ってところだね」  
こうして少し甘えるようなこと、初めて・・・シアワセ。  
あったかい・・・って当たり前よね、今、何度くらいなんだろう、体温。  
「桜井、無理無理。今日は無理」  
西野が香奈の背中を宥めるようにぽんぽんと叩く。思わず香奈が鼻で笑って  
「何が無理なの?」  
「俺のこと襲おうとしてるじゃん」  
「してないよ・・・ただ、なんかこうしてるのが気持ちいいなあって」  
そういうと香奈はまた唇を重ねて、にっこりと微笑む。その表情を見て西野もつられて笑う  
昨日からの続く熱のせいと、やっと薬が効いていたのか、まだぼーっとしたような笑い。  
香奈はそっと西野の股間へと手を伸ばす。  
「わ、熱い。」  
 
「当たり前だろ、熱あるっつーの」  
「あ、小児の発熱時に股関節やわきの下とか、動脈が通ってる所を冷やすといいんだっけ」  
「俺は子供か」  
そんな呑気な会話とは反対に、二人の体の反応は早かった。  
馬乗りになったままで香奈は彼の背中へ手をまわす。直接触れた肌はやはり熱い・・・  
躊躇していた西野もそれに答えるように、香奈の着ているブラウスの中へウエストから手を入れて  
さらにブラジャーの中までいって胸に触れる。そこで香奈が小さく「あ・・」と言う。  
「なん、か・・・西野くんがあったかくって、気持ちいい」  
「まだ何にもしてねーよ」  
やっぱり西野の様子はいつもよりやんわりとしている。やんわりしてるように感じるだけで  
実際は相当だるいのだろう。もう一度、香奈が唇を重ねてきた――温度差が、気持ちいい・・・  
またそれを楽しむように舌をねっとりと絡ませていく。少し唇を離した時、香奈が  
西野の唇を舌先でなぞる。西野からしたら、少し冷たく感じるのが気持ちよかった。  
くすぐったそうに軽く笑うと、ぱくっと香奈の舌を唇で捕まえて少し乱暴に味わう  
「・・・西野くん・・・」  
甘い声で香奈は小さく言うと西野が履いていたハーフパンツとトランクスを少しずらしはじめた  
「桜井・・?」  
「・・・」  
無反応で脱がしている香奈の表情は、髪で見えない。西野は首を少し起こして香奈の顔を  
見ようと手を伸ばす。その手が頬に触れた時、香奈が口を開く  
「・・・シタい・・・。」  
 
もうどうにもならない、止められない衝動ってこういうことなんだあ・・・  
彼のトランクスを足首あたりまで下げると、それをまねするように西野は香奈のスカートを  
腰まで上げて、下着に手をかける。ショーツだけ脱がされた香奈は、西野にまたがる。  
・・・先ほどの遊ぶような、温度差を楽しむキスで、すでに香奈は溢れ出してしまっていた  
軽く腰をこすりつけるように動くと、彼のそこと擦れあい、ぬるっとした感触で  
西野も香奈が受け入れ準備ができていることに気づく。  
「今日の桜井・・・大胆だな・・。どうして?」  
「・・・わかんない」  
少し浮かせた後に、香奈はそっと手を添えて自分の入り口へと彼のものを宛がう  
・・・やっぱりいつもより、熱いんだあ・・・  
そして何も言わずゆっくりと腰を落としていく。小さく不規則にビクビクと身体を痙攣させながら  
根本まで入って・・・西野の上に座る。自分の中で、体温が2度高いものが、脈打つのがわかる。  
西野はさっきまでのぼんやりした表情から、快感に耐える表情になっていた  
もう、駄目。  
香奈は勝手に動きだす自分の身体のしたいようにした。ゆっくりと腰をあげて、また根本まで・・・  
それをしばらく繰り返し、彼の形や温度が把握できるくらい、自分の中で確かめる。  
そして今度は一番奥に入った状態で座り・・・腰をこすりつけるように前後に動かす  
・・・クリトリスが擦れ、膣壁も擦れて・・・気持ちいい。身体は登り詰めようと  
休みなく腰を前後に動かさせる。香奈はもうどうにもできない、といった感じで腰を振っている。  
西野は下から彼女の表情を見ながら、されるがままの状況を楽しんでいた。  
もっとも、動きたくとも今日の西野にはその体力がない。それでも快楽は勝手に攻め込んでくる  
 
「だめぇ・・・もう、いっちゃいそぅっ・・・」  
激しく腰を前後に振りながら、香奈が息を切らせ、泣きそうな声で呟いた  
「イッて・・・桜井、イッてるところ、見せて」  
「ぅんっ・・あっ、いっちゃうぅ・・・いっちゃ・・・」  
1回大きくびくっとしたら、香奈は全身を硬直させて腰のグラインドが止まる  
そしてギュッと締め付けられる感覚に、寸前だった西野は後押しされる形になってしまう  
「あ・・さくら・・いっ・・・」  
彼女がまだ登り詰めてる途中で、西野はそのまま香奈の中に放出する。  
その、中へと放出している彼のものがどくん、どくんと動く度に、香奈は敏感に反応し  
身体が同じタイミングで小さくビクッ、ビクッとしてしまう。  
・・・そして、一気に脱力――――  
西野の上に覆いかぶさるように倒れて、やっと、呼吸をする。  
「桜井に犯された〜」  
少し笑いながら西野がいうと、香奈が顔を起こして彼の表情を見つめている。  
「・・・いつもやられてるから、仕返し。」  
「っていうか、動いてないけど、ちょっとしんどかった・・すげー気持ちよかったけど」  
まだ香奈の中に入れたまま、余韻に浸るように二人ともそのままの体勢で見詰め合った。  
「・・・西野くん」  
「ん?」  
「これで西野くんは、私のもん、でしょ?」  
・・・前に西野が言ったセリフの応用。”桜井は俺のだから”・・・  
「多分な。」  
パクられた、と笑いながら短く西野が答えた  
 

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