「うおおおおおおおおおおおおおおおッ!」
そんな怒声と共に、風間隼人のアパートのドアは粉砕されてしまった。ちょうど、彼が
夕食のカップラーメンに、お湯を注いだばかりの時である。
「ね、姉ちゃん!」
「よっ!隼人」
粉みじんになったドアの破片の下には、実家に居るはずの姉、亜季の姿があった。し
かも、手には大きなカバンを持ち、背には風呂敷を担いでいる。その家出人っぽいスタ
イルに、隼人は嫌な予感がした。
「何の用だよ、姉ちゃん。それと、ドアは手で開けてくれよ」
「スマン、ちょっと蹴躓いてナ。ああ、それと、しばらくやっかいになるから、よろしく」
亜季はのっそりと立ち上がり、体に付着したほこりを払うと、部屋の中へ入り込んだ。
そして、食べごろのカップラーメンの前に座り、
「いただきます」
呆気に取られる弟をよそに、箸をすすめたのである。
「やっかいになるって、どういうこと?」
壊されたドアをセロテープでくっつけながら、隼人は問う。亜季は、隣の県にある実家近
くで、OLをやっている。この町の大学へ通うために、一人暮らしをしている自分とは違い、
姉が実家から出てくる理由はない。その上、世話になるとはどういう事なのか。
「いやさあ・・・お見合いしろっていうんだよな、母ちゃんが」
ミニスカートにも関わらず、ガツンとあぐらをかいて座っている亜季が、少しだけ困った顔
をしながら呟いた。ちなみに、ラーメンはすでに半分以上が食されている。
「お見合い?お見合いくらい、すればいいじゃないの・・・」
ドアを応急処置した隼人は部屋に戻ると、あぐらをかいている姉の足をぺちぺちと
叩き、閉じるように嗜める。亜季は昔から無作法で、彼の前で下着を見せる事など
へっちゃらなので、ほっとくといつまでも足を投げ出しっ放しにするのだ。
「だって、あたしまだ二十四だよ。結婚なんてごめんだよ」
カップラーメンのスープまで飲み干した亜季は、容器も割り箸も一緒くたにごみ箱へ
放り込んだ。すると、すかさず隼人はそれを取り、容器はリサイクルごみ袋、割り箸
は燃えるごみ袋へと分けた。反面教師とでも言うべきか、無頼漢じみた姉とは違って、
弟は生真面目な性格である。
「会社はどうするんだよ。ここからじゃ、バスで一時間くらいかかるんじゃないの?」
「ああ、それはいい。会社でこの近くに住んでるやつがいるから、そいつに車で送って
もらう。近道すりゃ、三十分でいけるんだ」
心配する隼人をおいて、亜季は鼻毛をニ、三本むしっていた。彼女はいったんこうと決
めると、いくら諭しても絶対に意思を変えない人物である。弟はそれを知っているので、
帰れとは言わなかった。その内、実家が恋しくなるさ、などと隼人は思っている。
「お風呂用意するから、今日は早く休んだら」
「おう、サンキュー」
ふうとため息をひとつついて、隼人は給湯器のスイッチを入れた。すると、背後でばさ
ばさと衣擦れの音が聞こえてくるではないか。まさか、と彼が振り向くと・・・
「ね、姉ちゃん、ここで脱いじゃだめだ!」
「いや、あたしシャワーだけでいいから、湯はためなくていいよ」
なんと、亜季は衣服をすっぽりと脱ぎ、パンティ一枚の艶姿となっていた。しかも部屋の
カーテンも閉めていないので、外からも彼女の裸身は丸見えである。
「タオルくれ。あと、ひげそりあったら貸して。腋毛剃るから」
「その前にカーテンを閉めろって!」
この部屋は二階にあるが、対面にはどこかの企業の独身寮が建っている。その中で、
何人かがパンツ一丁の女の姿に気づいたらしく、ベランダからこちらを覗き込んでいる
ではないか。隼人は焦った。
「姉ちゃん、向こうから人が見てる!」
「減るもんじゃなし、かまわんよ。それより、タオル・・・」
「後で俺が持っていくから、早く風呂入れって!」
ズカズカと床を踏み鳴らしながら、亜季が浴室へと入っていくと、隼人は泣きそうな顔
で、必死にカーテンを閉めるのであった。
「旅、行けば〜・・・」
シャワーの飛まつの音と共に、浴室からそんな歌が聞こえてくる。オヤジ臭いな、と
脱衣場にいる隼人は思った。
「タオルここに置くから」
「おう、サンキュー」
タオルを置いた脱衣かごの中に、姉の下着がある。隼人は一瞬、それに目を奪われた。
「そこにあるパンツ、洗っといてくれな」
「あ、うん」
ドキン──隼人の心音が高鳴った。今、注視していた下着を、姉が洗って欲しいと言った
からだ。
(姉ちゃん、ずいぶん色っぽいパンツ穿いてるんだな)
薄紫のサテン地のパンティを手に取り、そっと鼻っ面に近づけてみると、なんとも表現
し難い恥臭が漂ってくる。隼人はそれを、思いっきり吸い込んでみた。
(くうッ!なんか、動物っぽい匂いがする!)
汚れのひどいクロッチ部分が、特に香ばしい。しかし、隼人はその匂いを案外、気に入
ってしまった。亜季は粗忽な感じはするが、男好きのする美女でもある。隼人はそんな
姉を、嫌いではない。彼が高校生の頃などは、実家へ遊びに来る同級生たちが、垂涎
の眼差しで、亜季に見惚れたものである。隼人自身、それが自慢でもあった。
(姉ちゃん・・・)
むっくりと股間に飼っている蛇が鎌首をもたげ始めている。そしてもう一度、下着の恥臭
を目一杯吸い込んだ時、
「隼人、ビールある?」
「な、無い。俺、飲まないんだ。買ってこようか」
「頼むね」
浴室からの姉の声で、隼人は正気を取り戻した。あぶない──反省しながら、手にした
パンティを脱衣籠に返す。
「行ってくるよ」
もしあのまま、姉が声をかけてこなかったら、自分は何をしていただろう──ギリギリと
ジーンズの前を強張らせながら、隼人は思った。もしかしたら自分は欲望に負けて、浴
室の扉を開けていたかもしれない──そう思うだけで、身震いしてしまった。
(姉ちゃんがお見合いか・・・俺も嫌だな)
外へ出て寒風にさらされると、隼人の理性も戻ってくる。その中で、弟として姉のお見合い
話を否定し、自分を頼って出てきた事を嬉しく思うのであった。
「うめー!」
弟に買わせて来たビールを飲み、亜季は顔を綻ばせた。至福のひと時が、彼女を包んで
いる。
「酒のあては、こんなもんしかないけど」
「ん、上等、上等」
机の上にはポテトチップスなどの乾き物がいくつかある。亜季はそれらをついばみながら、
ぐいぐいと酒肴のペースを上げていった。
「ビール考えたやつは天才!ホントに!かー、うめえ!」
ビールをあおる亜季の濡れ髪が艶っぽい。隼人は見る風でもなく、なるべく自然な感じ
で艶姉を視界の中へ捉え続けた。
「姉ちゃん、寝巻き持ってこなかったのか?」
「ああ。会社へ着ていく服くらいしか、持ってこれなかった。なにせ、家出同然だしな」
亜季は、大き目の隼人のブラウスシャツをはすっぱに着ているだけだった。そして、
「ああ、パンツはあれ一枚しかないから、明日までに乾くようにしといてくれよな」
などと言うのである。思わず隼人は目を見張った。
「じゃあ今、ノーパンなの?」
「そうさ。おかげで尻が冷えること、冷えること・・・」
亜季はやにわに腰を浮かし、シャツの裾をめくって見せた。すると、艶かしい足が付け根
までバッチリと・・・
「わあ、見せなくていいって!」
「お、ずいぶん純な反応だな。その様子じゃお前、まだ知らないんだな?」
亜季は指で輪を作り、そこへ何かを出し入れする仕草をして見せた。かあっと隼人の
頬が朱に染まる。
「あたしがお前の年には、やりまくりだったんだけどな。ずいぶんと奥手なんだな」
「下品な話はよせよ」
「まあ、社会勉強の一環として、聞いておきな。あたしの初体験は小学・・・」
「いいから!」
「アハハハ!飲んでも無いのに、顔が真っ赤だぞ、お前」
ゲラゲラと腹を抱えて亜季は笑った。その時、彼女が足を大げさに開いたために、付け根
にある女の園が丸見えとなる。
「姉ちゃん、見えてるって!」
ズバーンと開け広げられた両足の奥に、漆黒の若草と薄紅色の陰唇を認めて、おのの
く隼人。実は彼、いまだ無垢で、異性のそれを見るのは初めてだった。本心ではもっと見
たいと思うのだが、相手が実の姉ではそうもいかない。隼人はそこから目をそらす。
「隠しなよ、姉ちゃん」
「ふふ、知っておかないと、いずれ苦労するぞ。なんなら、姉ちゃんで練習するか?」
「え・・・?」
隼人が亜季の方に向き直った。姉は頬を上気させながら、足を開いている。そして、濡れ
た瞳で誘うかのように、まっすぐ弟を見つめていた。
「やらせてやろうかって、言ってんの」
ぐび、とひとくちビールをあおって、亜季は缶を放り投げる。足は膝だけを閉じ、ちょっとも
ったいつけた格好で、陰唇をさらす事を恥じている風でも、楽しんでいる風でもあった。
「ね、姉ちゃん・・」
「うふふ・・・その顔、やりたいって顔してるなあ」
ずずっと腰をずらして、亜季は移動し始めた。その先には、狭い部屋の三分の一を占める
ベッドがある。
「電気消して、おいで」
流し目を隼人にくれた後、亜季はシャツの前をはだけさせ、ベッドへと倒れこむ。隼人は姉
の誘いにいったんは躊躇の仕草を見せたが、すぐに灯りのスイッチに手を伸ばし、
「・・・うん」
甘えるような声で、己もベッドへとなだれ込んだのであった。
「弟に犯されるって、ドキドキするわ・・・ああ・・・」
隼人に圧し掛かられて、亜季は体をシーツの波の上でくねらせながら、禁忌の愉悦
が味わえる事を喜んだ。今、弟は貪るように自分の全身に触れている。そう思うと、こ
れまでに重ねた異性との経験が、遊びのようにすら思えてくる。
「・・・姉ちゃん、おっぱい吸っていい?」
「いちいち聞くな!うふふ、いいわよ」
乳房に触れ、乳首を必死に吸う弟の頭を撫でてやる亜季。こういう甘えん坊の年下男
も悪くないな、なんて思う。
「ああ・・・ん」
甘く乳首を噛まれると、何ともいえない甘美な疼きが体全体に広がっていった。稚拙
だが優しげな愛撫である。亜季は、隼人の自分を想う気持ちが嬉しく、またそれに応え
たくなった。
「しゃぶってあげるから、立ちなよ」
「え?まさか、チンポを?」
「そこ以外に、どこをしゃぶるっていうのよ。スゴク気持ち良いから、覚悟しなさいよ」
ベッドの上に弟を立たせると、亜季は勃起した男根をすぐさま唇で包む。そして舌を
丁寧に絡め、吸っては舐め、舐めては吸いを飽きる事無く繰り返した。
「ううッ!」
姉に男根を吸われると、隼人は早々と腰砕けになる。小用を足すのとはまた違った
趣の快感が、男根全体を包んでいたからだ。
(おやおや、いかめしい顔しちゃって)
亜季には男根を咥え込みながら、弟の表情を見て取る余裕があった。隼人がいか
にも無垢な男の反応を示している所が、彼女にとっては愉快でならない。経験豊富
な女性ゆえの、当然な気持ちといえよう。
(もうちょっとしゃぶってあげたいけど)
そう思いつつも、亜季は咥え込んでいた男根を唇から離し、
「ゴメン、姉ちゃん我慢できなくなっちゃった・・・これ、入れて」
ぶるんと猛り返る弟の男根で、姉はとどめを刺して欲しいと願ったのである。
「こ、ここ?」
「ううん、もうちょっと下。焦らなくてもいいから、オチンチンに手を添えて、しっかり入れ
るのよ。頭が入れば、後は腰を前に突き出すだけだから」
異性との経験が豊富な亜季とは言え、弟と交わるのは初めての事。故に、なんとなく照
れがあった。しかし、それすらも快楽を増加させる前戯の如きと化す。今や、弟に犯され
るという背徳感は、彼女にとって最高の媚薬となっていた。
「は、入っていく」
「いやん、バカね・・・」
隼人の男根が女穴を侵してくると、亜季は目を閉じてその感触を確かめた。血を分けた
弟の物ゆえか、肉で出来た棒の形全てが膣内で分かってしまう。広く開いた肉傘、野太
い茎・・・その上、脈打つ血筋の一本一本までもが、はっきりと感じ取れるのだ。それはま
るで、本来別の物である二つの体が、一つになったような感覚とでもいうべき状態だった。
「アア・・・ア・・・」
犯されてるというよりは、次第にひとつになっていく──亜季はこの交わりを、そう感じて
いた。悪ふざけのつもりで誘ったが、すっかり深みにはまっている──艶めく呻き声を上
げながら、姉は少しだけ後悔した。
「姉ちゃん、大丈夫?」
「だ、大丈夫だから、もっと奥まで入れて・・・」
亜季は恥ずかしかった。今まで、どんな男にだって、こんなおねだりをした事がない。
それを、無垢だった弟に言わされてしまうとは、彼女自身思ってもみなかった。
「ああ!」
隼人が急激なピストン運動を開始すると、亜季はいよいよたまらなくなった。腰が砕けて
しまうのではないかと思うほどの快感が、恥丘を中心に全身へ広がって行ったからだ。
「い、いいわよ、隼人ッ!くうッ・・・す、すごくいいの・・・」
安物のセミダブルのベッドが、ぎしぎしと悲鳴を上げていた。夜とは言え、今はまだ宵が
浅い。あまり、派手な喘ぎ声を上げれば、隣の部屋の住人が気がつくかもしれない──
そうは思うが、亜季は恥ずかしげも無く叫ばずにはいられない。
「ああ、隼人ッ!姉ちゃんをメチャメチャにしてッ!」
それは本心だった。このまま犯し壊されてもいい──亜季は胎内で暴れる弟の男根を、
手放したくないとさえ思っている。
「姉ちゃん、俺、出そう・・・」
隼人が早々におもらしを願い出た。すると亜季はシーツの上でのたうちながら、
「中で出して!全部よッ!」
隼人の背へ手を回し、弟の子種を受け入れるべく、強く抱きしめたのである。
「出るッ!」
「イクッ!」
姉弟の絶頂は同時だった。すぐさま隼人の子種は亜季の膣内を浸し、白濁した粘液で
満たしてしまう。それと同時に、膣口は男根を絞り上げるように締めつけ始めた。
「姉ちゃん、俺、俺・・・」
「何も言わなくていいわ・・・しばらくこのままで居て」
出来ればいつまでもこうしていたい──姉弟は互いにそれを願い、唇を重ね合った。
おちまい