「懐かしい面影ってどんな感じかな?」
いきなりの質問ですね。
「昨日テレビで見たんだけどね。長い間離ればなれになってた人が再会した時に言ってたんだ。」
またテレビですか、どうしてそんなにテレビを見ていて成績優秀なのか教えて欲しいものです。それに僕の立場も考えてください。
「ねぇってば。話聞いてた?」
ちゃんと聞いてましたよ。−あなたに見とれながらですが
「ごめん、ごめん。ちょっと考えてた」
「ぇ? 考えてたって何を?」
−あなたの事です。とは言えず
「懐かしい面影ってのを。ん〜、そうだな、おばあちゃんが孫を見ていて思う、とか? 例えば、娘もよくこんな表情してたなぁ、とかさ。」
「おばあちゃんは一緒だけど。」
「けど?」
「田舎の風景画の中のおばあちゃん。懐かしいって思わない?」
「確かに懐かしいって思うかもしれないけど、それは絵でしょ?」
「うん。」
「うん。ってそれだけ?」
「そうだよ。 え? なんで?」
−「そうだよ。」って言った時に、首を傾けるなんて、卑怯です。威力が半端じゃないんですよ?。
「なんでって、面影はどこにいっちゃったの?」
「あ。・・・忘れてた。」
「ぷっ。「忘れてた。」って子供じゃないんだから。」
「べ、別にい〜でしょ!懐かしいって思ったんだから!」
顔真っ赤。でもこういう表情もまた良いんですよ。