ザザーン ザザーン ザザーン  
 
なんだろう・・・水の音・・・塩の匂い・・・波?  
 
ザザー  ザッパーン  
 
波だ・・・・・・間違いない・・・。  
 
「ピッ・・・・・・ヴゥゥウン」  
目の前の正面・側面モニターに再び灯が燈り、あたりの景色を映し出す。  
海岸だ・・・・・・見渡す限りの海岸。柵や火砲もない、普通の平和な海岸だった。  
 
「・・・綺麗だな・・・・・・海か―――――海?」  
落ちてきた衝撃で記憶が繋がらないが、俺の意識ははっきりとそれに違和感を訴えていた。  
いや、待てよ・・・落ちてきた?どこからだ?  
 
そもそも俺は、雪中行軍訓練の途中だったはず・・・こんな海岸にたどり着く覚えは・・・。  
思い出せ、思い出せ、俺。  
 
義務教育を終え高等学校を卒業し俺は18歳の誕生日を迎え、徴兵制度に引っかかって軍の適性検査を受けた。  
決まった先は、陸軍の第2機械化部隊。人型の軽戦車を主力とした、機動力が自慢の部隊だった。  
 
そして、見事単座式戦車の操縦員に選ばれ、4ヶ月の訓練期間を終え、冬の強化訓練に参加して・・・  
その行軍中の雪崩で俺のいた部隊はバラバラになって・・・・・・そうだ、とにかく山頂の集合ポイントを目指して歩いていたんだ。  
 
「で・・・・・・なんでこんな海岸に・・・」  
思ったことを声に出してみる、ついでに顔も抓ってみる。  
「ちぇ・・・現実かよ・・・それにしても暑いな・・・暑い?ってことは雪山じゃない・・・」  
 
何はともあれ機体の足は俺の操作に答えてくれない。  
ここがどこにせよ、外に出る必要があった。  
 
バクンッ  
 
「痛っ・・・・・・潮風か、しみるな・・・」  
ハッチを開けると共に、擦り傷を襲う痛みと鼻が感じる潮の匂い。  
防寒具を脱ぎ捨てて、座席に向けて投げ捨てる――気温は、耐Gスーツでも十分なぐらいの暖かさだ。  
愛機から完全に体を離し、周りを見渡してみる。  
機体の膝から下が斜めに砂浜に埋まっており、脚部につけられたキャタピラは完全に砂を掘っていた。  
「こりゃ・・・走れないわけだ・・・・・・と、人?」  
操縦席から死角になっていた方角に人が見る――俺は考えるより先に歩き出していた。  
 
「おーい」  
「・・・・・・・・・ヒトの男の子?」  
「?・・・・・・・・・・・・悪趣味なコスプレ・・・?」  
俺の目に映ったのは、タコのぬいぐるみのようなのを頭から被った女の人だった。  
「・・・・・・あ・・・くん・・・夢じゃないよね、これ」  
「はい?・・・・・・いでででで」  
いきなり顔を近づけて来たと思うと、次の瞬間頬を抓られる。  
冗談のような姿をしていた彼女に、完全に油断していたのだ。  
 
「夢じゃ・・・ないんだ」  
「放せー!手、放してくれ!!」  
「あうあう、ご、ごめんなさい」  
10秒ぐらい抓られていただろうか・・・ようやく彼女の手が俺の顔から離れる。  
 
「ふう・・・・・・で、質問幾つかいい?」  
「良いですけど・・・その前に、私からここでの注意事項言って良い?」  
「注意事項?・・・・・・まあ、いいけど」  
俺は頷いて、彼女の話を聞くことにした。  
 
「まずね・・・こっちで君に、キホンテキジンケンはないよ」  
「はい?」  
「君は、私の拾った遺失物扱いになるの。だから・・・警察に捕まっても変に騒がないでそれを主張してね」  
「認めたくない内容だな・・・まあ大体飲み込めたけど・・・」  
 
「後ろの機械も、私の拾ったもの扱いで必ず君の元に届けるから・・・・・・抵抗しないでね」  
「うん?・・・・・・まさか、麻・・・」  
 
最後の"抵抗"という単語に反応したが、既に遅かった。  
針が刺さる痛みと、一瞬遅れて襲ってくる強い眠気。  
 
「ごめん・・・絶対、絶対、君のことは悪いようにしないから・・・」  
そういうなら、こんな凶悪な麻酔なんて打たな―――そこまで考えたところで、俺の意識は途切れていった。  
 
 
何時間経っただろうか、随分寝ていた気もするし、凄く短かった気もする。  
意識を取り戻した俺の目に映ったのは、  
猫耳と尻尾がついた人間?と、それに向かって必死に何かを話している、さっきの女の子だった。  
 
「だーかーら、これは私のモノなの、みんなにはあげないもん!」  
「博士も強情ですね・・・彼・・・いえ、後ろの機械だけでも良いので数日間貸して頂ければ良いと・・・」  
「こないだだってそういって、落ち物の本返してくれなかったじゃん!!」  
「むう・・・言い返せないわ」  
 
どうやら、俺のことを守ってくれている?らしい。  
一段落したらしいので、俺は彼女に声をかけてみることにした。  
 
「あのー・・・」  
「まだ何か文句があるの!?言いなさいよ!!」  
「・・・そっちじゃない、後ろ後ろ」  
 
 
「へ・・・あ、お、おお、起きてたの!?」  
しばらく間が空いてから、彼女は顔を真っ赤にして答える。  
 
「・・・ちょっと前から見てたんだけど、誰も気がついてくれなくてね」  
自分の体を包んでいた毛布を畳んで立ち上がり、彼女に向かってそう言って反応を伺う。  
 
「あうあうあうー!?何時から意識あったの?  
 ここに運んできて、寝顔に見とれてついついキスしちゃったときから?  
 それとも、それとも君の膝を勝手に枕にして転寝してたときから?」  
 
どうやら、俺が寝ていた間に色々とされていたらしい・・・こっちも顔が赤くなる思いだが。  
 
年頃の男の子に何してるんだよ・・・・・・そこの人達が反論できなくなるちょっと前からかな」  
「だってだって、一応君は私のモノだし・・・眠かったし」  
 
「なら、話は早い。お前の安全は保障するにゃ、後ろのカッコイイ機械を調べさせるにゃ」  
二人でラブコメのごとき会話をしていると、さっきのネコ人間の一人が俺に話し掛けてきた。  
 
「ダメだよ、これも私のものなの!」  
「良いじゃないか、調べさせてあげよう」  
「だってこれ、私のモノだけど元々君のものなんだよ?良いの?」  
彼女の声を遮って、あっさり俺は承諾したが・・・これには策があった。  
「ありがとうにゃ、ミーナ博士は強情で困ってたにゃ・・・さて」  
 
「ただし・・・・・・爆発の危険があるから、俺と彼女も立ち会わせること」  
「にゃ、にゃに!?・・・・・・そんな恐ろしい機械なら仕方ないにゃ。  
 特別に、そこのニンゲンも今後ここへの立ち入りを許可するみゃ」  
「ありがとう・・・な?ミーナさんだっけ、これで良いだろ」  
「・・・・・・ポカーン う、うん。君って・・・話術得意なんだね」  
 
その後、なにやら書類にサインさせられて、写真をとられて、  
彼女と一緒に戦車が運び込まれた建物を出て、彼女の自宅に向かった。  
 
彼女の家につくまで、見るもの全てが新鮮だった。  
見慣れた景色に似ているようなまるで違うような不思議な景色と、ネコ耳と尻尾をつけたこの世界の住民達。  
そして、どうやら迷い込んでいるのは俺だけではないことを示すかのように、時々見かける"普通の人間"らしき人々。  
 
移動のために乗った路面電車のような乗り物の中で、  
ミーナさんは、俺に今後のことを簡単に説明してくれたが、そんな景色がとても神秘的であまり覚えていない。  
 
とりあえず、重要なことだと認識して頭に入れたのは、  
・今後、俺はミーナさんの助手として生活を送ることになること  
・怖い人達に売り飛ばされる危険があるので、しばらく自分の側を離れないようにということ  
・自分のことを今後"博士"と呼ぶこと及び、明日からさっき出てきた建物に出勤すること  
といったことだった。  
 
それと、頭に不自然についた着ぐるみのようなタコ頭と触手も・・・  
「この八本の触手と真っ赤な頭は、タコ族の証なんだぞ、えっへん」  
だそうで、ネコ耳に尻尾のネコ族みたいに、タコ族という種族らしい。  
 
「たっだいまーって、言っても一人暮らしなんだよね・・・まあ、座ってて。ご飯作るから」  
「はい・・・って、こりゃ・・・ま、いいか」  
彼女の家の中は、これでもかというぐらい散らかっていた。  
恐らく、書きかけの原稿用紙を丸めたと思われる紙ゴミがゴミ箱の周りに散乱していて、  
ちゃぶ台の上には使った皿やカップが乱雑に置かれたまま、  
ソファーには脱ぎ捨てたブラウスやら下着がそのまま引っかかっている。  
 
ブラウス程度ならまだしも、下着が脱ぎ捨ててある所に、男の自分がずかずか入って本当に良いのだろうか。  
目のやり場に困って、下を向いたままその場で考えてしまうのだが・・・  
それは、部屋の天井を覆い出した黒煙と、ミーナ博士の悲鳴により唐突に中断された。  
 
「えっぐ・・・えっぐ・・・なんで焦げるのー?」  
「博士、火強すぎ・・・玉葱を強火は・・・」  
「うぐ・・・だったらもっと早く注意してよ・・・キミは私の助手くんなんだぞ」  
「俺、まだ博士のことをほとんど知らないので、てっきり大丈夫だと」  
「そういえば、そうなんだよね・・・・・・ごめんね、助手くん・・・あ、とうとうケシズミになっちゃったよ」  
二人がラブコメを続けている間に、どうやら晩飯の予定だったものは、  
完全に取り返しのつかないところにまで、きてしまったらしい。  
 
「うう・・・やっぱりダメダメだな、私は。助手くんは料理できるの?」  
「え、俺ですか。野営で基本的な調理は叩き込まれたつもりだけど・・・」  
「じゃ、作って・・・」  
博士は涙目で俺に訴える・・・が  
「材料は、何あります?」  
「えーとね・・・・・・野菜はさっきの玉葱で最後だし・・・お魚も焦がしちゃって・・・うーん」  
「何も・・・ない?」  
「・・・うん、すごーく控えめに、冷静にいうとそうなるね」  
どうやら食材がまったくないらしい。  
 
「困ったなぁ・・・・・・ん?まてよ、確か腰のポーチに・・・」  
「???・・・お菓子・・・?」  
「お菓子に見えますか・・・一応、軍用の携帯食なんだけど」  
幸いにも、耐Gスーツのまま行動していたので、非常食が残っていた。  
非常食とは言っても、味は妙に安いインスタント食品よりはまともだと思う。  
「でも、お菓子の箱みたいに小さいよ、これ」  
「あはは・・・まあ、見てて」  
 
そう言って、箱の蓋を開けて中身を取り出す。  
中身は、粉末スープと、乾燥したハンバーグ、真空パックにされたパン、それぞれ2食分である。  
 
作り方は説明書に書いてある。  
ハンバーグはお湯に浸すだけ、パンは袋から出せば自然に3倍ぐらいに膨らむ、スープは150ccのお湯に溶かす。  
 
そんな簡単な調理法法なので、5分も掛からずに夕飯が出来上がった。  
まあ、量と味は多少普通の食事に見劣りするが・・・。  
 
「へえ〜、結構膨らんだね、これ」  
「でしょ」  
「なんだか、魔法みたい。ううん、魔法よりすごいかも」  
 
そんなこんなで、小さなちゃぶ台で二人で食事をとって、  
その後もお茶を飲みながら談笑して、何故か昔々からの友人同士のように話が弾む。  
 
辺りはすっかり暗くなって・・・もう深夜だろうか。  
「さってと・・・・・・助手くん、準備良いかな」  
「へ・・・準備?何の?」  
「あれ、言ってなかったっけ?こっちでキミみたいなヒトは、夜のお供にされるんだよ」  
そう言いながら、博士は嬉しそうに触手をうねうねさせている。  
 
「・・・・・・聞いてないよ、というか意思は関係なしですか、そうですか」  
聞いてない、いや多分景色を見ていて聞き流してしまったのだろう。  
というかそもそも、助手の仕事ってそういうことなのだろうか・・・。  
 
「ごめんね助手くん・・・どうしても嫌なら、今日は我慢するけど・・・」  
「いや・・・・・・博士になら、良いか・・・うわっ」  
一瞬、事態が飲み込めずにきょとんとするが、俺の上に乗った博士の顔が見えた瞬間に何が起こったかを理解した。  
俺の返事が途切れる前に、博士はその触手の何本かを使って、俺をソファーの上に押し倒していた。  
 
「じゃ、いったっだっきまーす♪」  
「博士手が早す・・・むぐ」  
彼女の行動は強引"過ぎる"がつくほど早く、そのまま甘い会話を楽しむ間もなく唇を奪われる。  
この過ぎるぐらいの強引さが、俺の彼女に対する好奇心を煽り、また少々残念であった。  
 
・・・・・・まあ、初めてのキスなんてモノは、寝てる間に奪われてたので、残念がっても仕方ないが。  
 
しばらくして、博士の口が俺の口から離れると、唾液の糸が二人の唇を繋いでいた。  
「アハッ・・・助手くんの口の中、さっきのスープの味がする」  
「・・・・・・心臓止まるかと思った」  
「助手くんってさ・・・ひょっとして、こういうの初めて?」  
「・・・・・・・・・」  
無言で、俺は頷いた。  
言い訳をするとしたら、訓練ばかりで外に遊びに行く時間が自分にはなかった。  
同じ隊にはそりゃかわいい娘の一人や二人はいたが、自分に振り向かせる気なんて毛頭なかった。  
 
「そっか・・・それじゃ、私が上で・・・良いよね」  
「はい  って、うわああ」  
言っている間から、既に俺のズボンとパンツを自由になっている残りの触手で脱がそうとしているのだ。  
これではある意味逆レイプ・・・まあ、押し倒されてる時点でそうなんだが、抵抗する気はほとんど湧かなかった。  
「はは・・・ちゃんと二人とも脱いでからするべきだったね」  
そう言って博士自身も、手を使って自分の服を脱ぎ捨てて・・・一糸纏わぬ姿になった。  
「恥ずかしいよ・・・」  
怒られるまで、胸は小さいけどすらりと綺麗な彼女の裸体に、俺はじーっと見惚れていた。  
「ごめん、つい・・・」  
 
そして―――  
「じゃあ・・・乗るよ・・・んんっ・・・」  
言うが早いか、博士の体は俺のペニスの上に沈みこんでくる。  
「・・・・・・うん・・・・・・助手くん・・・気持ちい?・・・」  
「・・・はい、けど、博士こそ・・・痛くない・・・大丈夫ですか?」  
彼女は、無理してる―――快楽以前に、それが自分には伝わってきた。  
直感的に怖がっている気配が、彼女から感じ取れるのだ。  
 
「助手くんは・・・優しいね・・・こんな乱暴な私に、今日一日・・・優しくしてくれて・・・」  
「博士は乱暴なんかじゃ・・・泣いてる?」  
「ごめんね、嬉しくて・・・・・・さ、このまま一気にいくよ・・・くううっ」  
「・・・く・・・」  
何かが弾けるような感触の後、博士は俺を根元まで飲み込んだ。  
「はは・・・これで、助手くんと繋がったね・・・」  
やっぱりだ――顔には表れてなくても、声でわかる  
「・・・博士も、初めてだったんですね」  
「・・・ふは・・・そんなことな・・・あんっ」  
俺は無意識のうちに上半身を起こし、彼女を抱きしめていた。  
 
「いくら隠そうとしてもわかるよ・・・無理しないでください」  
「・・・助手くん・・・本当に優しいね。キミがずっと昔から、私の傍らに居てくれたら良かったのに」  
さっきまでの急ぎ足の展開とは対照的に、今度は二人の間に沈黙が流れる。  
お互いの体温を感じあう、甘くて暖かい沈黙。  
辛い沈黙ではない、ずっとこうしていたい。  
 
「じゃ・・・動くよ、出そうになったら言ってね」  
「はい・・・」  
「ん・・・ん・・・んんっ・・・ふはぁ・・・んんっ」  
博士が、腰を動かしてくれている。  
「う・・・博士の中・・・暖かくてとろとろしてて・・・」  
「・・・・・・私も・・・気持ち良い・・・中で、助手くんが動いてる」  
「今さら思うけど・・・博士となら、この世界でも・・・やってけそうな気がする」  
「あふ・・・あらためて、そういわれると・・・んん・・・あ・・・・・・嬉しいな」  
初めて会って、初めてこんなことをしているというのに、  
長年付き合いのあるような安堵感が、博士からは漂っている。  
なんだろう・・・この感覚は。  
 
「ふあ・・・ふああ・・・助手くん、もう・・・」  
「博士・・・・・・」  
「そのまま・・・中で出して・・・」  
「はい・・・博士・・・ぐっ」  
「あ・・・」  
「こんな出会いでこんなこというの変かもしれないけど・・・博士、愛してます」  
「・・・・・・うん、私もだよ」  
二人で同時に果てて・・・そのまましばらく抱き合って、キスを交わして。  
また動いて・・・。  
そんな繰り返しで夜は明けていき・・・朝がきて・・・こっちの世界での一日目は明けた。  
 
 
その後は、博士を起こして家事をこなす朝。  
あの研究所で俺の乗ってきた人型軽戦車の解析を手伝う昼。  
二日に1度ぐらいのペースで博士の夜のお供をする夜。  
そんな日々が、のんびりと3ヶ月くらい続いた。  
 
正直、俺の乗っていた戦車は訓練用の旧式のものだったので、  
あそこまで熱心に皆が研究しているのは驚きの一言だったが、それ以上に驚きの事態が起こることになる。  
 
それは、何時ものようにのんびりした日の夕方だった。  
「お帰り、博士」  
「助手くん、良いお知らせだよっ」  
「へー・・・お給料でも上がりました?」  
「異動だよ、異動。戦車の実用研究にOKが出てね、専用の研究室で研究できることになったんだよ。  
 私も総責任者になって、お給料あがっちゃった。  
 それでねそれでね、キミも階級付きの正規のネコの国の軍人さん」  
「それはそれは・・・・・・・・・ん?正規の軍人?  
 
えええー・・・!?  
 
 どういうことですか・・・そりゃ、俺もマトモな扱い受けたい言ってましたが」  
本気で驚いて、洗濯物を抱えたままその場で立ち尽くしてしまう。  
 
この世界ではヒトは最下層の知的生命体のような扱いだったはずだ。  
 
「教えられるほど知ってるのキミだけだし、自分達でいちいち教員育てるのも面倒だから、  
 助手くんを、ネコの国機械化試験部隊の正式な教官に任命するんだってさ」  
「なるほど・・・らしい理由ですね」  
「でしょ、でしょ。それでね"同名に2週間の士官学校での講習受講を命ずる"だってさ」  
「軍の学校か・・・」  
「お昼会えないけど・・・良い子で受講してね、助手くん・・・ぐすっ」  
博士は目に涙を浮かべて、俺を見つめている。  
昼ご飯が一緒に食べれないぐらいで、そこまで泣かなくても・・・。  
 
「俺は良い子にしてるから・・・博士も、良い子にしててくださいね」  
「わかってるよぅ・・・絶対、ぜーったいにちゃんと受講して、新しい研究所で私の研究手伝ってね」  
「約束するよ、絶対に」  
「絶対、絶対だよ」  
「うん、絶対絶対・・・」  
 
正規の軍人になるということは、そう遠くない日に戦場に立つかもしれない。  
もしかしたら、戦場で命を落とすかもしれない。  
けど、仕事中もできる限り、このドジで憎めなくて、ちょっとエッチな博士と一緒にいるには、  
軍人になって彼女の部下でもいるのがきっと一番ベターな選択だろう。  
 
何より俺には・・・元々選択の余地なんてないんだよな・・・嬉しいような悲しいような。  
 

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