常葉愛は両脇のおさげを揺らしながら、校舎から少し離れた所を歩いていた。
「菊池……」
もうすでにこの世にはいない彼の名を、愛は呟いた。
彼が死んだ時の事が、よみがえる。
ボンッと言う首輪の音と共に吹き上がる、血しぶき。彼の血は、あの時から愛の顔に付着したままだった。
死にたくなかった。まだまだやりたい事もいっぱいあるし、死ぬ事――もとより負ける事が、愛には許せなかった。
菊池を失う事は辛かったが、背に腹はかえられないと言う。
唇に付いた血を舐めて、愛はあの時言った言葉をもう一度言った。
「……これで、一つになれたよね」
菊池の血は、今ごろ愛の体内で同化しているだろう。
一生、忘れないからさ、許してよね、菊池。
ふと目を上げると、校舎はもう目の前だった。
宿直室のドアは、開いているだろうか?とりあえず中に入って、少し休もう。もうずっと歩き通しで、とても疲れた。
ドアのノブはあっけなく回った。中は随分と暗いが、人の気配はしないようだ。
部屋に入ると、愛はドアの鍵を閉めた。
視線を床に向けると、布団が敷きっぱなしになっている。
ああ、ちょうどいいや。少しの間ここで眠ろう。誰か来たって、イカセてやればいいし。
愛は布団にうつぶせに寝転がると、目を閉じた。
静かな中でじっとしていると、菊池に告白された時の事を思い出した。
前からちょっといいな、と思っていたので、愛はもちろんOKするつもりだった。
しかしあんまりあっさりと承諾するのもつまらないので、真っ赤な顔で自分を見つめている菊池に向かって、愛は言ったのだ。
「じゃあ、屋上から今言ってくれた言葉、叫ぶ事が出来たら……菊池と付き合ってもいいよ」
それを聞いた菊池は、目を真ん丸くすると振り返り、あっという間に走り去っていってしまった。
何だ、もうちょっと何か反応してくれるかと思ったのに、つまんない。
愛は鞄を肩に掛けると、家に帰ろうと歩き出した。ところが、外に出た時、それは聞こえてきた。
「常葉ーっ!!ずっと前から、お前の事可愛いと思っててーっ!最初は、歩くとおさげが揺れるとこが面白くて、なんとなく見ていただけだったんだけどーっ!何か、空手やってる時は本当かっこいいのに、可愛い、それが」
慌てて屋上を見上げると、菊池が本当に叫んでいた。それを見て、愛は、体の芯が熱くなるのを感じた。
そう、それが恋の始まり。
初めてHした時も、楽しかったなあ。菊池真っ赤になっちゃって。
ああ、なんだろう。あの時みたいに、なんだか体が熱いよ……。
その時愛は、自分の体の異変に気づき、ハッと目を開いた。
バッと体を起こすと、足にピンク色のぬめぬめした何かが張り付いてうごめいていた。
「いっ、いやぁぁあああああっ!!」
反射的に座ったまま後ずさりしたが、その生物はピッタリと張り付いている。
触りたくもなかったが、自分の手で取らなければどうしようもないと思い、愛は両手を伸ばした。
ところが、シュルッとピンク色の生物から触手が伸び、愛の両手の手首が捉えられた。
その感触に、愛は思わず「ひっ!」と叫んだ。振りほどこうとしても、離れない。
それどころか、ピンク色の生物はまた別の所から触手を出して、愛の制服の中に入ってきた。
何本もの触手が、肌の上を這う。身をよじってもどうにもならず、触手は愛のブラジャーをずらしはじめていた。
「あっ、や、やだ。ちょ、やめ……」
もちろん触手が言う事を聞いてくれるはずもなく、しかも体液による催淫効果のためか、愛の体は段々と熱くなっていった。
制服が触手によってたくし上げられ、肌が外気に触れる。触手が器用に胸を揉みだし、愛の口から息が漏れる。
触手の先に付いた吸盤が、胸の突起をきつく吸いあげると、愛は「ああっ!」と淫らな声を上げた。
そのころ、宿直室の外の廊下で、二人の男子が愛が触手に絡みつかれている様子を観察していた。
「ぐふっふっ……しょ、触手プレイってやっぱりいいですね……虹村君、今の常葉さんの声聞きましたか?」
松田に話しかけられた虹村は、宿直室の中の光景を食い入るように見つめていて、返事をしなかった。
「ここからじゃあ、上手く写真が撮れないですね……そろそろ中に入りましょうか。ぐふっ」
涎を垂らしながら言う松田に、虹村は「俺はここから見とく」と返した。
「そうですか」と言って、松田は宿直室の中に入っていった。
常葉愛は、はあっはあっ、と熱い息を漏らしながら、触手の愛撫に必死で耐えていた。
足に絡みついた触手が伸び、下着の中に侵入してくる。指くらいの太さのそれが秘部に入り込むと、愛は「あ……」と声を漏らした。
すでに濡れているそこの中を触手はぐにぐにと動き回り、愛に快楽を与えていく。
「う……ひっく。や、やだぁ……このままじゃイっちゃう……菊池、助けてぇ……」
卑猥にチュプチュプと水音が響く中、自分がイカセて殺した人の名を呼びながら、愛は涙をこぼした。
誰かに遭遇したとしても、イカセればいいと思っていた愛だが、こんなイカセようもない訳の解らない生物に遭遇しては、どうしようもなかった。
その時、パシャッと目の前が光り、「ぐふっぐふぐふ。い、いいですねえ〜常葉さん最高ですよ」と、誰か男子の声がした。
愛は「誰?」と言おうとしたが、同時に触手が愛のクリトリスをきゅっと吸い上げたので、「ひあぁんっ」と声を上げてしまった。
するとまたパシャッパシャッとフラッシュらしきものが光り、それに照らされて浮かび上がった顔を見て、愛はその男子が松田健太だと解った。
「その生き物はね、僕の支給武器で、僕がこの部屋に放り込んだんですよ〜。常葉さん、無防備に寝ていて、全然気づかなかったようですね。ぐふっ。もっといい顔してください。僕がちゃんと写真にして残しておきますから。ぐふふっ」
そんな。こんな男に見られながら、イクなんて。しかもこんな生き物に犯されて私は死ぬの?嫌だ。嫌だ。こんな奴らに負けるなんて、そんなの嫌だ!
愛はそう叫ぼうとしたが、その時太い触手が口の中に突っ込んできたため、それは叶わなかった。
「う、んっ、ううんっ」
太い触手は、口内をぐちゅぐちゅと犯し、愛はそれから逃れようと顔を動かしたが、触手は離れない。
「はあっ、あっ、んんんっ」
指くらいの太さの触手はずっと愛の秘部の中でうごめいていて、快感から逃れようと、愛は懸命に身体を動かした。
パシャッパシャッ、と、フラッシュはさっきから何回も光り続けている。そのたびに浮かび上がる触手の姿と松田の顔に、愛は背筋がゾッとした。
口の中の触手が、愛の舌を撫ぜてくる。もしかして、舐めろと言っているのかもしれない。口の中の触手は太く、舌を動かすのも大変だったが、愛は口内の触手を舐め始めた。
そうだ、この触手を満足させる事が出来れば、離れてくれるかも。
「んっ、はあっ、う、あっ、はあ、んんっ」
愛は必死にそれを舐めた。舌で先端をこすり、唇で触手を食むように舐めた。これが菊池のものだと想像すれば、それほど悪くないような気がしてきた。
今も触手は、愛の胸を揉み、淡いピンクの突起を弄り、秘部の中をぐにぐにと動いていた。だが、愛のフェラに集中し始めたのか、少し動きは鈍くなっていた。
「ううんっ、ん、はあっ、んんっ、はっ」
これは菊池のだ。菊池、気持ちいい? 私が、もっと気持ちよくしてあげる。
愛は自分の口から生えている触手に手を添え、さらに淫らに舐め、食み続けた。
さっきから、フラッシュが途絶えていた。松田は、愛の姿を食い入るように見つめ、耐え切れなくなったのか自分のものをしごきだした。
「あっ、愛さんすごいですよ。はあはあ、凄い、いい、ダメだ、ああっ」
松田がイクのと、愛の口内の触手が液を放つのはほとんど同時だった。
愛はその液を全て飲み干し、触手を口から抜いた。
これで、満足だよね? もう、離れてくれるよね?
その時愛は、松田の首輪が爆発する音と、自分の首輪のポイントが増えた音を聞いた。
何? もしかして私、松田をイカせちゃったわけ? あはっ、やっぱ私ってすご…。
「あっ!?」
愛の思考は、突然秘部に侵入してきた何本もの細い触手によって遮られた。
「や、やだやめてっ!」
触手は止まらない。うにうにと愛の中を刺激し、奥へ奥へと進んでいく。
愛の両手は捕らえられ、頭の上で固定された。胸の突起をきつく吸い上げられ、愛は「ひあっ」と声を漏らした。
もう、主人はいないというのに触手は陵辱を再開したのだ。
何本もの触手が愛の身体を這い、液を塗りつけていく。細い触手が何本も絡みつき、ぐっしょりと濡れた下着を脱がせようとしている。
「ああっ、いやっ!やめてっ」
だが、触手はあっさりと愛の下着を脱がす事に成功した。自分の右足首に濡れた下着の重みを感じ、愛は泣きたくなった。
一番太い触手が、愛の秘部の周りを擦りはじめた。ぐっ、と、秘部に圧迫感を感じ、愛の顔から血の気が引いた。
や、やだ。まさか。
突然、その触手が秘部を貫き、十分濡れていたとはいえ、今までと比べ物にならないその大きさの触手に、愛は「ああああーっ!!」と悲鳴を上げた。
ぐっちゅ、ぐっちゅとうごめき、抜き差しを始めた触手に、愛は涙を流して喘いだ。
「あ、あぅ、ぅあっ、ひっ、あ、あんっ」
触手の動きは激しさを増し、愛は快感は頂点に達しようとしていた。
「ひあ、ひぃっ、あ、やめ、やめて…ああっ、やだ、死んじゃ、イッたら死んじゃ…あっ、ひっ、ああ」
触手は愛の体全体に絡みつき、足を持ち上げ、愛がもっと感じるようM字に固定した。
「い、いやっ、やめ、ああっ、だめ、あんっ、あ、ああーっ!!」
イクと同時に、愛の秘部に締めつけられた触手もその液を中に注ぎ込んだ。
ピッ、と首輪が鳴り、愛のイカセポイントが減った事を知らせた。
そうだ、そういえば、私はさっき松田を間接的にイカせたんだった。まだ死なないんだった。
でも。
触手は、まだ愛の身体に絡みついたままだ。
胸の上をくにくにと動いて突起を弄り、秘部では、今度はさっきの半分くらいの太さのものが侵入してきているが、数は三本だった。そして、新たな触手が今アナルの中に入ろうとその周りを刺激していた。
どのような体位を取らせようかと迷っているかのように自分の手足を動かしている触手を見ながら、愛は、今度こそ自分の死を覚悟した。
END...