私の名は『少尉』とでもしておこう。
私は某国政府の一機関である研究所に所属するメンバーの一人である。
―あんなことが起こるまでは。
事件の発端となったモノは地下数千メートルにある先カンブリア紀(太古代)の物と測定される地層より発掘された。
『肉塊』−それはそう呼ぶのがもっともふさわしい外見をしており、全長約1メートル。一目見ただけなら巨大なナマコのようにも思える。
表面は生肉のようなピンク色で奇妙な臭いのする分泌物で覆われテカテカと光り、
時折ドクンドクンと心臓の如く脈うつような動きを見せている。グロテスクではあるが紛れも無く、一種の生命体であることに間違いはなかった。
遥かなる太古から深い大地の底で生きながらえてきたその生命力の秘密を探るべく、私の所属する研究施設に調査の指令が下った。
「例の生物が届いたそうね」
廊下をコツコツと響かせながら白衣の女性が語りかけてくる。
「はい。たった今B棟の第3ラボへと搬入が完了したところです。」
女性と肩を並べて歩く私が答える。
「しかし、信じられません。先カンブリア紀といえば30億年前・・・生命の原型ともいえる存在が現れ始めた頃でしょう。そんな時代の地層から生きた肉塊が掘り出されるなど・・・」
「そうね、ナンセンスだわ。でも厳然たる事実よ。数十億年もの永きを暗黒の地の底で化石化どころか死すら免れて生命活動を続けられる生物・・・ソレがこの時代に発見されたという、ね。」
冷徹な口調の中に未知への生物に対する激しい好奇心をほのめかしながら、我らが研究所の誇る生物学の権威、へレン教授は答えた。
ヘレン・シュナイダー。女性。26歳にして数々の研究・論文を発表し20を超える博士号を取得するに至った才媛である。
東洋人の女性の血を引いているらしく、髪は漆黒、腰まで伸びるロングヘアは艶やかで美しい。
綺麗に切り揃えられた前髪の下で銀縁眼鏡が輝き、彼女の知的なイメージを強調している。
白衣の下に隠されたその肢体はふくよかさを感じさせ、一流モデルとしても通用しそうなスタイルを誇っている。
無論、施設の研究員、兵士たちの間でも彼女は注目の的だった。
彼女は異性にはまるで興味を持たず、男性の誘いに応じるのは食事程度で、それ以上の接触は決して行わなかった。
むしろ異性よりも研究の方に熱意を傾け、「彼女にとっては男なんて虫や蜥蜴よりも魅力がない」等と陰口を叩かれるほどであった。
そのガードの固さにむしろ魅力を感じる男どもも多いようだ。
かくいう私も、彼女の理知的なイメージの下に隠されたその美しい肉体を思い浮かべ、邪な妄想を思い浮かべることがよくあった。
そして私は、この研究施設において、そんな彼女のボディーガードとしての任務に従事していた。
「肉塊、か。確か地底に蠢く原初の肉塊から生命の原型が生み出された・・・なんていう小説があったな」
「クトゥルー神話ね。ウボ・サスラ・・・いえ、この場合アブホース、かしら?」
私がなんとなく口にした言葉に、教授が乗ってきた。
「この世全ての不浄の母にして父・・・暗黒世界の粘着質の湾の中に横たわる神性ね」
「ずいぶんお詳しいですね。小説がお好きで?」
私は勝手に彼女は理系の分野にしか興味を示さないと思っていたので、こういった小説に関する知識が口から出たことについて驚いた。
ついでにいえば、クトゥルー神話と呼ばれる神話作品はどちらかと言えばマニアックな領域に入り込んだ小説である。
それらの作品に登場する神性の説明がすらすらと口をついて出せるような人間はなかなかいない。
「学生の頃に、ちょっとね。さ、着いたわ」
話を交わしている間に、私達はB棟第3ラボへ通じる扉の前までやって来ていた。
「さあ。いよいよ全ての母にして父たる存在とのご対面よ?」
クールに振舞ってはいるが、心中ではかなり興奮しているのだろう。
教授にしては珍しい冗談を言うと、私に向かって小さく微笑んで見せた。
肉塊を見た私の感想は、おぞましい、の一言であった。
透明のケースに閉じ込められたソレは、時折ビクビクと脈動して生命力をアピールしており、まさに生きた肉塊そのもの。
そんなグロテスクな代物を宝石でも見つけたかのように目を輝かせて見つめるヘレン教授に対して、私は苦笑を禁じえなかった。
まったく、病的な研究意欲だ。彼女の熱意に半ば呆れながら、私は研究員達の会話に耳を傾けた。
「CTスキャンによる調査の結果、心臓、肺といった臓器のようなモノは見当たりませんね。生物としては原始的な構造です」
「体温は平均36・5度。ほぼ人体と同じ程度で恒常性を保っているようです」
「分泌される粘液については?」
「現在分析中です。やはりこの『肉塊』の生命の秘密はこれでしょうね。常に分泌される粘液によって外部との環境を断ち切り本体を休眠状態で保存していたのでしょう」
「ただそれだけのことでで30億年もの間、生命を維持できるものだろうか?」
研究員たちが調査結果や推論を交し合うなか、ヘレン教授は『肉塊』の変化に気づいた。
「成長しているわ」
その一言に周囲の研究員は一斉に振り向き、ケースのまわりに群がった。
「発掘時のデータによると全長は1メートル程度のはず。それよりも30センチは大きくなっているわ。今も、ほら・・・」
確かに。『肉塊』は成長していた。少しずつ、風船が膨らんでいくように。
「発掘後に外気に触れたことで刺激されたのかもしれないわね。・・・ケースを開けてもらえるかしら」
教授の指示により、肉塊を覆っていた透明なケースが取り除かれる。
薄い術式用の手袋をはめた手で、ヘレン教授はそっと肉塊に触れてみた。
「・・・本当に、人間の臓器を触っているような感じだわ」
さすがの教授も不快感を覚えたのか、顔をしかめながら、肉塊の胴体と思しき部分に指先を這わせていく。
それに反応したのか、肉塊の胴体がビクン、と大きく痙攣した。
「きゃっ!」
思わず小さな悲鳴をあげるヘレン教授だが、さらに驚くべきことが起こった。
肉塊が変形し始めた−風船がしぼんでいくように平べったい姿に変わっていくのだ。
肉でできた羽毛布団のような状態・・・といえばおわかり頂けるだろうか。
一体この生き物は何をしようとしているのだろう・・・と皆が思ったその瞬間。
誰もが目を疑った。平べったくなった肉の布団が舞い上がったのだ。しかしそれだけではなかった。
「きゃあああああああああっ!!!」
舞い上がった肉塊がヘレン教授の身体に覆いかぶさった。私は呆然としながらその光景を見つめていた。
肉の布団の内側でヘレン教授がもがいているのが判る。
「助けて!」
ヘレン教授の悲鳴が聞こえる。とてつもない異変が起こっているのは誰の目にも明らかだった。
「な、なにこれ!?ま、まさか・・・いやぁ!離してぇ!!」
肉布団の内側から必死の叫びが聞こえる。
脳裏に浮かぶのはヘレン教授が肉塊に食われているのではないかという最悪の連想であった。
「きょ、教授を助けろ!」
すぐに周囲の研究員数名が肉塊に飛び掛って言った。だが。
「うわぁぁぁぁっ!」
肉塊に取り付いた研究員たちは波打つ肉塊の胴体に教授同様に包み込まれてしまったのだ。
ヘレン教授と数名の研究員を完全に包み込んだ肉布団は元のナマコ状の形態へと戻っていった。
しかし、その大きさは先ほどよりも遥かに巨大になっていた。
全長5メートルもの大きさになった肉塊がラボの中で窮屈そうに横たわっている。
想像を絶する事態の前に、私はパニックになりかけていたが、すぐに備え付けのホットラインから異常事態の発生を告げた。
ヘレン教授と数名の研究員が肉塊に食われた。すぐに救援を頼む、と。
まもなくB棟第3ラボへと、武装した兵たちが駆けつけた。
「殺してもかまわん!腹を引き裂いてでも教授たちを救出しろ!」
小隊長の号令のもと、銃撃が始まった。耳をつんざくような銃声が響き渡り、私の鼓膜を強く震わせる。
ライフル、マシンガンから放たれる無数の弾丸が肉塊の巨体に突き刺さった。
これだけの弾丸をもってすればいかな強靭な生命力を持つ肉塊とていきてはいられまい。そこにいた人間はみなそう思っていただろう。
だが、肉塊には全くといっていいほどダメージを与えることはできなかった。弾丸が命中するたびにその巨体はくすぐったそうに身を震わせるのみ。
「もっと派手にやってかまわん!ランチャーを用意しろぉ!」
焦りの表情を浮かべながら小隊長がそう叫んだ時、再び肉塊が行動に移った。
肉塊の胴体から、ロープ状の何かが伸びた。カタツムリが触覚を伸ばすかのように、胴体から伸びたそれは触手だった。それも一本や二本ではない。
胴体のあらゆる部分から数え切れないほどの触手が飛び出していた。そして触手の先は兵士たちにむかって狙いを定めたかのように伸びていく。
「く、くるぞ!?」
兵士の一人が叫ぶ。
「怯むな!攻撃を続けろ!」
狼狽の色がにじみ始めた兵士たちにむかって小隊長の激が飛ぶ。
兵士たちは迫り来る触手の先端に向かって銃撃を続けた。
「うわぁぁぁーーーー!!」
そんな中、ついに兵士の一人が触手の一本に捕らえられた。触手は兵士を信じがたい力で軽々と持ち上げると肉塊の本体にひきよせた。
触手から逃れようと必死にもがく兵士だが、抵抗むなしくその身体は怪物の本体に押し付けられ・・・
そして、私達は見た。肉塊の信じがたい捕食(?)方法を。
巨体に押し付けられた兵士の身体はズブズブと底なし沼に落ちるが如く沈み込んでいく。
「た、たすけて・・・・」
掠れた悲鳴を上げながら兵士は肉塊の胴体に飲まれるようにして消えてしまった。これこそ口の存在しない肉塊の捕食方法なのか!?
胴体に沈みこんだ彼が、どのように怪物に消化・吸収されるのか…はっきり言って考えたくもなかった。
私達が恐怖に震えている間にも、肉塊の『食事』は続いた。
勇敢な兵士たちは必死に重火器で抵抗しながらも、次々に触手に捕らえられていく。そして恐怖に満ちた悲鳴を上げながら怪物の胴体に沈み込んでいく。
さらに恐るべきことに、兵士たちを飲み込むごとに、肉塊は成長していった。
1メートル程度だった胴体はいまや10メートルを越え、ヌラヌラと光るそこからはうねうねとした触手が生え、兵士たちを片っ端から捕らえては自らの身体に押し付ける。
このままでは肥大した胴体に押しつぶされると判断した我々はラボから脱出した。ほどなく、B棟第3ラボは内側からの強力な圧迫によって崩壊しはじめた・・・。
数十分が経過した。
第3ラボを内側から突き破るほどに肥大化した肉塊は触手をさらに縦横無尽に伸ばし、施設内の人間たちに襲い掛かった。
兵士だけでなく、まったく事情が掴めない研究員たちに対してもその魔手は伸び、肉塊の体内へと取込んでいった。
そしてさらに巨大化する肉塊は我等の施設を押しつぶしていく。
奴の触手の餌食になることを免れ、脱出するヘリに乗り込むことに成功した私は、その様子を上空から歯噛みしながら眺めていた。
全施設は肉塊の蹂躙によってすでに半壊状態にあり、動いている人影は見当たらない。全て脱出したか、触手に捕らえられたのだろう。
そして我々生存者を乗せたヘリは、瓦礫と化した施設の上に横たわる巨大な肉塊を尻目に、この驚愕すべく事態を一刻も早く伝えるために飛び去ったのだった。
基地に残存していた人々をあらかた吸収しつくした『肉塊』はさらなる獲物を求めて行動を開始した。
『肉塊』はミミズのようにその巨体を伸縮させながら基地より数十キロ離れた場所にある小さな都市をめざした。
時速40km程のスピードで移動する『肉塊』はほどなく都市へとたどりつき、不幸な街の住民達を次々に飲み込んでいったのだった。
我々生存者の証言と、衛星写真で確認された基地の状態を確認した上層部の判断は実に速やかだった。
即ち、戦術核による『肉塊』の完全なる焼却である。
あらゆる重火器が通用しない巨大生物であるとは言え、核の強大な熱量をもってすれば死滅は可能。それが上層部の見解であった。
そして、十数分後。
無人となった都市の上空よりミサイルが飛来し、名状しがたき怪物を屠るべく、その莫大なエネルギーを解き放った・・・。
―こうして、太古より蘇った巨大怪物はあっさりと駆逐されたと思われた。
『焼却』が行われてから数日が経過した。
私は焦土と化した都市に対放射線防護服を身にまとい訪れていた。調査チームの一人として『肉塊』の状態を確認するためだ。
巨大な『肉塊』は丁度街の中心部あたりに炭化した肉体を横たえており、完全に活動を停止していた。
「さすがに、ここまでされればひとたまりもなかったようだな」
「焦点温度数万度の超超高熱ですからね。これに耐えられるような生物なんて、ジャパニーズ・カイジュウ映画くらいにしか出てきませんよ」
調査メンバーの一人が私の言葉にジョークを返す。
そんな明るい口調の彼とは反対に、私は暗澹たる思いに捕らわれていた。
思い浮かぶのは数日前のラボでの惨劇。そしてあの美しい女教授の姿。
そう、ヘレン・シュナイダー教授。私がついていながら、彼女を救うことができなかった。
確かにあの時点において『肉塊』の常識を超えた行動パターンを予測できる者など誰もいなかっただろう。
それでも、ボディーガードである自分が指をくわえて見ているだけだったという事実が腹立たしくてたまらない。
私が真っ先に喰われるべきだったのだ。それこそがボディーガードとしての自分に課せられた使命ではなかったか。
さらに思い浮かぶのは教授の男を引き付けてやまないあの肉感的なスタイルだった。
あの清楚な白衣の下に隠された熟れた女の肉体を想像しながら何度自慰にふけったことか!
そんな彼女の美しい体が化け物の体内で溶かされ、吸収されてしまったのだと思うと・・・悔やんでも悔やみきれない。
私が彼女に思いを馳せていたその時だった。
「あれは!?」
調査員の一人が驚愕の声をあげた。
炭化して固まった『肉塊』の表面にビシビシとヒビが入り始める。
やがて表面の炭がぼろぼろと崩れ、その中からあのピンク色の胴体が姿を現したのだ。
調査隊のメンバーは突然の怪物の復活劇にパニックに陥ると、呆然と立ち尽くす私を残し我先にと逃げ出していく。
『肉塊』は死んではいなかった。活動を停止していたのではなく、炭化した表面の内側で肉体組織の再生が完了するのを待っていただけだった。
やがて炭化した部分が剥がれ落ち、再びぶるぶると蠢きだしたその姿を目の当たりにし、私は戦慄した。
小型戦術核とはいえ、数万度を超える熱量をその身にあびても死なない怪物をどうやって殺すというのか?
震え慄く私の身体を、あの無数の触手が巻きつき、捕らえた。
防護服の中で絶望に満ちた悲鳴をあげながら私は『肉塊』の胴体にしずんでいった。
気が付くと私は、ブヨブヨと蠢く肉の床に横たわっていた。
身に着けていた防護服も、衣服も身に着けていない、丸裸の状態でだ。
混乱しながらも、私は起き上がると状況を把握すべく周囲を見渡した。
認めたくはないが、どうやらここはあの『肉塊』の体内であるらしい。
周囲の壁面はあの不気味な粘液で濡れており、奇妙なことにうっすらと光を放っているようだ。
お陰で日の光が無いにも関わらず、視界には不自由はしない。
しかし、私はふと疑問に思った。
なぜ、私は生きているのだ?
『肉塊』は食料として人間を吸収しているのだと思っていた。
しかし私は消化液の類で溶かされるわけでもなく、一糸まとわぬ素っ裸のままではあるが・・・生かされている。
そういえば、以前吸収された人々はどうなったのだろう。もしかして、私のように生きているのだろうか?
数々の疑問が私の頭を駆け巡る。
それにしても、この『肉塊』の体内の環境は不快極まりなかった。
湿度が異常に高いらしく、かなり蒸し暑い。おかげで裸でいるにもかかわらず汗が噴出してくる。
周囲には鼻をつく異臭が漂っており、それは人間の放つ体臭・・・汗、尿、リンパ液・・・そういったものが入り混じったもののように感じられた。
素足の裏には妙に暖かく、一歩踏みしめるごとにグニャリとした、人間の臓物を踏みつけているような不気味な感触が伝わってくる。
顔をしかめながら、私はなおも歩いた。状況は絶望的だが、ひょっとしたら体外に出られるチャンスがあるかもしれない。
そんなわずかな希望を胸に、私は不気味な肉の洞窟を進んでいった。
ぼんやりと光る肉の壁にそって歩を進める私であったが、ふと私の耳がごく僅かな小さな音を捉えたように思えた。
外界からの音かも知れないと思い、音のする方向へと足を速める。
音の発生源と思しき場所に近づくにつれて、私はそれが音ではなく、声だということに気が付いた。
「誰かいるのか!」
私の他にも、捕らえられてなお生存している者がいたのだ、という思いが私を勇気付ける。
「あ・・・う・・・」
返答があった。間違いない、人間だ。私は周囲を見渡し、どこから声が出ているのか突き止めようとした。
「どこにいるんだ。返事をしてくれ」
「たす・・・けて。あうっ・・・たすけ・・・」
どうやら女の声であるらしい。助けを求めているというなら、早く助けてやらねば。
しかし、奇妙なことに声は肉壁の中から聞こえてくる。私は警戒しながら声を発する肉壁の傍へと近づいていった。
その時、私はピンク色の肉壁の一部が少しづつ盛り上がってきているのに気が付いた。
私は目を見開いた。盛り上がった肉壁のその部分は序々に人型を形成していく。
「たすけてっ・・・ああ・・・そこのあなた・・・」
肉壁からせり出すように現れたそれは・・・女だった。私は、彼女に見覚えがあった。
「ヘレン・・・シュナイダー女史!?」
間違いなく、数日前の事件の日・・・
『肉塊』の研究に携わるはずが真っ先にソレに取り込まれてしまったヘレン教授の姿であった。
「生きておられたのですか」
「しょ、少尉・・・あなたも捕まってしまったの?」
見知った顔が現れたことで一瞬安堵の念が心をよぎったが、だがそれよりも彼女の身体の状態に目を見開いてしまう。
私と同様、彼女もまた全裸であるのだが(何故かトレードマークである銀縁眼鏡はかけたままだ)
両手両足首が肉壁にめりこんでおり、身動きがとれない状態で拘束されている様だった。
お陰で彼女の見事な裸体を余すところ無く鑑賞できる。
彼女が身じろぎするたびにタプンと揺れる豊満な乳房の先端にはプクリと膨らんだピンク色の乳首が突き出し、
無駄な肉が削ぎおとされたかのような引き締まったウェストから大きめのヒップにかけてのラインは滑らかな美しい曲線を描いている。
股間の茂みは薄めで、その奥には肉壁の粘液なのか、あるいは愛液によってか・・・濡れた女の部分が淫猥な輝きを放っていた。
「お、お願い・・・あまり見ないで・・・」
彼女の有様に、私は思わず生唾を飲み込んだが、できうる限り平静を装いつつ彼女に語りかける。
「一体何がどうなっているんですか。他にも生存者はいるのですか」
「ええ・・・い、生きているわ・・・いえ・・・生かされている・・・」
「なんですって?」
「この『肉塊』は・・・通常の生物とはまるで違うものを滋養物としている・・・
我々のように他の生物の身体を食するのではなく、精神・・・うああっ!」
説明は悲鳴によって途切れた。いやこれは悲鳴ではなく、嬌声。
肉壁から、あの恐るべき触手が飛び出していた。その数は10本ほど。
触手の先端は身動きできないヘレン教授の肉体にまとわり付くと、全身をまさぐるように蠢き始めた。
触手の形状は2種類あるらしく、まるで人間の指先のように先端が枝分かれしているタイプと、先端が男性器に酷似したタイプが肉壁から伸びている。
「あああ・・・ま、また・・・!ああっ・・・駄目!」
その触手の動きは、まるで荒々しい愛撫のようであった。
指先型の触手(以後、単に『手』と呼ぼう)はヘレン教授の豊満かつ張りのある乳房を鷲掴みにすると、ぐにぐにとこね回す様に蠢いた。
さらに触手ペニスが乳房の先端、そのピンと張り詰めた乳首をいたぶるようにぐりぐりと押し付けている。
他の『手』は粘液のしたたる指先で彼女の白い腹をなでさすり、また別の『手』は肉付きのいい尻を撫で回すように動いていた。
呆然とする私の目の前でさらに触手どもによる陵辱は続く。
しかも、この陵辱劇はこれだけに留まらなかった。
「あああっ…いやぁーーーーーーーッ!!」
教授の身体を食い入るように見つめていた私の耳に、別の女性の悲鳴が飛び込んできた。
新たな声は私の背後から聞こえた。教授同様、肉壁に貼り付けとなった裸の女性が全身を触手に絡め取られていた。
「お願いっ…もう放して…!あたしを、家に、かえしてぇ…ふあああっ」
まだハイティーンといった風情の少女だった。おそらくは先日『肉塊』に襲われた街の住人であろう。
未成熟の肉体に容赦なく行われる愛撫。しかも相手は人間の男ではなく、おぞましい触手である。
触手に嬲られているのは彼女だけではない。よくよく見れば、周囲の肉壁にはたくさんの女性が捕らえられているのがわかった。
そして彼女ら全員が、触手どもに陵辱を加えられているのだ。
あまりにもおぞましくかつエロティックな光景に私のむき出しの股間は大きく膨れ上がっていた。
「こ、これが・・・『肉塊』にとっての食事・・・・はああっ・・・」
全身を襲う苦痛や快楽を必死に堪えながらヘレン教授は続ける。
「・・・恐怖・・・苦痛・・・理性を飲み込むほどの快楽・・・そ、それがこの生物が求める滋養物・・・」
その為の陵辱だというのか。恐怖を、苦痛を、快楽を増幅するための。
「こ、この管が見える・・・?」
こめかみの数センチ上の部分とうなじのあたりから左右に肌色の管が伸びており、肉壁とつながっているようだ。
「お、おそらく、首のところから私達を生かすための栄養分を注入されているんだわ。
こめかみの管は脳のコンディションを保つため・・・つまり、安定して『精神』を供給できるように、
微弱な電流と一種の脳内ホルモンを注入して・・・獲物の精神状態を常に正気に保っている・・・」
そして彼女らは生かされ続けている・・・いや、飼われているのだ。滋養分を吸い取られる為に。
私は教授を肉壁から引き剥がそうと試みた。だが、肉壁にめりこんだ両手足首は引き抜くことは適わなかった。
いや、違う。めりこんでいるのではなく、肉壁と一体化しているのだ。これでは四肢を切断しないかぎり、救出は不可能だろう。
「何度も、舌を噛み切ったわ」
ヘレン教授が声を震わせて言った。
「こんな陵辱が続くくらいなら・・・死んだほうがマシだと思った。でも駄目。死ねない・・・」
恥辱に打ち震えながら彼女は続ける。
「再生してしまうの。見て・・・ぐっ!」
ぶつっ。肉の千切れる嫌な音が彼女の口元から聞こえた。なんと彼女が自らの舌を噛み切ったのだ!
「な、教授!なにを・・・・!?」
ぽとり、と口の中から零れ落ちたピンク色の肉が足元に落ちた。
いきなりの教授の行動に、私は思わず叫び声をあげそうになったが、彼女の開かれた口の中を見やってまた息を呑んだ。
切り離されたはずの舌が再生を始めているのだ。傷口から新たな組織が再生され、信じがたい速度で元の形へと戻っていく。
それは蜥蜴の尻尾の再生をハイスピード撮影で見せられているかのようだった。
やがて、舌が完全に元に戻ると、呆然とする私に教授が語りかけた。
「わかったでしょう・・・私たちはもう肉塊の組織の一部になってしまっているの。無限の生命力と再生能力をもつ不死身の肉塊の一部にね・・・」
「そ、そんな・・・」
「少尉、あなたはなんとしてでも脱出して。このままここにいたら、あなたまで一体化してしまう。このおぞましい触手の・・・ああう!」
触手たちが新たな動きを見せ始めていた。
「あ・・・だ、駄目!やめてぇ!・・・んああ!」
触手ペニスが、彼女の股間にその先端をもぐりこませようと蠢いていた。『手』が彼女の花弁をこねるように動き回り、触手ペニスを導くかのように、膣口をぱっくりと広げてみせる。
「だ、ダメぇ!!少尉!お願い見ないでぇええ!!!」
そんな彼女の懇願など、私の耳には入らない。私の目はズブズブと彼女に進入していく触手ペニスの動向を見つめていた。
やがて、彼女の内部に侵入した触手がウネウネと波打つかのように蠢き始めた。
「あああ・・・・!!そ、その動きダメぇ・・・!ひぃぃいいいっ!」
粘液と愛液で充分に潤った花弁からは触手が動くたびにヌチャヌチャと淫猥な音が聞こえてくる。
胎内に潜り込んだ触手ペニスは人間のモノとは異なるその柔軟性を発揮し、蛇の如く彼女の膣内でニュルニュルとのたうつのだ。
「んっ、ぐっ・・・あぁあああッ・・・うごか、ないで・・・!――んんんひぃぃっ、あひゃああああっ!!」
触手に胎内を犯される教授を見つめながら、私は教授が取り込まれてから今までの間に、どれほどの責め苦に遭わされてきたのかと思いを馳せた。
肉塊と一体化した彼女は今の今まで、私と再会するまでの数日間、四六時中犯されていたというのか。
この疲れを知らぬおぞましい触手どもに、美しい肉体を弄られ、愛撫され、いたぶられていたのか。
柔らかな唇を、豊満な胸を、乳首を、引き締まった腹を、股間を、太腿を、膣口を、菊門をペニスに蹂躙され、陵辱されていたのか。
「あああ・・・!!見ないで少尉っ!犯されているところなんて・・・んあはぁぁっ!・・・・み、みない、でぇぇえええ!」
この時私の胸に去来していたものは、この恐るべき不幸に捕らわれた教授に対する同情でも、憐憫でもなかった。
目の前で繰り広げられる淫靡なる人外の性行為を目の当たりにして、私自身、強烈な性的興奮を掻き立てられていたのである。
気が付くと私は、激しく勃起した自らの肉棒を必死に擦り挙げていた。
恥も外聞もなく、息を荒げながら、目の前で蹂躙される憧れの女性を見つめながらの自慰行為だった。
そして、犯されていたのは勿論彼女だけではない。周囲の肉壁に捕らわれた女性たちもまた、触手の洗礼を受けていたのだ。
「ああああ、はいってくるぅうぅ…ひ、ひぃいああ、だ、だめぇ…う、ごいちゃ…ああぁぁ!」
背後の少女が教授同様に、触手ペニスによって膣内を犯されていた。そして一方では、
「んんあぁぁぁぁ、き、きもちいいいよぉうぉうぅぅぅ、ふ、ふぁはぁぁぁあ…」
陵辱行為は年端もいかぬ幼い少女もまた例外ではなく、未発達の乳房や尻を這いずり回り、女として成熟していないはずの花弁におぞましいペニスを突っ込んでいた。
そして、おそらく母親であろう女性が、自らも犯され、嬌声をあげながらも、快楽に屈してだらしなくあえぐ幼い我が娘の姿を悲しげに見つめるのだった。
そんな陵辱劇が、私の周囲のいたるところで起こっていた。
肉塊の体内における環境…蒸し暑さ、体臭、むせ返るような女の臭い、悲鳴、嬌声、苦悶、喘ぎ。
それらが私の思考から理性を削り取っていくようだった。
「あああ、おおおおお」
間抜けな声をあげながら、私ははちきれんばかりに膨れたペニスをしごきまくる。
「あ、あああ、いひぃいいくぅぅぅ!またいくぅぅぅふううぅっ!!ひっ、ひうぅ、あうあっ・・・・あ、んああああああーーーーーーーーーっっっ!!!!」
「ふああああ、きょ、教授・・・・・うおおおおおおーーーーーっっ!!??」
教授の絶頂時の悲鳴を耳にしながら、私は強烈な射精を放っていた。
信じがたい量だった。ビュルビュルと噴水のように噴出す精液は目の前で絶頂を迎えてぐったりとしているヘレン教授の身体に降りかかり、纏わり付いた。
その時に私の中で何かのタガが外れてしまったのだろう。私は未だに股間に蠢く触手を突っ込まれている教授にゆっくりと近づいていった。
「あ・・・しょ、少尉・・・?」
呆けたような声を出す教授に向かって一言。
「―すいませんね、ヘレン教授」
言うが早いか、私は教授の豊満なバストに掴み掛かった。
私が両手を伸ばすと、今まで胸を愛撫していた『手』が場所を譲ってくれるかのように引っ込められる。
両手のひらで彼女の豊満なバストを鷲づかみにすると、力を込めて揉みしだいた。
「んぐぅ・・・!少尉、何を・・・・」
抗議の声をあげる教授であったが、私は全く取り合わずムッチリと肉の詰まった柔らかな双丘をグニグニとこね回す。
ボリューム感溢れる大きな胸は強烈な弾性でもって私の指先を押し返そうとするが、その感触はなんともいえず心地よい。
「い、痛いわ・・・!ああ、どうしてしまったの少尉・・・!?」
「ああ・・・!このいやらしい胸を・・・触手どもにずっと嬲られていたのですね」
私は感慨深げに呟くと、彼女の乳房に顔を埋め、充血した乳首にむしゃぶりついた。
舌先で乳首の先端を転がし、舐り、味わい、さらに吸引し、また転がす。ジュパジュパと音を立てながら、私は執拗に口内で乳房を責め立てた。
「ふぁ・・・ん、んああっ・・・だ、だめよ少尉・・・おねがい、こんな、ことぉ・・・はぁぁ・・・っ」
それでも私は彼女の乳房を味わい続けた。興奮のあまり乳首に思い切り歯をたててしまったが構うことはない。
どうせ傷がついてもすぐに再生するのだ。何度も舐めまわし、かぶりつき、思うが侭に豊かな胸を堪能する。
「や、やめて・・・!お願いよ、少尉・・・気をしっかりもって・・・」
乳房に与えられる痛みと、快楽に耐えながら彼女が説得を試みる。
「ああ、このままでは・・・あなたも一体化してしまうのよ。お願い、早く逃げて。なんとしてもここから脱出を・・・」
「何を言うんですか。こんないやらしい体を放って置いて逃げるなんてできる訳がないでしょう」
「わ、私は・・・いやらしくなんか・・・!」
「普通は、こんな大きな胸は感度が悪くて全然感じないものなんですよ・・・それなのにあなたの胸ときたら、
こんなに肉がミッチリと詰まっているというのにちょっと吸い付いたくらいでもうこんなザマだ」
私はまた、彼女の固くしこった乳首に歯を立てる。
「い、痛いぃぃ!!噛まないで…切れちゃう…」
「どうせすぐに治るんでしょう?」
「ああっ…酷い…」
すすり泣くように彼女は言った。そんな彼女の様子はさらに私の嗜虐心を刺激する。
私はにやにやと下卑た笑みを浮かべながら胸から顔を離した。
「見てくださいよ、教授。あなたのいやらしい胸を味わっている間にまたこんなふうになってしまった」
私自身のペニスは再び力を取り戻し、パンパンに腫れ上がっていた。
「ヘレン教授・・・触手ばかりに犯されるのもつまらないでしょう?」
「…!?」
彼女の膣内には先ほどから触手ペニスが侵入したままであり、執拗に胎内をまさぐっている。
「ならば・・・こちらの穴を使わせていただきます」
そういって、私は彼女の大きな尻を掴んで、その中心の小さな入り口に狙いを定めた。
「な…もういやぁ!!お尻はもういやよぉ!!許して…!!」
と、いうことはやはりアナルも開通済みということか。初物でないのは残念だが…まあいい、ヘレン教授の尻穴を犯せるのだ。贅沢はいえないだろう。
いよいよ私は肉棒の先端をアナルに宛がうと、ゆっくりと押し込んでいった。
「ああ…入って…くる…酷い…んふううっ」
ヘレン教授のアナルは私のペニスを殆ど抵抗なく受け入れてしまった。
おそらく、何度もアナルを貫かれ、裂けたり再生したりを繰り返すうちに、ペニスを受け入れるのに丁度いい具合に拡張されてしまったのだろう。
それにしても、なんという心地よい尻穴だろう。粘液と腸液で充分な滑り具合、ペニスを包み込み締め上げるザラザラとした熱い腸壁。
「ああ、教授。どうやらアナルも触手どもにしっかりと開発されてしまったようですね」
「い、言わないで…思い出させないで…ああ…いやぁ…」
触手どもに尻穴を嬲られたことを思い起こし、ヘレン教授が恥辱に身を震わせた。
「では…私もあなたのアナル、たっぷり楽しませてもらいますよ」
そう言うと私はアナルへの抽入を開始した。ペニスを受け入れるのに最適化されたアナルにズボズボと容赦の無いピストンを行う。
「んんあああっ!!んふあああ、お、おしり、だめ…あ、あつい…っあああっっ!!」
苦悶の声を上げるヘレン教授であったが、その声には明らかに快楽の色が交じっている。
抽挿を繰り返す度に、潤滑油の役割を果たす粘液がブチュブチュと音を立てていた。
「ああ、まさか教授のアナルを犯せる日が来るなんて…しかも私のペニスを気に入ってくれたようで何よりですよ」
「いや…こんなの、い、いやよぉ…はひゃああ、お願い…お尻犯さないで…んううああ!」
私はお尻を犯すことに夢中であったが、その間にも触手どもはヘレン教授の全身への愛撫をやめたわけではなかった。
数本の『手』が再び彼女の胸部へと伸び、豊満な乳房の感触を楽しむように弄っている。
「あ、あああ、むねぇっ…また、胸がぁ…きもちよくなっちゃうっ…ふむオッ」
苦しげな吐息を吐き出す唇に、別の触手ペニスを押し込まれた。ペニスは彼女にイマラチオでもさせるかのように口内を蹂躙する。
ズン、ズンとノドの奥まで犯されるような衝撃に、ヘレン教授は苦しそうに呻いた。
そして、相変わらず膣内に挿入されて蠢く触手。
私は自分のペニスをアナルに挿入しながら、薄皮を隔てた彼女の胎内でグリグリとのたうつそれの動きを感じていた。
さらに、太腿、腹、全身いたるところにペニス型、『手』型の触手が這い回り、彼女の肉体にそれらの表面から分泌される粘液を塗りたくっていた。
ローションのように塗りたくられた粘液はテカテカと光を反射し、彼女の美しい体をいやらしく際立たせていた。
アナル、ヴァギナ、口の3穴を塞がれたヘレン教授は激しい苦痛と快楽によって失神寸前であった。
何度も全身を痙攣させ、ヘレン教授は数え切れないほどに絶頂を繰り返していた。
それこそ不死身の肉塊と一体化していなければ、ショック死してもおかしくないほどに。
だが、私は容赦せずにアナルを貫く。彼女の身体が与えてくれる甘美なる快楽を更に貪るため、
そして彼女に死すら超える快楽を与えるために、私はさらに腰を振り続けた。
そして、いよいよ射精の衝動が高まってきた。他の触手ペニス達もビクビクと脈動を始め、絶頂が近いことを示していた。
「はぁっ、はぁっ…!!おおおおお、い、イきますよ教授!!このアナルに、た、たっぷりと出してあげますよ!!」
「おがぉああっっ!!もぐぅおおおう…ふあ、んんおああああッ!!」
ノドの奥まで触手ペニスを突っ込まれたまま、彼女はもはや正気なのか狂気なのかもわからぬ絶叫を漏らした。
「おおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーっっっっっ!!!!!!」
私がケダモノのような咆哮を上げると同時に、アナルに挿入したままのペニスから夥しい量の精液が発射された。
そして私のペニスからだけではなく、口を犯していた触手からも、ヴァギナを犯していた触手からも信じがたい量の白濁液が噴出した。
アナルから注入された大量の白濁液は彼女の直腸内をも満杯にし、奥の臓器までも達した。
口内で発射された精液は彼女の胃の中に流れ込み、許容量を越えた分は吐き出され、彼女は激しくむせた。
胎内で発射された精液は膣を破裂するかと思わせるほど膨らませ、ペニスが引き抜かれた瞬間、噴水のように膣口から噴出した。
ようやく射精がおさまると私はアナルからゆっくりとペニスを引き抜いた。
締まりのないだらしない尻穴からはブチュブチュと私がはきだした精液が逆流し、噴出している。
彼女は白目をむいて、時折びくんびくんと身体を痙攣させていた。
ブツブツと何かを呟いている。狂ってしまったようだ…が、彼女自身が先ほど話したように、脳のコンディションを調整されれば再び正気に戻るのだろう。
そう、狂気に陥ることも、死ぬこともできない彼女にとって、安らぎはもはやありえないのだ。
「あ、あああっ!んはぁぁぁん…っ」
最初にアナルを犯してからどれだけ時間がたったろうか。私は彼女の身体を貪り続けていた。
彼女のアナルで、ヴァギナで、口で、柔らかな胸の谷間で、何度も射精を続けていたにも関わらず、我が肉棒は萎えることなく勃起し続けていた。
犯している間、私は彼女が危惧していた通り、自分の足元が肉の床と一体化し始めていることに気づいていた。
しかし、そんなことはもはやどうでも良かったのだ。そんな事実よりも彼女と繋がり、爛れた肉欲を貪り続けることこそが今や私の最優先事項であった。
「んはぁぁぁぁっ、い、いぐうう、またいくぅっ…!ひはぁぁぁぁーーーっ…」
絶頂を迎える彼女の胎内に、また私は大量の精液を放った。私の精巣は常軌を逸した勢いで精子を大量生産していた。
それは単に彼女の身体が魅力的だから、という理由だけではなく、何らかの力が私の身に影響を及ぼしているかのようだった。
足元と肉壁の一体化が進む中、私は射精したばかりのペニスで再び彼女への抽挿を開始した。
無限に湧き上がる肉欲を満たすべく動き続ける私であったが、ほんの少し残された理性は、改めて一つの疑問を脳裏に浮かべさせていた。
『肉塊』とは一体どういう存在なのだろう、と。
ヘレン教授は言った。快楽こそがこの肉塊にとっての滋養分なのだと。今、私が彼女を犯すことによって生まれてくる快感すらも、肉塊は吸収しているに違いない。
ああ、そうか。私は一人納得した。私の内に沸き起こってくる女の肉体への強烈な渇望もまた、肉塊の意思によって生まれているのだと。
私もまた、肉塊が快楽を食べるための道具となってしまったのだと。だからこそ私の肉体は疲労を知らずに彼女を犯し続けることができる。
私の欲望は肉塊の欲望でもあった。それを理解した時、私は自分の体内で、とある変容が始まっているのに気が付いた。
何百回と射精を繰り返しているうちに、身体が溶けていくような感覚が私を包み込んだ。
事実、私の体内の骨格が失われつつあった。少しづつ骨が細かく崩れ、他の組織と混ざり合っていく。
人としての輪郭もまた、崩れつつあった。骨が失われていく私の身体はグニャグニャと揺らぎはじめ、本来の形が失われていく。
それでも、私は腰を振り続けた。この至高の快楽を味わい続ける為に、激しいピストンを繰り返す。
その行為は、私の体の『腰』と呼べる部分が形を成さなくなっても続けられた。
そして、さらに時間が経過すると。
私の身体に残されたものは、激しく彼女を貫き続けるペニスと、彼女の身体を愛撫する『手』だけになっていた。
私は、触手となっていた。女を犯し、愛撫し、蹂躙し、嬲り、無限の絶頂を与えるべく蠢き続ける肉塊の器官の一部と成り果てていた。
私は肉塊であり、肉塊は私であった。私は物言わぬ触手となった今も、彼女を更なる快楽へと導くべく蠢き続けている。
そしてペニスとなった『私』は今、彼女の柔らかな胸の谷間でその感触を楽しむべく蠢いていた。
「んふふぅ…はぁぁ、そんなに、暴れない、で…」
深い胸の谷間に包み込まれた私自身を、銀縁眼鏡の奥の蕩けきった瞳で見つめながら、ヘレン教授が囁く。
もうこの姿になってからどれだけの時間が経過したのだろう?数日しかたっていないような気もするし、数十年がたっているかのような気もする。
それでも、肉塊の組織の一部である彼女の身体は老いることも疲弊することもなく、肉欲を掻き立てるための美しい姿で私を楽しませてくれる。
彼女は一時的に自由にされた両手で胸を両側から圧迫し、私自身を押しつぶすように圧力をかけてくれている。
その弾性と暖かさはまたも私の射精感を刺激し、先端からカウパー液を滲ませた。
他の触手たちも、相変わらず彼女の全身を犯し続けている。粘液に濡れる彼女の肉体を、縦横無尽に這い回り、愛撫する。
「ああ、もっと…もっと犯して…私の胸も…お尻も…全部使っていいから…」
言われずとも、触手たちは彼女の穴という穴に侵入していく。膣内を、腸内を、咽喉を、かき回し、蹂躙する。
「むう、ぷはぁ…れろぉ…んああ…おい、しい…」
口の中を犯されながら、口内の触手ペニスの先端を舌先で嘗め回すヘレン教授。
チュパチュパと淫らな音を立てながら、うれしそうにペニスを味わうその表情にはかつての理知的な才媛の面影は無い。
肛門もすでに排泄器官などではなく、ペニスを突っ込まれ快楽を生み出すための器官と成り果ててはいたが、
抽挿の繰り返しはかつて行われていた排泄の感覚を思いおこさせ、彼女に倒錯的な快感をもたらしている。
無論、彼女の膣内にも触手はその先端を突っ込ませ、ズコズコと最奥にぶつかるほどの勢いでピストンが繰り返されていた。
「んあああん、すごい、すごいのぉぉ…もっと、もっとペニスほしい…私をかきまわしてぇ…こわれちゃってもいいからぁああ」
彼女の声に答えるかのように、肉壁からはさらに多くの触手が伸び、その先端で彼女の身体を愛撫し始めた。
ヌルヌルの粘液で滑る彼女の柔肌はグロテスクなペニスたちに嬲られ、犯されつくした。
無数のペニスに取り囲まれ、彼女は何度も上り詰めていく。
彼女は無限の快楽に溺れながら、自分の大きな乳房を揉みしだき、その谷間に挟まれた私も、もはや我慢の限界が近づいていた。
「ああん、だ、だすのね…い、いいわ、いっぱいだして…また精液で汚して…くさい精液飲ませて…おなかいっぱいにしてぇ…!!」
ついに私は深い胸の谷間で強烈な射精を始めた。いや、私だけではなく、他のペニスたちも一斉に射精した。
彼女の口の中で、アナルで、膣内で、太腿、乳首、腋、腹、臍、いたるところで射精が行われ、夥しい量の精液が噴出した。
「…んあああああーーーーーーーーっ!!す…すごぃいいいいいぃぃ!!お、溺れちゃうううぅぅ…精液で溺れちゃうぅぅぅぅっっ!!」
肉の床の上には白いネバネバの液体がたまり、さながら精液風呂のようであった。
強烈な精臭を放つ液だまりの中で、全身を真っ白く染め上げたヘレン教授はなおも見せ付けるかのようにいやらしい手つきで乳房を揉みし抱きながら、
「いいわぁ・・・もっとほしい…もっと精液ほしいのぁ…もっとだしてぇ…精液漬けにしてぇ…」
さらなる快楽を、蹂躙を望むのだった。
望むところだといわんばかりに、再び触手たちは彼女の美しい体にまとわりつき、犯し始めた。
「ああああーーーーっ…またいくぅ…いっちゃううううううーーーーっっ…」
休むことなく、それは続けられるのだった。
『肉塊』となった私は今もなお成長をつづけている。
人間たちを体内に捕らえ、女は快楽を育てる為の家畜として生かし、男どもは女を犯すための器官として取り込んでいく。
ヘレン教授の身体も素晴らしいが、毎日のように増えていく女たちを犯していくのもまたこの上ない悦びだ。
時折、私の外側から核ミサイルと思しき小さな衝撃を感じることがある。それは私の表面を多少焦げ付かせる小さな火花だ。
馬鹿どもめが!そんなもので私が殺せると思うのか。数十億年もの歳月を生き続け、今やこの大陸の半分を覆いつくさんばかりに成長したこの私を!
悠久の昔、この星の生命の原型を生み出した私は、今再び全てを一つに吸収するべく活動している。
もうすぐ、もうすぐだ。私はこの星の全てを飲み込み、原初の最初の存在へと戻る。『全ての母にして父たる存在』へと。
そしてその暁には、ヘレン教授を初めとするありとあらゆる女たちを、全ての宇宙が終焉するその時まで愛撫し、蹂躙し、犯し続けよう。
そう、未来永劫の肉の宴を繰り広げるのだ。
完