大半の人間が既に眠りについている時刻。  
町のほぼ中心部に位置するとある学園の校庭に2つの影があった。  
影の1つは少女のものだ。  
年のころはちょうどこの学園に通っているくらいだろう、闇夜に溶けそうな漆黒の長髪が印象的な少女だった。  
彼女の服装は白衣に緋袴の巫女装束。  
元旦の神社ならともかく、深夜の校庭にはいささかそぐわない格好をしたその少女――朝凪昴は、真剣な表情で闇の向こうを見据えていた。  
彼女の視線の先にいるのは巫女装束の少女より遥かに場違いな存在、1頭の虎だった。  
昴と虎は、数メートルの距離を隔てて睨み合う様にして対峙している。  
「おとなしくしてください。そうすればすぐに送ってあげます」  
昴は胸の前まで引き上げた両手の指で複雑な形を作りながら、普段より低く抑えた声音で目の前の虎に告げた。  
それに対し、虎は唸り声を上げながら身を低くする。  
それが服従の意を示すためのものではないことは明らかだった。  
むしろいつでも飛びかかれるように力をためているのだろう。  
予想はしていたが、言葉が通じている様子がないことに昴は落胆の念を感じずにはいられなかった。  
言葉は通じていても従うつもりがないだけなのかもしれないが、どちらにしろそれでは平和的な解決は望めない。  
「お願いします。わたしはあなたのことを傷つけたくないんです」  
駄目で元々ともう1度呼びかけてみるが、反応に変化はない。  
もちろん昴とて相手が普通の虎であれば、最初から会話を試みようとは思わない。  
だが目の前の虎は普通の生物ではなかった。  
俗に言う幽霊、肉体を失ったものが何らかの理由で魂だけこの世に残ってしまった存在。  
昴の家は代々そういった幽霊――ときとして妖怪までも――を退治することを生業とする家系だった。  
 
しかし、その朝凪も今では昴と、朝凪神社の神主を務めている彼女の父親だけになってしまっていた。  
昴が生まれるよりも10年ほど前にこの町に現れた妖怪――鵺に、朝凪は総力をもって対応し  
何日にも渡る戦闘の末、瀕死の重傷を負わせることに成功した。  
しかしその戦いの代償は大きく、その頃には多くの者が命を落とし、生き残った者もそのほとんどが深い傷を負っていたため、逃走に入った鵺に止めを刺すだけの余力はなかったのである。  
朝凪の直系たる昴の母もその戦いで傷を負い、それが元で昴を産んで間もなく他界してしまった。  
そして今や昴の唯一の家族であり父は婿養子であり、異能の力は持っていない。  
それ故、現在この町でその力を持っているのは昴だけになってしまっていた。  
指導してくれる相手もいない中、昴は几帳面な性格だったらしい母が自身の修行中に綴ったノートを教師役にして修行を積んできた。  
そんな彼女にとっての初めての実戦が今日。  
しかし初陣であるにもかかわらず昴の心は自分でも驚くほどに落ち着いていた。  
母のノートには、よほど悲惨な死に方をしていない限り、動物霊は大した驚異ではないとあった。  
見る限り目の前の虎の姿は、テレビなどで見たことがあるものと同じだ。  
もし強い恨みが残るような死に方をしているなら、それが反映された姿になるはずである。  
つまり、目の前の虎は昴が戦っていかなくてはならない相手の中でも、最も弱い部類に入る相手だった。  
「大丈夫、ただの動物霊ならわたしにだって」  
昴がそう自分に言い聞かせたのとほぼ同時、虎が一気に前に出た。  
限界まで引き絞られた弓から放たれた矢の如き加速。  
2人の距離が、文字通りあっという間に縮まっっていく。  
 
「ごめんなさいっ!」  
咄嗟に昴の口から漏れたのは場違いとも思われる謝罪の言葉。  
それは狩られる者が狩る者に対し放つ命乞いの言葉ではなく、倒すべき相手とはいえ、これから苦痛を与えてしまうことに対して思わず口を突いて出てしまったものだった。  
果たして、凶悪な爪と牙が昴の体に届く直前、虎の巨体が何かに弾かれる様に後方へと吹き飛んだ。  
深夜の校庭に響き渡る鈍い音。  
10メートル近く弾き飛ばされた虎は、何をされたのかわからず混乱しているかのように首を振りながらゆっくりと起き上がった。  
写真でしか知らぬ母の後を継ぎこの町を守っていくことこそ、唯一自分にできる親孝行と考えこの道を選んだものの  
元来昴はこういった命を懸けた戦いはもとより整備されたルールに基づくスポーツですら他者と競うことを好まなかった。  
そんな彼女にとって、たとえそれが自分の命を奪おうとしている相手であっても、誰かが苦しむ姿を見ることは到底気分の良いものではなかった。  
「おとなしくしてください。そうすれば……」  
言葉が通じないと分かっていても、もう1度呼びかけた昴に対する応えは再びの突進だった。  
昴の言葉の途中で走りだした虎は、やはり昴の目の前まで来たところで弾き飛ばされる。  
今回はそのまま倒れこむことはなく空中で体勢を整え着地した虎が、不機嫌そうに喉を鳴らした。  
「もう止めてください。そんなことしても……」  
正面からは無理だと悟ったのか、虎は昴を中心に円を描く様に移動して、別の方向から突撃をかけた。  
しかし結果は変わらない。  
昴が構築した不可視の障壁は、彼女の身体を360度取り囲んでいた。  
右から、後ろから、左から、そしてまた正面から、何度も何度も向かってきては弾き飛ばされる虎の巨体。  
昴はその姿に心を痛めながら、攻めに転じる機会を窺っていた。  
昴が今使っている術は鉄壁の防御と引き換えに、内側からの攻撃も封じている。  
そのため攻撃に移る際には一度術を解かなくてはならないのだが、ひっきりなしに続く虎の体当たりの前になかなかそのタイミングが掴めずにいたのだ。  
しかしもう何度繰り返されたかわからないほどの体当たりの後、起き上がった虎はそれまでとは違って昴に背を向け逆方向に走り出した。  
 
(いまだ!)  
戦意を喪失して逃亡を図るその背に好機を感じ、昴は護りの術を解いて別の術の構築に入った。  
幸いここは校庭で視界が開けているため、その姿を見失う前に攻撃用の術が発動する――はずだった。  
「なに……?」  
一瞬目の前が暗くなり、気付いた時には世界が90度回転していた。  
頬に当たるざらついた土の感触が自分が地面の上にうつ伏せで倒れているということを教えてくれるが、なぜそんな状態になってしまったのか全く見当がつかない。  
そこで混乱する頭にさらに拍車をかけるような事実に昴は気付いた。  
手足の感覚がなくなっているのだ。  
視線を向ければもちろん地面の上に投げ出された自分の手足が見える。  
けれどそれを動かそうと脳から指令を送っても、それらはまるで他人の手足であるかのように彼女の意思には従ってくれなかった。  
そんな状態では新たな印を組むどころか、立ち上がることすらできるはずもない。  
(早くしないと逃げられて……)  
その思考は不意に背中に置かれた重みによって中断される。  
首をひねり、その重みの主が先ほどまで彼女が戦っていた虎であることを認識したところで、ようやく昴は思い至った。  
動けなくなった獲物から逃げる必要などどこにもないことに。  
冷水を浴びせられたように一気に頭の中が冷える。  
絶望的な状況がかえって心を落ち付かせてくれたのか、昴はようやく異変の原因と思われるものを発見した。  
昴の周囲を囲むように黒い陽炎とでもいうべきものが生まれている。  
夜の闇の中では目を凝らしてもなお辛うじて認識できるようなそれがあるのは、ちょうど虎が円を描くように移動していたあたりだ。  
(術……? でもどうしてただの動物霊が……?)  
「なんとたわいない」  
老人のようにしわがれた、ひどく聞き取りにくい声が聞こえた。  
 
老人のようにしわがれた、ひどく聞き取りにくい声が聞こえた。  
驚いて声の発生源に視線を向ける。  
そこにあるのは紛れもなく虎の顔だった。  
「この程度であれば小細工など不要であったな」  
続けて放たれたその言葉は確かにその虎の口から発せられていた。  
と、昴の視線の先で虎の頭部に幾つかの穴が生まれた。  
その穴は見る見るうちに大きさを増し、それがある程度まで広がると頭部の皮膚がズタズタに破れた布きれのように地面に落ちた。  
完全に剥がれ落ちた皮膚の下から現れたのは老人にも似た猿の顔。  
昴を押さえ付けるように彼女の身体に乗せられた前足も含め、野生動物の持つしなやかさを内包する胴体に変化はない。  
虎の胴に猿の顔。  
昴はそんな存在に1つだけ心当たりがあった。  
まるでその考えを後押しするかのように虎の胴体の向こう側に、弱々しい月明かりをその身を覆う鱗でぬらりと反射する蛇と化した尾が見えた。  
「そ、そんな……」  
自分が戦っていた存在が朝凪にとって因縁浅からぬ存在、鵺と呼ばれる妖怪だったということを昴はようやく思い知り  
もはや声に混じる震えを抑えることはできなくなっていた。  
そんな昴の怯えた表情を見て、鵺はその顔を歪ませた。  
「まあ良いわ。ここからはちゃんと楽しませてもらえそうだからの」  
それがこの妖怪の笑みだと昴が理解した直後、鵺の頭がゆっくりと下降を開始した。  
 
怯える昴をさらに威嚇するように大きく開かれた口。  
そこから覗く虎頭のときと比べても遜色ない鋭さを持つ牙が昴の首元へと突き付けられた。  
首筋に生まれたちくりとした痛み。  
殺される、そう思った。  
鵺の頑強の顎を持ってすれば、昴の細首など一瞬で噛み砕かれるだろう。  
しかし恐怖に身を強張らせた昴の予想に反し、鵺の牙はそれ以上進もうとはしなかった。  
かわりとでも言うように、温く生臭い唾液が昴のうなじに滴り落ち、そのまま皮膚の上を流れて地面に染みを作る。  
「余計な真似をするでないぞ。そうすれば殺しはせん」  
人間とは発声の方法が違うのだろう、しわがれた声で喋っている間も鵺の牙は昴の首に皮一枚潜り込んだところで静止している。  
「は、はい……」  
頭の後ろから聞こえた声に、昴は慌てて答えた。  
他に選択肢などあるはずがない。  
その答えを聞いて、ようやく鵺が術を解いたらしく、失われていた手足の感覚が蘇ってきた。  
しかしもはや全てが手後れであることは実戦経験のない昴でも十分過ぎるほど分かることだった。  
どんな術も発動までにはタイムラグがあり、それは鵺が口を閉じるには十分過ぎる時間である。  
「ひゃっ……!」  
次に何をされるのかと身構えていた昴の首の後ろに、何かが触れた。  
ぬめりを帯びた熱い塊。  
それが舌であると気付いたときには、既にその先端が襟元から侵入を果たしていた。  
鵺の舌はスルスルと際限なく伸び、肌の上を進んでいく。  
それは巨大なナメクジに背骨の上を這われるような感触だった。  
「ん……」  
嫌悪感から漏れそうになる拒絶の言葉を、昴は必死で噛み殺した。  
抵抗しなければ殺さないという鵺の言葉がどれだけ信用できるかはわからないが、今はそれにすがるしかない。  
その舌は我が物顔で背中を這って腰の手前まで到達すると、脇腹を経由して昴の身体の下へと移動した。  
行きがけの駄賃とばかりに先端で臍をほじる様に突いたかと思うと、今度は頭に向かって上ってくる。  
ほどなくして昴は自らの右胸の中心にそのぬめりを感じた。  
まだ幼さの抜け切っていない昴の胸は、ふくらみと呼べるほどの肉はついていない。  
 
「いやっ!」  
それまでは何とか抑えていた言葉がついに漏れた。  
そこは将来子を育むための神聖な器官であり、しかも同年代の少女に比べて発育の遅い昴にとってはもっとも大きなコンプレックスとなっている場所である。  
「思ったとおり未熟な胸よの。これでは下も使えるかどうかわからぬわ」  
しかし昴の拒絶の言葉に気を悪くする風でもなく、鵺は無遠慮な感想を放った。  
その言葉に昴の体をそれまで以上の悪寒が駆け抜ける。  
殺さないといわれたときから薄々は感じ、しかしそのあまりのおぞましさに必死に振り払っていた予想が肯定されたのだ。  
最悪の未来に身を震わせる昴にかまわず、鵺の舌は胸の上で踊りつづける。  
「お、おねがい、もうやめて……」  
その大きな瞳に涙を浮かべての懇願も、残忍な鵺の心には届かない。  
それどころか逆にその様子は鵺の嗜虐心をくすぐったらしく、大きく開いたままの鵺の口の端がわずかに吊り上がった。  
「この程度で何を言っておる」  
その言葉とほぼ同時に、昴は右のふくらはぎに何かが触れるのを感じた。  
表面のぬめりこそ少ないが舌に似たその感触。  
それは蛇に転じた鵺の尾だった。  
舌と同様自在に伸びるその蛇は、緋袴の裾から侵入するとその最奥の秘められた場所へと進行を開始する。  
ふくらはぎ、膝裏、太股と進んでいく蛇を止める術は昴にはなかった。  
「ほう、毛が全くないとは、胸に負けず劣らず未熟ではあるが、綺麗な火処じゃ」  
「いやぁ……」  
まるでその目で見たような鵺の言葉。  
いや、実際に鵺は昴の秘められた場所を見ていたのだ。  
尾の先、蛇の頭についている目は飾りではない。  
加えて、昴は巫女装束を纏う際には一般的な下着を着けていなかった。  
蹴出しと呼ばれる和服用の下着は着けているのだが、これは構造上裾からの侵入者の目から秘所を隠す役には立たない。  
その結果、昴にとって最も隠しておかねばならないはずの場所は、あまりにもあっけなく鵺の視線に晒されることになったのだ。  
鵺の言ったように無毛の秘所は1本の縦線が走っているだけのひどくシンプルな作りだった。  
 
やがて見るだけに飽きた蛇が、何者の進入も許すまいとぴったりと閉じている秘所に頭を押し付け始める。  
「うぅ……」  
胸と秘所を同時に捏ねられ、昴が呻き声を上げた。  
妖物に対する嫌悪感も手伝い、まだ未成熟なそこから生まれる感覚は、性感と呼ばれるものとはあまりにも掛け離れたものだ。  
しかしそれは昴の体にわずかではあるが確実な変化をもたらした。  
「ほう、これほど未熟なものでも1人前に濡れてきおったわ」  
蛇の頭による圧迫でわずかに生まれた縦筋の隙間に、かすかではあるが湿りが生まれていた。  
とはいえ、それは傷付きやすい粘膜を守るための生理的な反応にすぎない。  
しかし愛する相手どころかおぞましい妖怪による責めに自分の体が反応してしまったという事実は、昴の心に拭いきれない絶望をもたらした。  
「ちがう、ちがうの……」  
「何が違うものか。大方毎夜ここを弄っておるのであろう」  
うわ言のように呟く昴に止めを刺すように、秘唇の隙間からわずかに身を覗かせ始めた突起を蛇の頭が押し潰した。  
「あぅ!」  
その一撃で昴の腰が跳ねる。  
鵺によって肩を押さえられていなかったなら、そのまま鵺の牙に首を貫かれていたかもしれない。  
それほどまでに激しい反応だった。  
「そこ、そこはだめぇ……」  
制止の言葉は逆の効果しかもたらさないことがわかっていても、言葉が止められない。  
もちろん鵺は昴の言葉になど耳を貸さなかった。  
蛇が口から細い舌を出し、淫核を包み守っていた皮を器用に剥き上げる。  
生まれて初めて外気に晒された肉真珠は文字通り少女にとって急所だった。  
「や、だめぇ!」  
叫ぶような昴の制止に耳も貸さず、再び蛇がその頭全体を使ってわずかに体積を増し始めた淫核を突き上げる。  
「ーーーーっ!」  
これ以上ないと思っていた先ほどの衝撃が子供だましに思えるような鮮烈な刺激に、今度は言葉も出なかった。  
全身に汗が浮かび、上半身に塗り込められた唾液と混ざって衣類が貼り付く不快な感触に包まれる。  
そんな昴に対し、鵺は責めの手を休めることはなかった。  
今や紛れもなく勃起した淫核を口で挟み込み、吸引し、それと同時に口内で舌によって舐り上げる。  
 
「だめ、だめ、だめぇーー!」  
1瞬でも気が遠くなる刺激を連続で与えられ、昴の頭の中で火花が弾け飛んだ。  
しかもそれは1秒ごとに数を増し、頭の中全てを埋め尽くそうとする。  
そこに、淫核に同調するようにいつのまにか体積を増した2つの胸の頂きからも甘い電流が生まれ始め、2種類の刺激が混ざり合って脳の中心に流れ込んできた。  
昴が耐えられたのは本当に刹那の間でしかなかった。  
「あ、あ、あああああぁーー!」  
昴の体が雷に撃たれたかのように痙攣する。  
その勢いは押さえ付けていた鵺の足すら弾き飛ばしかねないほどのものだ。  
「おっと」  
あわてて鵺が飛び退る。  
あと一瞬でも遅ければ間違いなく牙が突き刺さっていただろう。  
しかし昴には紙一重で自分の命が失われかけたことを認識している余裕はなかった。  
「殺してしまっては元も子もないからの」  
少し離れた場所で見守る鵺の視線の先で、しばらくしてようやく痙攣が落ち着いた昴は全身を弛緩させて荒い息をついた。  
直接命を脅かしていた牙や、肩を押さえ付けていた足はもう昴の身体の上にはない。  
そして快楽によって昴の身体を絡め取っていた舌も尾も既に巫女装束の下からいなくなっていた。  
それが分かっていても、初めての絶頂後の脱力感で体を動かす気にはなれない。  
やがて再び蛇尾が袴の下へと潜り込んできても、昴にできたのはわずかに身を震わせることだけだった。  
「ふむ、1度気をやっても開きもせんとは、これは本当におぼこのようじゃのう」  
呆れと感心がないまぜになったような鵺の言葉が鼓膜を震わせる。  
袴に潜り込んだままの蛇尾の視線の先には、いまだにいかなるものの侵入も阻むようにピタリと閉じ合わされた秘所があった。  
さすがに蛇がその頭を押し付ければ大陰唇の隙間からわずかに肉色を覗かせはするものの、圧迫がなくなればそれすらすぐに閉じてしまう。  
「おぼ、こ……?」  
全身を脱力感に包まれながら、鵺の放った聞き慣れない言葉を繰り返す。  
「男を経験しておらん娘ということじゃ。とはいえ1人前に蜜を垂らしてはおるからもう大丈夫であろう」  
その言葉と共に改めて蛇の頭で秘所を突つかれ、全身の火照りが一瞬で冷やされた。  
 
「お、お願いです。そこだけは、そこだけは許してください」  
届かないと分かっていながらの哀願。  
ところが昴の予想に反して鵺は迷うような吐息を漏らした。  
「お願いします。他のことなら何でも……」  
何とかそれを掴み取ろうと、昴は畳み掛ける。  
「だが蛇というものは元来穴蔵を好むものでのう。ここまで来たら引っ込みがつかんと言うておるのじゃがどうしたら良いと思う?」  
「ど、どうしたらって……」  
鵺が放った問い。  
その答えがどうやら破瓜を避けるための最後の望みであることだけは察しがついた。  
年頃の娘として最も大切なものを守るために昴は必死で頭を巡らせる。  
しかしどんなに考えても昴には鵺が何を言いたいのかがわからなかった。  
「察しが悪いのう。こちらで我慢してやっても良いと言うておるのじゃ」  
沈黙した昴に鵺は今度こそ呆れたような溜め息をつき、出来の悪い生徒にヒントを与えた。  
「……っ!?」  
予想もしていなかった刺激に昴は声にならない悲鳴を上げる。  
蛇が頭の位置をずらし、あろうことか少女の排泄のための穴をチロリと舐め上げたのだ。  
そこまでされてようやく昴は自分の股間にあるもう1つの穴に考えが至った。  
「で、でも、そこは……」  
ようやく正解に到達したが、その事に達成感のようなものを感じている余裕はなかった。  
それよりも信じられないという思いが込み上げてくる。  
なにせ鵺は昴の排泄器官に蛇尾を潜り込ませようと言っているのだ。  
身体の発育が同年代の友人より遅れている事によるコンプレックスもあり、性的な話題を過剰なほど遠ざけていた昴にとってアナルセックスなどというものは想像したことすらない行為だった。  
「嫌ならば最初の予定通りこちらを使うだけじゃ」  
蛇が再び頭をずらし、いまだ閉じ合わされたままの縦筋を舐め上げる。  
「お主の好きな方を使ってやろうと言っておるのじゃ。そして残った方には手を出さんと約束してやろう。悪い話ではあるまい?」  
刹那の逡巡。  
だが結果が出るまでに長い時間はかからなかった。  
 
「……を、使ってください……」  
羞恥を堪え絞り出した言葉は蚊の鳴くようなかすかな声にしかならなかった。  
「んん?」  
少し離れた場所にいた鵺が、妙に人間じみた仕草で首を捻り近づいてくる。  
再び背中に乗せられた鵺の前足を背中に感じながら、昴はもう1度恥辱の言葉を繰り返した。  
「お、お尻を……使って……ください……」  
頬を限界まで染め、目には涙を浮かべながらも何とか言いきった。  
「ふむ。尻を使えというが、もっと具体的にどうして欲しいのか言ってもらわんとのう」  
鵺は言葉に混じる笑いを隠そうともしていない。  
明らかに面白がっているのだ。  
そもそも鵺の鋭敏な感覚をもってすれば1回目の時点で聞こえていたのかもしれない。  
そうと分かっていても昴は反論することはできなかった。  
少しでも気を悪くさせれば、次の瞬間には処女を失っているかもしれない。  
それだけは避けたかった。  
「わ、わたしの、お尻の穴に……」  
覚悟を決めていても言葉が詰まる。  
溜まりに溜まっていた涙がついに決壊して頬を伝い落ちた。  
「ほれ、どうした。あと少しじゃ、気張ってみせい」  
「わたしの、お尻の、あ、穴に……あなたの尻尾を入れてくださいぃ!」  
鵺の無責任な応援に、昴は叫ぶように最後まで言いきった。  
言ってしまってから自分が何を言ったのかを再確認して昴は羞恥に身を縮こまらせる。  
「ふむ、少々色気には欠けるが、まあお主ではこんなものであろう」  
昴にとっては一世一代ものの台詞も、鵺にとってはまだ物足りないものであったらしくそんな呟きが聞こえた。  
「よう言えたの。その褒美に早速期待に応えてやるとしよう」  
それでも一応は満足したらしく、鵺は尊大にそう宣告した。  
「く、くすぐったい」  
再び尻穴の前に移動した蛇に、窄まった皺を1本1本なぞるように舐められ昴は身を捩らせた。  
「少しは解しておいてやろうとしておるのだ。何せ尻穴が避けたらこれから一生糞便を垂れ流す羽目になるでの」  
自分に“これから”があるのかどうかという問題にさえ思いが至らず、鵺がこともなげに口にした未来図に昴は血を凍らせた。  
 
「それが嫌ならもっと力を抜かんか。大きく息を吐いてみよ」  
言われるままに大きく深呼吸をする。  
もちろんその程度で貫通の恐怖に縮こまった括約筋を完全に解すことはできなかったが、それでもわずかにではあるが効果があった。  
その隙を見逃さず蛇はその舌を穴へと滑り込ませ今度は内側から刺激し始める。  
身体を内側から舐められるという前代未聞の感覚に昴は身を強張らせた。  
「ではそろそろいくぞ」  
「……っ!」  
死刑宣告のようなその言葉に、昴は次の瞬間に襲ってくるだろう衝撃に備え固く目を閉じ歯を食いしばった。  
だがその衝撃はいつもまで経ってもやってこない。  
代わりに背中からかけられたのは、もう何度目かわからない呆れたような鵺の声だった。  
「だからそれが駄目だと言っておろうに。力を抜かねば本当に尻穴が裂けるぞ」  
「で、でも……」  
実際尻の穴を貫かれる段となると、間違ってもリラックスなどできるはずがなかった。  
「手のかかる娘じゃのう。ほれ、口を開けてみよ」  
「は、はい……んぁぐぅ!?」  
中途半端に開いた唇を押しのけるようにして、背後から伸びてきた鵺の舌が昴の口へと押し入ってきた。  
喉の奥を刺激されてえずきそうになる。  
「これならば間違って己の舌を噛む事もあるまい」  
鞭のようなしなやかさを持った鵺の舌は昴の口内を我が物顔で貪っていく。  
怯えるように引っ込んだ昴の舌の絡めとり引っぱったかと思えば、健康的な桃色をした歯茎を扱き上げた。  
そして昴の意識が蹂躙される口内に集中した隙を突いて、今度こそ蛇尾が侵攻を開始した。  
グイと頭を押し付けたかと思うと、体全体を捻りドリルのようにして窄まった括約筋を引き伸ばそうとする。  
昴がそれに気付いた時にはもう手後れだった。  
「ふぶぅーーー!」  
腸内に押し入ってきた蛇の体積分だけ肺から空気が絞り出される。  
その空気は鵺の舌と昴の唇のわずかな隙間に殺到し、2人分の唾液を攪拌して泡を作りだす。  
 
「中は存外綺麗はなものじゃのう。ここに来る前にちゃんと清めて来おったか」  
鵺による腹の中の実況。  
しかし昴はその言葉に耳を貸している余裕はなかった。  
「んぅーー! んんんー!」  
腹の底に生まれた痛みに涙がポロポロと零れ落ちる。  
とにかくその痛みから逃れたい一心でがむしゃらに手足をばたつかせ首を振るが、押さえ付けられた胴体は動いてはくれない。  
とはいえ、その剣幕にはさすがの鵺もいささか怯んだようだった。  
「これはかなわんわい」  
直後、昴は自分の身体の中で炭酸飲料の蓋を開けたときのようなプシュッという音を聞いたような気がした。  
それに続いて腸壁全体に生まれた打ち水をされたようなひんやりとした感触に昴は動きを止める。  
「ふぁ、ふぁひ……?」  
「なに、痛みを和らげる薬を塗ってやったのよ。副作用も幾つかあるがの」  
鵺の言葉を証明するように、昴はその冷たさを感じてから自分の身体を貫いていた激痛が1秒ごとに弱まっていくのを実感していた。  
蛇尾自体が出ていったわけでもなければ、感覚全部が消えてなくなったわけでもない。  
暴力的なまでの痛みが薄れていったおかげでむしろ他の感覚は鋭敏になっているらしく、いまも尻穴を限界まで引き伸ばしている蛇身の表面の鱗1枚1枚までも鮮明に感じることができた。  
吐き気を催させる異物感はそのままながら、それでも痛みだけでもなくなったことに昴はわずかに落ち付きを取り戻す。  
それを感じ取ったのか、鵺の舌がゆっくりと引き抜かれていった。  
「どうじゃ、儂の尾は気に入ったか?」  
「……は、はい」  
もちろん昴は鵺の機嫌を損ねないようにそう答えただけだった。  
しかし鵺の方でもそんなことはお見通しとばかりにからかうように言う。  
「ほう、尻の穴に突っ込まれて喜ぶとはお主は随分と好き者じゃのう。さすがに自分から尻を使えと懇願しただけのことはあるわ」  
「う、うぅ……」  
「嘘をつかんでも良い。どうせすぐにそんな嘘をつく必要もなくなるしの」  
「……え?」  
「言ったであろう。幾つか副作用があると。そろそろ効いてくるころじゃ」  
 
最初は気のせいかと思った。  
それほどかすかな刺激が腹の中に生まれる。  
それは細い針で腸壁をちょんと突ついたような痛みと呼ぶにはあまりにも弱いものだ。  
ところがちょうど雨の降り始めの地面の染みのように最初は1つだけ生まれたそれが、2つ3つと数を増し、加速度的にその数を増していく。  
一つ一つは気のせいで済ますことができそうな微弱な刺激でだったが、それが腸全体となれば話は別だった。  
「いやぁ、お腹の中、かゆい。なんでぇ……」  
腸壁に蜜を塗りたくった状態で無数の蟻を詰め込んだらこんな状態になるのかもしれない。  
今すぐ爪を立てて掻き毟りたい衝動に襲われるが、そこは自分の腹の中だ。  
仮に身体が自由になっていたとして自分で静めることはできない場所だった。  
津波のように押し寄せるそのかゆみに昴の精神はあっけなく追い詰められていく。  
「やだ、こんなの、ふあああああ!?」  
頭だけを潜り込ませて動きを止めていた蛇が不意に動きを再開させた。  
わずかに膨らんだ蛇頭で腸を押し広げられ、伸び切って無防備になった腸壁を蛇身を覆う鱗が引っかいていく。  
それは腹の中で蛇の占める体積が増えたことによる不快感など容易に圧倒する、想像を遥かに超える悦楽だった。  
ドロドロに溶かされた内臓を荒々しく攪拌されるような感覚。  
淫核で味わった鋭い刃物を連想させるようなものとは異なり、鈍器で殴られたような重くどっしりとした快感が腹の中で渦を巻く。  
昴がその力強い抱擁に身を委ねようとした瞬間、見計らったように蛇が動きを止めた。  
解消されていたかゆみがすぐさま息を吹き返し、昴の頭は焦燥感でいっぱいになった。  
「や、やぁ……やめないで」  
「何をして欲しいのか、ちゃんと言うてみい。そうすれば望みを叶えてやろう」  
尻穴を差し出す前のような葛藤はもはや昴にはなかった。  
ただこのかゆみを何とかしてほしいという一心で言葉を紡ぐ。  
「もっと、もっとお腹の中かいてぇ! もっと昴の中をかきまわしてほしいのぉ!」  
即答した昴に鵺は満足そうな笑みを浮かべ、蛇尾によるピストン運動を再開させた。  
「きもち、いいぃ! こんなのおかしくなっちゃう! あぅ、またきちゃう、きちゃうよぉ!」  
限界が近づいてくるのを本能的に感じた昴が切羽詰まった叫びを上げる。  
 
しかし昴が予想した絶頂は訪れなかった。  
「な、なんでぇ!? もうむりなのに、むりなのにぃ!」  
「副作用は幾つかあるといったであろう。薬が抜けるまでの3日ほどはどんなに感じても気をやることはできんよ」  
限界を超えてもブレーカーが落ちることもなく、神経を焼き切りそうな激悦だけが与え続けられる。  
そんな状態で3日間耐えられるはずがなかった。  
「そ、そんなのむりぃ……すばる、こわれちゃうよぅ」  
「まあそうなるであろうな。お主では一刻持つかどうかすら危ういわ。だが1つだけ助かる方法があるぞ。あれの効果を消す解毒剤とでもいうべきものが」  
「ふぁ……それ、それは?」  
「儂の子種じゃ。それを蜜壷の奥に注がれればあの薬の効果はなくなる仕組みじゃ」  
その言葉の意味するところに思い至り、灼熱していた頭がわずかに冷える。  
鵺は昴が排泄口を犠牲にしてまで守ろうとした場所を差し出せと言っているのだ。  
「だが前の穴には手を出さんと約束したしのう」  
そううそぶく鵺に対し、昴は絶望感に打ちひしがれていた。  
鵺は最初から分かっていたのだ。  
昴が処女を守るために尻穴を差し出すことも、そこまでして守ろうとしたそれを自分から破ってほしい懇願することになるということも。  
全てが鵺の手の平の上でのことだったという認識が昴に辛うじて残されていた理性を沈めていく。  
かわりに浮上してきたのは諦めと、ただこの快楽に浸っていたいという原始的な欲求だった。  
「そ、そそいでください! あなたのこだねをぉ……すばるの、すばるのなかにぃ!」  
その言葉を聞いた鵺は満足そうに鼻を鳴らすと、ずっとうつ伏せにされていた昴の身体を前足で引っくり返した。  
蛇を挿入されたままでの回転は腸内に新しい刺激を生み、昴は一段高い嬌声を上げた。  
「そこまで言うのなら仕方ないのう」  
口調こそ渋々と言った感じだが、久しぶりに正面から見る鵺の顔に浮かんでいるのは好色そうな笑みだった。  
 
夜目にも鮮やかな緋袴の中で、とめどなく分泌される昴の愛液を吸って色を濃くした部分に鵺の爪がかけられる。  
かなりの厚みを持った袴の生地も、ナイフのような鋭さを持つ虎爪の前では紙切れほどの役にも立たなかった。  
鵺は外気に晒された昴の秘所を粘ついた視線で一頻り嘗め回したあと、彼女に圧し掛かるように身体の位置を変えた。  
人間同士の性交であれば正常位にあたる姿勢。  
目の前の猿の顔に気を取られた刹那、昴は自分の秘所に何かが触れたのを感じた。  
下ろした視線の先にある、全体を短い毛に覆われた鵺の生殖器。  
蛇の尾を上回るほどの太さを持った肉の凶器を自分の急所に突き付けられていることを認識し、喉が自然に鳴った。  
鵺の巨体がゆっくりと降りてくる。  
閉じ合わされていた秘唇が押し広げられ、押し出された蜜が尻の穴まで伝い落ちていく。  
「あ、あ、あああああああ!」  
腸から吸収された薬がこちらにまで効果を及ぼしているのか、想像していたような痛みはなかった。  
途中、ほんのわずかな痛みを感じたような気もするが、それが破瓜の痛みだったのかどうかすらわからない。  
ただそれでも分かるのは自分が1つしか持っていなかった大切なものが失われたという事実。  
そんな喪失感を味わう一方で、生まれてからずっと抱えてきた欠落を満たされるような充実感も込み上げてくる。  
人外の生殖器で感じさせられている自分に対する絶望感すらも、蜜を十分に吸い刷毛のようになった毛で膣襞を1枚ずつ撫でられただけであっさりと押し流されていった。  
だが普通なら達するのに十分なほどの快感も、薬の効果が切れていない今は拷問の道具に等しかった。  
「やぁ、おねがい、はやく、はやくそそいでぇ!」  
「やれやれ、素直になったのは良いが、ここまで行くといささか面白みに欠けるのう。どれまずは1度気をやらせてやるか」  
鵺の生殖器の先端が昴の子宮口を殴り付ける。  
その重い衝撃の直後、その先端から噴き出したマグマのような熱と粘度を持つ精液の感触を昴は自分の子宮で感じ取った。  
「うあ、あ……あついのが、いっぱいなかにぃ……」  
それはすぐさま昴の胎内で吸収され、彼女の絶頂を阻害していたリミッターを外し始めた。  
本来何回、何十回分もの量でありながら出口を塞がれ渦巻いていた快感がそこへ殺到する。  
 
「あああ、くる、こんどこそ、きちゃう! こんなの、すごすぎて、すばるぅ!」  
次の瞬間には頭が爆発したような感覚の中で、昴の意識はずっと待ち望んでいた高みへと放り投げられていた。  
何倍もの体重差をものともせず、鵺の巨体ごと昴の身体が跳ねる。  
「はぁ……はぁ……。……え? ぁ、や、やだぁ、抜いて、抜いてぇ!」  
永遠にも思われた飛翔もようやく終わり、わずかに取り戻した理性で昴は自分の中にあるものを改めて認識した。  
「何を言うておる。お主が入れろと言ったのを忘れたのか」  
「だ、だって、あれは……」  
昴の反論も許さず、鵺は再び腰を前後させ始めた。  
「やめ、て……ふぁん……もう、こんなの……いやなのにぃ……」  
絶頂直後の敏感な膣壁を擦られると、意思に反して快楽を覚え込まされた身体は甘い反応をしてしまう。  
「ふむ、やはり少々嫌がっておるくらいの方が儂としても楽しめるのう。これでこそ久方ぶりにこの地まで来た意味があるというものじゃ」  
強制的に送り込まれる快感の波になすすべもなくさらわれ、朦朧とする意識の片隅に鵺の言葉が引っかかった。  
「そう言えばお主、梓という娘を知っておるか」  
突然鵺の言葉に現れた名前に昴は衝撃を受けた。  
 
「どう、して……ぁ……お母さんの……ぁんぅ……名前、を」  
「やはり母か。道理で顔立ちも、ここの締め付けも似ているわけよ」  
「じゃ、じゃあ、あなたがお母さんを……」  
考えてみれば鵺は世界中探してもそうは見つからないほど数が少ない存在だ。  
たかだか20年程度の間に別々の鵺が同じ町にやってくるなどという偶然はそうそう起こるものではない。  
あまりの衝撃に下腹部で生まれる快感すら意識の外へと追い出され、そんな考えが浮かんだのも本当に一瞬のこと。  
「ふむ、先ほどまでよりさらに締め付けよる。母と同じ相手に貫かれていると知って興奮したか」  
「ち、ちが……ふぁ!」  
「我慢せんでも良い。お主の母もこうやって善がっておったわ。まあお主に比べればよく耐えたものだがのう」  
「んあ……ごめ、んなさぃ……おかあ、さん、ごめんなさぃ……」  
母の仇を討つどころかに、秘所を貫かれて嬌声を上げることしかできない自分。  
無力感と絶望感に苛まれた昴はそこから逃げるように謝罪の言葉を繰り返す。  
そしてそれすらも押し流そうと溢れ出す快感。  
「また、またぁ!」  
3度目の絶頂を迎え薄れゆく意識の中で、昴は天に響く鵺の笑い声を聞いた気がした。  
 

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