ホシノイサミちゃんが自分に隠された秘密を知ったのは小5の春、初潮を向かえた日の事であった。  
 親代わりのムラマツのおじさまも生憎と科特隊本部に出仕中の事であり、突然の生理現象に一人狼狽えるイサミちゃんの前に『それ』は唐突に現れた。  
 馬面という言葉では言い足りない程の余りにも長い焦げ茶色の顔、触覚の様に飛び出た頭頂部の突起、そして顔の前後に都合3つも付いている眼球は明らかに地球人のものとは趣を異にしていた。  
 その異形の者が地球外生物である事は疑いようもなかったが、何故かイサミちゃんは恐怖を感じずにいた。  
「まずはおめでとうございます」  
 地球の流儀に従って恭しくお辞儀をした異星人は『女』になったばかりのイサミちゃんに祝辞を述べた。  
「この日が来るのをどれ程お待ち申し上げていた事か。爺も嬉しゅうございます」  
 3つの眼から溢れ出る涙を器用に拭う異星人を前にして、イサミちゃんはパンティを上げる事も忘れて呆然と立ちすくんでいた。  
                                 ※  
 ケムール爺と名乗る異星人の語ったイサミちゃん出生の秘密。  
 それは1人の地球人男性とお忍びで地球を訪れたウルトラ族の王女との悲しい恋の物語であった。  
 種族を超越して授かった2人の愛の結晶であるイサミちゃんの誕生、そして純血主義者であるウルトラマンキングの横槍により強制された突然の離婚。  
 そしてウルトラの星の環境下では生きていけないイサミちゃんの未来を侍従ケムール爺に託し、泣く泣く我が子を手放さざるを得なかった母娘離別の理由。  
 更にはウルトラマンキングの失脚とその隠棲により、悪名高いウルトラ純血法が廃止になり、過去に遡って異種間の婚姻が認められるようになった事をケムール爺はイサミちゃんに語った。  
「それじゃ、イサミのお母さんは生きているのね?」  
「はい。姫様のお越しを、一日千秋の思いでお待ちになっております」  
「けどあなたの話じゃ、人工太陽プラズマスパークから発せられるディファレーター光線の渦巻くウルトラの星で、普通の人間であるあたしは生きていけないのでしょ?」  
 
 それこそが母娘の生き別れの理由であったはず。  
「そこはご安心下され。此度、目出度くご成人あそばした姫様なれば、ディファレーター光線の中では本来のお姿を取り戻す事がお出来になりまする」  
「本来のあたしぃ?」  
 いよいよ訳が分からなくなり訝しげに問い直すイサミちゃんに、ケムール爺は笑って答える。  
「フォッフォッフォッ。その時が来れば、お分かりいただけるかと……」  
                                 ※  
「あたしのお母さんが……」  
 病死したと聞かされていた母が生きていると知ったイサミちゃんの脳裏に、辛く悲しかった今までの思い出が一気にフラッシュバックし、イサミちゃんは思わず涙ぐんでしまう。  
 地球防衛軍の優秀なパイロットだった父の事故死、施設での寂しい生活……そして……。  
「やっぱり駄目っ。あたしムラマツのおじさまを置いて何処にも行けないわ」  
 かつての父の上司であり、施設から自分を引き取ってこれまで育ててくれた恩人の顔を思い、イサミちゃんはキッパリと言い切った。  
 今では科特隊のキャップに就任し、地球防衛の先頭に立つムラマツはいつだってイサミちゃんの自慢であった。  
 そのムラマツも前年に愛妻を亡くしてからは、めっきり老け込んだように思える。  
「おじさまを1人置いて、イサミ幸せになんかなれないっ」  
 涙を堪えながら頭を激しく横に振るイサミちゃんを前に、ケムール爺は感極まった様に頷く。  
「そういう強情なところが母君様の幼い頃そっくりでございます。ではその者の恩義に報いるよう、姫様が満足いかれるまで功徳を積んでお上げなさい」  
 ケムール爺は3つの目から溢れる涙を忙しそうに拭う。  
「お迎えの来るまでにはまだ時間がございますし、姫様が真のウルトラ族として受け入れられるためにもそれが一番良い道でしょう」  
 ケムール爺はそう言うと小型の懐中電灯の様な物を取り出しイサミちゃんに手渡した。  
「これはなあに?」  
 小首を傾げて不審がるイサミちゃんに爺は恭しく答える。  
「ベーターカプセルでございます。お困りになった時にこれをお使い下さい」  
 
「これを使うとどうなるの?」  
「ご心配にはおよびません。フォッフォッフォッ……」  
 曖昧に笑って語尾を濁す爺。  
「只、ここだけは充分にご注意下さい」  
 ケムール爺はイサミちゃんの剥き出しになったまま晒されていた、ツルツルの秘裂を指さしながら言った。  
「キャアッ」  
 その時になって初めて下半身裸のままであった事に気付いたイサミちゃんは、頬を真っ赤に染めながら慌ててパンティを引き上げる。  
「ウルトラのオマムコは慈愛の心を拠とする姫様の力の源であるばかりか、凶悪宇宙人共の垂涎の的であります。姫様のご成人を知った奴等が、今後自らの子を宿そうとオマムコを狙い襲って来るのは必定」  
 ケムール爺のそれまでとは打って変わったような厳しい口調に、イサミちゃんは思わず両手で前の部分を覆って身震いする。  
「凶悪宇宙人にウルトラの血を受け継ぐ子孫を与える事は宇宙秩序の崩壊を招きますし、何よりオマムコを汚される度、姫様の魂が汚されると言う事を努々忘れてはいけませぬぞ」  
 それだけ言うとケムール爺は再度深々とお辞儀をし、現れた時同様、煙の様に消えていった。  
                                 ※  
「フォッフォッフォッ……」  
 一際高く響いた奇怪な笑い声に驚いたイサミちゃんが我に返ると、自分が布団の中でビッショリと寝汗をかいている事に気付いた。  
 反射的に壁時計を見ると針は午前1時を指しており、隣の布団にムラマツの姿は無かった。  
「夢だったの?」  
 大きく溜息をつきながら、握り拳の甲で額を拭うイサミちゃん。  
 しかしその拳が小型の懐中電灯を握りしめている事に気付き、イサミちゃんは小さな悲鳴を上げる。  
「ベーターカプセル……夢じゃなかった」  
 頭が混乱しかけたイサミちゃんは、ふと電話の留守録のランプが点滅している事に気付き、少しでも現実逃避したい一心でスイッチに飛びついた。  
 
 テープのメッセージは工事現場で掘り出された1億年も昔のタイムカプセルの調査でムラマツが帰宅出来ない事を告げていた。  
「嫌な予感がする。いいわ。おじさま、イサミが守ってあげるから」  
 運命を受け入れる決心をしたイサミちゃんは、ベーターカプセルを握る右手に力を込めた。  
                                 ※  
 嫌な予感というものは、たいがい的中するものである。  
 その夜明け前、稲妻のエネルギーで復活を遂げた2大怪獣、赤いバニラと青いアボラスは、互いに引き寄せられるように進撃し、昼過ぎには科特隊本部を挟んで相対峙していた。  
 バニラとアボラスは、戦車部隊で構成された防衛線をあっさりと突破すると、隊の機能中枢である本部ビルにその魔の手を伸ばした。  
 頼みのVTOL戦闘攻撃機もバニラの吐く強烈な火炎の前に紅蓮の炎に包まれて撃墜されてしまった。  
 かろうじて脱出したムラマツキャップ以下の科特隊員たちであったが、地上戦だけで倒せるほど2匹の怪獣達の実力は甘くはない。  
「あぁ〜ん、ムラマツのおじさまが……このままじゃ科特隊が全滅しちゃう」  
 本部作戦室で戦いの趨勢を見守っていたイサミちゃんは、背中のランドセルから銀色に輝くベーターカプセルを取り出した。  
「いいわ。おじさま、今イサミが助けてあげる。それまで頑張ってて」  
 モニターに写る憎い怪獣達をキッと睨み付けたイサミちゃんは、ベーターカプセルを頭上にかざしスイッチを入れた。  
 カプセルのレンズ部分から閃光と共に溢れ出たβ線が狭い室内を満たしたかと思うや、次の瞬間、作戦室を中心に本部ビルを木っ端微塵に吹き飛ばしていた。  
                                 ※  
「おいっ、あれは何だっ」  
 ムラマツキャップの声に振り返った隊員達が見た物は、逆三角形型に建造された本部ビルを真っ二つにしてそそり立つ銀色の巨人であった。  
 身長30メートルの銀色のボディに赤い模様を配した体、そして二本縛りに結われた青色の髪の毛は明らかに地球人の物ではなかった。  
「ちっくしょおぉぉ、こっちのピンチにつけ込みやがって。よくも俺達の本部を」  
 
 気の短いアラシは早くも謎の宇宙人を、新たに現れた侵略者と決めつけてスパイダーショットを構える。  
「でも、なんかあれ、反省しているようですよぉ〜」  
 イデ隊員が発した間の抜けたようなコメントの通り、謎の宇宙人がガックリとうなだれている様子は、あたかも反省して落ち込んでいるようにも見える。  
「敵か味方か分からないうちは、一応敵と見なして用心するに越したことはない」  
 ハヤタがエリート隊員らしくマニュアル通りの台詞を吐く。  
「ハヤタの言う通りだ。怪獣を操っているのがあの宇宙人だという事も充分あり得る。油断するな」  
 ムラマツの注意喚起に隊員達は頷き、ヘルメットのあごヒモを今一度締め直す。  
                                 ※  
 科特隊員が固唾を飲んで見守る中、銀色の宇宙人は隊員達に両手を合わせペコリと一礼をすると怪獣達に向かっていった。  
「ほらぁ。彼女は我々の仲間、正義の味方なんですよぉ」  
 イデが嬉しそうに相好を崩してはしゃぐのをキャップが制する。  
「彼女?何で女だと分かるんだ」  
「だって、ほら。あの少女特有の膨らみかけた胸、脇腹から腰にかけてのラインは万国共通ですよ。それに何よりあの顔は、うっひょ〜、地球人の感覚でも充分美少女って言えるじゃないですか」  
 鼻の下を伸ばしてにやつくイデ隊員。  
「差詰めウルトラガール、いやぁ、あの幼児体型からするとウルトラロリータってとこかな」  
「イデ君、いい加減になさい」  
 イデのセクハラ発言に柳眉を逆立てて睨み付けるフジ隊員。  
「いや、イデの言うこともあながち的を外しているとも思えん。問題はあの体で2匹の怪獣とまともに戦えるかどうかだ」  
 ハヤタの冷静な分析通りに、銀色の少女はたちまち苦戦に陥った。  
 バニラに食らいついたウルトラロリータの身長は、敵のそれに比して半分しかない。  
「よくもおじさまを。えいっ、えぇ〜ぃ」  
 ロリータは全身の力を込めてバニラを持ち上げようとするが、その真紅の巨体はびくともせず、逆にバニラの身震い一つでロリータは吹き飛ばされてしまった。  
 
「痛ぁ〜い」  
 間髪入れずバニラの火炎攻撃が襲ってくるのを地面を転げ回って避けるロリータ。  
「やだぁ、これ熱いぃぃーっ」  
 古代文明社会を壊滅寸前にまで追い込んだバニラの火炎をまともに食らえば、ウルトラ戦士と言えど只では済まない。  
 何とか炎の射程外まで逃れることに成功したロリータに、今度はアボラスの尻尾が襲い掛かった。  
 存在すら忘れていた2匹目の敵に背後から奇襲されたロリータは、お尻への一撃で簡単に前のめりに崩れ落ちる。  
「いやぁ〜ん、エッチィ。どこ狙ってるのよぉ」  
 ブルマ型の赤い模様に覆われた可愛いお尻をさすりながらアボラスに抗議するロリータを更なる尻尾攻撃が襲う。  
 四つん這いになり高々と上げられたロリータのお尻はアボラスの尻尾にとって格好の攻撃目標になった。  
「はぅっ。はぅっ。はぅぅぅ〜っ」  
 つぶらな瞳一杯に涙を滲ませたロリータは、アボラスの折檻を受ける度に小さなお尻をプルルンと振るわせながら、歯を食いしばって痛みに耐える。  
「あの体じゃやっぱり無理なんだよぉ。キャップゥ、助けてあげないと」  
 イデが心配そうに仰ぎ見る中、痛みに耐えかねたロリータはとうとう小水をチビってしまった。  
「いやぁ〜ん、見ちゃ駄目ぇぇぇ〜っ」  
 足元に一寸した池を作ってしまったロリータは、羞恥心に真っ赤に染まった顔を両手で覆い小刻みに震える。  
 牝の尿の臭いに発情したアボラスがロリータの背後から馬乗りにのし掛かってくる。  
「何するのっ。いやん、いやぁ〜ん」  
 急に荒くなったアボラスの鼻息に、背後の事情を察したロリータは攻撃目標を絞らせないように必死でお尻をくねらせて抵抗する。  
 ロリータの必死の抵抗も虚しく、アボラスの後足の間にがっしりと抱え込まれてしまった小さなお尻はビクとも動かなくなる。  
「やだ、やだ。こんなのいやぁぁぁ〜っ」  
 
 とうとう泣き出してしまったロリータの感情など一切無視したアボラスは、体内に隠し持っていた蛇腹状の生殖器官を露出させる。  
「非道いわ、あんな小さな子を無理矢理犯そうなんて。女の敵よっ」  
 余りの出来事に金切り声を上げて抗議するフジ隊員だったが、制服パンツの前の部分は染みになってクッキリと変色している。  
「もっ、もう駄目っ。おじさまぁぁぁ〜っ」  
 大事な部分に圧迫感と鋭い痛みを感じたロリータが悲鳴を上げた時、それ以上にけたたましい絶叫が頭上から響いてきた。  
 おそるおそる身を捩って頭上を見上げたロリータが見た物は、バニラの火炎に頭部を焼かれたアボラスの無惨な姿であった。  
「うっひょ〜、いいぞ。仲間割れを始めた」  
 イデが飛び上がって喜ぶが、ロリータにとって状況は必ずしも好転した訳ではなく、むしろ悪化したともいえた。  
 発情した2大怪獣は生殖器官を剥き出しにしたまま戦うのであるが、獲物に逃げられるのを恐れたアボラスは後足の間にロリータのお尻を挟み込んだままである。  
 そして一方のバニラは獲物を独占させるものかと、四つん這いになったロリータの頭方向から攻めてくる。  
 自分を前後から挟み込んだまま頭上で戦う2大怪獣の咆哮に、ロリータは生きた心地もしない。  
 目の前ではバニラの赤黒い生殖器官が激しく前後に突き引きされ、後ろからはアボラスの蛇腹状のモノがお尻を擦り上げるので、ロリータには気の休まる暇がない。  
 一歩も引かない戦いを繰り広げていた2匹が、一際高い咆哮を上げてぶつかり合った時であった。  
「かはぁぁぁ〜っ」  
 アボラスの生殖器官が、ロリータの菊の形をした肉の窄まりを深々と貫き通した。  
 そしてその衝撃に思わず大きく開けられたロリータの口の中に、バニラの巨大なモノが飛び込んでしまった。  
「うっひゃ〜、ロリータちゃんが串刺しだぁ」  
 思わずイデが発した比喩の通り、消化器器官を前後それぞれの末端から同時に貫かれたロリータはまさに串刺し状態であった。  
 
「イデッ、呑気な事を言ってる場合じゃないぞ。怪獣の動きが止まった今がチャンスだ。赤い方を集中攻撃するぞ」  
 ムラマツの命令で隊員達はスーパーガンを抜き、バニラの正面に回り込んでいく。  
 その間にも前後からの激しい責めを受けるロリータのダメージはどんどん大きくなっていく。  
 ロリータの事などお構いなしの2大怪獣が激突する度に、彼女の喉の奥と腸壁がごついペニスに擦り上げられる。  
「おうぅっ。おふぅぅっ」  
 生まれて初めての衝撃に嫌悪感こそあれ、快感など感じるゆとりもないロリータは吐き気を催しながらも、ペニスの前後運動を制限しようと本能的に肛門をきつく締め上げる。  
 やがて遅まきながら快感に気付いたアボラスがロリータの直腸内にもの凄い量の精液を放った。  
 一応の本懐を遂げたアボラスがガックリとロリータの背中に倒れ込む。  
「今だ。目を狙え」  
 がら空きになったバニラの上体に、スーパーガン特有の稲妻状の光線が集中し火花を散らす。  
「俺様のスパイダーを食らえ」  
 アラシの放ったスパイダーショットが狙い違わずバニラの両目を破壊した。  
 バニラが断末魔の叫びと共に激しく射精し、巨大なペニスに口を塞がれていたロリータは生臭い精子を全部飲まされてしまう。  
「ゴフッ、オェェェ〜ッ」  
 ようやく喉の奥深い所に引っ掛かっていた巨大な亀頭が外れ、呼吸の自由を取り戻したロリータはむせかえってしまう。  
 急所をやられてのたうち回るバニラにアボラス必殺の泡状溶解液が吹き付けられ、やがて完全に動きを止めたバニラは、泡にまみれたまま土に還っていった。  
 バニラを屠ったアボラスはロリータのアヌスから血まみれのペニスを引き抜くと、一旦後ろに下がって間合いを計る。  
 小刻みに痙攣を起こすロリータのアヌスから、鮮血と共に黄みを帯びた液体がゴポゴポと溢れ出してくる。  
                                 ※  
 
「あたし、怪獣に、お尻を……お尻を汚されちゃた……」  
 初体験よりも先にアナルを喪失するというとんでもない体験をしてしまったロリータは、痛みも忘れて自失呆然の状態にあった。  
 しかも同時に獣姦とレイプ、それにフェラティオという3大オマケ付きである。  
 性教育の授業で人間は大人になったら子供を産むためにそういう事をするというは、知識として知っていたロリータであったが、まさかこんな形でその時を迎えようとは夢にも思っていなかった。  
「最初はムラマツのおじさまにって決めてたのにぃ……」  
 自分を施設から引き取って育ててくれた、父とも慕う科特隊キャップの顔が脳裏に浮かんだ瞬間、ロリータはようやく我に返った。  
「痛ぁっ」  
 自分を取り戻すや、敏感な粘膜を切り裂かれたことによる鋭い痛みが、急激に下半身全体に広がる。  
 極端な内股で何とか立ち上がったロリータだったが、菊の座にはいまだ異物が挿入された違和感が消えず、まともに歩行する事すら困難に思えた。  
 4年後、法的に結婚が可能な16歳になると同時にムラマツに捧げようと思っていた清らかな体は、あろう事か怪獣ごときに汚されてしまった。  
 ロリータはもうおじさまの顔をまともに見れそうにもない。  
「けど、おじさまのためにあの怪獣だけは何としても倒さなくっちゃ」  
 ロリータはアボラスに接近すると、自分の身長の倍はあろうかという巨体にパンチを叩き込んだ。  
 しかし格闘技の心得のないロリータの、見よう見まねの非力な攻撃が大怪獣に通用する訳もなく、かえって自分の拳を痛めてしまっただけであった。  
「痛ぁ〜い。何て固い体なの」  
 ロリータは打撃でダメージを与えることを諦め、組み討ちに切り替えたが敵の胴回りは二抱え以上もある。  
「くっ……くぅぅ〜っ」  
 大相撲の横綱に立ち向かうチビッコさながらに、ロリータはアボラスの腹部に取りすがり、お尻を振り乱しながら必死で前後に揺するのだが、圧倒的な体重差は如何ともし難い。  
 アボラスがちょいと腹を迫り出しただけで見事に吹っ飛ばされたロリータは、ツインテールに縛った青い髪を解かせながら仰向けにダウンした。  
 
 軽い脳震盪を起こしたロリータだったが、アスホール周辺の文字通り身を切るような痛みのお陰で辛うじて意識を保たせる事ができた。  
「あぅぅ……うぅぅ?」  
 ロリータは乱れ髪を激しく左右に振って、少しでも気を抜くと消え入りそうになる意識を現実世界に繋ぎ止める。  
 その隙を突き、ロリータの両足の間に強引に割って入ろうとするアボラスの巨体。  
 こんな事ならバトン部なんかに入らずに、ブラジリアン柔術部に入っておけば良かったと後悔するロリータだったが、それでも本能的にガードポジションをとって防御に入る。  
 獲物を組み敷こうと全体重を乗せてのし掛かってくるアボラスと、それを下からコントロールしようと太い胴を挟み込んだ両足に必死で力を込めるロリータ。  
 その時、ロリータの膨らみかけた胸の谷間に付いたランプが青から赤の点滅に変わり激しい警告音を鳴り響かせ始めた。  
「いかんっ」  
 戦いの趨勢を見守っていたハヤタ隊員は他の隊員を置き去りにして駆けだした。  
「ハヤタァーッ。何処へ行く?戻れっ」  
 キャップの怒鳴り声を無視して死角になった建物の陰に入り込んだハヤタは、制服の左胸ポケットに手を突っ込んだ。  
 そしてポケットティッシュを取り出すと怒張した己のモノをズボンから引っ張り出して扱き始める。  
「ふぅぅ、もう少しでズボンを履いたまま漏らすとこだったよ」  
 鬼畜なロリコン隊員の外道な行為には全く関係なく、ロリータの持ち時間は刻々と少なくなっていく。  
「やだ、やだぁ。食べられちゃうよぉ〜っ」  
 泣き叫ぶロリータの悲鳴と分泌液に興奮したアボラスは、またも隠し持ったペニスを露出させる。  
 邪魔をするバニラの倒れた今、今度こそアボラスのペニスが狙いを外す要因は何もなかった。  
「いやっ、いやぁぁぁーっ。おじさまぁぁぁ〜っ」  
 アボラスを寄せ付けないように腹を蹴り上げて必死に防戦するロリータだったが、とうとう下腹部のヌメリに足を滑らせてしまう。  
 
 その足が偶然にアボラスの蛇腹状になった怒張を挟み込んだ。  
「グガオォォォーッ」  
 はち切れんばかりになっていた分身を刺激されたアボラスは、咆哮を上げながら身を仰け反らせる。  
「……?……こいつが弱点なのね。よぉ〜し」  
 ロリータは両足の裏に挟み込んだ怒張をグリグリと勢いよくこね回し始めた。  
「グオォォォーッ」  
 断末魔のような咆哮と共に数百リットルもの白濁色の液を迸らせたアボラスはその場にへたり込んでしまう。  
 1億年振りに復活したばかりであるのにも関わらず、短時間に2度も射精した事がアボラスの体に過負荷を掛けて、打撃以上のダメージを与えたのであった。  
「何だか分からないけど、今だわ」  
 ロリータはよろよろと起きあがると両手で十字架を作り、無抵抗になったアボラスに向けて葬送のスペシューム光線を放った。  
 ロリータの発した弱々しい光線は1発でアボラスを倒すには至らず、止めを刺すには都合6発もの発射を強いられた。  
「イヤッホォ〜ウ、ロリータちゃんが勝ったぞぉ〜い」  
 はしゃぎ回るイデ達を尻目に、大空に飛び上がったウルトラロリータは一つの光点となり、やがて見えなくなった。  
「おぉ〜い」  
 そこに姿を消していたハヤタが戻ってくる。  
「ハヤタ、大事な時にどこへ行ってたんだ」  
「そんな事より、あれは一体何者なんでしょうね?」  
 ハヤタの疑問に対し、ムラマツキャップも返答に窮する。  
「分からん。だが我々の頼もしい味方である事は間違いない」  
 ムラマツはロリータの消えていった上空を見上げ直すと、嬉しそうに何度も頷いた。  
 

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