彼女――皐月――は彼女自身に責められ、快感を得ている健二を見て大きく身体を奮わせた。
(……何? この感じ……)
他人に見られてしまうかもしれないという恐怖でもなく。
初めて見る男性自身に興奮しているわけでもない。
(…………もしかして、私……気持ちいい、の?)
気持ち良い。
そう気持ち良いのだ。
健二を見て。
無防備に下半身を晒している、大石健二を見て。
確かに、この無防備な状態を作ったのは彼女である。
いつも飲んでいる健二の飲料に薬を混ぜて眠らせたのだ。
(――――だけど)
汚らしい、醜すぎる肉棒を情けなくも下級生に見せている大石健二を見て。
どうしようもなく感じてしまっているのだ。
自分自身全く知らなかった性癖。
責められて喘いでいる男性を見て感じる、そんな変態的な。
(あはっ……)
それでも皐月は健二の赤黒い肉棒を自身の唇で扱いていく。
さきほどのような、恐々とした動きではなく……手慣れた歴戦の娼婦のように。
健二のそれを。グロテスクな……そしてどこか滑稽な。
擦って。扱いて。舌先で撫でて。
舌先で先端のくぼみをグリグリと弄る。
ドロドロとした先走りの液を。酷く男臭い粘りつくそれもかまわずに。
綺麗な彼女の淡紅色の花弁のような唇に。だが誰にも触れたことのない、触れられた事のない唇に。
そして艶やかなまるで糸のような細い舌を。
それを尿道口に差し入れた。
うっ、と健二が呻く。それでも気にせずに裂いていくように。
(気持ち……良いんですか?)
熱い。
とても熱い。
舌の先が。唇が。肉棒に触れている全てのものが。
そして……彼女自身も。
とても熱くなっていく。
(気持ち良いんですね? こんなものを下級生の私に見せて……恥ずかしくないんですか、健二先輩)
知らず知らずのうちに目元が歪んでいく。
愉悦に。幸福感に。快感に。
(こんなものを……こんな女の子に突っ込む以外に、自慰するしかないような汚い棒を晒して)
高まっていく。
快感が高まっていく。
どうしようもなく。
気持ち良い。ただひたすらに気持ち良い。
(恥かしげもなく、見せて……気持ち良いんですね?)
来る。
もうすぐで……来る。
(気持ち――い、い。あ、あ)
咽返るような濃い牡の匂い。
脳がとろけそうなほどの快感。
棒が軽く痙攣するようにひくつくのが分かった。
早く出たいと。早く出して楽になりたいと。
確かにそれが言っている。
(あは、あはは)
痙攣が短くなるにつれて。健二の苦悶するような表情を見るにつれて。
(あはははは……はは、あははは!!)
どうしようもなく愉悦に満ちた笑い声が抑えきれなくなっていく。
犯していく。健二のそれを。腺液にまみれ、皐月の口内で扱かれている肉棒を。
「……あはは」
抑えきれなくなった、唇の端から漏れて行く愉悦とともに。快感に。したたり落ちていく自身の愛液とともに。
(来る……来る。透明なこの液よりも臭くて、ねばねばして、濃いものが)
扱く速さをさらに上げる。ねちょねちょと先走りの液と、彼女の唾液が混じる音がいやらしく響く。
(白い――白いアレが――)
開いた片方の手で袋を揉みながら。それが来るのを心待ちに。
(……来たっ!!)
膨らんだ。
皐月の口内扱いていた肉棒が、なにかが通ってくるように。
そして……
――――爆ぜた。
白いそれが。男の。牡の。雄の。ねばねばした。糸を引いた生臭いそれが。
反射的に唇を離した皐月に降りかかった。
顔に。髪の毛に。腕に。口に。どろりとしたゼリーのようなそれが。
(気持ち良い、気持ち良い)
垂れてきた一滴が、彼女の口の中に入る。
思っていたよりも変な味ではない、だが精臭のこもったそれを。舌で口の中で。頬の内壁で。
余すことなく味わい、そして
(気持ち、良い。気持ち……気持ち――……い……っ)
ビクン、と。
彼女の体が小刻みに痙攣していく。
(あ、あ……あ――……)
それは次第に大きくなり始めた。
口の中に広がる播磨の牡液の味。酷く苦い。のどに絡み付いてくるそれを飲み下しながら。
彼女に肉棒を扱かれ、情けなくも射精してしまった大石健二を見ながら。
(あ……、あ――――……っ)
彼女は。
宮乃皐月は。
この世に誕生してから生きてきた十数年の人生で初めて。
絶頂を体験したのだった。