俺達が幼馴染みから恋人になったあの日から二週間が過ぎた。
あれから俺達の仲はあまり変わっていない。
恋人らしいことどころか手を繋ぐことすらしていなかったりする。
まあ何回か一緒に遊んだりはしているのだが・・・。
「そんなことぐらい付き合う前から何度もしてたしなぁ・・・。」
「なんか言った?」
「いや。こっちの話。」
そして現在―いつも通りの夏の午後。
今もこうして学校帰りに香澄と一緒に買い物に行ってたりする。
だがそれだけでは進展できないほどに俺達の距離は近すぎた。
意識してはいるのだが、だからといってそう簡単に「恋人」っぽいことができるわけではない。
・・・告白したときだって子供の頃からの約束だったからまだ気が楽だったんだけど・・・。
今までずっと一緒にいたのに急に態度をコロリとは変えられない――
「・・・也!達也!」
「うおっ!?」
「もう・・・、ちゃんと聞いてた?」
「ゴメンゴメン、聞いてなかった。」
俺は両手にビニール袋をぶら下げたまま
「今日良太もさっちゃんも帰らないって言ってた。」
「へえ・・・。」
・・・・・・・・・・・・え?
「って待て!それってどういうことだ!?」
「なんか今日は友達同士でお泊まり会なんだって。」
「聞いてないよそんなの!?」
「だってさっきメールで言われたばっかりだし。
それにそのこと言ってたのに聞いてないのはそっちでしょ?」
「う・・・。」
反論できない。
どうも俺が不利なんでとりあえず話の矛先を変えようとする。
「・・・あいつらなんか変なコトしたりしないだろうな・・・。」
「何が?」
「エッチなこととか・・・。」
「・・・・・・いくら何でも友達もいるんだから・・・。」
「だといいけど・・・。いや、なんかあった方があいつらに進展が・・・。」
「まあいいんじゃない?本人達に任せておけば。」
「それが凄く不安なんだがな・・・。」
まあ香澄の言うとおり本人達次第だが。
「まあね・・・。」
ふと香澄と目が合う。
「・・・・・・・・。」
香澄はしばらく俺の方を見ると頬を赤らめてうつむいた。
「どうした香澄?」
「あ、何でもない何でもない!!」
「?」
何だろう・・・?
「何かあるなら言ってみろって?」
「だ、だから・・・。」
「お前が「何でもない」を強調して言うときは必ず隠し事をしてるんだから
すぐ分かるって。」
「・・・・・・・・。」
「俺には言えないこと?」
「違うけど・・・。」
長い沈黙の後、消え入りそうな声で香澄は言った。
「さ、さいきん・・・、その・・・、
手つないだり・・・、キスとか、してないから・・・、
もしかして、告白したのも子供の頃の約束を守ろうとしただけで
ホントは私のこと何とも思ってないんじゃないかなあって思っちゃって・・・。」
言い終わると香澄はまるで怒られるのを待つ子供のように顔をうつむかせた。
「・・・・・・・・。」
俺は――――
「香澄。」
俺の呼びかけに香澄は一瞬の躊躇の後に顔を上げ、
―俺に唇を奪われた。
「!?」
久しぶりの唇の感触が心地良い。
たっぷり3秒ほどその感触を味わってから唇を離す。
背が同じくらいだと不意打ちでキスしやすいかもと思いながら俺は口を開いた。
「絶対にそんなことはない。」
キッパリと断言した。
「俺はお前が好きだから告白したんだし、いい加減な気持ちでそんなこと言わない。
それに・・・、そういうこととか、エッチなこともしたいと思ってる。」
その言葉を聞いた香澄の顔が赤くなっていく。さっきとは違う意味で。
そこでようやく自分が夕方なので人気がないとはいえ
大通りで恥ずかしいことを言っていることに気付く。
俺は両手に持っていた買い物袋を無理矢理全部左手だけで持ち、
空いた右手で香澄の頭を撫でてやる。
「ゴメンな。」
「ううん・・・。」
正直左手だけで本来両手に分けて持つはずの荷物を持っているので
ビニール袋の荷物の重量分の圧力が指にかかって凄く痛いがかまわない。
香澄の心はもっと苦しかったはずだから。
その痛みを少しでも分かってやろうと思う。
まあ肉体的な痛みと精神的な痛みは違うだろうけどこういうのは気持ちの問題である。
しばらく俺は左手の痛みと闘いながら香澄の頭を撫でていたが
突然香澄は頭に乗っている俺の手をゆっくりと引きはがした。
ああ何で離すんだよせっかく柔らかい髪の感触アンドお前の笑顔をを堪能していたのに・・・
俺が人知れず葛藤していると香澄は掴んだままだった俺の右手を持ち替えて手を繋いだ。
慌ててその手を握り返す。
ふと香澄と目が合う。
「やっぱりさ。」
「?」
俺は微笑して言った。
「背、近い方がキスしやすいから良いと思う。」
「・・・バカ。」
香澄は頬を赤く染めて目を背ける。もうちょっとまともな対応は出来んのか。
まあそれはそれで可愛いが。
「・・・いこうか?」
「・・・うん。」
その後、家に着くまで俺達は手を繋いでいた。
その手はとても暖かく、柔らかかった。
「御馳走様。今日も美味かったです。」
「どういたしまして。」
「こんな美味い飯を毎日食えるなんてお前を嫁にもらう奴は幸せ者だなあ・・・
無論俺のことだが。」
「な・・・!嫁って・・・!?」
香澄は俺の言葉に反応して顔を赤くする。
「何だよ、それくらい今までしょっちゅう言われてただろ?
「えっ!?お前等名字違う字だったの?」とか。」
「だ・・・、だって、達也がそんなこと言うの初めてだし・・・。
それって・・・、プロポーズ・・・?」
「・・・まあそう解釈しても良いんでない?」
俺がそういうと「え?ええ!?」とさらに頬―いやそれを通り越して顔全体を赤く染めた。
「な、なんでいきなり、そんなこと・・・。」
「・・・まあ深い意味はないんだが・・・。」
俺は何となくあさっての方向に視線を向けて、
「今までこんな事言ってなかったから、その分今ここで言ってしまおうかって思っただけだよ。」
そういうと香澄はさっきよりはいくらか落ち着いた口調で言った。
「・・・アンタって時々サラリと恥ずかしい事言うわね・・・。」
「やかましい。」
そうやって軽口を叩こうとしたときだ。
ちゃ〜ちゃちゃ〜ちゃちゃっちゃらら♪
俺のズボンのポケットから軽快な着メロが響いた。
そこから携帯を取りだし、携帯を開いてディスプレイを確認すると
メール着信を示すアイコンが表示されていた。
早速開いてみる。
「誰から?」
「母さん。」
「見ていい?おばさんのメールおもしろいし。」
「別にかまわんが。」
俺がそういうと香澄は俺の隣に席を移して俺に触れそうなくらいに近づいた。
「・・・お前こそ時々無防備な行動取るよな・・・。」
「・・・達也限定よ。こんな事をするのは。」
そう言いながら香澄はさらに俺との距離を詰める。
そのことに少しドキリとしながらメールの内容を確認する。
元気〜?(*^_^*)
スミちゃんと付き合ってるんだってねオメデト〜(>_<)/
今日は仕事が残業でマイダーリン共々そっちに帰れないから
スミちゃんとイイコト♪してるところが見れないなんて悲しいよ〜(;o;)
だけどその分二人きりってシチュエーションを
思う存分堪能してね〜ヽ(^o^)ノ
PS:近藤君は書斎の黒い本棚にある
国語事典のカバーの中にあるから使え〜ヽ(^o^)ノ
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
いろいろ突っ込みたいところはあるが・・・
何で付き合ってることを知ってるんだ母さん?
・・・まあ多分良太かさつきがどっかから情報仕入れて報告したんだろう。
まあ告白した日に手繋いだまま登校して以来
俺達が付き合ってると言うことはいろんな奴にバレバレだし。
・・・その前からいろいろからかわれてたけど・・・。
とりあえず「いい年して顔文字はやめろ」と返信しておく。
「・・・・・・・・なあ。」
「・・・・・・・・なに?」
イヤな予感が思い切りするが香澄に聞いてみる。
「お前の家の親は今日もいないのか?」
「・・・・・・・・うん。」
当たってるし。ヤな予感。
つまり、
「この家に・・・。」
「俺達二人だけ・・・?」
沈黙。
「・・・・・・・どうする?」
「・・・・・・・私に言われても・・・・・・・。」
再び沈黙。
「・・・。」
「・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
どうしようこの状況・・・。
しばらくそうしてと、隣に座った香澄は消え入りそうな声で言った。
「えっち、しよっか・・・?」
「いいのか・・・?」
突然言われたにも関わらず、不思議とあまり驚かなかった。
「帰り道に達也から言い出したんじゃない・・・。」
「・・・まあそうだが・・・。」
俺が頭をかいて苦笑すると香澄も苦笑しながら告白した日と同じ―言葉を放った。
「出来るだけ優しくしてよ・・・。私、経験ないし・・・。」
「さて・・・。」
というわけですることになったのだが・・・。
情けないが凄く緊張してる。
告白したときよりも。
しかしだからといって何もしないわけにはいかない。
「キス・・・、していい・・・?」
「う、うん・・・。」
許可を得たのでキスしようと顔を近づける。
キスする寸前に念のために聞いてみる。
「・・・舌、入れていい?」
「う、うん・・・。」
言ってからようやく唇を重ねる。
そして俺はゆっくりと香澄の唇の間に舌を入れていった。
「・・・・・・・・。」
困った。
この先が分からない。
というか今までディープキス=相手の口の中に舌を入れるぐらいにしか認識してなかった。
それ以上のことを知ろうとしても資料(俗に言うエロ本やら裏ビデオやら)はこの部屋に存在しない。
(立ち読み程度ならばしたことはあるが。)
自慰とかなら香澄(無論脳内妄想)で十分だからだ。
・・・それがアダになるとは・・・!
今この瞬間俺は自らの浅はかさをおそらく生涯で一番後悔した。
しばらく―おそらく数秒程度だったのだろうが俺には数分のように思えた―そうしていると
香澄が俺の口の中に自分の小さな舌を少しだけ差し込んだ。
彼女の唾液まで一緒に。
少し甘い味がする。思わず香澄から送られたつばを飲み込んでしまう。
喉が予想以上に大きな音を立ててしまって少し驚いた。
慌てて香澄の顔色をうかがう。やはり香澄も驚いたようで目を見開いていた。
失敗したなあと思うが逆にもうどうにでもなれとヤケクソ気味な気持ちにもなる。
ようやく唇を離す。
一応これ以降は知っているのでさっきよりは気が楽だ。
俺は遠慮しがちに香澄に聞いた。
「・・・・服、脱がしていい?」
「・・・・ど、どうぞ・・・・。」
俺は了解を取ると香澄のシャツのボタンをぎこちない仕草で外していく。
自分としてはもっとスムーズにしているはずなのだがなかなか手が言うことを聞いてくれない。
苦戦しながらもどうにかシャツのボタンを全て外すと
紫の下着に包まれた彼女の豊満な肉体が現れた。
それを見た瞬間俺の頭に何かがひらめいた。
「・・勝負下着?」
俺がそう聞くと香澄は首を小さく縦に振った。
「あ、これ、フロント式だから。」
「あ、ああ。」
そう言われて俺はブラの前のホックを外そうとする。
ホックは意外とあっさりとはずれ、ブラに納められていた乳房が俺の目に飛び込んできた。
「やっぱりデカイよな・・・。」
俺の素直な感想に香澄は既に紅潮していた顔をさらに赤くした。
「邪魔なんだけどな・・・。運動するときとか。あと肩もこるし・・・。」
「お前は今全国の発育に悩む女性の皆様と巨乳好きな男どもをいっぺんに敵に回したぞ。」
「そ、そう?」
おお、困ってる困ってる。
「・・・。」
「どうした?」
恥ずかしさで顔をうつむいた香澄は目だけを俺に向けて口を開いた。
「達也は・・・、大きい方が好き?」
少し迷ってから答える。
「・・・まあどっちかというとデカイ方かな。」
「・・・よかった・・・。」
香澄は安堵したらしく顔をほころばせる。
「・・・言っておくけど乳がどうのこうのだけで嫌いになったりはしないからな。」
「うん・・・。」
俺がそういっても彼女のニヤつき顔は変わらない。
いやむしろさらに頬がゆるんでる。
あえてそれを無視して香澄に質問する。
「触っていい?」
「う、うん・・・。」
早速俺は香澄の乳房を鷲掴みにする。
「・・・あ・・・。」
彼女の乳は俺の手に収まりきれないほど大きかった。
「揉むぞ。」
「うん・・・。」
言ってから俺は香澄の乳房を揉み始める。
過去にも触ったことがあるがあの時は服越しであった。
今回は直接触れているので、あの時よりも暖かくて柔らかい。
しばらくそうした後、俺は香澄の最後の下着に手をかけた。
「脱がすよ?」
「・・・・・うん・・・・・。」
そして俺はゆっくりと香澄のパンツを下におろした。
隠されていた毛はあまり濃くはなく、申し訳程度に香澄の秘所を隠していた。
「触るよ?」
「・・・・・うん・・・・・。」
俺は指で香澄の秘所の亀裂を撫で始めた。
「・・・・・・・・・・・・・!?」
香澄がびくりと身を震わせるがあえて無視して続ける。
何度もそうしていると指に湿り気を感じ始めた。
そこで俺はようやく自分が服を一枚も脱いでないことに気付いた。
「ゴ、ゴメン!」
慌てて着ている物を全てはぎ取る。
二人とも生まれたままの姿で向かい合う格好になった。
俺の股間の物は既にいきり立っている。
それを見て香澄が聞いてきた。
「男の人って、興奮したらこうなるの?」
「・・・まあな。」
いつもよりボリュームダウンした声でそう答えると香澄が再び口を開いた。
「私で、興奮してるんだよね?」
「他に誰がいる。」
ぶっきらぼうにそう返すと香澄がまた照れ笑いを浮かべる。
俺はそれを心底可愛いと思いながら自らの男根を掴み、香澄の亀裂にあてた。
「・・・・・あ・・・・・。」
香澄が少し慌てたような顔になるがすぐに落ち着きを取り戻す。
「入れるぞ。」
「・・・・うん。」
そして俺はゆっくりと香澄の中に入っていった。
「っ!?」
数センチ入ったところで香澄が声にならない悲鳴をあげる。
俺は驚いて抜こうとするが香澄の真剣な目がそれを遮った。
彼女は心配ないから最後までやれと視線で訴えてくる。
俺は覚悟を決めて行為を続行した。
半ばまで入ったところで先端に何かが当たった。
おそらくは香澄の処女膜だろう。
香澄は俺の方を見ると首を縦に振る。
していいということだ。
それを確認すると俺は一気にそれをぶち破った。
「・・・・・・・っぐぅ!!!!」
喪失の痛みで香澄が悲鳴を上げる。
俺はそれをあえて無視して腰を振り始めた。
もうひとりの俺が香澄の中から何度も出たり入ったりを繰り返す。
香澄も慣れてきたのか苦痛にゆがめた顔を少しだけ戻す。
「たつ、や・・・。」
香澄が息も絶え絶えな声を絞り出す。
「今日、安全、日、だから・・・・。」
俺はその言葉にうなずく。
それとほぼ同時に俺の先端から何かが出そうになる。
「香澄っ、出すぞっ!」
「う・・・、ん・・・。」
そして俺は、香澄の中で全てをぶちまけた。
「大丈夫か?」
全てが終わってから達也が心配そうに聞いてきた。
・・・分かってて言ってるでしょその台詞・・・。
私は全身にかかる痛みでくたくたになりながらどうにか声を振り絞って答えた。
「・・・・・・・・すっごく痛い・・・・・・・・。」
「・・・悪い。」
まだ下の方で慣れない感触が残っている。
「次はもっと上手くなってよね・・・。」
言ってから自分が恥ずかしいことを言ったことに気付く。
少しの間達也は驚いた顔をしていたがすぐに表情を微笑に変え私の頭を撫で始めた。
「・・・そのうちな。」
「・・・うん。」
・・・気持ちいい。
いつもより優しく撫でてくる。
この撫で方は私に「ゴメン」という気持ちを伝えたいと思っているときの撫で方だ。
それが判別できることを誰かに意味もなく自慢したくなる。
ああ。これが「好き」っていうことなんだろうな。
そう思いながら私は彼に抱きついた。
お互い裸だが今はそんなことはどうでも良い。
少しでも達也に触れていたい。今はそうしていれば十分だ
我ながら恥ずかしいこと考えてるなと思いながら私は瞼を閉じた。
俺を夢の世界から引きずり出したのは愛用の携帯のアラームだった。
「やばい!もうそんな時間か!」
俺は即座にかぶっていた布団を吹き飛ばし携帯のアラームを止める。
抱きついていた香澄も布団と一緒に俺の体から離れて床に落ちるがそれでも起きる気配はない。
「おい香澄起きろ!早く!」
俺は容赦なく香澄の裸体を揺らした。
それにつられるように香澄の乳も揺れているが今はそれにかまってる場合ではない。
「・・・・・・・・・・・・・・・・ぐう。」
・・・さっきまでは初めての痛みやら筋肉痛やらで苦しんでたのにもう熟睡かよ・・・。
今は遠い地にいるママン。女は怖いです。
しみじみと女の逞しさを痛感する。
それはともかく
香澄は全く目を覚まそうとせずにいまだに寝息を立てている。
こうなったら仕方ない。
「許せ香澄・・・。」
とりあえずパンツをはかせてやる。
後は―
「ああもう、これでいいや!」
そこら辺に転がっていた俺の白いチェックの長袖シャツを着せてやる。
俺達の身長は一緒ぐらいなのでだ服のサイズも当然近いのだが
やはり香澄の方が細いので袖やら襟元やらがブカブカだ。
胸だけはピッタリなので谷間がハッキリと出るのだが。
「おおう、これは・・・。」
たまらなくそそる。
ナイスチョイスだ俺!
思わず窓ガラスに映った自分にサムズアップを送ってしまう。
・・・・・・・・・なにやってんだ俺。
素に戻った俺はいそいそと服を着込み、香澄の体を抱え上げた。
私が気がつくと世界は揺れ動いていた。
なんだかよく分からないけど立ってる感覚がない。
むしろ浮いているというか、何かに持ち上げられてるような感じだ。
慣れない感じ。でも何故か悪い気はしない。
ふと視界が暗いことに気付く。どうやらいつの間にか瞼を閉じていたらしい。
とりあえず重い瞼を開けると。すぐ近くに達也の顔があった。
「!?」
「おう、起きたか。」
達也は私が目覚めたのを敏感に感じ取って声をかけてきた。
もしかして・・・、達也にお姫様だっこされて運ばれてる!?
達也は私の動揺に気付かずベランダまで来るとようやく足を止めて私の身体をおろした。
どうやらお姫様だっこで達也の部屋からベランダまで運ばれたらしい。
なななななななんで!?どういう事!?
心の中で疑問符を浮かべていると達也は呆れたような口調で言った。
「今日花火大会だから時間になったら一緒にベランダ見ようって言ってただろ?」
・・・そういえばそんな気もする。
と、私はようやく自分の着ている物がいつの間にか男物のシャツ一枚であることに気付いた。
私は達也に流し目を送ると口を尖らせて言った。
「達也が着せたの?」
「だってお前が起きなかったからしょうがないじゃないか。」
「・・・・・・・・・・・あうう・・・・・・・・・・・。」
確かにそうだ。
言い返せなくなってそのまま私は顔をうつむけて黙り込んだ。
ちらりと目だけを達也に向けると彼はちょっと言い過ぎたかな?って顔をしていた。
その顔を見たとき私はあることをひらめいた。
そのことに気付かず達也は私に声をかけようと口を開く。
が、突然私が達也の左腕にしがみついてきたせいでそれは失敗に終わった。
「な・・・、おい香澄!?」
達也が顔を真っ赤にしながら抗議の声を上げるが私は無視して彼の耳元でささやいた。
「恥ずかしさのお裾分け。」
「ただの押し売りだろっ、それはっ!」
達也はそういうけど私を引きはがそうとしないところを見るとそこまで嫌がってはいないようだ。
私は彼の頬に軽く口づけすると再び耳元でいった。
「・・・大好き。」
「・・・俺も。」
このまま、花火が終わらないと良いなあ。