嫌な予感はしていた。  
俺もそうそう、何度も同じてつは踏むまいと心構えていた。  
それがむしろ、相手に強硬手段を執らせるという結果をもたらせてしまったようだ。  
今俺は椅子に座らせられ、椅子の背に腕を回され縛り付けられている。  
そして足を広げ、椅子の脚にやはり縛り付けられている。  
完全な拘束状態。俺は今捕らわれている。それも全裸で。  
「あなたがいけないのよ……」  
顔を伏せかるく左右に振りながら、悲しげに呟く女性。  
「私だって……こんな事まではしたくなかったのに……」  
震える声。キラリと光る涙。  
攻められるべきは拘束している彼女のはずだが、これでは俺が攻められているようだ。  
第三者から見れば。  
「言わせて貰うがね……」  
俺は彼女の言葉と、現状と、そしてこうなった経緯を全てひっくるめて大きく溜息をついてから切り出した。  
「ゴーレムまで動かして、「こんな事まで」とかよく言えたな」  
俺は彼女……いや、彼女達を睨みながら訴えた。  
それを迎え撃つのは、彼女達の反論。  
「ひどい! だってあなたが、いつものように痺れ薬入りのお茶を飲んでくれなかったり、捕獲用トラップを難なく回避したりするから!」  
「だからゴーレムで力ずくかよ!」  
そう同じ手を何度も喰らうか。  
俺は「嫌な予感」に従って慎重に行動をした結果、俺を痺れさせ拘束したがった彼女達……魔女三人組の方が痺れをきらした。  
四の五の言わぬ強引な手法。人型ストーンゴーレムとクレイゴーレムを俺にけしかけ、力ずくで連行。そして今がある。  
余談だが、ゴーレムはどちらも女性型というのがエロ魔女達のこだわりらしく、たしかに二体とも材質こそ硬いが柔らかな曲線美を保っている。  
そんなことはどうでもいい。問題は、結局「いつものように」拘束された俺が、この後何をされるかということだ。  
「で……今日は何をする気で? 女王様」  
俺は皮肉を込めて彼女達を女王様と呼んだ。  
それは彼女達が今ボンテージファッション、それも胸をはだけながらも強調するような衣装を身につけているから。  
ちょっとおかしいのは、その上に白衣を羽織っていることか。  
毎回毎回、彼女達が俺に「何か」をするときは、決まってエロファッションを楽しんでいる。  
それも普段は老婆の姿をしている癖に、  
こういう時は年相応の……とはいえロリから熟女まで振り幅は大きいのだが……魅惑的な女性の姿をしている。  
気になるのは……どうも彼女達の胸が大きく見える。普段より2サイズ分は大きい。むろん衣装のせいでそう見えるだけでも無さそうだ。  
「今日はね、実験に付き合って欲しいのよ」  
今日も、の間違いだろ?  
とりあえず白衣を羽織っている理由だけ何となく理解した俺は、口に出すのもバカらしいのでツッコミを心中に止めた。  
 
「前に「チョコスライム」の話はしたかしら?」  
それは聞いている。  
なんでもリリムハウスのオーナーに頼まれて「チョコローション」なる怪しい物を作るよう頼まれたらしく、  
彼女達はスライムの生成技術を使ってそれを完成させたらしい。  
が、それだけでは面白くないと、発注とは別にちゃんとこのローションがスライムとしても使えるかを実験したらしい。  
結果から言うと、その実験は成功した……と、俺は聞いた。  
ただ、完全な成功とは言えないとも聞いていた。  
つまり、今日はその続きか?  
俺は魔女の問いに「知っている」という意味を込め黙って首をこくりと傾けた。  
それに満足し、魔女は説明を続けた。  
「あの時はあなたの精子を動力媒体にしようとしていったんは失敗したの。でも私の血を混ぜたら成功……どころか、エロ暴走しちゃったのよね」  
その話も聞いた。  
スライムは魔力によって動く魔法生物。その為媒体に魔力のこもった物を使うのが一般的。  
まあ、スライムを作ることが一般的かどうかはこの際置いておくが。  
ともかく、その理論からいくと、俺の精子は魔力がこもっているので適任だったということだ。  
だが、それなら魔女の血だけで良かったはず。  
彼女達の血には俺の精子や血とは比べ物にならない魔力が込められているから。  
それでも俺の精子にこだわった利用は……こいつらの原動力がエロだってことで察しがつく。つきまくる。  
なにせ俺の精子には「媚薬効果」がたっぷり含まれているから。  
この効果、基本的には精子を糧とする淫魔だけに効果がある……と思われていた。  
ところが以前アルラウネで実験をしてみたところ、  
淫乱なアルラウネが完成するという、実験を行った魔女にも予測できなかった結果が得られた。  
余談だが、あの時のアルラウネは今でも元気にリリムハウスで働いているらしく、一部の客から熱烈に愛されているらしい。  
あの時の実験から、彼女達魔女の、俺の精子に対する執着度は上がった。  
以来とにかくあの手この手で俺を拘束しては俺から……搾り取っていきやがった。  
どーも、今回も同じく俺から強引に頂戴したいらしい。  
「ところが、暴走は一度きり。一度私を逝かせたら魔力が切れちゃったのよね」  
さも残念だと溜息をつく魔女。そして今まで黙っていた別の魔女が、彼女の言葉を引き継ぎ説明を続ける。  
「その話を聞いて、私達は色々研究したの。最初は精子の量が足りないのかと思って、たっくさん実験に使ったけど……ダメだったのよ」  
ああ、それでここ最近強引な摂取が多かったのね。  
……と、理由は解っても納得できる話ではないのだが。  
「そこで気付いたの。足りないのは精子の方じゃなくて血の方だって」  
先にも述べたように、俺の精子に宿る魔力はそう多くはない。従って俺の精子の量を増やしても、魔力自体の量はそんなには増えない。  
魔力を高めたければ、もう一つの媒体になっている彼女達の血を増やすべきなのだ。  
「そんな初歩的なこと、もちろん私達も解ってはいたんだけど……足りないのは魔力より「エロ」かと思ってたのよねぇ」  
なんか酷い言われ用だな、俺の子種達は。  
 
「そこでね。どうせならスライム本体の魔力を高める目的も含めて……こんなのを用意してみました!」  
そう言って大げさに二人の魔女が、手を広げ腕を後方へと伸ばす。  
その先には、三人目の魔女が台車に乗せた大きな水槽を運んできていた。  
中には白い液体がなみなみと入れられている。  
「これはね、私達の母乳なの」  
母乳!? ……ああなるほど、そういうことか。  
母乳は血液の成分から作られる。つまり彼女達の母乳にも沢山の魔力が込められている。  
それをスライムのベースに使用すれば、媒体としても大きな効果が望めるというわけだ。  
以前の実験がチョコスライムなら、今回はミルクスライム……いやもっとストレートに母乳スライムと言ったところか。  
それにしても……三人がかりとはいえよくこれだけの量を集めたな。  
「苦労したのよぉ……わざわざ胸大きくして薬やら術やら使って、三人で搾乳し合ったんだから」  
そう言いながら三人は、ご自慢の胸を両手で鷲掴み、むにむにと俺に向け揺すって見せた。  
巨乳美女三人の搾乳プレイですか……今の衣装がボンテージなだけに、流石に俺もチラリとその場面を想像してしまう。  
というかもしかして……少し前まで搾乳プレイ中だったんじゃないか?  
よく見れば、三人とも胸が少し赤い。強く揉んだ後のようだが……ああしまった、また想像して一部元気になってしまう。  
「これにはもうベラドンナとかの薬草も混ぜてあるわ。後足りないのは、あなたの精子だけ」  
搾乳を終えたところでいても立ってもいられない彼女達は、早速実験を進めたいと俺を拉致した……というところなのだろうな。  
なんかもう、三人の瞳が乙女のように輝いてるよ。  
その原動力がエロだってのに。  
「というわけで、納得してくれた?」  
いやだから、理解はしても納得は出来ない……んだが、どうせ何を言っても無駄だろうな。  
俺は肯定とも否定とも付かない、大きな溜息をつくだけに止めた。  
「うふふ……それじゃあ早速、たぁっぷりとこの胸で……と言いたい所なんだけどね」  
一度俺の眼前まで鷲掴みにした胸を押しつけんばかりに胸を見せつけた魔女は、すこし寂しそうに後ろへと下がる。  
代わりに、俺の前には俺を縛り付けたゴーレムの一体、クレイゴーレムが立った。  
「私達の胸、ちょっと無理しすぎて……充分なパイズリをしてあげられないのよ」  
まあそうだろうな……痛々しい程赤くはなっていないが、無理が出来るようにも見えない。  
「で、折角だからこの娘を試してみない? まだ未完成だけどテクニックは折り紙付きよ」  
魔女がそのゴーレムの肩に手を乗せ、俺に勧める。  
薦められても拒否権は無さそうだし……まさか「胸がダメなら口で」と俺から言うのもはばかられるし……結局選択の余地なんか無いわけだ。  
ただ心配なのは、ゴーレムの材質がクレイ……つまり粘土だという事。  
もう一方のストーンよりは柔らかいだろうが、それでも粘土は柔らかい素材とは言い難い。  
そんな俺の不安を見抜いたのか。魔女は心配ないと微笑みながら、水槽から自分達の母乳を軽く手ですくう。  
「こうして、水分を練り込んであげると……ほーら、すべすべ巨乳の出来上がり」  
灰色の肌に練り込まれる白い液体。それだけでどことなくエロティシズムを感じてしまう。  
粘土の表面が軽く水分によって溶け、魔女の言う通り滑らかになっている。これならパイズリも大丈夫……ということなのか。  
 
「ともかく試してご覧なさい。さあ、始めて」  
主に促され、クレイゴーレムは俺の前に跪き、そして濡れた胸で俺の軽く元気な肉棒を挟む。  
すると確かに、ぬるりとした感触が肉棒を包み心地良い。  
ゴーレムは表情を変えずに俺を上目遣いに見ている。  
魔女は未完成と言っていたが、完成していないのはこの表情のことなのだろうか。  
本来の用途からすれば、彼女はゴーレムとして充分機能していると思われる。  
命令には従い、力もあり、二人がかりとはいえ俺を強引に縛り付けるといった難しい作業もこなすのだから。  
それても不服なのが、エロ魔女のプライドとでも言うべきか。  
俺は見つめる彼女に軽く頷いて見せた。彼女の仕事を進めさせるために。  
無言で、彼女は自らの大きな胸を横から掴み、揺すり、俺の肉棒に心地良い刺激を与えていく。  
ぬるりとしているが、それは表面だけで彼女の胸は人のそれよりは遙かに硬い。  
それは本人も重々理解しているのか、胸を強く押しつけるようなことはしない。  
軽く滑らせ、しかし適度な圧迫はつける。柔らかくない分、妙な堅さが新鮮な刺激にすらなる。  
これだけ細かい技術を使わせながら、まだ未完成とは。どこまでプライドが高いんだ、彼女達は。  
「どう? 思ったより気持ちいいでしょ?」  
俺の耳元で、魔女が囁く。  
確かに彼女が言う通り気持ちいい。  
が……何かが足りない。  
テクニックは申し分ない。申し分ないのだが……それだけだ。  
このまま続ければ、そのうち射精するだろう。肉体は正直だから。  
しかしなんというか……気持ちの上では逝けない。そんな感じだ。  
それはたぶん、彼女と、クレイゴーレムと心を通わせられないからだろうか?  
「ほら、見て……この娘の胸。形が変わってるでしょ?」  
言われるままに視線を落とし、彼女の胸に着目する。  
確かに形が変わっている。硬くなった肉棒を擦っている内に、胸の内側が肉棒に合わせ凹んでいる。  
胸の谷間にはまるで穴が空いたように凹み、その穴にピッタリと俺の肉棒がにょきにょきと顔を何度も覗かせている。  
「解る? あなたのものに合わせて形が変わったの。あなたのを擦って擦られて、形が変わったの。つまり、この胸は、この娘は、あなたの肉棒専用に生まれ変わったのよ」  
専用。その単語に、専用にさせた肉棒がビクリと反応を示した。  
「あなたの肉棒専用の、泥人形……あなたのために産まれ変わった、淫乱な泥便器……ほら、泥便器に遠慮なんていらないわ……たっぷり、出してあげて」  
淫乱卑猥な言葉を囁き続ける人形の制作者。  
彼女は俺の気持ちを察したのだろうか。せめて別口から俺を興奮させようと言葉攻めを始めた。  
単純な俺は、それだけで興奮していた。  
目の前の献身的な彼女は、俺専用。そう思うだけで性的興奮が呼び覚まされる。  
「ああ、ご主人様……私の胸で、この淫らで卑しい泥の胸で逝ってください……」  
もう一人の魔女が、もう片方の耳に囁く。目の前の泥人形の代わりに。  
頭では別人だと解っている。端から見れば茶番だ。しかし興奮しきった俺には効果的だ。  
「お願い、だしてぇ! この泥便器にぃ! いいの、私胸で感じてる。ご主人様専用の胸で感じてるぅ!」  
最後の一人も加わり、三人で卑猥な言葉を俺の耳に囁き続けている。  
囁くなんてものではもう無いな。彼女達の喘ぎに、俺の興奮は頂点へと駆け上がっていく。  
「くっ……出る……」  
もう間近。俺はどうにか頭の片隅に残る理性で、それを魔女達に告げた。  
このまま射精してしまいたいが、目的はその射精した白濁液の採取。  
効率よく得るには、このまま射精してはまずかろう。俺はそう思い時間がないことを告げたかった。  
「いいわ、このまま出して! ご主人様専用の泥人形にかけて! かけて下さい!」  
彼女達も解ってはいたが、ここで採取のためにゴーレムを遠ざけては興ざめ。  
それは俺への気遣いなのか、人の痴態を見て悦ぶ彼女達の趣味なのかは解らないが……このまま俺に出させようとしている。  
「逝って、逝って、ご主人様、かけて、かけてぇ!」  
灰色の顔に、俺の白濁液が勢いよく浴びせられた。  
ねっとりとしたその液体を浴びたクレイゴーレムは、始めから命じられていたのだろう、  
胸から俺の肉棒を解放しそのまま母乳の入った水槽の方へと向かった。  
そして丁寧に指で精子をすくっては水槽の中へと入れていく。  
多少彼女の身体……粘土も交じっているようだが、それは許容範囲なのだろう。  
 
「ご苦労様。それじゃ、そのまま見ていてね」  
俺の方にポンと手を置き、魔女が片目をつむりながら俺を労う。  
そしてすぐに水槽へと歩み寄り、三人はその水槽を取り囲んだ。  
手をかざし、なにやら唱えられる呪文。  
触れられていない水槽。しかし僅かに、注がれた母乳が揺れた。  
小さな波紋、揺れる水面。徐々にそれは大きくなる。しかし水槽から母乳は一滴も零れない。  
母乳の揺れが激しさを増す。そして突然、ザバッと大きな波音を立てた。  
気付けば、母乳は人の形をとり水槽の中で立っていた。  
普通スライムと言えば不定型なジェル状の魔法生物だ。  
しかし目の前に立つスライムは、ハッキリと女性の曲線美を保っている。しかも創造主達と同じく胸が非常に大きい。やはりベースが母乳だからだろうか?  
「ひとまずは成功ね……暴走も無さそう」  
ホッと胸を撫で下ろし、魔女二人が突きだしていた手を下ろす。  
が、残り一人はまだ手を下ろさない。  
「どう?」  
手をかざしている魔女に、他の魔女が尋ねた。手をそのままに、聞かれた魔女は軽く口元をつり上げた。  
「予想以上ね。簡易だけど自我もしっかりしてる。シンクロも申し分ないわ」  
質問に答えたのは、魔女の口ではなかった。声を発しているのは俺の前に立つ母乳スライム。  
「驚いた? ベースの魔力が高いから、シンクロさせて動かすことも出来るのよ。こうして話すことはもちろん、あらゆる感覚を共有出来るわ」  
スライムは同じ魔法生物であるゴーレムのように、命令に従って動くというのが苦手だ。基本的には生成時に与えられる「本能」にのみ従い動く。  
そのスライムを自在に動かすとなれば、何らかのコントロールが必要になるわけだが、  
魔女達はそのコントロールを「シンクロ」という形で実現したようだ。  
「ふふ、あらゆる感覚を共有できるのよね……うふふふ」  
ぞくり。俺は背に寒気を感じた。  
たぶん、俺の「嫌な予感」は的中しそうだ……。  
「では、実験を第二段階まで進めるわよ」  
水槽から足を出しながら、母乳スライを通して魔女はそう宣言した。  
むろん、向かうのは俺の方。  
「パイズリはもうしたから……次は手コキ? それとも口?」  
俺の前で跪き、しおれた俺の肉棒を掴み擦りながら尋ねてきた。  
どちらも遠慮する……という拒否権は無いらしい。  
「どう? 人肌とは違う感触と温もり……ふふ、聞くまでもないわね」  
聞かずとも、俺の肉棒は答えを示すかのように膨張を始めていた。  
彼女の言う通り、人の体温とは違う温もりと、滑らかなようで多少ぬるりとした感触をもつジェル状の母乳は、とても心地良い。  
ローションをたっぷり塗った手で手コキをされているようなもの……近い感触で言えば、こんなところか。  
「凄い……熱もちゃんと伝わって……なにこれ、手から私感じてる……」  
スライムを操る魔女が、離れたところで息を荒げ始めていた。  
一体、何が彼女に起きたんだ?  
「そうか、シンクロ……凄い、「全ての感覚」を手だけで感じているのね!」  
仲間の魔女の様子を見て、一人の魔女が手を打ち一人で納得していた。  
彼女の推測はこうだ。  
そもそもスライムには部分的な感覚器官がない。身体全体が一つの感覚器官と言っても良いだろう。  
つまり、スライムは身体のどの部分でも全ての感覚を得ることが出来る。  
感触も、快感も。  
スライムを操る魔女は、「手で肉棒を擦る」という感触を得ながら、本来手からは伝わるはずのない「快感」をもシンクロし脳で感じているようだ。  
そしてその推測が正しいであろうと、操る魔女は頷いた。  
「凄いのよ……んん! しかも魔力が高いから感度も高くて……んっ、ダメ、このままじゃ私、手で逝かされる!」  
言いながら、魔女は身体を小刻みに震えさせている。  
自白通り、逝きそうなのだろう。  
「こんな、ウソ……あっ! 手で、手で逝くなん……て、んっ、あ、いい! いく、逝っちゃう!」  
股間を露出したボンテージを着ていたため、吹き出た潮は盛大に、まるで立ったまま漏らしたかのような勢いで吹き出し、彼女の真下に大きなシミを作らせていた。  
「はぁ……逝っちゃった……すごいわ、予想以上よ……」  
肩で息をしながら、それでもコントロールを続けている魔女。流石に精神力は伊達ではない。  
 
「このままだと、実験に差し障りがあるわね……どうする?」  
ん? 俺はてっきり、母乳スライムを動かすことが実験だと思っていたのだが……違うのか?  
「そうね……感度を分散させてみるのはどう? 私達三人で同時にシンクロすれば、感度を三分割出来るかも」  
どうやら他に目的があるらしいが……この流れ、俺がまだ弄ばれるのに代わりはないようだ。  
「んー……もしかしたら感度は分散しないかもしれないけど、三人がかりでシンクロ維持するなら事故は起きにくいんじゃない?」  
事故って……怖い事言うなよ。  
俺を置いて、三人はあれやこれやと話し合いを続けている。  
そして結論が出たようだ。  
「三人でシンクロして実験に集中。「行為」は彼女に任せましょう」  
彼女とは、母乳スライムのこと。  
このスライム、魔女がシンクロしなくともある程度の自我を持っているため自立行動が出来るらしい。  
それはとても驚くべき事なのだが、これもひとえにベースの魔力が高いから出来ることらしい。  
ただその「自我」が、俺の精子がベースになっているため「性交」が基本になっているらしい。  
性交だけを行わせるだけならシンクロコントロールの必要はないらしいが、どうも彼女達の言う「実験」とやらにはコントロールが必要らしい。  
「じゃあ改めていくわよ……」  
実験は再開された。  
自由になった母乳スライムは、早速腰を俺の腰に絡みつかせてきた。  
椅子に縛られたままの俺に彼女がまたぎ覆い被さる。そしてそのまま腰をゆっくりと下ろしていく。  
しかし俺の肉棒はまたしおれていた。にも関わらず、彼女はそのまま腰を沈める。  
そう、まさに言葉通り、沈めてきた。  
彼女は俺の腰全体を、自らの腰で包み込んだ。まるで腰だけが一体になったかのように。  
「なに、これ……腰全体が熱い……まるごと性器になったみたい……」  
「それに感度が……んっ! ちょっとはマシになったけど、三分割って訳には……ふわぁ!」  
感じているのは彼女達だけではない。俺も母乳スライムの中で途方もない悦楽を感じていた。  
腰全体をなぶられるような感触。肉棒に至っては、強弱様々な圧迫が繰り返されている。  
しかも圧迫は肉棒全体を均等には行わない。まるで細かいヒダに包まれたように刺激していく。  
しおれていた肉棒は、ぐんぐんと彼女の中で膨張し起きあがっていく。  
「やだ……もう、逝き、そう……んっ! こんな……すごい……」  
「私も……ごめん、先に、いっ……んっ、はぁあ!」  
魔女が一人、盛大に潮を吹いている。続けてもう一人も。  
「あっ、もう、くる……んっ! 腰が、やっ、勝手に動いちゃう……」  
見れば、三人とも立ったまま腰を動かしていた。  
感じているのに実際には触れてもいない俺の肉棒を求め、彼女達の腰は悩ましく動き続けている。  
「このままじゃ、きつ……い……はやく、はやく逝っちゃって……よ、んふぁ!」  
どうやら、実験は俺の射精が不可欠らしい。  
言われなくても、俺も時期に逝きそうだが……このままではまだ終われない。終わらせてくれない。  
 
一人余裕の母乳スライム。むろん彼女も興奮し性交を楽しんでいるのだが、彼女自身にとってはまだまだ物足りないらしい。  
豊満な胸を、俺の顔に押しつけてきた。  
柔らかい感触が俺の顔全体にのしかかる。その感触はとても心地良い。  
「ちょっ! 胸まで、そんな……んっ!」  
スライムと俺の接点が増えれば、それだけ魔女達の快楽度も増していく。  
これで俺の手も自由なら、あれこれと彼女の身体と、そして魔女達の反応を楽しめるのに……縛られているのが恨めしい。  
が、まだ残されているものがある。それはスライムも解っているのか、彼女の方から求めてきた。  
「ふわぁ! ね、ちょっ……んっ! そんなに、吸わない、で……んん!」  
乳房の先端。乳首を俺の口元に押し当てるスライム。俺はその乳首を懸命に舐め、噛み、吸った。  
当然その快楽は倍になって彼女達にも届く。  
悶える彼女達を見ていると、ちょっとした復讐をしているようで楽しい。俺は悦楽の三重奏を聴きながら、乳首の味を楽しんだ。  
身体全体が母乳なのだから当然だが、乳首はとても甘い味がする。僅かだが、母乳も漏れ出てきている。  
赤子に戻ったようにしゃぶり付く俺だったが、それも続けられなくなってきた。  
俺に限界が近づいたから。  
「やっと……逝きそう、なの、ね? んっ! さ、あ……はやく、いっちゃって、よ、んはぁ!」  
「もう、五回は、いっちゃった……ん、はやく、逝って! 逝ってよ!」  
「いっ、んっ! きもち、いい……腰が、熱い、熱いのぉ……ひやぁ! んっ! いっ、逝って! 逝って!」  
三人に促されるまでもなく、見た目ピクリとも動かない、しかし中では激しい圧迫が繰り広げられている母乳スライムの攻めに俺はもう耐えられない。  
「逝く……ぞ……んっ、くぅ!」  
「ああ! 出てる! はあっ!」  
「んぁあ!……いい、射精の、勢いだけで……逝かされちゃった……」  
「はぁ……こんなに感じたの……サバトでもそう無いわよ……」  
俺を含めぐったりする四人。一人元気なのは、スライムだけ。  
しかし彼女の表情を見る限り、彼女も満足してくれたようだ。  
「さて……逝って意識飛びそうになったけど……どうにか持ちこたえたわ。実験は上手くいったかしら?」  
そうだ、実験。結局、何をしたかったんだ? 彼女達は。  
首を傾げる俺の前で、スライムが仁王立ちしている。そんな彼女に、魔女が一人近づき跪いた。  
そして両手をスライムの股間の下辺りに添えて待っている。  
しばらくすると、スライムの股間が膨らみだした。まるで陰門から何かが産み出るかのように。  
まるで、ではない。産まれた。彼女の陰門から、彼女と同じ色の何かが飛び出した。  
魔女の掌に落ちたそれは、まるで半熟卵のように見えた。  
「ひとまず成功……かしら?」  
どうやら、その半熟卵が実験の成果らしい。  
 
不思議そうにそれを見つめる俺に、縄を解きに来た魔女が説明を始めた。  
「アレはね、あなたの精子から作った「核」なの」  
彼女の説明によると、あの半熟卵は「高魔力の母胎」を用いて俺の精子からより精巧に「エロ要素」を圧縮させたものらしい。  
「魔法生物、特にスライムやゴーレムのような魔法生物には「核」が必要なの」  
魔法生物が「生物」である為の物。自我とも本能とも呼べる「行動理念」を形成するのが核で、これがないと魔法生物は暴走するだけの失敗作になるらしい。  
逆に言えば、この核をどれだけ精巧に作れるかで魔法生物の価値が変わる。  
「例えば、さっきあなたの相手をさせたクレイゴーレム。彼女にこの核を与えると、よりエロエロなゴーレムになる上に、自我に目覚めさせることも出来るのよ」  
彼女達魔女三人組は、一つの共通テーマの下で研究を行っている。  
それはエロス。ただ彼女達の提唱するエロスは、単純に性交だけのことではない。  
性欲は生命誕生のきっかけであり、生命を繋ぐ高度な理念。つまり性欲は生命そのものだ、というのが彼女達の一致した見解。  
一部納得できるところもあるが……まあ、結局エロ魔女としての本音はエロそのものだけだと俺は思っているが。  
そんなエロ目的の道具にされる俺というのも情けないのだが。  
「そうね……簡単に言えば、あなたの娘を作れるのよ。アレでね」  
娘……になるのか? まあ、俺の子種から産まれるのだからそうなるのか?  
この理論でいくと……目の前にいる母乳スライムも俺の娘なのか?  
「当然じゃない。ちゃんと認知してあげなさいよ、パパ」  
俺の疑問に、本気とも冗談とも取れる答えを返す魔女。当の娘は、ただただ微笑んでいた。  
「でもさ、よく考えたら……この核で産まれる娘って、近親相姦で産まれたって事になるのかしら? うわぁ、さすが変態学者」  
誰がそうさせたんだよ、誰が。変態魔女に言われたくもない。  
「ともかく……ご苦労様。本当ならもう2,3個核を作りたいけど……私達が持たないわ」  
あんたらが持つなら5個でも6個でも作る気だったろうなぁ……。  
完全に縄を解かれ自由のみになった俺は、服を着ながら溜息をついていた。  
「でも核は研究のためにももっと欲しいのよ。また協力お願いね」  
出来れば遠慮したいが……また武力行使に出られても困る。  
この核制作は彼女達もリスクを負うので、そう不用意に作ろうとはしないだろうが……さて、どうなるのやら。  
「……ん? どうかしたのか?」  
気付くと、母乳スライムが俺の袖を引っ張っていた。  
何かの意思表示なのだろうが……彼女には言語能力がない。  
指をくわえ物欲しそうにしている彼女の意思が俺に伝わらない。  
いや……なんとなーく、伝わっているのだが……伝わらないことにしたい。  
「もしかして、まだ物足りない? パパのがまだ欲しい?」  
こくこくと頷く娘。やっぱりそうなのね……認めたくなかったのに……。  
「なら遠慮しないで、親子のスキンシップを楽しみなさい」  
ニッコリ微笑む娘。そして腕を俺の首に回してくる。  
「いや、あのね……パパはとっても疲れてい……」  
否定は唇によってかき消された。  
押しつける娘の身体は服の隙間から入り込み、俺の身体に直接触れてくる。  
産まれたばかりの娘と過ごす夜は、とてもとても長くなりそうだ……。  
 

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