通い慣れた館。今俺は、三人の魔女が住まう館を訪れている。  
大きな鍋。陳列された薬瓶。薬草になる鉢植え。  
それらは「魔女の館」ならば特に気にも留めない、見慣れた品々だ。  
むろん始めてここを訪れる者なら、見て驚くことはあるかもしれない。  
しかし俺には慣れた光景。特筆すべき点などそこにはなかった。  
あるのは、今俺の目の前で怪しく蠢く不気味な……生物、と言っていいんだよな?  
「それ」は確かに、魔女の館に似合いと言えばそうだろう。  
しかしここに通い慣れた俺ですら、「それ」を見て驚いている。  
「うふふ……どう? カワイイでしょ」  
カワイイ……か?  
俺はうねうねと無数に伸びた腕……で、いいんだよな? そのぬらりと鈍く光る腕を撫でながら尋ねる魔女の意見には賛同しかねた。  
腕と言うよりは、「触手」と表現した方が的確だろうか。  
頭の先が丸まった緑の円柱を本体とし、そこから真っ赤な触手が幾本も不規則に伸びている。  
地球上のどの生物にも類似した物を見出せない、まさに「化け物」というに相応しい生物だ。  
「この子はね、ローパーっていうの」  
彼女の説明によると、このローパーと名付けられた化け物は、魔法生物……彼女達の魔術によって生み出された生物らしい。  
ここに住まう魔女三人は、「研究」と称して様々な魔法実験を繰り返しては俺を巻き込んできた。  
そもそも、俺と彼女達魔女は「天敵同士」のはずである。  
何故ならば、俺は「妖精学者」という職に就いた身だから。  
妖精学者とは、その名の通り妖精について研究をしている学者であり、  
妖精のいたずらに苦しんでいる人々に知恵を貸し助けるのが仕事。  
人々を苦しめる魔女が妖精学者にとって「敵対関係」になるのは必然。  
ただそれは本場アイルランドやイギリスでの話。  
俺は妖精学者を名乗ってはいるが、実質やっていることは「ゲゲゲの鬼太郎」のそれ。  
そして専門分野は妖精に限らず、妖怪や悪魔なども範囲の中。  
しかも俺は彼らと「友好関係」を築きながら問題を解決していく方法を好んでいる。  
故に魔女とも「友好関係」の間柄。  
まだ未熟な俺は、彼女達から薬草学など妖精学者として必要な知識を学んだり、  
魔法の使えない俺を助力してくれたりもしている。  
ただその見返りとして、彼女達の「実験」に半ば強引に参加されられている。  
今日もその「実験」に協力しろと呼び出されやって来た。  
幸い、今日館にいる魔女は彼女一人だけ。  
人数が少ないのは俺にとって良い傾向なのだが、  
これまでの経緯を考慮した上で、このローパーという魔法生物を見せられるという状況。  
俺の脳内に「嫌な予感」が高速で駆け回っても不思議ではないだろう。  
彼女達の作る魔法生物に俺は何度も襲われている経験も、「嫌な予感」に拍車を掛けていた。  
先日は彼女達の母乳から作られた「女性型母乳スライム」を操り、俺を襲わせ男の白い液体を搾り取ったりもした。  
で、今回は……いや、ちょっと待ってくれよ。何処をどう見てもこのローパーは……  
俺はあからさまに眉をひそめ、思わず両手を後ろに回してしまう。  
 
「ん?……ああ、違うわよ。流石に私だって「そんな趣味」は無いって」  
手を振りながら、魔女は笑い出した。俺がどんなことを想像したかを見透かしての反応のようだ。  
俺は一応彼女の言葉を信じホッとしたが、ただ彼女が本当に「そんな趣味」への興味がないかは多少疑問ではある。  
「逆なのよ。今日はね、この子をあなたに操って貰って、私を襲って欲しいの」  
俺がこのローパーを操って? 俺はまた違う疑問に眉をひそめた。  
「ほら、この前の母乳スライム。あれの逆バージョンが出来れば私達の「サバト」にも新しい趣向が加えられそうじゃない?」  
サバトとは、魔女達が年に8回行う悪魔レオナルドに捧げる性的な儀式の事。  
本来の意味は違うのだが、少なくとも彼女達の言うサバトとはこれ。  
この儀式は12人の男女が……まあ有り体に言えば「乱交」を行う儀式で  
彼女達にとってサバトでの「趣向」は重要課題。故に研究はこのサバトのために行われるのがほとんど。  
今回行う実験も、その例に漏れないということらしい。  
「まあ、あんたらが考えそうなことだから……しかし、俺にこのローパーというのを操れるのか?」  
母乳スライムを操った魔女達は自らの魔法によってそれを可能にしていた。しかし俺は魔法なんて使えない。  
「そこは大丈夫。やり方さえ覚えれば、後は「考えるだけ」で動かせるようにしてあるの」  
彼女が言うには、俺の中にある「微力な魔力」を秘薬によって一時的に高め、  
ローパーを操るだけの魔力を引き出して操作できるようにするとのこと。  
後は決められた呪文を唱えながら両掌をローパーに突き出せば思いのまま……らしい。  
そもそもローパーにもある程度の意思があり、  
簡単なイメージを頭に思い浮かべるだけでそのイメージをローパーが読み取り動いてくれるのだとか。  
「なんて言うかな……ほら、レバー一本ガチャガチャ前後に動かしながら、「行け!」「頑張れ!」「負けるな!」って命令するだけで動く巨大ロボットと同じ?」  
そんな昭和アニメの例えで正しいのかは疑問だ。  
もちろん「いっけぇ!」の一言でターボ全開になるミニ四駆とも違うだろう。  
それはさておいて、彼女が言わんとしていることは何となく解った。後は実際にやってみれば見えてくるだろう。  
「それと……「覚悟」してると思うけど、ローパーが感じる「性感」は、同じくあなたにも感じるから」  
覚悟って……まあ、彼女達が作る魔法生物だ。そうでなければ意味がないし覚悟というか予測はしていた。  
先日の母乳スライムの時だって、彼女達はスライムが感じる「底なしの性感」に同調し逝きまくってたからなあ……。  
「魔力を増幅させる薬と一緒に、性感を抑える薬も処方してあるから。あまり感じすぎて気絶されちゃっても困るし」  
その当たりは抜かり無しか。さすがというか手慣れているというか……。  
「説明はこんな所だけど、何か質問はある?」  
ローパーについては特にない。しかし聞かなければならないことが……というか、「つっこんで」おかなければならないことが一つ。  
「聞くまでもないが……なんだ? その格好は」  
俺は彼女の姿を改めてマジマジと眺めた。  
「まあ、触手に襲われるなら「こういう格好」も悪くないんじゃないかなと思って」  
端的に言えば、教会のシスター。魔女のくせに聖職者の格好をしている。  
「今日はちょっと「若め」にしてみたけど、どうかな?」  
彼女達は状況に応じて適応した姿に変える術を持っている。  
普段は老婆の格好をしているのだが、実験の時は幼女から熟女まで、適合した容姿になる。  
ただ、どれもが彼女達の「本来の姿」ではなく、老婆の姿ですら変身した姿。  
本当の彼女達は、俺も見たことがない。  
そして今日は、本人が言うように若い姿……まだ「女性」と言うよりは「少女」という言葉が似合う容姿にしていた。  
にも関わらず、胸だけは大きい。服装が服装なので着痩せして見えるのだが、それでもボリューム感は全く隠せていない。  
「あ、ちなみにこの服には「切れ込み」を入れてるから。引っ張れば簡単に破けるように」  
何でそんなことを? と聞くのは野暮というか……ようするに、「触手に襲われる」という演出を楽しみたいのだろう。  
 
「それじゃ、始めましょうか」  
ローパーを挟んで向こう側。魔女は定位置に立ち、俺を待つ。  
俺はまず薬を飲み、軽く息を吹き出した。  
そして服を脱ぎ、渡されていた「特性オムツ」を着用した。  
みっともない格好だが、これも仕方ない。  
俺がローパーと性感を共有することで、俺は「肉棒に全く触れないで逝く」という状況に陥るのは明らか。  
よもや服を着たまま夢精のようなことは出来ない故の処置なのだが……これだけだと本当に間抜けだ。  
その恥ずかしさからすぐに解放されたい思いもあり、俺はすぐに手を突きだし、ローパーに掌を向けた。  
呪文を口にし始める俺。その時から、妙なもぞっとした感覚が掌から伝わってきた。  
唱え終えた時には、全身が妙な感覚に包まれていた。  
視点は元のまま。ローパーを後ろから見ている俺自身の視点だ。  
しかし他の感覚はローパーと同化しているようで、触手の一本一本に俺の意識が伝わっているのを感じる。  
元々腕は二本しかない俺が、ローパーと同化することで「何本もの腕」を持つという感覚に戸惑う。  
だがそれもすぐに慣れた。  
魔女が言っていた「ローパーの意思」というものが働いているおかげで、  
どの腕をどう動かすかという難しいことは考えなくてすむことが理解できたから。  
俺はただローパーの感覚を共有するだけですんでいる。  
慣れたところで、「本番」といくか。俺はシスター……の姿をした魔女に狙いを定めた。  
「いっ、いや……来ないで……」  
拒絶の言葉が少女からあげられる。  
むろん、演技だ。内心では興奮しているくせに。  
俺は構わず触手を少女に伸ばすイメージを思い浮かべる。  
するとローパーは触手を四本うねうねと少女へ伸ばしていく。  
なるほど、これは思っていたよりも「操作」は簡単なようだ。  
俺は……ローパーは、二本の触手をシスターの肩に乗せ、そして触手を各々両手首に巻き付かせガッチリと掴まえる。  
その上で、更に触手を二本少女へと忍ばせていく。  
「ひぃ……」  
演技と解っていても、引きつる少女の顔を見ると本当に襲っているような気分になる。  
なら、その気分に乗せられたままが良さそうだ。  
普段三人のエロ魔女にやられっぱなしでもあったし、ここは彼女の要望に応えようではないか。  
二本の触手はずるりと襟元から中へと、服と肌の隙間へと侵入していく。  
ぞくり。俺は痺れるような、しかし心地良い感触を手の先に感じた。  
触手はぬめり気のある液状の物をうっすらと纏っている。  
そのぬめり気がまさに潤滑油となり服の中へと滑るように侵入できたわけだが、  
その滑らかさがかえって刺激になり妙な感触……快楽を俺に与えてくる。  
この感触、どこか覚えがあるのだが……もぞもぞと服の中で触手を動かすたびに感じるこの快楽は何だ?  
俺は既にその快楽を肘の当たりまで感じるようになりながら、当初の目的を実行しようとイメージをローパーに伝えた。  
服の中で蠢いていた触手は、ずるずると下へと向かっていき、やがて床に到達した。  
そして触手は内側から、服を縦に引きちぎった。  
露わになる肌。既にたわわな胸からずれた薄桃色の下着。そして下着からチラリと見える乳頭。漏れる泣き声。滲む瞳。  
得体の知れぬ快楽も手伝ってか、俺はこの陵辱を楽しむために再度触手を胸へと伸ばさせる。  
「ひぁ……い、いや……ん……こんなの……いやぁ……」  
二本の触手にもみくちゃに弄ばれる胸。  
少女は嫌悪感を言葉で示しながら、しかしその言葉と共に吐き出されるのは桃色の吐息。  
そして俺も、興奮で息を荒げている。  
うねる触手の動きは、そのまま俺への快楽になっている。  
そして気付いた。この感触に似た物を。  
これは肉棒だ。男の快楽そのものだ。  
肉棒にローションをたっぷり塗った後の、最初の挿入。  
襟元に触手を忍ばせていった時の快楽は、あの擦れる快感そのものだ。  
ローパーの触手が得る感触。それは俺の肉棒が得る感触へと変換されているのだ。  
それも無数にある触手の一本一本に、だ。  
いわば俺自身に無数の「肉触手」が与えられ、その本数分の快楽を同時に受ける形になっている。  
ローパーへ向け突き出している俺の両腕は、もはや巨大な性器となり俺へ止め処ない快楽を与え続けている。  
もし俺が性的感度を下げる薬を飲んでいなかったら……あまり考えたくはない結論に達していただろう。  
背筋にうすら寒さ感じる。だがそれは一瞬のこと。  
あり得たかもしれない予測よりも、今ローパーを挟んで俺と魔女が互いに快楽をむさぼっている現実が大切だ。  
 
二本の触手は胴を一周し軽く抱擁しながら、少女の胸を絞るように巻き付き、そして先端は胸の先端、乳首を突くようになで回す。  
それはまさに、肉棒の先で乳頭を弄ぶのに等しく、俺の指先は尿道を刺激される感触に包まれている。  
「んっ……はあ……んっ! んふぁ……」  
ローションまみれの肉棒に身体を縛られ、胸を揉まれ、少女も快楽の声を上げぬように必至だ。  
しかし少女にとってはまだウォームアップ。俺はもう腕全体が肉棒になったこの快楽に逝きそうだというのに、だ。  
これは事を早めた方が良さそうだ。俺は次のイメージを頭に思い浮かべる。  
ローパーは肩に乗せていた二本の触手をそのまま下へと、肌をなぞりながら下ろしていく。  
「そこ……んっ! だっ、ダメ……」  
肉触手の先端は、既にじっとりと濡れている股間へと伸びていた。  
まずは二本の触手が少女の太股をなで回す。ずるりと肌の上を這いずるたびに、少女は短く声を上げた。  
片股ずつ触手を二回り程這いずらせた後、触手は前と後ろへ分かれていく。  
「いやぁ……こすら、ないで……んんっ……」  
前後にある二つの門。触手は陰門と菊門の周囲をなで回していた。  
唇を噛みしめながら必至に耐え、しかし僅かに漏れる声は香るように甘い。  
少女はいたぶられながらも感じている。  
だがそれは俺も同じだった。  
二つの乳頭と一つの陰核。そして菊門。四点をそれぞれの触手が攻め立て、胴と太股を締め付けてもいる。  
その全てが、俺の肉棒だけで行われているに等しい快楽。  
余裕はない。俺はもう充分に濡れている二つの門へと触手を侵入させていく。  
「んはぁ!」  
突然の挿入に、少女は甲高い声を上げた。  
そして声は、ずりゅずりゅと前後する触手に呼応するかのように細切れた喘ぎへと変わる。  
「ん、ひ、い、いやぁ……こ、こんなの、ひど、い、ん、あっ、んふぁあ!」  
触手は何処までも伸びる。陰門に入れた触手は最奥にまで到達し、コツコツと子宮をノックしている。  
菊門に入れた触手は逆に入れすぎないように注意を払いながら、ぎゅっと締まる入り口付近を念入りに攻め立てる。  
「たす、け……い、いや、おねが、い……も、んっ、ふわぁ! やっ、んんっ!」  
言葉の意味ほどには声そのものに強い拒否など感じない。  
もうすぐだ。お互いが。  
前後二点攻めに胸への愛撫。彼女は頂点へと駆け上っている。  
しかしそれは俺も同じ。  
あるはずがない俺の二本の肉棒が彼女の前後に付き入れている。  
これだけで人の二倍挿入を感じているというのに、愛撫だけのはずである胸攻めの触手からも快楽を得ているのだからたまらない。  
出来れば加減したい。だがそれも許されない。  
何故ならば、俺の目の前には「触手に犯されるシスター」という淫靡な光景が繰り広げられているのだから。  
このライブを見てしまっては、俺の脳裏には彼女をより攻め立てるイメージが意識しなくても浮かんでしまう。  
そしてそのイメージに、ローパーは忠実に従ってしまうのだから。  
「あっ、ダメ! いく、いっちゃ……う、んはぁ、いや、いや、いや、いや、いや、いっ……ひぃ! はぁ、ふわあぁ!」  
ビクリと彼女が振るえ、二つの門がぐっと閉まる。  
と同時に、触手の動きも止まった。俺がオムツの中に大量の白濁液を流し込んでいるためにイメージが途切れたから。  
幸い、事前に履いていたこのオムツのおかげで白濁液をまき散らすこともなく、  
また「濡れたパンツをはく心地悪さ」を感じることもなかった。  
一息吐き脱力する俺。腕を下ろそうとしたその時、魔女が俺に話しかけてきた。  
 
「ほぉら、まだ終わりじゃないでしょ?」  
百戦錬磨のエロ魔女は、まだ満足していないようだ。  
実験としてはこれでもう充分だと思われるが、実戦はまだ不服なご様子。  
襲われる演技を止めた彼女は、口元を軽くつり上げながら微笑んだ。  
「ほら……何度でも逝けるでしょ? 今あなたは、堕落した淫乱シスターをどうにでも出来るんだから……」  
まだ触手を入れられたままになっている腰を妖しく振り動かしながら、俺を誘っている。  
触手に無理矢理犯されるいたいけなシスターから、触手の快楽に溺れた淫乱シスターへ。彼女の演技方向は修正されたようだ。  
「お願い……もう、触手なしでは生きていけない……快楽に堕落した、このいたいけな子羊に、どうか慰めを……」  
よくもまあ、そういう台詞を思いつくな。  
関心と呆れを織り交ぜながら、俺は彼女の演技を評していた。  
下ろそうとした腕を持ち直し、俺は新たなイメージを構築し始めた。  
淫乱と化したシスターを掴まえる必要はない。  
意味のない拘束を手首に施していた触手を解き、腕伝いにうねうねと触手を絡ませながら、  
一本は顔へ、一本は胸元へと忍ばせていく。  
「ああ、美味しそう……んっ、ん、くちゅ……ちゅ、んちゅ……くちゃ」  
淫乱シスターは目尻を下げ、近寄ってきた触手を自ら口を開き招きくわえ込む。  
口内では舌が、それこそ触手のように絡みつき、侵入者を愛おしく舐め上げている。  
そして胸元に迫った触手は、既に愛撫が再開されているたわわな乳房が作り出す谷間へと侵入していった。  
そしてその触手は谷間を陰門に見立てたかのように激しく動き出す。  
むろん本物の陰門へも、そして菊門へも、触手による第二幕は始まっていた。  
「んっ……ちゅ、んっ、んふふ……ふあぁ、素敵、素敵だわ……ああ、主よ、快楽に流されていく私をお許し下さい……」  
ほんの僅かも懺悔の心など持たぬシスターは、神ではなく触手に身も心も捧げ淫行奉仕を続けていく。  
その奉仕は口だけに止まらず、自由になった右手で触手を握り前後に擦り始めていた。  
空いた左手は触手に放っておかれた陰核へと伸び、激しくまさぐり始めた。  
「いい、いいわ……んっ、くちゅ、くちゅ……ん、んふぅ……あっ! んん、そこ、い、いい、きもち、いい、の……ん、ちゅ、ちゅぱ……」  
破かれた制服と無数の触手を身に纏い乱れる聖職者。  
背徳的なその光景は、俺の思考を奪うのに充分。  
もっと犯したいというイメージだけが俺の脳を支配し、ローパーは従順に従った。  
「いい、はげし、ん、もっと、ちょうだ、い、ちゅ、くちゅ、んっ、んん、おく、おくまで、もっと、ん、とどいて、る、ふあ、ん、くちゃ、ちゅ、ちゅぱ……」  
もはや触手の動きはデタラメだ。ただふくよかな肉塊を締め付け蠢き突き入れるだけの触手群。  
にも関わらず、妖しく淫らに快楽の悦びを賛美歌代わりに喘ぐ堕落者。  
「ふあ、も、もう、い、いく……いっちゃ、う、んっ! いい、いく、いく、いく、いっちゃ、ん、いっ、あ、き、くる、くる! ん、ふぁ、ん、はぁあぁ!」  
ビクビクと彼女が痙攣するよりも、触手の動きがピタリと止まる方が僅かに早かった。  
俺は白濁液を噴出する最中に強烈な圧迫を感じながらも、しかし止め処なく白濁液は流れ出ていた。  
 
「……ふぅ、これ良いわね。ただもうちょっと楽しみたかったのになぁ」  
膝を曲げ、突き出していた腕を床に着けながらガックリと倒れている俺に魔女は言い放つ。  
あれだけ乱れながら、まだ余裕ですか。流石エロ魔女。  
いつもなら強引に三幕目四幕目と続けそうな魔女だが、彼女はそれを断念してくれた。  
ちょうど薬の効果が切れ俺の魔力が維持できなくなったのがその原因。  
けして俺を気遣っているわけではないのが何とも……。  
「実験は成功だけど、改良の余地はありそうね。薬の効果時間とか……そうそう、この触手も射精できるようにしてみようかしら」  
快楽追求のために身体をいじられるローパーか。その為に作り出されたとはいえ、俺は戦友に同情するよ。  
「それと、こっちの研究も進めないと……」  
ふと顔を上げた俺の目に、一冊の本を手にしている彼女の姿が映った。  
本の表紙には、「触手溜め」と書かれている。  
なんだそれ? 怪訝な顔つきの俺に気付き、はだけた服のままでいる魔女は無言の質問に答える。  
「中世の時代にあった拷問の一つよ。「魔女狩り」にも用いられたって経緯は気に入らないけど、「一人遊び」には最適かなと思って」  
なんでも、巨大な穴や壷などの中に触手系の怪物を無数に入れ、そこへ被害者を放り込むという無惨な拷問だったらしい。  
そんな拷問も、エロ魔女に掛かればそのへんのバイブと大差ないのか。俺は心中で大きく溜息をついた。  
「そうだ、その為にも今日の分はキッチリ回収しないと」  
そう言うと、魔女は本を置き俺の方へと歩み寄ってきた。  
そして四つんばいになっている俺の後ろに回り、身につけていたオムツを脱がそうとし始めた。  
「……もしかして、「これ」も目的だったのか?」  
「あら、とっくに気付いてると思ったのに」  
彼女が俺にオムツを渡した理由。それは白濁液でパンツや床が汚れるのを懸念していたわけではない。  
「貴重な資源ですもの。一滴たりとも無駄になんかしないわ」  
俺の精子を回収する。それが目的だった。  
魔女にとっては俺の精子も貴重な実験材料。  
むしろどうやって俺を騙しこの回収を行うか。そんなことを常に話し合っている魔女達なのだから、ちょっと考えれば解ることだろうに……。  
「うふふ……ごちそうさま。お礼に、私の身体を好きしても良いわよ?」  
「これ以上搾られてたまるか……」  
首をガックリと落とし、体良く使われ続ける俺の人生について深く深く考え込んだ。  
 

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