*       *       *  
 
 
「それでは、始めま〜す。カードを引く順番は祐希、私、彩乃さん、瑞穂の順で、  
トランプのマークはスペードが彩乃さん、クラブが瑞穂、ダイヤが祐希で、ハートが  
私……ジョーカーは相手を指名、と。これでいいですね?」  
「「「はーい」」」  
みんな笑顔で返事をする。それぞれの思惑は違うだろうが、今はみんな楽しげな笑顔だ。  
 
「じゃあ、祐希。最初の一枚、どうぞ」  
「は〜い。……どれにしようかな?」  
みんなの中央に6枚ずつ2列に並べられたカードをキョロキョロと見渡し、祐希が  
その中の一枚を選んだ。  
 
「えっと……『全員からくすぐり、1分間』。なんだ、ボクが書いたやつじゃん」  
う……、と瑞穂が一瞬、引く。  
「瑞穂、くすぐられるの苦手だもんね〜」  
彩乃が瑞穂を見てにんまりする。  
「そ、そんな事…! な…い…で……す……」  
否定しようとしたがトーンが下がっていく。その姿を見て祐希と香奈もにんまりする。  
「祐希、何狙い?」  
「さぁ〜てね? 何を狙おうかなぁ〜?」  
香奈と祐希で会話しているはずなのに二人とも瑞穂を見ている。瑞穂は視線を逸らし  
ながら一人自分に当たらないように祈っていたが……。  
 
「それじゃ、めくるよ〜? ……せ〜の!」  
祐希がトランプをめくると、そこに現れたのはクローバーの10だった。  
「クローバーは……瑞穂〜〜!!」  
彩乃が号令すると、残り二人も一気に瑞穂に襲い掛かった。  
「きゃあああああ〜〜!? アハ!? …アハハハハ!! や、やめて〜〜!!」  
香奈が足を押さえ、祐希が腕を押さえて彩乃が両わき腹をくすぐりまくる。  
初めてのはずなのに絶妙のコンビネーションで擽られまくる瑞穂。  
 
「だ…! だめぇ〜〜!! わ、私、擽りに弱いの…キャハハハ!! た、たすけ  
てぇ〜〜!」  
涙目になって笑いながら助けを求める瑞穂。香奈は足を押さえるだけでなく、足の  
裏を擽って瑞穂に更なる悲鳴を上げさせた。祐希は膝で両手を押さえ、わき腹の  
擽りに参加する。  
「瑞穂、どう? コチョコチョコチョコチョ……」  
彩乃はお腹や内股あたりにポイントを移した。全体の擽りポイントを満遍なく  
擽られ、瑞穂はのた打ち回る。これだけがっちり押さえていれば、もっとエッチな  
ところも触れそうなものだが、三人はあえてそれをせず、擽りのみに徹していた。  
徹底した非情のプロの様な仕事ぶりである。  
「はぁ…はぁ……はぁ…、い、1分……たった……よぉ……」  
瑞穂の指摘どおり、既に1分を5秒程過ぎていた。1秒が1時間にも感じられる  
今の瑞穂には、酷な事態である。  
 
「あ〜〜、ほんとうだ〜〜、じゃあ、すとっぷ〜〜」  
抑揚の無い棒読みで彩乃が言うと、漸く擽りが止まった。1分を13秒過ぎている。  
もちろん、わざとゆっくり停止させたのだ。3人が瑞穂から離れても彼女は  
まだ息を荒くして立ち上がれなかった。  
「大丈夫、瑞穂?」  
「13秒オーバーだなんてよく頑張ったね。1分かっきりでよかったのに」  
コロコロと笑う香奈と祐希。瑞穂は怒る元気も無く、くたっと寝たままだ。  
 
「じゃあ、次ぎ行きましょうか……香奈ちゃんの番だね?」  
「はぁ〜い、いきま〜す! ……『全員からおさわり、7分』? 私も自分のを  
引いちゃった」  
香奈が舌を出す。  
「なんだつまんない」  
「もっと過激なのにしなよ〜〜」  
彩乃と祐希が笑いながら抗議するが、  
「いいの。こういうソフトなのも入れておかないと最後まで持たないでしょ?」  
そう言いながら、香奈が対象者を決めるトランプをめくる。そこには……。  
「クローバーの7?」  
「ええっ!?」  
今までダウンしていた瑞穂が体を起こす。またしても瑞穂だった。しかし、今度は  
普通のおさわりだ。くすぐりではない。  
 
「な、7分?」  
時間の長さを心配する瑞穂だが、  
「だって、香奈が決めたんだもん……ね?」  
「え? うん。大丈夫だよ、瑞穂。みんなでおさわりするだけだから…前にも  
やってたでしょ?」  
「そ、それはそうだけど……わかった……」  
瑞穂はパジャマのボタンを外し、下を膝の辺りまでずらした。まだ膨らみきって  
いない胸の蕾とリボンつきの白いぱんつがまぶしい。  
 
「みんなの真ん中に寝て。いつもの様にね」  
「う、うん……」  
色っぽく着崩れた瑞穂が恥ずかしそうにもじもじと体をくねらせている。綺麗な  
太股の表面がさまざまな角度で光沢を帯び、可愛い胸がゆっくりと上下する瑞穂を  
見て、3人の様子が一瞬にして変わった。  
 
「ねぇ、香奈。『おさわり』って事は『くすぐり』でもいいんだよね?」  
妖しい光を帯びた目で香奈を見る彩乃…。  
「え…!?」  
身を硬くする瑞穂。まさか……? さっきはくすぐりとおさわりは違う、と香奈が…。  
哀願するように香奈を見たが、香奈は哀れみを湛えた目を瑞穂に向けるだけだった。  
「……ええ。そうですね……いいと思います」  
香奈のその言葉が『処刑開始宣告』だった。  
一斉に生贄に襲い掛かる3匹の雌獣。あっという間にさっきと同じ体勢を作り上げた。  
 
「きゃはは! だめ…! やめ…て、やめてぇ〜〜〜!! ……アハハハハ!!」  
何度も絶句しながら強制的に笑わせられる瑞穂。こちょこちょと擽られ、身悶えするが  
誰も助けてはくれない……。  
「そ、そんなことしたら……大変な事に…なっちゃ…う…キャハハハ! だ、だめぇ…」  
ぜいぜいと息を切らしながら懸命にやめてもらおうとする。しかし、無論、誰も  
やめてはくれない。  
 
「フフフ…足のマッサージしてあげるね」  
下半身担当の香奈は太股をさすりだした。それが尚更くすぐったい。  
「だめぇ……か、香奈ちゃん…もう…許して……でないと……」  
「でないと、なぁに? まだ4分もあるんだよ?」  
「無理だよ……! 絶対無理…! お願い、香奈ちゃん……もう……もう……」  
「ん…? どうしたのかなぁ?」  
意地悪しながらも香奈は瑞穂の変化を感じ取っていた。いつもの瑞穂と少し違う?  
と言うか、とっくに限界点を超えてしまってるいじめなので当たり前なのだが。  
 
「瑞穂、かわい〜〜! コチョコチョコチョ・・・」  
「ほれほれ、こうしたらどうかな〜〜? うりうり〜〜!」  
彩乃と祐希の二人は何も気がつかず、瑞穂を擽りまくっている。しかし、1分でも  
息が出来なくなるぐらい苦しんだ瑞穂が既に5分近く擽られている……。果たして  
大丈夫なのか?  
 
「お願い……もう……もう……」  
瑞穂の体が震えだしてきた。香奈がその様子に気づく。  
「ちょ、ちょっと、祐希! 瑞穂の様子が変かも!?」  
「え〜〜、どうってこと無いよ? うりうり〜〜〜!」  
祐希が更にわき腹を擽る。大きくぶるん!と震えた瑞穂。最早限界か?  
「そうだよ、瑞穂の演技、演技。なかなかうまいじゃない、瑞穂?」  
彩乃も止める気配がない。しかし、それが限界だった……。  
「あ…………」  
瑞穂の動きが突然止まった。  
「瑞穂……?」  
香奈が瑞穂の様子を訝しがる。そして、瑞穂の顔を覗き込んだ。瑞穂の顔はまるで  
絶望のあまり感情を失ったかのように呆けていた。  
「どうしたの、瑞穂……あっ!!」  
彩乃が何かに気づき、慌ててその場を離れる。その声と同時に、呆けていた瑞穂が  
顔を覆って泣き出した。  
「あちゃあ〜〜……」  
祐希もその時にはやりすぎを悟った。瑞穂の寝かされていた布団には彼女を中心に  
大きな染みが広がっていった……。  
 
 
        *       *       *  
 
 
「わぁあああああああああ〜〜!!! わぁあああん!!」  
下半身裸で号泣する瑞穂。バツが悪そうにそれを見ている彩乃と祐希。  
該当の布団は既に香奈の手で表に干され、後片付けも済んでいた。近所には  
(後で両親にも)香奈が誤解を招く事になるだろうが、それは仕方が無かった、  
と言うか今の瑞穂の心境を察すると、その事ぐらいなんでもなく……。  
 
「ひっく……ひっく……わぁあああああああ〜〜ん!!!」  
ひたすら泣き続ける瑞穂。お尻丸出しで座り込んで鳴いてる彼女はちょっと  
可愛らしかったが、それを口に出す勇気は流石の二人にも無かった。  
 
「ど、どうするんですか? 瑞穂をあんなに泣かせちゃって」  
「ちょ、ちょっと待ってよ! 私だけじゃないでしょ!?」  
「それはそうですけど…」  
「止めを刺したのは彩乃さんだもんね〜」  
「あんただって目一杯楽しんでたでしょう!?」  
3人がヒソヒソと内緒話する横で泣き続ける瑞穂。仕方なく、代表で彩乃が  
なだめにいく。  
 
「瑞穂……、ごめんね、私達が悪かったから……」  
「ひっく……ひっく……」  
「わ、悪気はなかったんだからね? だからもう泣くのやめなさい、ね?」  
「ぐす……ぐす……」  
「み、みんなだって困ってるよ? 瑞穂が泣き続けるから……いいじゃない、  
瑞穂が中学生になっておもらししたなんて私達しか知らないし……」  
「う…う……うぇえええええ〜〜〜〜ん!!! わぁ〜〜〜〜〜ん!!」  
前より大音量で泣く瑞穂。祐希と香奈は顔を見合わせて溜め息をつく。  
そして、じっと彩乃の顔を非難するように見つめる。  
 
「な、なによ…。その非難するような目は?」  
彩乃が二人を睨み返す。  
「だって…ねぇ…?」  
「あそこまでやること無いんじゃ……」  
二人が彩乃のせいにする。  
「な、何を言ってんのよ! くすぐりの許可を出したのは香奈だし、最後まで  
続けたのは祐希でしょ!?」  
憤る彩乃だが、  
「最初に彩乃さんがやろうとしなきゃ……ねぇ?」  
「私も…そう思う…」  
どうやら二人は彩乃の責任にするらしい。段々、彩乃は腹が立ってきた。  
 
「そう……そこまで私を悪者にする気なら私にも考えがあるわ……瑞穂!  
いつまで泣いてるの!? こっちに来なさい!」  
泣いている瑞穂をしかりつけて強引に連れてくる。  
「え…!? だ、だって……もう……」  
「誰がやめると言ったの? 私は続けるからね。どおせ悪者にされるなら、  
最後まで徹してあげるからね!」  
「わ……私、ぱんつまだ……」  
「いいのよ。替えのぱんつなんか、なし! 瑞穂だけお尻丸出しで参加しなさい」  
「そ、そんなぁ〜〜!!」  
泣きそうになる瑞穂だが、彩乃の暴君ぶりにぐずりながら連れ戻される。  
「じゃあ、再開ね……私の順番からね」  
悪女の目で彩乃は3人の下級生に対し、にやりと笑いかけた。  
 
「いいカード……来い!」  
念じて彩乃が一枚のカードを引く。その内容を見て、ガッツポーズした。  
「『また裂き 5分間』! どうだ〜〜!!」  
「「「う……」」」  
嬉々とする彩乃の周囲で戸惑う3人。『また裂き』とは当然、プロレスとかで  
使うあの技なのだろう。しかし、今この技が瑞穂に当たったら、大変な事に…?  
 
「生贄は誰かなぁ〜〜……えい!」  
トランプのカードを1枚引いて叩きつけるように裏返した。絵柄だけのカードだった。  
「JOKERね……」  
にやりと彩乃が微笑む。それは相手を自由に選択できるカードだった。  
香奈と祐希が体を竦ませる。今、彼女達の生殺与奪の権利は彩乃にあるのだ…。  
彩乃はじっと二人を見比べていたが、三度目に香奈を見たとき、香奈を指差した。  
「香奈ちゃん、生贄けって〜い!」  
にやりと彩乃は笑う。さっき悪者扱いされたのを恨んでいるらしい。悪魔に選ばれた  
香奈はその彩乃の笑顔を見てゾクッとする。  
 
「ど……どうするんですか?」  
既にパジャマの下を脱がされ、何故か上半分もボタンを外した状態で、お仕置きを  
待つ香奈。不安そうに左右にいる彩乃と祐希を交互に見る。  
「じゃあ、香奈は足を広げてそこに寝て……。そう、そんな感じ。それで私が右足を、  
祐希が左足を持って…」  
祐希に指導しながら自分も香奈の右足を両手で抱え込む。  
「そしておもむろに体重を後ろへ……祐希!」  
「は、はい……!」  
彩乃と祐希がそれぞれ左右に体を倒す。すると、白のショーツ一枚の香奈の  
マタが180度開かれた。  
 
「……!! いたたたたたたぁ!? いたい!! いたいですっ!!」  
香奈が股間の痛さに絶叫する。相撲の股割り? いや、もっと思い切り広げられて  
いた。激痛に香奈はバンバン!とプロレスラーの様に床を叩く。  
「こら、そんな事をしたらご近所に迷惑なんじゃないの?」  
にんまりと彩乃が微笑む。  
「だ、だって…! いたい! いたたた…!! や、やめて…ゆるしてくださぁい!!」  
泣きながら絶叫する香奈。あまりの痛さに体が震え、額からは嫌な汗が流れる。  
 
「フフフ……この技は痛いだけじゃないのよ…瑞穂!」  
「は、はい!?」  
「香奈ちゃんの足の間に入って、あそこに顔を近づけてじっくりと見つめなさい」  
「はい……ええ!?」  
驚いて目を見開く瑞穂。そんな事をしたら…香奈は恥ずかしすぎるのではないだろうか!?  
「本当はここまではするつもりは無かったのだけど、さっき精神面でのいじめを受けた  
仕返しをしてあげる……瑞穂、やりなさい!」  
「は……はい。ご、ゴメンね……香奈ちゃん……」  
瑞穂が恐る恐る香奈の開かれた股間の前に座り、じっと股間を見つめる。  
「み、瑞穂……だめ……ひゃん!?」  
恥ずかしさもさる事ながら、瑞穂の柔らかい息が股間の敏感な部分にかかり、香奈が  
悲鳴を上げる。痛さと恥ずかしさとくすぐったさ……三重苦が香奈を苛んでいる。  
 
「や……やだ……瑞穂……もう少し、顔を離して……」  
真っ赤になりながら香奈が哀願する。しかし、瑞穂は動かなかった。むしろ、段々  
近寄ってきている?  
「瑞穂……!? いたたた……」  
起き上がろうとしたが、また裂きの痛みで動けない。そして、ついに瑞穂は香奈の  
大事なところに鼻先を宛がう……。  
「瑞穂……! ダメ……!!」  
「瑞穂…?」  
彩乃も少し驚く。彼女は瑞穂にそこまでしろと命令していない。どうやら今やってるのは  
瑞穂個人の意思らしい……。  
 
「香奈ちゃん……いい匂い……」  
瑞穂はまた裂きされている香奈の股間に顔を擦りつけた。香奈の体がびくっ!と震える。  
「瑞穂……だめ……恥ずかしい……よ」  
自分の一番恥ずかしいところを見られているどころか、顔を摺り寄せられている。息が  
直接かかり、敏感な突起が刺激される。辺りが静寂に包まれ、二人の息遣いだけが聞こえる。  
彩乃も祐希も固唾を飲み込んで二人を見守るばかり……。  
「う……あ……。ああ……」  
瑞穂が舌先を尖らせ、その突起を舐めようとした。その時……。  
 
「み、瑞穂…! じ、時間だよ! 時間!!」  
静寂を破ったのは祐希だった。確かに、始めてから5分30秒ぐらいが経っている。  
「ふぇ……!?」  
瑞穂も顔を上げる。そしてパチクリと周囲を見渡した。目の前の香奈が頬を上気させながら  
180度開脚の状態で寝ており、祐希と彩乃が自分を驚いたように凝視している。  
「わ……私……。やだ、夢中で……」  
恥ずかしそうに頬を両手で覆う瑞穂。  
「ゆき……あやのさん……そろそろ離して……痛いよ……」  
「え? あ……!」  
慌てて香奈を解放する二人。漸く足を閉じる事を許された香奈は手を股間に宛がって足を  
閉じた。やっぱり痛かったらしい。長い脚がプルプルと震え、息遣いも荒い状態だ。  
それに……瑞穂の責めも効いているのだろう……。  
 
「香奈ぁ……平気?」  
祐希が足をさすってやる。香奈は少しぴくっと震えながら、「大丈夫」と言って座り  
なおした。  
「少しは堪えた、香奈ちゃん?」  
彩乃が勝ち誇ったように香奈を見る。それを見て、香奈の表情も一変した。  
「大丈夫です。彩乃さんに罰ゲームが当たるまで、ギブアップつもりはありませんから」  
香奈が彩乃を睨みつける。彩乃は見下したままだ。新たな遺恨がここに芽生えたか。  
 
「じゃあ、次は瑞穂ね」  
「は……はい……」  
香奈から見て、瑞穂はさっきの事が無かったかのように平静だ。下半身は丸裸だが。  
だが、香奈の方を見ないようにしている様に見えるは気のせいか?  
「え…っと……」  
ぼん!と火が吹いたように瑞穂の顔が真っ赤になる。  
「何々……? 『カンチョー』! ……よぉし!!」  
瑞穂からカードを取り上げ、彩乃が絶叫する。  
「いいカードを引いたわね……ふっふっふ、香奈ちゃんと祐希ちゃん……今度の  
被害者はどっちかな〜?」  
彩乃が一人喜んでいるが3人は顔を見合す。  
「あの〜〜、彩乃さん。これ、瑞穂が引いたから彩乃さんにも可能性があると思うん  
だけど……」  
「へ……!?」  
祐希の突っ込みに、有頂天になってた彩乃の顔からも血の気が引く。そう、この  
罰ゲームの被害者は瑞穂以外から選ばれるのだ。  
 
「う…瑞穂! スペードを引いたら後でひどいからね!!」  
「そ、そんなぁ〜〜……」  
いくら脅されてもこれは運でしかない。瑞穂がこわごわとカードを引き、そして  
裏返すと……それはハートの7のカードだった。  
「香奈ちゃん、大当たり〜〜!!」  
なんと連続で香奈に。また裂き、カンチョーと彩乃の罠は全部香奈に的中している。  
 
「う……そんな……」  
香奈はがっくりと膝をつくが、  
「あの……『カンチョー』って?」  
瑞穂が恐る恐る彩乃に聞く。  
「フフン、カンチョーと言うのはね〜。こうやって相手を四つんばいにして……  
後ろから手のひらを重ねて人差し指で鉄砲を作った形にして……おもむろに、  
お尻の穴に……ズン!!」  
彩乃が祐希をモデルにカンチョーの真似をした。香奈にしなかったのは香奈に  
その様子を見せ、怖がらせようと思ったからだ。その意図は香奈にも伝わった。  
 
「意地悪……」  
小さく香奈が言う。その様子が可愛らしく、彩乃は更に意地悪な事を言ってしまう。  
「瑞穂、しっかり決めてあげてね。でないと、香奈ちゃん、2回もカンチョーされ  
ちゃうし、それは可哀想だもんね」  
「な…! なんですか、それは!?」  
「だって、そうしないと瑞穂と香奈が結託したように見られちゃうでしょ?」  
「誰もそんな風に思いません! 彩乃さん以外は」  
「じゃあ、証明してよ。瑞穂、しっかりね」  
「う゛……」  
 
「わ、私…ちゃんとやります」  
「え?」  
「瑞穂?」  
瑞穂のハッキリした宣言に香奈だけでなく彩乃までが驚く。  
「だって…香奈ちゃん、さっき助けてくれなかったもん……」  
少し拗ねた表情で香奈を見る。擽りの事を言ってるのだろう。そのおかげで未だに  
瑞穂はぱんつすらはかせて貰ってない。パジャマの上だけである。  
 
「そ…それは……」  
香奈もこれには抗弁できず、仕方なく観念して後ろを向く。そして、お尻を突き出し  
たが…。  
「それだけじゃないでしょ、香奈?」  
にんまりと彩乃が香奈に指摘する。無論、パジャマの下の事を言ってるのだろう。  
「うう〜〜……」  
唸り声を上げながら仕方なくパジャマの下を膝まで下ろす香奈。白のショーツが  
丸くて可愛いお尻に少し食い込んでいる。恥ずかしそうにそれを直しながら、香奈は  
覚悟を決めて四つんばいになった。  
 
「瑞穂……。ゆっくり、ゆっくりしてね? いきなりは……だめだから……」  
「あ、談合」  
香奈の懇願を見て即座に彩乃が反応する。不正は許さないとばかりに厳しい目だ。  
悔しさを滲ませる香奈の瞳に見つめられても彩乃は鼻で笑う。  
「で、でも……どのぐらいの力でやれば……」  
香奈にする決心はついたとはいえ、力加減などまったくわからない瑞穂。  
「思いっきりやっちゃえばぁ〜?」  
彩乃が髪をかき上げてニヤニヤ笑いながら言う。香奈は諦めたようにこれから来るで  
あろう衝撃に備える。  
 
「う……い、いきます」  
瑞穂が両手を合わせ、人差し指で鉄砲の形にする。その指先がプルプル震えてるが…。  
「瑞穂、そ、そんな力を入れちゃダメ……あっ!?」  
祐希がリラックスさせようと近寄った瞬間、瑞穂は反射的に思い切り指を突き出した。  
 
ズン☆………!!!  
 
「……………!!!」  
香奈の声なき悲鳴が上がる。瑞穂の指が深々と香奈のお尻に突き刺さったのだ。  
あたりは時が止まったような静寂に包まれていたが……。やがて、大きく仰け反った  
香奈がぱったりと前に倒れた。その様子に血の気が引く3人。  
 
「み、瑞穂……。それは……」  
まさに痛恨の一撃だった。流石の彩乃もこれはやり直しを要求しない。  
瑞穂のカンチョーはパワー・スピード・タイミング、その全てが完璧だった。  
被害者の香奈はお尻を押さえたまま小刻みに震えている。えっちパーティ始まって  
以来、最大の惨劇が3人の目の前で起こっているのだ。  
 
永遠とも思われる時間が過ぎ、やがて、香奈がムクっと起き上がった。  
「か、香奈……だいじょうぶ……!?」  
祐希が問いかけた時、ぽとり……、と何か白いものが落ちた。香奈のお気に入りの  
カチューシャだ。だが、香奈はそれを拾おうともせず、3人に向き直る。  
 
「ひっ……!」  
瑞穂が悲鳴を噛み殺す。ゆらり……、とまるで幽鬼の様に香奈は3人の方を向いた。  
前髪は垂れ下がり、香奈の目線を隠している。ゆらり、ゆらり……と近寄ったかと  
思うと、お尻の痛みに顔をしかめて膝をつき、また立ち上がった。  
 
「……つづき」  
「え?」  
「……つづきを……しましょ」  
香奈が前髪の隙間から彩乃を見つめている。彩乃は思わず瑞穂に抱きついた。  
「で、でも……。香奈……。香奈は大丈夫なの?」  
汗汗と祐希が聞く。香奈は祐希のほうを向いてコクリと頷いた。  
「次は……祐希の番でしょ?」  
「そ、そうだけど……」  
祐希は、たらり、と一筋の汗を流しながら背後で抱き合って震えている二人を見る。  
 
「私は大丈夫だから……。さぁ、カードを引いて」  
「う…、うん……」  
祐希が恐る恐るカードを引き、息を呑みながら裏返した。その瞬間、彩乃と瑞穂は  
自分の目を疑った。  
そこには……『カンチョー』の文字が……。  
 
「な…! だ、誰!? こんなの書いたのは!? 瑞穂!?」  
「わ、私じゃないよぉ…!」  
うろたえる彩乃と瑞穂を前髪の間からじっと見つめる香奈。  
「えっと…。ごめん、これ書いたの、ボクなの」  
後ろ頭をかきながら申し訳無さそうに祐希が言う。  
 
「な、何でこんなの書いたのよ!」  
「だって、面白いかもって、その時は……。彩乃さんと被ってるなんて知らないもん!」  
「……被害者は……誰?」  
アニメの無感情少女のような声で香奈がボソリと言う。パニクって言い争ってた彩乃と  
祐希が飛び上がりそうに驚く。  
「トランプ……引いて……」  
「は、は、はい〜〜!!」  
 
「ま、待って!」  
慌ててトランプを引こうとする祐希に彩乃が声をかける。小さく、しかし強い口調で。  
「いい? 絶対にハートは引いちゃダメよ? 最悪、私でもいいから!」  
「そんな事言ったってぇ……」  
その様子を冷ややかに見守る香奈。3人を見比べてオロオロする瑞穂。  
「よ……よし! ……えいや!!」  
やがて、祐希は心を決め、運命のトランプを引いた。そして、それを掲げて裏返す!  
4人の視線がそのカードの柄に集中した。そして……。  
 
「きゃあああ〜〜〜!?」  
悲鳴を上げたのは彩乃だった。しかし、対象者は彼女ではなかった。祐希が裏返した  
カード、そこにはハートのクイーンが微笑んでいた。  
 
「私ね……。いいわ」  
香奈はスクッと立ち上がり、パジャマの下を脱いだ。上のボタンも全開にする。  
「あ、あの〜〜、香奈ちゃん。な、何ならもう一回抽選やり直しても……」  
「……結構です」  
彩乃が遜って香奈に提案するが、香奈は峻拒した。祐希と瑞穂が顔を見合す。  
香奈は黙々と四つんばいになり、さっきと同じポーズを取った。  
 
「う……ごめんね、香奈。こんなつもりじゃなかったんだけど……」  
祐希が謝ると、香奈が振り返る。なんとそれは笑顔だった。  
「いいの。これで祐希の事、怨んだりしないから……気にせずにして」  
香奈は祐希を安心させるように言うと、再び俯いた。  
 
「怨むのは……一人でいいから……」  
 
香奈が彩乃を見たのはホンの一瞬だった。しかし、そこにいる全員が香奈の憎しみの  
対象が彩乃である事をその一瞬で悟った。  
「ちょ、ちょっと! それってどう言う事よ? ねぇ!?」  
慌てて瑞穂や祐希を振り返りながら香奈に詰め寄る彩乃。しかし、香奈は冷たい一瞥を  
彩乃に向けただけで、後はそちらの方を見ようともしなかった。  
祐希や瑞穂も助け舟を出そうとしない。香奈が憎しみの対象を彩乃に向けてくれた。  
つまり、自分達は助かった。これ以上問題をこじらせたくない……。彼女達がそう言った  
わけではないが、彩乃には十分にその空気は感じ取れた。  
 
「う〜〜、なんで私なのよ〜」  
香奈の理不尽さに文句を言おうとする彩乃だが、誰も同調してくれない様子。  
それに、彩乃が憎しみの対象になるのは仕方が無いかもしれない。  
「いくよ、香奈……。せ〜〜の……!!」  
 
ズン☆………!!!  
 
香奈の菊門に再び衝撃が走った。再び香奈は声なき悲鳴を上げて仰け反り、細かく  
痙攣すると、ぱったりと畳に伏した。  
 
 
        *       *       *  
 
 
「か、香奈……ちゃん。み、乱れ髪はやめてくれないかな〜〜?」  
彩乃が頬を引くつかせながら言う。二度にわたるカンチョーの後、何故か、香奈は  
ぴったりと彩乃の傍にいた。祐希と瑞穂はこれ幸いとばかりに二人から距離を置いた  
ので、彩乃一人が香奈の発する不気味なオーラを体感している。  
 
「……どうしてですか?」  
香奈は例の無感情少女の喋り方のままだ。彩乃は地雷原を歩くような心地になる。  
「だ、だって……。それだと香奈ちゃんのお人形さんの様な綺麗な顔が見えにくく  
なるし……ねぇ?」  
彩乃が引き攣った笑顔で祐希と瑞穂に同意を求める。が、二人とも彩乃と目をあわせ  
ようとしない。彩乃がムカついて二人に怒鳴ろうとするが、  
「私なんか見たって面白くないですよ……。生徒会長で学園一の美少女の彩乃さんの  
足下にも及びませんから。才色兼備で、眉目秀麗の……」  
ボソボソと言葉を継ぐ香奈。  
いっそ、無視してくれた方がどんなに楽だろう……、と彩乃は普段馬鹿にしている  
学園の象徴であるマリア像を思い浮かべていた。無論、縋りたい気持ちで。  
 
悪夢の?カンチョー2連発の後、香奈と彩乃が2周目に引いたのは『おさわり3分』と  
『くすぐり5分』だった。そのいずれも香奈はさしたる興味を示さなかった。対象者は  
いずれも祐希で、彩乃が先ほどまでの悲劇を打ち消さんとばかりに懸命に盛り上げようと  
したが、香奈の沈黙に空しく空回りしていた。祐希は大人しく擽られていたが、彼女自身、  
瑞穂ほど擽りが苦手ではなく、香奈がお触り程度だったので盛り上がりに欠けた。  
 
そんな中、瑞穂が2周目に引いたカードは……。  
 
「きゅ…『急所攻撃』!?」  
「ええ!?」  
瑞穂と祐希が驚き、周囲を見回す。こんな罰ゲームを書いたのは……。  
「私です、はい……」  
彩乃が申し訳無さそうに手を挙げる。香奈の乱れ髪に隠れた目がキラリと光った。  
「こ、こういうのは、やめたほうがいいよね……うん」  
強張った面持ちで彩乃が瑞穂からカードを取り上げ、破ろうとした……が、  
 
「どうして破るんですか、彩乃さん……」  
背後霊の様に後ろから声をかけられ、心臓が飛び出そうになる彩乃。  
「か、香奈ぁ〜〜! いきなり後ろから声をかけないでよ!」  
「さっきからいましたよ……」  
ボソリと呟く香奈。  
「それより、どうしてカードを破るんですか?」  
 
「い、いや〜、その……ねぇ……お、女の子の大事な所を攻撃する罰ゲームなんて、  
やっぱり、危険だし、良くないなぁ〜〜、なんて……か、可哀想でしょ?」  
焦りながら祐希と瑞穂に同意を求める彩乃。今度は二人ともコクコクと頷いた。  
「じゃあ、お尻の穴は可哀想じゃないんですね? 私のお尻の穴は……」  
ジロリ……、と周囲を見渡す香奈。乱れ髪に遮られているはずだが、何故かその強い光は  
3人にはっきりと見えた。  
 
「そ、そういう意味じゃないんだけど……、その……」  
彩乃が引きつった笑顔で何か説得の言葉を考えるが、  
「瑞穂、トランプを引いて……」  
香奈はにべも無く彩乃の説得を断ち切り、瑞穂に『命令』する。  
「は、はぁい!」  
瑞穂は反射的に飛び上がり、トランプを引いたが、皆が見る前に、彩乃がそれを  
取り上げて隠した。  
 
「か、香奈ちゃん、えっと〜〜、これって香奈ちゃんの可能性だってあるんだよ?」  
カードを背後に隠し、後退りする彩乃。  
「そうですね……。そんな事より、返してください」  
ゆっくりと同じ歩幅で彩乃に迫る香奈。  
「だ、だから……。ほ、ほら、『二度ある事は三度ある』ってゆうし……」  
「『三度目の正直』とも言いますね。今度こそ逃がしません」  
「逃がさないって……、そんなぁ〜〜」  
引かない、譲らない。こんな香奈は始めてであった。しかも、罰ゲームは彩乃にさせる  
までやり続けるとばかり、執念を見せている。  
 
「う〜〜……、なんか嫌な予感……」  
「ぶつぶつ言ってないで返してください」  
「だ、ダメ! ……あっ!?」  
香奈が詰め寄った時、避けようとした彩乃の手からトランプが滑り落ちた。カードは  
そのままひらひらと舞い、4人の真ん中に表を向けて落ちた。  
「いや〜〜〜!!」  
悲鳴を上げたのは彩乃だった。誰にも見間違えようのないカードだった。一番大きな  
マークがついている『スペードのA』、つまり彩乃の罰ゲームである。  
 
 
        *       *       *  
 
 
「う〜〜〜……」  
半泣きになりながらパジャマの下を脱ぐ彩乃。救いを求めるように祐希をチラリと  
見るが、祐希は慌てて視線を外す。目の前には瑞穂がしゃがんでいた。彩乃をやや足を  
開いた状態で立たせ、瑞穂が下からグーで股間を打ちあげる。これが香奈の指示した  
『急所攻撃』の罰ゲームだ。  
下半身は薄緑色のショーツ一枚。これだけが彩乃の女の子の急所を守ってくれる唯一の  
ものだった。  
 
「み、瑞穂……あ、あまり強くやっちゃだめ……」  
「瑞穂、手加減無しでやりなさいね。でないと、彩乃さんが可哀想だから」  
香奈が彩乃の言葉を遮り、『カンチョー』の時に彩乃が言った台詞をそのまま返した。  
「か、香奈ちゃぁ〜ん……」  
彩乃が泣きそうな瞳で香奈を見る。しかし、香奈の表情は氷の様に変わらない。  
「私が認めるまでやり直しをさせますから。何度でもです」  
「そんなぁ〜〜……」  
グスン…、と本当に涙ぐむ彩乃。この場面だけを見れば彩乃は可哀想に見えるが、元々は  
彼女が仕込んだ悪戯なのだ。因果応報、自業自得である。  
 
「う……。じゃ、じゃあ、いきます……!」  
その場の雰囲気に耐えかねたのか、瑞穂が目を瞑る。目標を見ないで打つつもりか?  
「み、瑞穂! 見ないで打ったらかえって危険……!」  
「瑞穂、待って! まだ心の準備が……!?」  
祐希が落ち着かせようとし、彩乃がとどめようとしたが……。  
「たぁ〜〜〜〜……!!」  
 
ご〜〜〜ん☆……!!!  
 
「……!」  
「…………!!!!!」  
絶句したのは祐希で、声なき悲鳴を上げたのは勿論彩乃だった。瑞穂の見ないで打った  
パンチはそれをとどめようと前に出た彩乃の性器の部分にもろにカウンターで命中した。  
保護する筋肉が殆どなく、骨に直接響く急所をクリティカルヒット!!  
 
「………あっ!」  
漸く目を開けた瑞穂が見たものは部屋の中央で股間を押さえてうずくまり、ぷるぷると  
小刻みに震えている彩乃だった。じっと足を閉じ、物も言わず、俯いたまま動かない。  
じ〜〜ん……と痺れているのだろう。  
 
「……まったく、もう」  
ようやく復讐を果たした香奈が足下に崩れている彩乃を見下ろしながら、カチューシャを  
つけて乱れ髪を直した。祐希と瑞穂は互いの顔を見合わせ、たらりと大粒の汗をかくだけで  
あった。  
 
 
        *       *       *  
 
 
「彩乃さん、こっち向いてくださいよ〜」  
香奈が声をかけるが、彩乃は3人に背中を向けたまま動かない。パジャマは上半身だけ、  
下半身は薄緑のショーツのみで、股間に両手を宛がったままの状態でぺたんと座っている。  
表情を見れば、もう痛みは治まったようだが、ぷく〜〜っと、フグの様に膨れている。  
 
「いつまでも拗ねてないで……。子供じゃないんですからね? それともまだ怒ってる  
んですか?」  
香奈がそっと近寄る。香奈のほうはキッチリと復讐を果たせたので満足げな表情だ。  
さっきとは逆に彩乃の扱いに手を拱いている。  
 
「当たり前でしょ! 女の子のとっても恥ずかしくて痛い所をパンチするなんて……」  
「私だってカンチョーされたじゃないですか! それも彩乃さんのせいで。第一、『急所攻撃』  
なんて書いたのは彩乃さんなんですからね? 自業自得ですよ」  
「ふ〜〜ん、だ!」  
つーん、とそっぽを向く彩乃。原因を追究すれば明らかに自分の分が悪いので、言葉では  
あまり返せず、ひたすら子供の様に拗ねているだけだ。  
 
「彩乃さん? ……彩乃さんってばぁ〜!」  
香奈が彩乃の顔を見ようとすると彩乃はその前に香奈の反対方向を向く。暫くの間、  
いたちごっこを続けていたが……、  
「これじゃ、キリがないですね……しょうがないなぁ……。よ〜し……えいやっ!」  
香奈が彩乃に横から飛び掛る。  
「こ、こら! 香奈! 何を……あっ!?」  
飛びついた瞬間、香奈は彩乃の頬にキスをした。更に、彩乃が驚いた隙を突いて正面に  
回りこみ、そのまま唇にキスをする。  
 
チュ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪  
 
「むぐ……。ん……」  
「んん……」  
香奈と彩乃のとっても長く、熱いキス。目の前での出来事に瑞穂は真っ赤になる。ちなみに  
いまだにお尻丸出しだ。  
 
「かな……」  
「あやの、さん……」  
ひとしきり、お互いの唇をむさぼってから、漸く二人は離れた。  
離れると暫くの間お互いに目を逸らし、真っ赤になりながら今のキスの感触を確かめる  
ように唇に手を触れている。香奈がチラリと彩乃を見ると、丁度彩乃も香奈を見たところ  
だった。視線が絡み合い、更に真っ赤になる二人。  
 
「ゴメンね、変なこと書いて……」  
彩乃が香奈を見て小さく謝る。  
「当たり前です! 悪戯っ子なんだから、ホントにもう……」  
赤くなりながらもそこだけは譲らない香奈。  
「でも、これでおあいこですね? 次はこんな悪戯しちゃだめですよ?」  
ニコッと諭す様に微笑んで彩乃を見る。彩乃も微笑を返した。  
 
その時……。  
 
「え〜〜、コホン、コホン!」  
わざとらしく咳払いをしながら祐希が2枚のカードを示す。  
「いい雰囲気の中、悪いけど、3周目のカード引いちゃった」  
「ま、まだやるの?」  
「だって、もう彩乃さんの凶悪カードは全部引いちゃったし、折角だモン」  
祐希が示したカードは『おっぱい揉み』と書かれたカードと、トランプだった。  
図柄はスペードの6だ。  
 
「わ、私?」  
彩乃に『おっぱい揉み』の罰ゲームが下る。  
「担当はボクだけど、香奈に譲るよ」  
ニコニコと笑いながら祐希がカードを香奈に渡す。そういえば、これを書いたのは  
香奈だった。彩乃に当たればいいな、と思っていた願いが叶ったのだ。  
「あ、でも……その……」  
恥ずかしくて照れながらもじもじしていると、彩乃がゆっくりとパジャマの上を脱いだ。  
ぷるん、とたわわな果実の様に丸くて形の良い乳房が震える。  
「いいよ、香奈……。香奈は私を想像してこのカードを書いたの?」  
ニコッと微笑んで香奈を見る彩乃。  
「あ……そんな! ………はい」  
隠し通すことも出来ず、素直に頷く香奈。本心がばれて少し恥ずかしいけど、彩乃が  
察してくれたのは嬉しかった。  
「じゃあ、『おっぱい揉み』開始〜〜! 時間は10分間です!」  
祐希の声が快活に部屋に響き渡った。  
 
 
 
「はう…ん……。ああ……」  
悩ましげな声を上げる彩乃。ショーツ一枚の彩乃が座り、その背後から腕を脇から通す  
形で香奈が揉む体勢だ。中学生にしては大きめの形の良い胸を、きゅっ……きゅっ……と  
揉んでいる。  
(柔らかいなぁ〜〜)  
手に吸い付くような肌触りとよく出来たマシュマロのような柔らかさ。揉んでいるだけで  
幸せになる。香奈は自分も上半身裸になり、ぴっとりと彩乃の背中に密着した。  
 
「ひゃあん!? ど、どうしたの、香奈?」  
上気した顔で後ろを振り返る彩乃。香奈の胸が背中に当たっている。  
「だって……この方が気持ちいいんだもん……」  
香奈は自分の乳房がひしゃげるのにも構わず、頬を摺り寄せるようにして密着する。  
「クスクス……香奈の胸の先っちょ、当たってるよ?」  
「や、やだ……。そんなエッチなことを言う彩乃さんには……こうです!」  
「な、なに? ひゃあん!? だ、だめ! 先っちょつまんじゃ……!」  
電撃が走ったように体をビクビクと振るわせる彩乃。  
 
その二人の様子を見て置き去りにされた感のある瑞穂と祐希。  
祐希は妖しくうごめいている彩乃の下半身に注目した。薄緑色のショーツ以外、何も  
つけていない。香奈が責めるたびに白い太股やショーツに包まれたお尻がプルプル  
揺れる……。そして、股間のしわも絶え間なく動き……。  
 
「彩乃さん……、ボク達はここを揉んであげる……」  
「え……? きゃあ!? な……、なに!?」  
祐希と瑞穂は彩乃の足を片方ずつ掴んでその部分を広げ、二人してそのあたりを触りだした。  
「あ……! や、やぁん! ゆ、祐希ちゃん、瑞穂…! だめ……。これじゃあ擽りと  
同じ……」  
「違いますよ。全身愛撫です。……ね?」  
祐希が瑞穂に笑いかけると瑞穂も笑顔で頷いた。そして、二人して太股や股間の辺りを  
優しく触りまくる。  
 
「さっき打ったところはどうかな〜〜? フフフ、少し赤くなってますよ?」  
「だ、だめぇ! 脱がしちゃ……ひゃあん!? み、瑞穂そんな所を舐めちゃだめ!  
……ひゃああ!? か、香奈! そこは……!!」  
瑞穂が股間近辺に舌を這わせ、香奈も彩乃の乳首を弾くように舌で転がした。  
「揉む」だけのはずの罰ゲームはそれだけに留まらず、指定の10分でも終わらなかった。  
3人の少女が一人の上級生を舌と手で愛撫する。淫靡な光景が香奈の部屋で繰り広げられた。  
 

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