恋と愛に酔って、激しく体を重ねた一夜が明けた。  
明けたのだが、二人が起床したのはその日の昼過ぎ。  
 起きた後、お互いはなんとなく恥ずかしくてほとんど言葉も交わさず、黙々と歩くことになった。  
この森林地域を抜けるには歩いてあと4日ほどかかる見通しだ。  
 
 歩く過程でロンの気になるのは、やはりエレクのお尻。  
体に、特に体の一部に、その感触がまだ残っている。  
思い出すだけでも、背筋がぞくぞくとして、そのまま射精するのではないかと思うほど。  
 エレクの方も、自分のお尻を気にしていた。  
ロンの、特にロンの一部の、その感触がまだ残っている。  
思い出さなくても、その辺りがじんじんとして、今にも胎内に放たれた精が実を結ぶのではないかと思ってしまう。  
 
 言葉を交わさずに、お互いのことを思い浮かべながら、ひたすら歩き、そのうちに日が暮れた。  
キャンプの共同作業、共に作る食事、それらの行為に幸せを感じながらも、やはり言葉が出ない。  
出ても、その次に続かず、顔が火を吹くように熱くなる。  
 意味があったのは最後の二言だけ。  
「…ねぇ…しよ。」  
「…うん。」  
 
 エレクは魔法をかける、ロンは入り口を愛撫する。  
ゆっくりやさしく中へ入る、ゆっくりやさしく外から迎える。  
「ふう…。」  
 ロンは、つながったまま動かずにいた。エレクはそれもいいと思った。  
そうすることで、お互いの存在を無理なく感じていられるから。  
 
 意識して動かす部分は止めたまま、呼吸だけをして過ごす。  
他に動くのは、ゆっくりと蠕動するエレクの生物のままの部分。そこは、つながったまま、ぽたり、ぽたりと微かに濁った液体を垂らす。  
 
 その内に、絶頂というほどでもない…例えるなら丘の頂上のような、なだらかな波が訪れた。  
「あふ…。」  
 まずはエレク。その時、無意識に膣に圧力をかけた。  
きゅうっ。  
 それが引き金となって、波がロンを襲う。  
「くうっ…。」  
 そのまま、精を吐き出す。  
びゅー、びゅー、どく、どく。  
 
 しばらく、つながったままでいる。やはりお互いの温かさが快い。  
「ふう…。」  
ゆっくりと名残惜しむように抜く、ゆっくりと名残惜しむように開放する。  
 激しく交わったわけでもないのに、二人とも汗だらけ、液だらけになっていた。  
 
 二日目、問題が発生した。  
タオルは初日で使ったため、パリパリに固まり、体を拭くのに使える状態ではなかった。  
水の残量も、物を洗うために使う、というわけにはいかない段階にまで減っている。  
 
 結果的に、二人は潮臭さと魚介類と発酵食品を加えたような酷い臭いのまま、歩くことになった。  
とりあえず会話は戻ったのだが、臭いについての話と、それに関する苦笑がほとんどを占めた。  
 夕暮れ前に、湧き出る泉を見つけなければ、気分が悪くなって倒れていたかもしれない。  
 
 水を汲める限り汲み、飲んで、そして自分で洗える場所を洗った。  
自分で洗えない場所は…互いに洗いあうことになった。  
 二人で汚したのだから、ロンはエレクのお尻を、しかも今回はある程度内側まで洗うことになった。  
当然、洗ううちに獣欲が顔を出す、洗うロンも、洗われるエレクも。  
 
 最初は二日続いてしたのだから精力に無理がくることを考えて、自制しようと思った。  
そこでエレクが、以前に摘んでいた"精力リンゴ"を取り出した、取り出してしまったのだ。  
精力リンゴは、滋養強壮・体力回復といった効果のある特殊な果物だ。  
だが、健康体が摂取すれば、余剰のエネルギーが生物的な部分を刺激し、しかも含まれている興奮物質がそれを後押しする。  
 
 言うまでもなく、二人は始めてしまった。  
それも、今までになく激しく。  
ずぶっずぶっ、すぱんすぱん、ずうんずうん、ああんああん、ぐちゅっぐちゅっ、どぴゅっどぴゅっ。  
 もう、恥も外聞もない。動物になって、交わり続けた。  
びゅるびゅる、ぶちゅぶちゅ、ぐりんぐりん、ふあっふあっ、じゅっぷじゅっぷ、どっくんどっくん。  
 精力リンゴを齧って、まぐわって、疲れたらまた精力リンゴを齧る。軽く6つは食べただろう。  
 エレクは、片手の指では足りないほど絶頂を迎え、そろそろもう片手の指も使い果たす寸前で、失神した。  
 ロンは、エレクが失神した後も、彼女を欲望を吐き出す穴のように扱って、達した回数は両手に加えて足の指を使う必要が出て、…まもなく潰れた。  
 
 当然、三日目には、昨日の比ではない問題が発生する。  
ロンは全身疲労に加え、鼠蹊部がズキズキと痛み、亀頭は腫れ上がっていた。歩くのが、辛い。  
エレクはそれ以上に酷く、膣は入り口から腫れ、熱を持っていた。既に、歩けない。  
責任はお互いにあるので苦笑いをしては「馬鹿!」「ごめん」「ごめん」「馬鹿!」と限のない追求になる。  
 
 文句を言い合っても、痛みは消えず、空しくなってきたので、対策に移ることにした。  
そして、エレクの持っていた薬草液、粘着性が強いので実際は薬草膏と呼ぶべきか、を塗れば、とりあえずは何とかなるだろうということになる。  
当然、エレクは自分では使えない。よって例によって例のごとくロンがそこの処理を行う。  
 今度ばかりは、繰り返せば、最悪の場合感染症から死に至る事も考えられるので、  
エレクがものすごい眼光でロンを牽制する中で行われた。  
 
       が   、   
 
 やや奥にも塗る必要があったため、手全体を薬で濡らして、突っ込むという荒療治の必要が出てきた。  
窄めた指先まではエレクの中に楽に入っていった、だが手の甲が割って入ろうとした時、  
「痛い!痛い!痛いっ!死んじゃう!馬鹿ロン!痛い!馬鹿ッ!!」  
 治療の発案者自身が抵抗を始めた。姿勢は"転んだ暴れ馬が仰け反った形"。  
ロンは暴れるエレクの足を何とかかわして、ある程度奥まで薬を擦り込んだ。  
 
 手を抜く、エレクの柔らかい肉が、ずぽん、と音を立てる。同時にエレクの大暴れも収まる。  
だが今度は泣き始めてしまったようだ。前足の間に上半身を挟んで、しくしくと静かに泣く。  
 その後のちょっとした騒動が発生する切っ掛けは、ロンがその際に煩悩に囚われていた事。  
ロンの目の前には、ひくひくと震えるエレクの入り口。  
すとん、とズボンを脱ぎ、そのままいきり立ってしまったものを突き込む。魔法がかかっていないので抵抗はない。  
腫れているためか、熱を持っていて、ややキツい。ぐちゅぐちゅ、どくどく、ぴゅっぴゅっ、ふはー…、すぽん。  
 
 恍惚としたところに、エレクの手加減抜きの拳骨が降り注いだ。  
「馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿ロン!いっぺんカロンの川渡りのところまで行って来い!馬鹿っ!馬鹿ロンっ!」  
 流石にそれは最悪の行為と言えただろう。  
 
 半日、平謝りに謝って、やっと許してもらえた。それでも声が厳しい。当たり前だ。まず間違いなく一生恨みに持たれる。  
「人が怪我をしてるのに、自分だけ気持ちよくなろうなんて最っ低ぇーっ!馬鹿ロン!」  
 馬鹿ロンという語感が気に入っているような節もある。  
薬は取り上げられたので、ロン自身の腫れに塗る分は無し、下半身と拳骨の痛みに耐えながら歩くしかなかった。  
 
 
 夕暮れ頃にはエレクの腫れも退いてきて、それと同時に怒りも退いてきていたようだった。  
話が通じるようになった後、二人で"行為"に関する取り決めを考えた。全部で三つ。  
とりあえずは、2つが決まった。  
 
まずは、  
・両方の合意。  
 
そして今回の反省として、  
・健康に障らない程度。  
 
 
 
最後の一つは、夕食を食べているときに思いついた。  
・精力リンゴは一晩に二人でひとつ。  
 
 

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