スパイダーさんと出会ってからちょうど一週間が過ぎた日の草木も眠る丑三つ時、ソファ  
からむくりと起き上がった星見坂は物音を立てぬよう慎重に慎重を重ね  
て、外に出た。  
「うむぅ、やはりダメだな」  
ゴキゴキと首が鳴る。とてもじゃないが睡眠に適しているとは言えない安物のソファで寝  
ているためであろう。  
寝なれたベッドは一週間前から自分を殺すために住み着いた朧に奪われてしまった。  
「むぐぅ…あの焼き鳥娘め…今に見ていろ…」  
ぶつぶつと文句を言いながらお楽しみの待つ場所へと進む星見坂。  
そんな星見坂を電柱の上から見据える影が一つ。  
「あの馬鹿は…一体何をしているのだ…」  
朧であった。  
彼女が星見坂の家に住み着いてから今日までの一週間、星見坂は毎晩この時間になると  
外出していた。  
星見坂が何をしているのか、少しばかり興味を持ったこの不死の鳥は今夜その謎を解明  
すべく夜の街に現れた。  
「………別にどうでもいいことだが…」  
それに大体の見当もついている、誰に言うでもなく呟くと朧は尾行を開始すべく、  
音もなく飛んでいった。  
 
「ふむ、少し早くないかね」  
「なにを言ってるんですか?星見坂さんが遅いんですよー」  
一週間前に星見坂出会った時とは異なる場所、深夜は誰も寄り付かない公園のベンチで、  
スパイダーさんは待ちくたびれたように頬を膨らませていた。みんなの憧れのマスクはすでに  
外していた。  
「星見坂さん約束した時間に来たことただの一度もないじゃないですか…いくらすごい正義の  
味方でもそれはろくでなしですよ」  
七日も連続で遅刻して来られたのではいくら正義のスパイダーさんでも頭に来るのか言葉に  
棘がある。  
「むぅ、こちらに来たまえ!」  
それが癇に障ったのか、星見坂が強い口調で命じた。  
「ほ、星見坂さん?」  
「早く来たまえ」  
いつもと違う星見坂の態度に、不安を覚えながらもスパイダーさんが近づいていく。  
「あの…」  
スパイダーさんがおずおずと何か言おうとしたその瞬間、  
「むぅ、やはりけしからん乳だ」  
うがーっと星見坂は彼女の大きな胸を隠す特殊タイツを破り捨てた。  
 
「きゃっ!」  
スパイダーさんが短い悲鳴を上げるが星見坂は意に返さず彼女の大きな胸を揉み始める。  
「もう、するならちゃんと言ってくださいよぉ」  
「ふんだ今日はちょうど厳しくしないと悪に堕ちてしまう日なんだからこれ位でちょうどいいんだ」  
「そ、そうなのですか!?」  
一週間前と同じに星見坂の適当な嘘に騙されるスパイダーさん。  
しかし何も変わっていないような彼女にも、以前とは大きく違う点があった。  
「……星見坂さん」  
「なんだね?」  
前からでは面白くないと後ろに回りこみながら、星見坂が返す。  
「……んっ…」  
絶え間なく続く胸への愛撫に邪魔されながらも言葉を続ける。  
「今夜も、お願いします…」  
甘ったるい声での、懇願の言葉を聞き、星見坂はにやりと笑い答えた。  
「うむ、任せたまえ」  
星見坂はスパイダーさんを膝に乗せるような形で、ベンチに腰掛けてからはっきりと力強く答えた。  
スパイダーさんの一週間前とは大きく異なる点。  
それが何であるのかは何かを欲しがるとように輝く薄紫色の瞳が語っていた。  
 
星見坂はスパイダーさんの胸をしばらくの間弄り続けた。  
「ほーれほーれおっぱい同士でキスしてるぞー」  
「あぅ…は、恥ずかしいですよぉ…」  
左右の乳首同士を寄せられて、スパイダーさんが恥ずかしさから顔を隠す。  
「隠しちゃ駄目だっていつも言ってるだろー」  
「えっ、ふぁっあぁあああぁぁあぁっ!!ダメぇ、ダメです!」  
星見坂は「けしからん」と注意するとすっかり硬くなっている両のピンク色の頂をこすり  
合わせた。  
「ひっ、やああっ!だめぇ、ホントにダメです、おっぱいが、馬鹿になっちゃいますよ…」  
「君はもう馬鹿だから大丈夫だ」  
「そんな、ひどっ、ふああぁっ!」  
スパイダーさんの抗議の声を遮るかのように大馬鹿者はさらに激しく彼女の胸をこすり  
合わせる。  
「ああっ、だめですだめ、やっ、ああああぁぁぁっ!!」  
スパイダーさんが達したのを確認すると、満足したのか星見坂は彼女の胸から手を離す。  
(むふふふ、もう胸だけでイケるようになった……処女の癖にすばら…いやけしからん……)  
などと星見坂が考えていると、膝の上でぐったりとしていたスパイダーさんが星見坂のほうを向いてくる。  
 
「星見坂さん……そろそろお薬を…」  
「うむ、そうだそうだ忘れるところだった」  
「もう、何ぼうっとしてるんですか…」  
「ああ…いや…その、あれだ…誰か見てるような気がしてだね…」  
まさかいつ処女を奪うのかを考えていたなどとは口が裂けても言うわけにも行かず、また  
適当な嘘でごまかす。  
「うむ…気のせいだったみたいだ…じゃあ始めようか…」  
「はいっ」  
スパイダーさんは元気よく返事をすると、星見坂の前の地面に腰を下ろし、星見坂のファ  
スナーを下げた。  
"薬"というのは言うまでもなく精液のことであった。  
「もう硬くなってますね……それじゃいきますよー」  
現れた星見坂の先を指先で撫でてから、スパイダーさんが口を近づける。  
「……いや、待ちたまえ」  
が、星見坂がスパイダーさんの頭を持ってそれを止めた。  
「どうしたんですか?」  
不思議そうな顔でスパイダーさんが訪ねて来る。  
「うむ……」  
どうしてこんな大事なことを忘れていたんだろう、と彼女に聞こえぬよう呟いてから、  
星見坂は何をするのか説明した。  
 
「こ、こうですか?」  
「ほほ、いいぞいいぞ」  
スパイダーさんはその大きな胸で星見坂のものを挟み込んでいた。  
「じゃ…始めますよ…」  
「おう、がんばりたまえ」  
スパイダーさんは星見坂に言われたとおり、唾液を潤滑油代わりに垂らすと胸を上下に動かしだした。  
むにゅむにゅと大きな乳房が淫らに形を変えながら動く。  
「ど、どうですか?」  
「うむ、いいぞいいぞ」  
上目遣いで訊いてきたスパイダーさんに満足気に答える星見坂。その顔はとても幸せそうであった。  
「ん、ん…」  
胸での奉仕を続けているうちにスパイダーさんも興奮し始めていた。  
目の前にはこの一週間毎日奉仕してきた星見坂のペニス。  
スパイダーさんは無意識のうちに、ちろりとそれに舌を這わせた。  
「おわわっ」  
「あっ…ごめんなさい………」  
星見坂の体がびくりと跳ねたのを悪くとったのか、スパイダーさんが誤る。  
「いや、いい…続けてくれ…」  
「あ…はい…」  
言われるがままにスパイダーさんは奉仕を再開する。  
「んっ…ちゅぷっ、」  
「うむ、いいぞいいぞ」  
星見坂の言葉に励まされるかのように、スパイダーさんの奉仕が激しさを増していく。  
「むちゅっ、うちゅぅ…んん…星見坂さん…これで…いいんですか…?」  
「ああ、もう最高だ、君は最高だ」  
「うふふ…それじゃ、がんばっちゃいますよ」  
スパイダーさんは上下の運動に加え、乳首を星見坂の亀頭にこすり付けてきた。  
「ふふ…いっぱい出してくださいね」  
「ううわ、喋ったらもう…」  
星見坂は腰をビクビクと震わせながら果てた。  
 
「んん…こんなに…」  
スパイダーさんは顔を汚した精液を指ですくい、舐めとった。  
「うむ…こっちもお願いできるかね?」  
「はい…」  
スパイダーさんは星見坂の一物を口に含み、綺麗にしてあげた。  
 
 
星見坂とスパイダーさんのいるベンチの向かい側の茂みに隠れて、朧は二人が  
乳繰り合っているのをずっと見ていた。  
「あの大馬鹿者め…こんな事だろうと思ってたが…その通りだとは…」  
覗きながらぶつぶつと文句を言う。  
しかし二人の情事を見て興奮したのかその頬はかすかに上気していて、目には涙が浮かんでいた。  
「あの馬鹿め…殺してやる…絶対に、殺してやる…」  
口では文句を言っているが、その手は黒いロングスカートの中の秘所へと伸びていた。  
「許さない…許さない…」  
口では何を言っていても、秘所をまさぐる手は止まる気配がない。  
「んっ…殺してやる…絶対に殺してやる…」  
くちゅくちゅと淫らな音が小さく響く。情けなくて涙が出てくる。  
切なさと、悔しさ、それと快楽が混じりあう中で彼女は自慰に没頭していく。だから気付かなかった。  
「くうっ…なんでだ…うう…」  
後ろで、今の彼女の五倍ほどもある大きさの蜘蛛が自分を狙っていたことに…  
 
続  
 

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