悠介は風呂場で、美雪が入ってくるのを浴槽に浸かりながら待っている。湯に浸かり始
めてまだ一分も経っていなかったが、悠介は既にのぼせそうな頭で、先刻あったことを思
い出していた。
美雪に促され、脱衣所まで行くと、美雪は恥ずかしそうに顔を赤らめ、そこで固まった。
美雪は恥ずかしかったのか、先に入ってくれる?と、まだ潤んでいた目で悠介に言った。
そんな表情で言われたら聞かざるをおえないと、悠介は少し、女のずるさを垣間見ながら
思った。
悠介は自分の分身に目を向ける。痛いぐらいに膨張した悠介の分身は、腰に巻いている
タオルを捲り上げ、自身の存在を誇示していた。今から行おうとしている行為に興奮して
いるのもあったが、その根本的な原因は目の前にあった。
悠介は風呂場の入り口の磨ガラスに視線を転じる。風呂場から出ると脱衣所になってお
り、いつもなら磨ガラスには何も見えないが、今は人影が動いていた。美雪である。衣擦
れの音こそしないものの、朧げながらも美雪が一枚ずつ服を脱いでいるのが分かり、悠介
を余計に興奮させた。
美雪が最後に残した下着を脱ぐのが見える。すると悠介は浴室の壁に視線を向けた。な
んだか美雪の着替えを黙って覗いてしまったようで、悠介は今更な気まずさを感じていた。
だがそれも一瞬のこと。
ガラッと、磨ガラスになっている扉が開く。
「お、おまたせ……」
美雪が浴室に入る。その声に、悠介は軽い緊張を感じながら答えた。
「は、はやかった……」
言いながら悠介が美雪のほうを向く。しかし、悠介は美雪を見ると言葉を途切れさせた。
タオルか何かを体に巻いてくると悠介は思ったが、美雪は何も身にまとわず、一糸纏わぬ
姿で浴室の入り口に立っていた。
「あぅ……」
悠介に見られ、美雪は恥ずかしそうに体を隠そうとする。しかし腕だけで体を隠せる筈も
無く、腕の隙間から、まだ幼い胸や、産毛のように薄っすらと生えた恥毛が覗いていた。
―――こっ、これは……。
凄い破壊力だと、悠介はさらに興奮しながら思った。すると、無言の視線に堪えきれなく
なったのか、美雪が口を開いた。
「あっ、あのね……、悠にぃ……」
「………」
「悠にぃ……?」
「……あっ、あぁ」
のぼせたのか、それとも美雪の裸体に見惚れていたのか、悠介の反応が少し遅れる。
「どっ、どうかしたのか?」
「うん……、あのね……」
「………」
「からだ……、洗ってくれる……?」
悠介の手は美雪の背中に触れた。やわらかな感触を手に感じながら、悠介は美雪の背中
を流している。
「一緒にお風呂入るのって、何年ぶりかなぁ……」
触れられている背中が気になるのか、美雪がくすぐったそうに聞く。
「九年ぶりぐらいじゃないか……」
悠介があまり働いていない頭で思案しながら言った。小学校の三年生ぐらいまでは一緒に
入っていただろうと、悠介は言葉を続ける。
―――それに……。
あの時はこんな気持ちにはならなかったと、悠介は自分の前にちょこんと座っている美雪
を見ながら思った。美雪の肩越しに、白い胸と、その頂点にある淡い赤色をした乳首が見
える。悠介は下半身の怒張を気にしながら、あの頃はこんな事にはならなかったとまた思
った。
悠介が美雪の背中に再度触れる。美雪の背中はすでに洗うところは無かったが、悠介の
手はさっきから、ずっと同じところを往復している。すぐにでも美雪の胸や、だいじなと
ころを触りたいと思ったが、兄妹という言葉が悠介に最後の一線を越えることを躊躇わせた。
同じ動作をするたび、悠介の焦燥は募っていく。するとその焦燥に気付いたように、美雪
が悠介の方に少し振り向いて言った。
「前は……、洗ってくれないの……?」
「本当にいいのか」
悠介が最後の確認をする。美雪はそれに頷くと、悠介に背を預けながら言った。
「はじめては……、悠にぃじゃないとやだもん……、悠にぃが……いいんだもん……」
「わかった」
そう言うと、悠介は美雪の脇から手を差し入れ、胸を包んだ。
「あっ……ふぅ……っ」
胸に触れた瞬間、美雪の体がぴくんと跳ねる。その仕草が愛しくて、悠介は手に力を加え
て美雪の胸を揉んだ。
「やぁ……悠……にぃ……っ!」
悠介は美雪の胸の感触を楽しむ。美雪の胸は吸い付くように悠介の指に密着し、やわらか
い感触を伝え続けている。
胸を回すようにしばらく揉んでいると、手の平に少し硬いものがあたるのを悠介は気付く。
悠介は指の力を抜き、手の平でそのものを転がすように手を動かした。
「んあっ!……う、んっ……だ、だめぇ……!」
言葉とは裏腹に、美雪が甘い声を上げる。その声に火が点いたのか、悠介は美雪をさらに
責めようと、首に舌を這わせた。
「はぁっ……んっ、あん……はぁ、んっ……」
美雪が悠介の舌の感触に、顎を肩にくっつけるようにして逃れようとする。その行動に、
悠介はいったん舌を首から放し、今度は耳に舌を這わせた。その間も手は休めず、絶えず
乳首と乳房を責め立てる。
「ふあぁ……っ!らめっ……らめらってばぁ……」
美雪の体から力が抜けていく。すると、悠介は美雪の胸から、そのまま体を撫でるように
して、片手を下にずらしていった。
「ん、ふぅ……ぁ、やっ……やあぁ……」
とろん、とした口調で美雪が言う。悠介の動きに気付いたのだろう、言うと同時に美雪は
足を閉じたが、悠介が耳に息を吹くように口を寄せると、足の力は徐々に抜けていった。
「ひゃあっ!」
悠介の指が、美雪の秘部に触れる。美雪のそこは既に、湯とは違う液体で濡れていて、悠
介の指を濡らした。
「濡れてる……」
「やぁ……、ん、はぁ……言わない、でぇ……」
頬を赤く染めながら美雪が言う。悠介はそれにはかまわず、秘部にあるワレメに沿って指
を往復させた。
「ん、あっ……ぅ、悠にぃ……」
美雪が切なげな視線を悠介に向ける。そのまま美雪は悠介に顔を寄せ、キスを求めてきた。
悠介はそれに答えるように美雪の唇に自分の唇を重ねる。唇を重ねた瞬間、悠介の胸は一
層高鳴り、甘美な感覚に何も考えられなくなっていくのを感じた。
「ん、んふっ、んっ、んっ……んふぁ……っ!」
重ねるだけでは満足できず、悠介が美雪の口内に舌を入れる。始めは悠介の行為に、美雪
は甘い声を上げながら戸惑っていたが、しばらくすると今度は美雪のほうから舌を差し入
れてきて、二人は舌を絡めあった。
「んちゅ、んっ……はぁ、んっく……ちゅ、んっ、ん……ふぅ」
息が続かなくなったのか、美雪が唇を離す。美雪の頬は上気して赤く染まり、悠介に体を
預けながら、だらしなく開いた口で荒い息を吐いている。
「美雪、そろそろ……いいか?」
もたれかかっている美雪の耳元で悠介が言う。悠介の分身は美雪の柔らかい肌に触れて、
さらに張り詰めた状態になっている。早く美雪の膣に入りたい気持ちでいっぱいだった。
「はぁ、はっ……うん、いいよ……」
美雪の言葉を聞くと、悠介は美雪を仰向けに寝かせた。寝かされた美雪は恍惚とした表情
で悠介を見ると、手を入れようとした時とは逆に、今度は自分から足を開いていった。
悠介はその光景に頭がくらくらしたが、美雪の足を掴むと、ワレメに自分の分身を宛がった。
「ひゃっ、あっ……んっ」
悠介がワレメに沿って、愛液を分身に塗りたくる。その動きに合わせて美雪が声を上げた。
「いくぞ」
「うん、きて……悠にぃ……」
悠介が美雪に覆いかぶさるようにする。そして美雪の腰を持つと、少しずつ分身をワレメ
に沈めていった。
「いっ!……つっ、あ……っ!」
プチプチと何かを裂く感触と共に、美雪が小さな悲鳴のような声を上げる。
「大丈夫か……?」
思わず悠介が言う。しかし言った後に、悠介は失言であることに気付いた。
―――痛くないはずが無い……。
それを承知で美雪は受け入れているんだと悠介は思った。
「だいっ……じょぶだよ……。だから、早く……中に……」
目尻に涙を浮かべながら美雪が言う。その言葉に、悠介は愛しさで胸がいっぱいになった。
悠介は入れるぞと一言言うと、一気に美雪の膣中に分身を沈めた。
「ひゃあ!……くっ……ぅ!」
痛みに耐えかねてか、美雪が悠介の体をぎゅっと抱きしめてくる。その拍子に、目尻に溜
まっていた涙が零れた。
「全部、入ったぞ」
「う、ん。ありがとぉ……悠にぃ……」
結合部分から、赤い血が一筋流れた。美雪はこぼれた涙を擦り付けるように、悠介の胸に
顔を埋める。悠介は黙って美雪を抱きしめた。
しばらく抱きしめあっていると、美雪が顔を上げ、悠介をじっと見ながら囁くように言った。
「悠にぃ、もう動いてもいいよ」
「もういいのか」
「うん、だいぶ落ち着いたよ。それに……」
美雪が顔をほころばす。
「このままじゃお風呂から出れないよ」
「そうだな」
悠介が苦笑しながら答える。そのまま美雪を寝かせると、自分のモノが抜けてしまうんじ
ゃないかという所まで引き抜いた。美雪の膣壁は暖かくぬめっていて、うねうねと締め付
けてくる。快感で悠介の体が震えた。
「あっ、はぁ……っ、悠っ……にぃ……やぁっ!」
「み、ゆきっ!」
快感に急き立てられるように、悠介が美雪の体を突く。
「んっ、やっ、や、ああっ、はっ、あっ!」
段々と、悠介が腰を打ち付ける速度を上っていく。パン、パン、と浴室に肉のぶつかり合
う音が響いた。その度に美雪が淫らに喘ぐ。
「あっ、はぁっ、なんかっ……なんか変だよぉ……っ!あっ、頭が……ぽやんとしてぇ……」
だらしなく開かれた口で美雪が言う。たぶんイキそうなのだろうと、白くぼやけかかった
頭で悠介は思った。美雪の膣内はさらに悠介のモノを締め付け、突く度に違う感触与える。
悠介の方も限界に近づいていた。
「ふぁっ、あっ、あっ、ダメっ……なんか来ちゃう……っ、ひゃあっ!」
美雪が悠介に抱きつき、自分でも体をうねらせながら喘ぐ。腰の動きはさらに速度を上った。
動きが早まるにつれ、白い感覚が徐々に悠介を支配していく。下腹部に痺れるような感覚
が集まりつつあった。
「ああっ、はぁっ、くっ、あっ、あっ、あ、はあぁ!」
「美雪っ!俺、もうっ……!」
悠介の下半身がガクガクと震える。いまにも達してしまいそうな衝動を必死に抑え、悠介
は馬鹿になったように腰を振り立てた。
「あっ、あっ……悠にぃっ、悠……にぃ……っ!」
「美雪っ……美雪っ!」
「ひぃあぁ、ああっ、ふぅっ、ああああああぁーーーーっ!!!」
「くっ、ぅあ!」
美雪が高い悲鳴を上げる。それと同時に今までに無い締め付けが襲い、悠介は咄嗟にモノ
を美雪から引き抜いた。
ビュク、ビュクと白濁した液体が美雪を汚していく。悠介は最後の一滴まで搾り出すと、
美雪の横に仰向けに崩れ落ちた。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「はっ、はぁ……はぁ……」
荒い息を吐き、まだクラクラする頭で悠介は余韻に浸る。全身で触れている美雪の体から、
荒い息と共に柔らかい感触が伝わってきた。
「悠にぃ……」
穏やかな声音で美雪が言う。悠介がその声に首だけ回して美雪に向き直った。
ただお互いの顔を見合っただけだが、自然と笑みがこぼれる。それだけで心が満たされた。
浴室には、暖かい空気が流れている。
学生鞄を横に置いて靴紐を結んでいると、玄関口で忙しなく体を揺すっている美雪が不
機嫌そうに言った。
「もうっ、悠にぃおそ〜い!」
悠介は結ぶ手をもう片方の靴に移しながら、それをお前が言うか、と思った。
「早くしないと遅刻しちゃうよ」
「寝坊した奴が言う台詞か?」
悠介が鞄を持ち、立ち上がりながら言う。
昨日の夜、悠介と美雪は一緒のベッドで寝た。二人で寝るにはやはり狭く、抱き合うよ
うに眠った。触れ合った肌が寝間着越しにも暑く、起きたときにはだいぶ汗をかいていた
が、それでも悠介はすんなりと眠れた。疲れていたからであろう。
しかし美雪は違った。どきどきして眠れなかったと言う。嘘か本当かはわからないが、
悠介も無下には美雪を責められなかった。起きた時間はいつも通りであったが、寝ぼけた
美雪に抱きつかれ、そのまま二度寝している。
「悠にぃだって寝てたくせに……」
「ん、んん」
恨めしそうに美雪を見ながら悠介が唸る。言い返す言葉が無い。
「ほらぁ、早く」
美雪が悠介の手を引く。遅刻しそうなのにもかかわらず、美雪はうれしそうな顔で言った。
二人が玄関を出ると、少し弱まってきた蝉の鳴き声が耳を包んだ。夏の終わりを感じさ
せる声を背に受けながら、悠介は家の鍵をかける。昨日の雨が嘘のように晴れ渡っている
が、相変わらずむっとする湿気だけは健在だった。
「ねぇ悠にぃ」
振り向いた悠介の頭を掴まえると、美雪は自分の顔の前まで引き寄せた。
「大好き」
ふわりとした感触が悠介の頬にあたる。それが何の感触かわかった時には、美雪は既に駆
け出していた。美雪の靴の音を聞きながら、悠介は頬が緩むのを感じる。
その緩む頬を抑えながら、段々遠ざかって行く靴音を追うように悠介も駆け出した。駆
け出し始めると、蝉の声がやけに大きく聞こえ、何処の家から洩れているのか、テレビの
音が蝉の音の合間にきこえた。悠介は、さまざまな音を聞きながら美雪を追っている。
おしまい