俺の恋人はセクサロイドだ。  
といっても俺は彼女を抱いたことがない。  
現代、ほとんどのアンドロイド達は発注元で自らの生産代を返済するために労働し、その後は自由の身となる。  
彼女の場合はそれが娼館だっただけだ。返済が終わったのが一年前、そのあたりで俺と知り合って今は 
コンパニオンをしている。  
 
「………ねえ、そろそろ起きてよ…」  
「…ん、ああ」  
場末の古い映画館でのデート、あまりにつまらないシロモノだったので寝入ってしまったらしい。  
「うわ、これ次の回じゃないか。ちょっと待てよ、んじゃ終電がないぞ」  
「ん、そうだね。じゃああたしの家に泊まってきなよ」  
にやにやしながら言う。いつもの手だ。わざと起こさなかったに違いない。  
 
何度目かの彼女の家。  
シャワーの音が聞こえる中、ソファーの上の毛布に潜り込んだ。  
曇りガラス越しに影が揺れている。  
気がつくと音が止んでいた。  
着替えているようだ。慌てて目をつむって寝たふりをした。  
薄目ごしに見えた彼女はバスローブ一枚。下も付けてないだろう。  
湯を浴びたばかりの人造皮膚は人間のそれより輝いている。  
元々男に抱かれる為に産まれた彼女のボディは言うまでもなく美しい。 
大きく、それでいて形の整いすぎている胸。バスローブから除く谷間が見えると一気に血が下半身に集 
まってしまった。  
(いかん、…理性理性)  
完全に目をつぶると必至に仕事の事、さっきのつまらん映画のことを考えて気を紛らわした。 
下半身、見られてないだろうな。  
さすがに毛布の上に盛り上がっちゃいないか。  
「……」  
小さいため息が聞こえたような気がしたが、ともかく足音は彼女の寝室へ消えていった。危機は去ったか。 
朝までスリープモードで充電しているはずだ。  
 
…数時間経っただろうか?  
ようやく寝付いていたはずなんだが。  
小さな足音で目が覚めたようだ。やはり浅い眠りだったようだ。  
(トイレかな…)  
寝ぼけた頭に馬鹿な考えが浮かぶ。まあいい、まだ眠い。このまま寝直すか…。  
そう思った瞬間、足音の主は俺の毛布をはぎ取って抱きついてきた。  
 
「うわぁっ!!」  
慌てて飛び起きると思い詰めたような顔をした彼女と目があった。  
何をするんだ、口から出かかった言葉を飲み込む。  
「ねえ……わたし、もう限界なの…」  
そう言うと彼女は羽織っただけのバスローブに手を掛けて右胸をさらけ出した。 
まるで大きなボールのような乳房がこぼれ落ちる。  
「これを見て」  
言いながら自分の手を胸に当てるとカチャ、と音がして乳房が外に向かって開いた。 
その中には外部接続端子や小さなボタンと並んで簡易メンテ用の小型ディスプレイがある。 
今映し出されているのは女性の形をした全身図だ。簡略された回路図が重なっている。  
その中に一つ、赤く点滅している部分があった。  
俺がそちらを見つめている事を彼女が確かめると電子音がして、そちらにウィンドウが切り替わった。  
「ね、今出てるのがね。私の性機能の制御系メニュー」  
そこには[SEXUAL OVERLOAD]の文字が点滅していた。  
「今更だけどね、娼婦だったあの時のことは恥じてるわけでもないけど誇りにも思っていないわ。 
でも私は元々セクサロイドとしてシステムが設計されてる。 
だから…たまに快楽中枢を刺激しないと欲求不満でエラーが出て…。  
最後には回路が焼き切れちゃう……」  
途中から声にすすり泣きが交じっている。  
「自由になってからは……もう誰とも寝ていないの……。あなたが私のこと好きだって…… 
言ってくれたとき嬉しかった……。もし……あなたがいなければたまに男の人を誘ったかもしれない。 
でも……」  
彼女は静かに涙に濡れた胸を閉じた。  
「ねえ……抱いてくれないのは私がロボットだから?そういう人もいたよ…。  
いざやってみようとするとやっぱり機械じゃできない、って。  
もしそうなら私、システム書き換える。今のままの私じゃなくなっちゃうけど、  
このままよりましだわ。だから……お願い、今はっきりして」  
 
「……ったんだよ」  
「え?」  
馬鹿馬鹿しい、情けない理由だ。でももう覚悟を決めるときだ。  
「君に嫌われたくなかった……」  
「ど、どういう意味?私がいつあなたを嫌いになったって言うの」  
「俺、そんなにデカイ訳でもないし上手くもない……そんなに小さくもないぞ。  
でも君は昔…ああいう所にいたんだから…経験は豊富だろ。 
俺じゃ満足させられなくて、失望されちまうじゃないかと……それが、イヤだったんだ……」  
俯きながら呟く。我ながら本当に情けない。  
「…本当にそれだけ?」  
「ああ、それだけ」  
「…ロボットじゃ勃たない、とかないの?」  
「勃ってないように見えるか」  
「あ、ホントだ。……あのねえ。あたしはセクサロイドよ。いくらでも感度の調整なんかできるのよ」  
「……そうなの?」  
「そうなの!だ・か・ら!例えあなたのがちっちゃくったって私はいっくらでも感じられるのよ!」  
「そんなに小さくねえぞ、おい」  
腰に手を当ててこっちを軽く睨んでくる。……口元はもう笑ってるが。  
「あら、そ。じゃ早速始めましょ!一年分たっぷりつき合ってもらうからね!」  
 
「んじゃ最初だからちょっと説明させてね」  
言うと彼女は俺の手を掴んで左胸の服の下に潜り込ませた。  
滑らかな肌の冷たい感触が気持ちいい。心地よいカーブの丘の天辺に指が触れる。  
「……何するんだ」  
「感度が高い方がいいんでしょ? ちょっとそのまま揉んでみて」  
言われなくてもそうしようと思っていたが。掌で乳房を抱え込んで軽く揉みしだく。 
二、三度も続けないうちに乳首が立ち上がってくる。  
「ん……。もういいよ。んじゃ乳首ちょっとつまんで回してみて」  
「回す? なんだそりゃ…おお」  
確かに彼女の乳首はくりくりと回転する。  
「それが感度調整スイッチ。ほんとはもっと細かく設定も出来るけど簡易用ね。 
左で低く、右で高くなるよ」  
「んじゃせっかくだから……」  
一気に右に一杯に回す。  
「あんっ! そんなに一杯にしなくても……そんなに自信ないの?」  
「……そういう訳じゃないが」  
まあそれでも感じてくれた方が男としては燃えるし。  
ん? このスイッチ回るだけじゃなくて押せるんじゃないか?  
軽く押すとスプリングみたいな抵抗がある。聞いてみようかと思ったが好奇心を優先させてしまった。  
カチッ。  
「あ、あふっ!ちょ、ちょっと……勝手に押しちゃ……」  
「あ、悪い。なんか我慢できなくて」  
「そこ……セクサロイドモードの強制スタートスイッチなのよぉ……。  
もう最高感度で固定されちゃったから……あふぅ……か、体がじんじんするぅ……。 
ともかく早く一回しないと…暴走…しちゃいそう…もうバカぁ…」  
 
「はぁはぁ……ひ、久しぶりだから最初は慣らし運転しようと思ってたのに…あふぅ……」  
息が荒くなっている。冷却システムがフル稼動してるのか。  
「悪かったって……服、脱がすよ」  
「あ、うん…」  
といっても脱げかかったバスローブ一枚だけだが。 
それでも優しく袖を抜いてやると彼女の下腹部があらわになった。そこには……  
「……ぅ」  
一瞬言葉を飲み込む俺。  
「あ……や、やっぱり変かなぁ」  
「い、いや……」  
彼女の秘部には一本の毛も生えてなかった。  
「ま、前はちゃんと毛もあったんだよ……でも前の仕事辞めるときに…… 
ユニットごと交換したんだけど……」  
もじもじと俯きながら声を小さくする。 
まるで少女のような股間と豊満な体が相まって逆になんだか異様にエロティックに見える……。  
「植毛って結構高いのよ……」  
「そ、そうか」  
「その内なんとかしとくからとりあえず今日はこれで我慢して、ね」  
「あ、ああ。そりゃかまわないけど……」  
さっきからの彼女の言動でこっちはもうすっかりスタンバイ状態だ。  
もう我慢できない。黙ってその体を押し倒した。  
「ふふっ……やっとだね……」  
満足そうに目を閉じてうっとりとしている顔 
俺は征服欲に駆られて彼女の体の上に覆い被さると掌で胸を鷲掴みにした。  
「あ、あ、あはぁああああああ!」  
それほど強く揉んでもいないんだが……。あ、そうか。  
「か、感度が最高なんだってばぁ……。そんなに強くしたら……ショ、ショートしたみたいだったよぉ… 
…。もっと優しくしてぇ……はふぅ……」  
苦しがる声がとても艶めかしくて、もっと虐めたくなったがぐっとこらえて出来るだけ優しい声でささやく。  
「ごめんよ。このくらいなら大丈夫?」  
優しく、そっと掌に力を込める。  
「う…ん…くぅ……あ、気持ちいい……もっとぉ、もっとぉ……は、はふぅ…」  
吐息がどんどん荒くなってる。それに併せて俺の欲望も高まってくる。  
勃起した乳首をくわえて舌でもてあそぶ。  
「ひっ!! か、かカンジ、感じるぅ! キキキモチイイっ! あはあはあははぁあっ! 
……ふひぃ…ノイズが言語回路にきちゃってるぅ……」  
 
「あ、はぁぁん……あ、そうだ……」  
「ん?」  
「ごめん、乳液入れるの忘れてたわ……」  
「ああ、まあいいって。こうやってなめてるだけでも悪くないし」  
言いながらはち切れそうに飛び出した乳首に舌をからみつける。  
「あはぁ……。そ、そこもともと敏感…なの……で、でも……」  
胸を掴んでいた手が取られて下に誘導されていく。  
「こっちはちゃんと……満タンにしといたから……ほら」  
つるんとした股間はまだ触ってもいなかったのにもうびっしょりと濡れている。  
いきなり指を突っ込んでみようかと思ったが、さっきの反応を考えてそっと割 れ目に沿って指を這わ 
せるだけにしておいた、が。  
「ひぃぁああっ!!!」  
それだけで絶叫が部屋に響く。  
「お、おい大丈夫か?」  
「はぁはぁ…もう……元々あなたのせいじゃないの……。  
私も最大感度使うの初めてなのよ。それに……」  
「ん?」  
「……まあいいわ。入れたら解るから……。ともかくゆっくり、優しく入れてね……」  
「って、もう入れていいの?」  
「もうこんなんじゃ……早く入れてもらわないと壊れちゃうよぉ……」  
ねだるように目を細めて見つめてくる。 
じらしてやろうと思ったけどもこんな顔されたら意地悪する気もなくなっちまう。  
「ん、解ったよ」  
オーバーヒート気味なのか、満足に動けないらしい彼女の体を起こして四つん這いにしてやる、と彼女 
も少し腰を浮かせてきた。  
滑らかな谷間に自分の物を押し当てる。  
「……いくよ」  
「うん……お願い……。く、くぅ……あ、あひいひぁああアアアアPiPiGagaあふあふあふゥ!!」  
こ、この感触……。  
 
「うわ、これって新品だから?」  
「そ、そそそそうdaよぉ……zazaza……あ、あひぃぃ……い、痛ぃぃ……」  
しっかりと彼女には処女膜が存在した。今俺が突き破ってしまったが。  
苦痛まで増幅されているようで叫び声にノイズが混じっていて痛々しい。 
抱きしめた腰がガクガクと震え続けている。なんだか心配になって押し込んだ腰の動きを止めて訪ねた。  
「わ、悪い……。こんなになるなんて……。ホントに大丈夫か?」  
「あ、あんまり大丈夫じゃ…なぃ…でも……続けて……キモチいいのも……ホントだから。  
……一回全部破っちゃえばあとは……ふぁああ!も、もう全部押し込んじゃって!」  
「あ、ああ解った。んじゃ……いくぞっ!」  
熱くとろけそうな彼女の中に一気に突入する。  
「ひ、ひぁあああ!!……あひぃ……はぁ…ううぅ……」  
奥まで突き当てたまま、腰を止めて大きく震える彼女をしっかりと抱きとめる。  
か細い悲鳴がとても愛しい。出来るだけ彼女が苦しくないように腰の動きをじっと止めた。  
「……ふ、ふぅううぅ。ありがとう、もう大丈夫だよ……。動いていいよ……」  
「おいおい、ホントに大丈夫か?」  
「うん、一度最後までいれちゃえば……あとは普通だから……。でもゆっくりね。  
感度は高いままなんだから……。  
「ん、よし解った、動くよ」  
ゆっくりと一度根本まで抜いてから突き上げて、奥にこすりつけた。 
それと一緒に壁がしまって心地よく締め付けてくる。  
「あ、あっああんッ! す、すごイぃ……あふぅっ!  あ、ああっ!やっぱりダメっ!  
い、いっちゃうよぉ!」  
二、三度も動かさないのにもう達したらしい。  
「さ、さすがにこっちはまだ持つぞ……すげえ気持ちいいけど……」  
「わ、私は、だ、だめぇ! あ、あ、あ、はやく、はやく、はやくだしてええぇ!  
も、もうわたし壊れちゃうよぉおお! か、回路が、全部パンクしちゃうぅ! で、でも  
気・持・ちいいいッ! わたし、も、もう壊れてもいいっ! 壊してぇ!  
このまま体がバラバラになるまでしてぇぇえ! あ、アアアアアっ!!!」  
手の中の腰が強くこわばる。次の瞬間、強烈な締め付けと吸い上げが俺のモノを襲う。  
「うおっおおお!」  
思わず声が挙がるほどの快感が頭を突き抜けると同時に俺は今までの余裕もどこへやら、 
一気に精を解き放っていた。  
 
「ぁぁァーーーっ!!!」  
彼女のかん高い絶叫はもう声と言うよりハウリングを起こしたスピーカーのようだった。  
抱いた腰のふるえが一瞬高くなったと思うと、その体から力が抜けて崩れ落ちる。  
「あ、あ、はぁああ……」  
惚けながらも幸せの絶頂という顔。うーん、男心をくすぐるなあ。 
例えそれが彼女の基本システムによるものだとしても悪い気はしなかった。 
俺との行為で感じてくれたのは事実だから。  
そんなことを考えてるととたんに美しい顔から表情が消えて目の焦点が合わなくなる。  
「しすてむガ不安定デス、再起動しーくえんす開始シマス」  
 
ピピッ。  
力の抜けた彼女から小さな電子音が何度か響く。かりそめの命も失った体は体重以上に重く感じる。  
「お、おい……大丈夫か……」  
声が届かないとは解っていてもかけずにはいられない。本当にどこか故障してるんだろうか。  
もし電脳や記憶回路に損傷があったら……。そう考えると背筋が寒くなった。  
「おい……しっかりしてくれよ……ごめんよ……目を覚ましてくれよ……」  
情けなく呟きながら目を覗き込むと長いまつげがパチパチと瞬きをしていた。  
次の瞬間目の焦点がはっきりしてちょっと惚けた表情が浮かんで俺を見つめている。  
と、五秒前までぴくりとも動かなかった彼女は俺に全力で抱きついてきた。 
驚いて受け止めきれずに床に押し倒される。  
「すっごく気持ちよかったよぉー!!」  
満面の笑みを浮かべて無邪気に大きな胸を擦りつけてくる……。  
か、可愛い…うあ、また勃っちまいそう……。  
「お、おい、大丈夫なのかよ!どこも壊れてないか?」  
「え?大丈夫だよ。データフローして再起動かかっちゃったけど、システムチェックは全部OK。 
あ、もしかして心配してくれたの?」  
「まったく……。まあ無事で良かった」  
「なーんか蛋白だなあ……気持ちよくなかったの?私の体」  
「いや、確かに凄くよかったけど……なんか割とあっというまだったからなあ」  
「……つまり満足できてない、と?」  
急に瞼がつり上がって睨み付けてくる。  
「いや、そうは言わないけどさ」  
「それは私の沽券に関わるわね……。ふふーん。そういうこと言うなら……」  
小悪魔みたいな笑み。何か嫌な予感がする……。  
「セクサロイドのホントの機能、たーっぷり味あわせてあげるわよっ!」  
 
「んじゃまずは……」  
舌なめずりしてるんじゃないか、という表情で俺を見つめる彼女は横になったままの股の間…… 
蟻の門渡りというあたりか、をなで回しだした。  
「ふふーん、それっ!」  
「おおぅ!」  
残った手でサオを押さえられると一気に勃ちあがってしまった。  
「あはは、まだまだ元気だね……何されたい?」  
「ってお前ね」  
「ま、今度は聞く気ないけどね。さっきあれだけ一方的にイかされたんだもの。  
お返ししなきゃ」  
……やっぱりこいつセクサロイドだなあ。手違いとは言えさっきの事根に持ってるんじゃないか? 
まあ、そんな彼女をずっと焦らしてたんだから少しぐらい慰み者になってやるか…… 
とか悠長に考えてる間に俺の物に彼女の口が近づいていた。  
「こういうのってなかなかホントにやってくれる娘、いないでしょ?」  
た、確かにそうだが。  
そう言うと俺自身を一気にくわえ込む。  
……こりゃすげえ……。  
舌使いのテクニックもあるんだろうが、何より熱い唇に加えられて、冷えた舌が絡みついてくるってのは……。 
このためにわざわざ温度調整されてるのか。  
「ぷはぁ、どう?いいでしょ」  
「あ、ああ……。おおっ!出る出るっ!」  
「あ、ダメダメ。ま・だ」  
こっちが出そうになったのが解るのかその寸前で舌が離れる。 
それが収まるとそのとたんに攻撃が開始される……。何度それが続いたのかもうよく解らない。  
「さーて、そろそろ許してあげよかな?」  
そう言うと彼女はようやく口をはなした。俺はもう息も絶え絶えだ。  
こっちは人間なんだから再起動して元気全開、って訳にはいかない。  
「どう?入れたい?」  
そう囁いて少女のような股間を指し示す。主導権もヘッタクレもないな……。  
どうも悔しいがさっきの事もあるし……。  
「あ、ああ……」  
おとなしく頷いてみる。  
 
「よしよし、素直でよろしい。んじゃ……」  
仰向けの俺の上にそのまま腰を下ろしてくる。  
「ん……はぁ…」  
そのまま今度はほとんど抵抗もなく、するすると奥まで入っていった。  
「さてと。そのままじっとしててね」  
「動かさなくていいのか?」  
悪戯でもするような笑みがこぼれている。  
「うん、そのままでいいから……それじゃあ、いくよ」  
その途端、膣壁がぞわぞわと動き始めた。  
「お、お、おわああっ!!」  
気が遠くなりそうな快感が全身を貫く。  
「ほーら、気持ちいいでしょ?イっていいよ?ほらほらー」  
小馬鹿にしたような口調。逆らえないかも……。  
ん? 待てよ? こいつこんなに自分の中が動いてるのに感じてないのか?  
あ、ひょっとして……。朦朧とする頭で思いついた俺は、必至に自分でも腰を動かしてみた。 
振動に合わせるように、ひだとひだを擦りつけるように。  
「あ、あああっ!う、動かしちゃダメぇ!あはぁああっ!」  
やっぱり。動く部位と感覚素子が入ってる部位が別なんだな。  
だからその二つを摺り合わせてやれば……。  
し、しかしこっちももう限界だ……。あ。そうだ。その前にこいつにトドメさす方法があるじゃないか。  
今まで床を掴んでいた手を上に持っていくと…。  
ん、よしよし、もう勃ってるな。  
「はううぅ…。気持ちいいよぉ…あ、な、何するの、そ、そこはダメぇ! ひぁあっ!!」  
クリッ。  
右の乳首を一気に右回転させる。  
「だ、ダメぇえええっーーー!あっはぁああああーーー!!」  
次の瞬間、前以上の締め付けと吸引が襲いかかってきた。  
「あああああああああッーーー!!!!」  
「うぉおおおっっっ!!」  
そして、俺達は共に果てた。  
 
 
二週間後。ベッドの中。  
いつものようにベッドにはいると俺は最初の儀式の準備にかかる。  
彼女の背後から胸に手を伸ばし感触を楽しみながら揉みしだくと、すぐに乳首が勃ちあがってきた。  
「今日はどれくらいがいい?」  
「ん、と……」  
そう言うと自分で俺の指を奪って最高感度まで一気に回す。  
「おーい、また機能停止しちまうぞ?」  
「大丈夫。今日、感覚処理回路を最新のに交換してきたのよ。  
もうこれくらいじゃ壊れたりしないよ」  
笑みを浮かべて俺の頭に手を回してくる。  
「だから……いっぱい愛し合おうね。いっぱい感じさせてね。  
もしも壊れちゃったらちゃんと直してね」  
何か答えようとした俺の口は……彼女のキスでふさがれて。  
俺はそっと胸のスイッチを押した。  
 
おわり。  
 

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