重ねられた唇をつたわって、夏箕から音色へと体温が注ぎ込まれていく。  
自分の身体で誰かを暖めるという行為は、不思議なまでの充実感を夏箕にもたらしていた。  
誇らしさと達成感と、甘美なやわらかさ。  
感覚的に「甘い」と形容できる感触に夏箕は昂揚し、頬が熱くなり、鼻息が荒くなるのを感じていた。  
ふーっ、ふぅーっ・・・  
んん、んぅん・・・  
熱い息を浴びるたびに、音色がくすぐったそうに身をよじる。そのかすかな拒絶が誘いとなり、よりいっそう強く唇を押し付けた。  
興奮と酸欠が進み、心臓が耳元に引っ越してきたかのようにドクドクと激しく高鳴る。  
「ぷはぁあっ」  
「はぁあぁっ」  
息苦しさに耐え切れなくなり、口を離して息を吸い込む。乱れた呼吸を整えながら、音色が幸せそうにわらう。  
「キス、してもらっ、ちゃった。えへへっ」  
「ファーストキス。野郎のだけどな」  
「ボクの半生に匹敵するね」  
「そりゃ光栄だ」  
ふざけたやり取りをはさみ、夏箕は再度唇を重ねる。今度は雑誌と聞きかじりの知識を総動員して、舌を音色へと差し入れた。  
「んんっ!?」  
一瞬びっくりしたように身を強張らせた音色だが、恐々と入ってきた舌が自分の舌に絡められると、トロンとした目つきをしてむしろ積極的に応えだした。  
ん、んんっ、ぁんむっ、むぅっ、じゅるっ、ちゅっ・・・  
吐息と湿った水音は一つになった二つの口から際限なく漏れ聞こえ、もはやどちらから発せられたものか区別がつかない。  
そして、じりじりと夏箕の胸を這い登った音色の両手がしっかりと彼の首に回され、音色の身体を支えていた夏箕の両手が彼女を強く引き寄せるようになったときには、  
あふれ出た唾液は音色の頬を伝い、喉までキラキラと濡れ光らせるまでになっていた。  
その時にはもう、二人ともすっかり昂ぶってしまい、キスだけでは物足りないと言わんばかりに腰をもぞもぞとさせる。  
 
「ね。そろそろ、頂戴」  
「わかった」  
潤んだ瞳でせがむ音色に優しく答える。  
「でも、ボタンちょっと痛いから、なつみも脱いでほしいな」  
「音色」  
わずかに眉をしかめ、そっと鼻に指を添えた。  
「〜〜〜っ、ちょ、直接、なつみのあったかさを感じたい、デス」  
「よくできました」  
ちゅ、と軽く頬に口付ける。  
「・・・しゅうちプレイだよぅ・・・」  
でも、悪い気はしないのも事実。  
 
誰もいない教室の、ワックスの効いた床の上に敷かれた、場違いのようなレジャーシート。  
その上に脱いだブレザーを敷いたのは、固い床にシートだけでは背中が痛いだろうという気遣いがあったからだった。  
・・・ついでにシートにプリントされたデフォルメされたウサギと猫の目がなんとなく罪悪感を感じさせたからでもある。  
例えるならば、そう、自分の部屋でコトに及ぶとき、机の上にある写真立てを伏せたくなる、的なアレである。  
夏箕のブレザーの上に仰向けに寝かされた――顔が見たかったからである――音色は、体下の服を襟を合わせるようにしてぎゅっと掻き抱くと、感極まった声で言った。  
「なつみの、においがするよぉ」  
「・・・汗臭かった?」  
「ちぃ〜がぁ〜うぅ〜!あったかくって、あんしんするのっ!・・・ムードないなぁ、もう」  
ぷーと膨れる音色。つんとそっぽを向いくと、夏箕のブレザーにくるまって、ついでに翼で身を覆ってしまう。  
そんな彼女を見て、夏箕は笑みを隠せなかった。  
「なにわらってるの?」  
「いや、そうしてるほうが、音色らしいや」  
「も、もう!」  
赤面。  
それを見つめる真顔。  
「あのな、さっきひとりでシてた時のお前、えろかったけど、スゲエ辛そうで、さ。  
ドキドキしたけど、正直見てらんなかったよ」  
「・・・」  
「ああいうお前を無理矢理押し倒しても、気持ちいいだろうけど、きっとちっとも嬉しくない。  
やっぱこう、泣かせるより鳴かせたいね。俺としては」  
「・・・ぅん、いっぱい、そうして」  
ちらりと横目で夏箕をみると、音色は小さくそう告げる。  
恥ずかしげな仕草だったが、頬が赤く染まっており、ついでに声色には明らかな期待が滲んでいた。  
 
「では、御開帳〜」  
「オジン臭いよっ、・・・ぅきゃっ」  
音色の足をそろえて真っ直ぐ上に伸ばし、右手をお尻に添える。  
ビクリ、と音色の腰が跳ね上がった。  
緊張に指が震えているがあえて無視。そのまま中指をショーツに引っ掛け、お尻の谷間に沿って撫で下ろすと、薄い布切れはぺろりと剥かれてしまう。  
股間から離れるときに長々と糸を引いたショーツは、そのままふとももから足首を抜けて音色の身体から離れ、夏箕の右手へと移った。  
「ひとこと声ぐらい掛けてよっ・・・ってナニしてるのっ?」  
「音色の匂いがする、よ?」  
「ダダダダダ、ダメ!そんなことしちゃダメッ!」  
半透明のぱんつをおどけて自分の鼻先に持ってこようとした夏箕。  
真っ赤なトマトになった音色は慌てて翼をバタバタと振り回し、夏箕の手から恥ずかしい布を振りほどくことに成功する。  
 
ぺしょっ  
 
なぎ払われたたっぷりと濡れた布切れがシートの外に着地した音は、シンとした教室にやけに大きく響いた。  
 
「〜〜〜っ」  
その音と同時に音色の頭の中が羞恥に真っ赤になる。  
その色と熱は顔に出ると同時に背骨を一気に駆け下り、下腹に溜まって、そして弾けた。  
内臓が潤み、溢れ出す実感が体中に広がる。  
(こんな、こんなのって・・・)  
下着を脱がされただけで達してしまう自分に対する恥ずかしさ。  
だが、細波のように身体を巡る羞恥は、いつしか快感と区別がつかなくなっていた。  
「はぁ、はぁ、はぁぁっ」  
絶頂の後の気だるさに浸りながら、今ボクはきっとだらしない顔してるんだろうな、とぼんやり思う音色を見下ろし、夏箕がぼそりと言う。  
 
「・・・ムード失敗?」  
「ばかばかバカバカ馬鹿馬鹿ぁっ」  
ぽかぽかと夏箕の胸を叩きつつ、延々と「ばか」を繰り返す音色。そんな音色を優しく見下ろしつつ、夏箕は淡々とからかう。  
「匂いはムードなんじゃなかったっけ?」  
「ソンナコト言ってないっ」  
「・・・奥が深い」  
「ふかくないっ!」  
「音色のぱんつ・・・」  
「遠い目をしないのっ!ちゃんとこっち見るのっ!」  
「いや、男のロマンだし」  
「そんなロマン認めないッ。・・・だいたい、今目の前にボクがいるのに余所見なんてダメなんだからっ」  
「ネイロサン、目ガ、座ッテキテマス、ヨ?」  
 
夏箕の頬を両手で挟み、瞬きすらせずじいっと顔を見上げる音色。その頬が赤く、息が荒いのは羞恥か快感か衰弱か、それとも怒りか。  
「あんな布っ切れより、ボクのがスゴイってわからせてやるの」  
・・・どうやら自分の下着への嫉妬だったらしい。  
迫力に満ちた声音とどうしようもない内容の、ある意味トンデモない台詞を吐きながら、音色は夏見の右手を取り、自らの秘所へと導いた。  
くちゅ  
夏箕の指が触れた其処は、たぎる様に熱かった。  
すべすべの柔肌は溢れ出す蜜にぬるぬるになっており、加えて摩擦を遮るものの無い、全くの無毛。  
「・・・・・・・・・」  
勢いで夏箕の手を取ったはいいが、下腹部に感じる手触りが音色を若干正気づかせた。  
今、とんでもなくはしたないコトをしてしまっている。  
その実感が下からのぬくもりとともに音色の頭へと浸透していった。  
心臓が飛び出してしまいそうなほど鼓動が激しく波打ち、  
顔から火が出そうなほど、熱い。  
だが、「やってしまった」という自覚はあっても、後悔はこれっぽっちもなかった。  
 
「あぁっ、あっ、あっ、あぁん・・・」  
いたいけな下腹に自らの掌がぴったりと押し付けられ、さらに彼女の小さな両手がそれを一心に秘所へと擦りつけ、喘ぎ、よがる。  
その動作の一途さと倒錯感は、夏箕の中の雄を煽り立てた。  
突き動かされるように、中指を折り曲げる。  
くちゅり  
「ひあぁっ!」  
第一間接がほんの少し秘唇内部にもぐりこんだだけだったが、それでも音色には不意打ちだったらしい。  
声のトーンが跳ね上がった。  
「指一本でもキツイな。・・・ホントにできるのかなコレで」  
「あぁっ、なつみのゆびが、ボクにはいって、るよぅ」  
そのままゆっくりと、味わうように指を推し進めていく。  
一ミリ一ミリごとに柔らかい締め付けが押し寄せ、面白いほど音色の身体が跳ね、踊った。  
中指が、半分ほど秘唇に埋まる。  
そこで指を大きく捻った。  
「ひああぁぁあっ」  
ザラザラとした抵抗と、食い千切られそうな締め付けと共に、音色の腰が大きく跳ねたことによる振動。  
怖いぐらいの反応に、思わず夏箕は指を引き抜いてしまう。勢いよく内壁を擦る指先。  
つぷり  
「あくううぅぅっ」  
その衝撃に、再び音色は達してしまう。  
「はーっ、はーっ、はーっ」  
音色は膜が掛かったような瞳で宙を見つめ、薄い胸を大きく喘がせていた。  
果てしなく高まる自らの股間の膨張感に途方にくれながら、夏箕は呟く。  
「よっぽどしっかりほぐしておかないと、入りそうにないぞこりゃ」  
だがその言葉も、音色の耳には届いていないようだった。  
 
夏箕は音色の足の間に身を置く。  
そして薄く開いた股の間、音色の股間に掌をあてる。  
濡れそぼった秘所を掌一杯に感じながら、押し付けるようにして円を描く。  
「ああぁぁああぁぁっ、んはああぁぁああぁぁっ」  
長く尾を引く悩ましい喘ぎが音色の口から漏れ出す。  
その響きに魅せられる様に、夏箕の手はしっかりと押し付けられ、動作もより速く、激しくなっていく。  
「こんなのっ、こんなのぉ、スゴ、スゴいよぉ、・・・あぁん、ダメ、また、またいっちゃうぅ、ひああぁっ」  
立て膝の形で開かれていた足が、ぎゅっと夏箕の身体を挟み、やがてくたりと脱力する。  
だが、次の一瞬には、自分ではどうしようもないと言わんばかりに再び力が入ってしまい、内腿で夏箕を挟みつけていた。  
「もっと感じれば余計な力が抜けるだろ。もうちょっとするぞ」  
「ひゃうぅぅぅっ、そんなに、つよくシちゃ、だめえぇっ」  
音色の会陰部にぴったりと当てられた夏箕の右掌が、強く圧迫を加えながら円を描くように這い回る。  
ぐりぐりと丁寧に、そして途切れる事無く加えられる刺激が、音色からしとどに愛液を溢れさせると、  
たっぷりと濡れた掌はますます勢いづいて音色の愉悦と夏箕の興奮を煽った。  
「〜〜〜っ!潰れちゃうっ、ボクのあそこ潰れちゃうよぉっ・・・・・・ああああぁぁああああアアッ!」  
限界まで尖り立った肉真珠と掌が激しく擦れあい、カバーが捲られて剥き出しになる。  
そこに降りかかる、止まらない摩擦。  
より一層鋭敏になった秘所からのさらなる刺激に、音色の身体は電流でも流されたかのようにビクビクと踊った。  
床との間に弓形の空白ができるほど反り返る背と、これでもかと強調される薄い胸。  
虚空を見つめる目と嬌声を上げ続ける口は裂けんばかりに開かれ、背の翼はのたうつ蛇のようにくねりながら強すぎる快感に悶え、  
まるで失禁したかのように淫液を溢れさせる秘所と、わななく秘唇を隠そうとするかのように力いっぱい閉じられた両足は、夏箕の身体を強くつよく挟み込んでいた。  
その圧搾に堪えかねたかのように、夏箕の力が緩む。  
股間から火花のように責め寄せる快感が途切れ、音色はぐったりと横たわった。  
はーっ、はーっ、はぁーっ、はぁーっ、はぁーっ  
荒い呼吸は、はたしてどちらのものか。  
夏箕はそのまま、たっぷりと濡れた右手を音色の胸へと持っていった。  
 
指先から雫が垂れそうなほど濡れそぼった右手を、慎ましやかな胸にぺっとりと当てる。  
「ふゃん!」  
絶頂の余韻に浸っていた音色は、いきなり訪れた新たな刺激に鳴いた。  
慎ましやかな胸をぴったりと被うように吸い付く右手。その手のひらの真ん中で、ピンと立ち上がった乳首が擦られる。  
コリコリした弾力に誘われるように、夏箕の手が音色の胸を揉み解そうとする。  
「いっ、痛ッ」  
しかしながら音色の青い果実のようなふくらみは未だかたく、愛撫を受け入れるには未成熟過ぎた。  
強すぎる刺激が受容限界を超え、苦痛としてフィードバックされてしまう。  
「わっ、悪ィ」  
あわてて力を抜く夏箕。ほとんど触れているだけといった強さで、優しく撫でるように手を這わせなおす。  
「あっ、あっ、あッ・・・痛ッ。・・・んっ、んっ、・・・くうッ!」  
だが、うまくいかない。  
音色の痴態が、高まる欲情が、それらを抑えきれない若さが夏箕の動作から荒々しさを取り除かせなかった。  
むしろ、半端に浸らせてはいいところで引き戻してしまう未熟さは、音色にとってはかえって酷な攻めだった。  
「ね、なつみ・・・ボク、ムネは感じすぎちゃってイタいから、さっ。その・・・下のほうで、キモチよくしてくれないかな」  
音色のその願いは焦る夏箕への気遣いでもあり、そして本心でもあったに違いない。  
「わかった。ヘタでゴメンな」  
ふるふる  
振られる首にあわせて微かにぶれるサクランボに名残を感じながら、夏箕はふたたび手を股間へ下げた。  
 
大きく開かれた音色の下肢。  
ヒクヒクと蜜を溢す秘唇。  
その上部で震える肉芽を、滑る右手でそっと抓む。  
「ひゃうぅっ・・・くふぅぅッ!」  
親指と人差し指をこするようにして肉芽を転がしながら、空いた左手の同じ二本をそろえて秘唇へと差し込む。  
熱くぬめり、指を胎奥へと引き込もうとするかのようにわななく溢れ出す膣内の感触に酔いながら、出し入れを開始した。  
じゅっ・・・じゅぷっ・・・じゅくっ、じゅぷ、じゅぷっ、じゅぷじゅぷジュプジュプ・・・  
「あっ、あぁっ、あっ、あっああっ、あっあっアッアッアッ・・・」  
初めはゆっくり、次第に速く、だんだん速く続けて深く深くもっと速く、  
怖がらせないように、痛がらせないように、飽きないようにもっとキモチ良くなってくれるように、  
そんな願いをこめながら両手の動きを大きくしていく。  
そんな夏箕に答えるように、音色の動きに変化が生じてきた。  
与えられる快感に悶え、身をくねらせるだけでなく、もっと深く受け入れられるように、自分がどこで感じるのかを探るように、  
指にあわせて腰を前後に振り出していた。  
押し込まれるときは突き出し、抜かれるときは引く。  
頭と意識の働きではなく、身体と本能の導くままに、  
吐息と水音でリズムを取りつつ、二人のリズムとテンポを合わせて快感を追い求める。  
加えて夏箕も、直線だった挿抜に手首を使ったひねりが加えられ、内襞を激しく擦りあげ始めた。  
より強まった快楽に音色の声が再度切羽詰ってきた。  
「あっ、来る、またキちゃうっ、ボク、またイッちゃうぅっ・・・イクうぅっ!」  
絶頂に達した音色の秘唇が夏箕の指を食い千切りそうなほど強く締め付け、そして脱力した。  
 
胸を波打たせるようにして、必死に息を吸い込む褐色の裸体。  
涙と涎と、愛液に加えて全身からどっと汗が噴出す。  
自慰のときの冷や汗とは全く正反対の熱気を伴った汗は、少女の滾るような欲情を目一杯に溢れさせ、  
褐色の裸体を、まるで溶けかけのチョコレートのように蕩かせている。  
それを見つめる少年の中で「食欲のようなもの」がみるみる昂まった。  
内と外からたっぷりと染み込んだ汗に纏いつく衣服を、引き剥がすようにして脱いでいく。  
躊躇なく降ろされたトランクスから、ピン、と垂直に立ち上がった男性器が開放された。  
「音色、ゴメンよ・・・もうちょっと丁寧に慣れさせたいけど、俺がもう我慢出来ない」  
囁くようにかすれた夏箕の声に、音色が濡れた視線を向ける。  
ヒクヒクと震える夏箕のペニスに、音色の疼きが強くなった。  
敏感なクリトリスと秘唇への摩擦はたしかに幾度もの絶頂を音色にもたらしていた。だが、  
「ぁ・・・なつみの、おっきい・・・」  
指での刺激はあくまで準備でしかなく、これから入ってくる夏箕の男性器への期待をいささかも減じさせるものではなかった。  
恐る恐る、手を伸ばす。  
「あっつぅい・・・コレが、今からボクにはいるんだ・・・」  
あらためてコトバにすることで、音色の疼きがどんどん強くなる。鳩尾を内側から擦られるような切なさが、音色の中でぐるぐると這い回る。  
感触を確かめるように、音色の手が柔らかく夏箕の性器を包み、ゆっくりと上下に扱き出した。  
ひんやりとしたゆびが、優しくペニスを擦る。  
「ぁは、ぴくぴくしてる。それに、ゆびよりずっと太いし長いんだね」  
「ちょっ、音色、射精ちゃうって、ソレっ」  
「・・・やっぱりちょーっとおっき過ぎない?もうちょっとちっちゃくならないかな?」  
「いや無理だからソレ無理だから、それにそんなことするとっ」  
「・・・また、おっきくなってるぅ」  
音色に性器を扱かれながらレバーのように上下運動させられて、夏箕は慌てたように声を上げる。  
実際、今まで感じた音色の痴態、声、温度と柔らかさだけで限界までペニスを膨張させてしまっているのだ。  
ヘタに刺激を加えられたら、挿入前に果ててしまいかねない。  
だというのに、音色は性器を弄り回すのをやめようとしない。心なしか顔が少し強張ってきている気がする。  
「ボクをあーんなにイカせたんだから、なつみもいっかいぐらい出しちゃってもいいんじゃない?」  
「オトコはそんなに連続でデキないっての」  
イタズラっぽく上目遣いにからかう音色を苦笑交じりでおしとどめる。  
実際触って確かめたサイズへの、反射的な音色の怯えと強がりに気付けないほどニブくはなかった。  
まあ、自慰とは段違いの快感に限界まで高まった興奮のせいで、一度の放出であるだけ全部出して弾切れになってしまいそうなのは事実だったが。  
短いがサラサラの黒髪に指を差し入れ、そっと梳く。  
「大丈夫。やさしくするから」  
「・・・ありがと」  
くすぐったそうに、でも嬉しそうに首をすくめる音色と柔らかく微笑みあう。  
 
さきほどの強張りは、今はもう感じられない。  
ちょっと声をかけてリラックスしてもらう、今度はそれがちゃんとできたのが嬉しかった。  
 
すでに夏箕は音色の足の間に身を置いている。体重こそ掛けていないが、組み伏せていると称して差し支えない。  
あとは狙いをつけて押し込むだけでいい。  
だが、本当に入るのだろうか。  
股間で憤る自分の男性器を見下ろし、夏箕は不安になる。  
直径、指三本弱。長さ、手の平の付け根から中指の先までと同じぐらい。  
さっきは指二本が限界だった。だというのに、今度はそこに音色の手首と同じぐらいの直径のものを押し込まなければならない。  
やさしくする、とは言ったものの、このサイズ差はそれだけで暴力的だった。  
「・・・・・・」  
「なつみ?どうしたの?」  
いつまでたっても動く気配の無い夏箕に、音色が訝しげに問う。  
秘所も潤い、不安も取り除かれたというのに、何をこの男は躊躇しているのだろうか。  
このままではからだが冷えてしまうというのに。  
「・・・お前が壊れちゃいそうで、恐くなった」  
「はい?」  
魔物が通る、刹那の静寂。  
「だってほら、お前の手首ぐらい太いんだぜコレ!こんなの無理矢理入れたらどうにかなっちゃいそうだろ?」  
「・・・なつみってさ、突っ走った挙句にしり込みするタイプだよね。今更だけど」  
「なあ、やっぱり挿入れなきゃだめなのか?口から飲むとかじゃまずいのか」  
「ねえなつみ」  
「何?」  
「いくじなし」  
絶句する夏箕の胴に、両腕を回して音色が抱きつく。  
その時、どうしようもない違和感が夏箕を襲った。  
 
「ね、わかる?」  
「・・・冷たい」  
あれだけ乱れたというのに、音色の身体はひどく冷たい。先ほどまでの熱気が嘘のようだ。  
それは「汗が冷えた」などという程度ではなかった。気温とさして変わらない体温は、どこか死体を連想させる。  
「こうしている今も、ボクはどんどんダメになってるの。  
・・・もっと元気なうちだったら別な手段もあったかもしれないけど、今からじゃもうムリ」  
「・・・・・・」  
「ほっといても死んじゃうんだったら、壊されちゃうほうがいい。  
それに、夏箕になら、壊されたっていいよ」  
「音色・・・」  
「ボク、ガンバるから。だって、まだなつみとサヨナラしたくないもん」  
「壊れたら責任取るよ。一生かけて」  
「・・・やっぱりこわれるのも、いいかもしんない」  
「こいつっ」  
音色のおでこをつっつく。  
そして意を決する。  
夏箕は『ほくそ笑むのイトコのハトコのような顔』で微笑む音色にそっと唇を重ね、彼女の下の唇に、自らの右手でしっかりと支えた男性器をあてがうと、  
ゆっくりと腰を前へと突き出していった。  
 

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