語りだけじゃ駄目だ、自分の仕事をしないと。  
こんにちは、俺介です。俺は今母さんと一緒に学校に来ています。  
それというのも俺のクソ親父が愛するしーなサンを攫っちゃったせいでありまして。  
しかも攫われたはずのしーなサンが敵として立ちはだかったり、そもそも真の黒幕が親父じゃなかったり、自体は混迷を極めています。  
よし、前回までのあらすじ終わり。  
よもやこれで時間を稼いで二階編がさっさと終わるとは思うまい。  
「ハイ俺介くん、めったなことは考えない」  
真面目な母さん、流石警察官。  
少し、母さんのことを説明しなければならない。  
母さんは、じいさんがある日突然連れてきた子だったらしい。今を去ること3×年前の話だ。  
「失礼ね、2×年よ」  
とにかく、だ。親父と母さんは大層仲が良く、二人はそのまま幸せに暮らすものだと思われた。  
しかし10年後、二人の運命を分ける決定的な出来事が起こる。  
じいさんが戯れに母さんに受けさせた内調特別捜査官選抜試験、通称チルドレン選抜。  
これが二人の道を決定的に分け、母さんは立派な和製スパイに育ち、その影で親父は自らの暗黒面を増大させることになった。  
「そのとき既に、母さんのおなかには俺介くんがいたのよね」  
そして幼い俺を連れて俺田の家に戻ってきた母さんが見たのは、以前の親父じゃなかった。  
「見違えるほどカッコよかったのよ♪」  
「ああもう、ノロケとかいいから!」  
むしろ俺がノロケたい。  
 
親父は、母さんを拒絶した。  
あとから判ったことだが、そのとき親父は『学研・大人のおもちゃシリーズ』のポケット原子炉の組み立てではんだごてを使っていて、危ないから母さんを遠ざけただけだったらしい。  
しかし、親父のことだけを考えて辛い訓練や任務に耐えてきた母さんには充分な打撃になった。  
親父を本当に愛していた母さんは親父のもとを去り、親父はその後じいさんと行ったラスベガスの影響で大層な女好きになっていた。  
その後じいさんの謎の失踪と同時に親父は道具屋修行のため海外へ渡った。  
そして母さんは俺田の家に落ち着き、内調からICPOに転職してちょくちょく家を空けつついつの間にか子供を作ったりしている。  
今回は妻としてじゃなくて警察官として親父を追っているあたり、浮気以外の何かがあったんだろう。  
「違うわ、両方よ。父さんったらデート中に五円チョコ万引きしたの。隣で化粧品万引きした女子高生をナンパするために」  
なんて親父だ。  
しかし長い、本当にここは一階〜二階間の階段だろうか。  
「時空間が歪んでいるのね」  
「う、嘘だろ!?」  
「嘘よ」  
確かに、もうそろそろ二階に着く。  
そして階段を上りきった先には親父がいた。  
「ククク、待っていたぞ」  
「そ、その声は・・・」  
「イヤ、普通に見えてるだろ」  
「お、俺俺さん!」  
「だから、喋る前に見えてたって」  
「バカね、ムードとかは大事なのよ?」  
 
しかし、いくら真のボスじゃないことが速攻でバレたとはいえ降格しすぎだろう。  
あともう二回分控えてるしーなサンより格下だぞ、自分で攫ってきた癖に。  
「俺俺さん、どうしてあんなことを・・・」  
「サ、サキっ!?どどどうしてココにっ!?」  
「俺介くんが案内してくれたのよ」  
サラリと売られた、俺をおどしてまで付いてきたのは母さんなのに。  
「む、息子っ!お前なんてことを!?」  
親父焦りまくり、まさかこうなることを予想してなかったのか。  
「息子よ、貴様のせいで我が計画は水の泡だ」  
イヤ、俺何もしてない。  
「こうなったら、貴様も道連れだ!」  
なんかいきなり修羅場に。  
「俺介くん、ここは母さんが引き受けるわ。行きなさい」  
良かった、さすが母さん。ちゃんとフォローもしてくれた。  
「ありがとう母さん!釈然としないけど」  
「行きなさい、後ろを振り向かずに!」  
「あっ、タンマ!二人っきりにしないでくれ!ああ待て息子よー!!」  
振り向かない、母さんのためにも。ザマアミロ親父。  
そして俺が3階への階段へ差し掛かろうとしたその時。  
 
ズガーン!!!!!  
 
「マケチャッター(棒読み)」  
母さんが飛んできた。  
「へっ!?」  
「へっ!?」  
思わず親父と声がハモる。お昼休みはタモる。  
「(母さんが負けた、行くべきか戻るべきか)」  
「(絶対に裏がある。もう間違いない)」  
焦りすぎてお互いの考えてが手に取るように判る。  
とにかく、この展開はジョーカーだった。  
 
「うう、俺介くん。母さん寄る年波には勝てなかったみたい・・・」  
嘘だ!  
だってまだ(筆記、発音不能)歳の筈だ。  
ちなみに言ったら消されるのであしからず。  
「母さん知ってるのよ。その手甲、若返りとか出来るのよね?」  
「むむむ息子ストップ!サキも考え直せ!」  
「きっと母さん長くないわぁ・・・残念ね、母さんも『女子高生ぐらい』若かったら俺俺さんも・・・」  
付け加えておこう、この母さんの『瀕死モード』のお願いは我が家では絶対である。  
「ハハハハイタダイマ!!」  
「やめろ俺介ー!!」  
「じゃかしい親父!俺も命が惜しいんじゃい!」  
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」  
・・・一度だけ、瀕死モードの母さんに逆らった親父がどうなったか見たことがある。  
「ぜぇんぶ自業自得だからなっ!」  
発動。  
母者女子高生風味に、推定16にしてこの完成された官能美は反則です。  
「うん、体が軽くなったわぁ」  
母さんが親父に狙いを定める。  
俺は知っている、俺の家系の男は皆、惚れた女には本能的に逆らえない事を。  
そして、そういう手合いに女がすることは一つである。  
「こしょこしょこしょ」  
母さんが親父に何か囁く。  
「(筆記、発音不能)!!!」  
俺田殺すに刃物は要らぬ、そこに『萌え』があればいい。  
そう、親父はまさに高純度の萌えによって『萌え殺された』のだ。  
あーあ、親父当分母さん以外じゃ使いものにならないぞ。  
そんな母さんに、未来のしーなサンの姿を見た気がした。  
 

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