「ところでさ、俺田くん?」  
さあ、いよいよあと2階である。もし俺の予想が正しければ今回の黒幕は間違いなく奴である。  
親父を翻弄し、しーなサンを捕らえ(たのは親父だが)あまつさえああも強力な敵を放って来るのは奴しかいない。  
この分では4階も間違いなく苦戦を強いられる。  
「うん、苦戦するね」  
「って、また地の文読まれた!?」  
「細かい事気にしないの」  
「それはそうと、地の文で述べた通り苦戦は免れませんよ」  
「なら4階は戦わなきゃいいんだよ」  
「へっ?」  
今何て  
「それっ!」  
いつの間にかしーなサンの手には壁から飛び出した怪しげレバー、しかも思いっきり引いちゃってるし。  
何と言う事でしょう。匠は狭かった階段に何か直通っぽい螺旋階段への扉を発見しました。  
「匠の技が光ります、だよ」  
「て、言いますとその階段はまさか」  
「幹部専用ひみつ階段」  
そんな、いくら展開がタルくなったからっていきなりボスとは。  
4階にはメカしーなサンが居てお約束通りに若返りも通用しなくてそこで折角二人で編み出した俺がしーなサンをちっちゃいまま高速で運んで接敵した瞬間に元に戻す合体必殺技(AT6000 ALL)とか  
俺がついに無機物に対する年齢操作を編み出してメカロリキャラを作るとか  
プログラムの異常で仲間になるとか色々あったのに。  
「あったのにぃぃぃぃ!」  
「まぁ済んだ事は仕方ないよ」  
「しかもまだ済んでないし」  
 
うん、なんというか今の俺の怒りは種死のガンプラのCMの「あんたって人はぁぁぁぁぁ!」を1シンとすると27シンぐらいになる。なんつうかこう、やるせない。  
しかししーなサンの顔を見て収まる怒りの総数が500シンを軽く超えるので問題無し。  
「ところで、さっきからしーなサン何か聞きたそうな感じですけど」  
「うん、俺田くん今回の敵さんの見当つけちゃったみたいだから」  
「はい、庭の桜を咲かそうとする幽霊のおひめさまが悪者です」  
「嘘だッ!」  
おお、久々。新作発売記念。無事出たのか確認してないけど。  
「ちゃんと話してくれるんだよね」  
だから、そのSEED目も勘弁して下さい。  
「うーん、俺一人で決着をつけるつもりだったんですけどね」  
さもなくば、危険すぎる。  
今度の俺の敵、名前は林 路美緒(CV 朴 路美)隣りのクラス。  
学校では非常におとなしくしているが、その正体は道具屋組合でも非常に危険視しているアングラの超天才道具師。  
元々アングラな道具屋稼業の中においてより異彩を放つ奴の二つ名は「鋼鉄の錬金術使い」。  
奴はその才能の全てを機械工学、とりわけ兵器やロボットの製造に集中させている。鋼鉄の錬金術使いの二つ名もそこから来ている。  
しかもその兵器、作るだけ作って情報公開するだけしまくっている。何をするわけでもなくても包丁持った奴がうろついてたら皆怖がる。そういう感覚だろう。  
「そうなんだ、そんな子が、敵なんだ。でも俺田くんは道具屋じゃないのによく知ってたね」  
「まぁ、友達だから」  
「ええええっ!?」  
 
「林ーっ、お前なんだろーっ」  
結局ひみつ階段で最上階に辿り着いた俺たちは勢いよくドアを蹴り破る。友達だから遠慮無し、ていうか俺は10歳の時に林に破られた押し入れのふすまの恨みを忘れない。  
「俺田か」  
「おう、林。何があったか知らんが成り行きで倒しに来た。ガリガリ君やるから負けてくれ」  
様子がおかしい  
「貴様、よくも俺の前に出れたなぁぁぁぁぁぁぁぁ!」  
訳も分からす殴られた。  
 
「い、いきなり何すんだ!」  
「るせえっ、自分の胸に聞いてみやがれ!」  
バキィッ!  
「ぐぅっ」  
痛いが痛くない、何か知らないが男の喧嘩は痛いと思った瞬間劣勢になる。  
「な事言われてもなぁ、こっちには身に覚えがねえんだよっ!」  
こうなりゃ理由なんて知らねぇ、俺も殴り返してやる。  
「ああっ、俺田くんのパンチ、話には聞いてたけどあまりにも酷い!」  
しつこいようだが俺は喧嘩はからっきしだ、今回も例に漏れず空振った上に勢い余って林の遥か後方にすっ飛んで行く。  
「とととととっ、だぁっ!?」  
走る、滑る、見事に転ぶ。  
そのまま後方のカーテンに覆われた場所に頭から突っ込む。  
「あああっ、俺田くんっ」  
「マズいっ、あそこにはっ!」  
知ったことか、俺は折角だからついでにカーテンを全部巻き込んでやる。  
「ってててて、あれ?」  
顔を上げてみると、今まで俺の腹の底でうねっていた林からの理不尽な仕打ちへの怒り(推定327シン)が一瞬にして浄解される。  
「えっと、しーなサンいつの間に」  
「????」  
そう、視線の先には何故か一緒に来たはずのしーなサンが、でも確かにさっきまで俺の後ろに。  
「そうだ、それはお前の恋人、ベルモンドさんだ」  
「あのー」  
「もう分かっただろ、俺がさらったんだよ」  
「おい、ちょっと」  
「好きだったんだ!それをあろう事か親友のお前に奪われて」  
「イヤ、待てよ」  
「分かってるさ、俺に正義なんて無い事を、こんな事をしてもどうにもならない事を。」  
「林」  
「理屈じゃねぇんだ、俺と決着を付けろォォォォォッ!」  
「落ち着け、それはしーなサンじゃないぞ」  
「へっ?」  
俺が指差す先には確かに俺が連れて来たしーなサン(本物)。  
「じゃあ、誰なんだ?」  
その時、カーテンの向こう、黙って座っていたしーなサン(偽)がゆっくりと立ち上がった。  
 
唖然とする俺たち二人を尻目につかつかとしーなサンに歩み寄るし(略)。  
「あれ、俺田くんよね」  
何にも言わないしーなサン、なにやら不穏な感じ。  
「えっ、俺の名前?」  
ぱぁん!  
「どうして?お姉ちゃん」  
驚いた、しーなサンに比べるとおとなしそうな雰囲気のし(略)が急にしーなサンのほっぺたを張った。  
「しーまチャン、聞いて」  
「嫌よ、お姉ちゃんも知ってた筈なのに。」  
「違うの、しーまチャン」  
「違わないよっ!お姉ちゃんはいつもそう、元気で明るくて優しいみんなのお姉ちゃん、私の持ってない物全部持ってるお姉ちゃん、それなのに、私の好きなひとまで欲しいっていうの!」  
言うだけ言って後方にさがるしーまサン。にしてもまさかしーなサンにまだ妹が居たとは。しかもありゃ双子に違いない。  
「林くんっ!」  
「えっ、えっ」  
奴も俺同様に状況が掴めてないようだ。  
「俺田くんのこと、倒すんでしょ?」  
「おおえおお、おうっ!」  
「私のものにならないなら、要らないんだからっ」  
何か知らないが敵陣真っ直中に居る俺は大ピンチなようだ。  
「戻って、俺田くんっ!」  
混乱の中、俺を呼ぶ声。  
「しーなサンっ!」  
「来るよ、あの子、完全に混乱してる。」  
戦うしか、ないのか。  
 
「攻撃してっ、林くん!何かないの!?」  
戦うは戦うにしても向こうはなにも準備していなかったようだ。とはいえ、それはこっちだって同じこと。俺はまだ何で襲われるかも解っちゃいない。  
「もうっ、鈍いな俺田くんは。しーまチャンは、俺田くんのことが好きだったんだよっ」  
「えっ、でもだって俺あの子とは一回も・・・」  
「もうっ、私だってそんなに俺田くんとは面識なかったでしょ、そういうものなの」  
「それは解ったけど、じゃあ何でこんな事に!?」  
「私が・・・もう少し気を使ってあげてれば良かったんだよ。あの子、元々すっごく大人しくて、遠慮ばっかりしてたから」  
「だからってこんな・・・」  
「うん、あの子の中で何かが壊れちゃったのかもしれない・・・」  
しーなサンサイドの背景はこれでとりあえず把握できたけど。  
「俺田ッ!貴様ベルモンドさんと恋人同士でありながら、ベルモンドさんの妹までこんな目に遭わせたのかっ!」  
・・・・まてよ?  
「お前、ベルモンドさんって、そう言ってしーまサンのこと連れてきたのか!?」  
「そうだ!少し手違いがあったが、真の目的、今ここで果してやるッ!!」  
「・・・全部解った、ここまで話がこじれたの、全部林の所為だ」  
「貴様ッ、この期に及んでまだそんな世迷い言をッ!」  
「じゃぁ林、しーまサンの苗字言ってみろ!」  
「ベルモンドだッ、ベルモンドさんの妹はベルモンドさんだッ!」  
「ほれみろ、おかしいじゃないか」  
「あっ」  
そう、林の探し方ではどっちを連れてくるかなんて解ったもんじゃない。  
「そうだよ、林。お前は自分の逆恨みに全然関係ない人を巻き込んだんだよ」  
いや、だからってしーなサンをまきこんでイイかって言ったら駄目に決まってるけど。  
「そうか・・・俺は大変なことを・・・とんでもない勘違いをしていたのか・・・キバヤシ・・・」  
誰だよ、キバヤシって。  
よし、このまま丸めこめばっ・・・  
「いいよ、それなら私も協力するわ」  
「「「!?」」」  
「元々私も逆恨みだもん、こういうのは理屈じゃないのよね、林くん」  
「なっ、そ、そうか、解ってくれるのかベルモンドさんの妹さんっ!」  
「しーまでいいわ、林くん」  
しまった、このまま行けば怒りの方向を虚数空間の彼方まで逸らすことができたのに。  
「ならば俺は、貴方を哀しませた俺田を討つッ。これは私闘ではない、一人の少女の願いを込めた・・・」  
「 聖 戦 だ ッ ! ! 」  
だめだ、話にならない!  
交渉失敗、フルムーン状態である。  
「来いッ!アルフォォォォォォォォォォンス!!!」  
林は片手を真っ直ぐに突き出し、指を鳴らすと、何かの名前を高らかに叫んだ。やばい、この展開はロボだ、間違いなくロボだ。  
 
その瞬間地を割り、巨大な人型の鉄塊が出現した。やっぱりロボだったらしい。  
「そいつの名はR−4s、通称アルフォンス、まぁ付けたのは俺だが。これからお前をブチのめす物の名だッ!」  
「お前、いきなり凶器かよッ」  
「ええい、最初は素手でどうにかするつもりだったが、聖戦になってしまえばそんな事関係ないッ!」  
聖戦だったらいいのか、そんなのは色々と間違ってるが突っ込むと国際問題だ。  
「行くぞッ、やれ!アルフォンス!!」  
「w゜)ワカッタヨ、ニイサン」  
林の命令に応じて、妙に可愛らしい認証ボイスが響くと、アルフォンスは明らかにこっちをロックオンしたような素振りを見せた。  
「来るよっ、俺田くん!」  
考えろ、こんな狭い空間で絶対に火薬は使うまい、その上あの巨体・・・  
来るのは間違いなく打撃だ!  
「w゜)ゼンホウモンヒラケ、モクヒョウゼンポウノユウキブツダヨ、ニイサン」  
いきなりフルオープンかよ!?  
「に、逃げろっ!?」  
「ででででもどうやって!?」  
絶体絶命である、俺達に逃場なしだ。  
「w゜)ハッシャ、ダヨニイサン」  
「南無三ッ!!!」  
閃光、衝撃、破壊に次ぐ破壊、五階のフロアーは一瞬にして瓦礫と化し、四階に降り注いだ。  
・・・・・・・・・・・  
・・・・・・・・・・・  
・・・・・・・・・・・  
「ふう、ホントに跡形も無くなるとは」  
「大丈夫かしら、お姉ちゃん達」  
「ご冗談を。やれ、と言ったのはしーまサンでしょう」  
「別に気にしてないわ」  
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だが、俺達は死滅していなかった。  
「つっ・・・てててててっ・・・咄嗟に二人とも幼児化してひみつ階段の隙間に潜りこんでなきゃ間違い無く餌食だったぜ」  
「まったく、YOUはショックだったね・・・でも、その手甲って自分には使えなかったはずじゃ?」  
「あっ・・・そういえば・・・あれ?」  
手甲の変化に疑問をもった俺達の目になにやらいつもと違うパーツが止まった。  
「なんだ・・・これ?」  
「光ってる・・・えっと、○に縦棒が3本、横棒が1本、斜めに長い棒が1本、短い棒が一本・・・」  
「い、イデ○ンゲージじゃないかっ!?」  
よりにもよってイ○オンかよ、そんな危険なのじゃなくても、もっとこう・・・  
いや、そこは論点じゃない、今ならあのアルフォンスとかいうのもどうにかできるかもしれない。  
「よぉし、待ってろよ林、今から灸をすえてやるからな。人の恋路を邪魔する奴はなんとやらだ」  
「・・・しーまチャン」  
 
手始めに俺は今入りこんでいるひみつ階段のそのまた隙間を『成長』させ、もとの大きさになり抜け出す。  
「すげぇ・・・ホントに色々できやがる」  
「どうして自分ばっかり元に戻っちゃうかなぁ」  
居る場所は広くなってもしーなサンはもとの大きさのまま。ちっちゃくてかわいい。  
「まぁ俺田くんの事だからちっちゃくてかわいいから戻さないだけだと思うけど」  
「大正解、ほんじゃ行きますか」  
再び思いっきりドアを蹴り破る。  
「っととぉっ、床ねぇっ!」  
「うん、危なかったねぇ」  
危うく落ちるところだった俺に対し、冷静なしーなサン。  
「もしかして、元に戻さないの怒ってる?」  
「全然」  
・・・怒らせたかな、まぁそんな事よりも。  
「まずは床を作らないと、戦うに戦えない」  
俺は今度は足下の床を『成長』させ、新しいフロアで覆った、何だか林よりもそれっぽいことしてるな、俺。  
「・・・何だッ、俺田かッ!!」  
「そう、その通り。あんな無茶してくれたおかげで色々出来るようになったぜ!」  
「何とッ、ええいアルフォンス!もう一度だっ!」  
「w゜)リョウカイ、ダヨニイサン」  
再びアルフォンスの全砲門がアクティブになり、俺を狙う。  
「行けえッ!!」  
「w゜)ハッシャ、ダヨニイサン」  
再び破壊の限りを尽くさんと火を吹くアルフォンスの砲門。  
「させるかっ、おりゃぁぁぁぁぁっ!!」  
気合一発、目の前の空間を『停滞』させる、爆風が広がり、視界は炎に包まれるが俺には一発も届かない。  
「何ッ!!」  
「さぁて、今度はこっちの番だ。ぶっつけ本番だが、絶対出来る気がするぜ!」  
俺は、両手を開き大の字に構えた、狙うはアルフォンスの中心。  
「行くぞっ!ヤングッ・アンドッ・アダルトッ!!」  
両手をクロス、そして祈るように組んで前方に突き出す。  
「ゲム・ギ(略)ふんっ!!」  
強大な力の奔流がアルフォンスに向かう。  
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」  
そのまま前進、組んだ両手をアルフォンスの体に  
「叩きこむッ!!!」  
深深と刺さる俺の両腕、ここからが本番だ。  
「アルフォンスよッ!女に、なれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」  
爆発、炎上、これが手甲にエネルギーが満ちている時に使える、無機物をも自在に操る真の力。  
本当は四階で覚醒するはずだったのに。  
アルフォンスから引っこ抜いた俺の両腕には、しっかりと、全裸の幼女が抱かれていた。  
「これが、勝利の鍵だっ!」  
「な・・・パクリの上に・・・反則かよ・・・」  
「俺田くんのバカ・・・」  
アルフォンスを沈黙させ、この場は俺の勝利を確信せざるを得なかった。  
だがしかし、まだ俺は知らない、この時しーまサンの無表情が全く崩れていなかったことを。  
 
「・・・そんな、アルフォンスが」  
「さて林、お前の切り札はこの通りだ。そろそろ観念しちゃくれないか?」  
「・・・うっ。た、確かに今回の喧嘩はぶっちゃけ逆恨みだし・・・」  
よし、もうひと押しだ。  
「なっ、いまならお買い得、しーなサンの×××写真に神羅万象チョコの第1期コンプリートも付けよう」  
「うっ・・・・・・・・・・・・・ふっふふっ・・・・」  
よし、これは陥落したか!?  
「ふざけるなぁ!!!貴様ッ、ベルモンドさんとは純情な関係ではないのかッ!!!」  
何ッ、林ってオンナノコに幻想を抱くタイプだったのか。実際俺もそう言うクチだったが、相手があのしーなサンだからもうそういうのは無くなった。  
さらば、純情。  
「もう貴様だけは許しておかん、ちょっと待ってろ、今すぐに俺が」  
「その必要は無いわ」  
と、殺る気マンマンの林をしーまサンが制する。  
「どうしたんだ、潔く負けを認めるのか?」  
「そうだよしーまチャン、話し合おうよ。大丈夫きっとしーまチャンにも・・・」  
その時、初めてしーまサンが笑った。とても、とても冷たく。  
「ふーん、それで?」  
「なっ」  
「『まだ、勝った気でいたんですか?』」  
「どういうことだ!?」  
「見たところ、俺田くんの頼みの綱はその手に付けてる奴みたいだけど。今、使えるの?」  
「なっ、言ったな、見てろッ!」  
今の俺は何だって出来るハズだ、しーなサンの妹だって容赦はしない。第1話以来眠っていた俺の野生が目を覚ます。  
「言ったって解らない奴は、体で覚えさせるッ!やぁってやるぜっ!!」  
かすんっ  
「なっ、あれっ」  
かすすんっ  
「・・・・・・」  
「フフフ、残念だったわね。エネルギー切れのようよ?」  
しーまサンの言った通り、俺の手甲のイ○オンゲージは既に消灯していた。  
「ってことは・・・まさかしーなサンも元に戻せない・・・!?」  
「ええええっ!?」  
「残念だったわねお姉ちゃん。でも可愛らしくて素敵よ」  
「しーまチャン・・・そうよね、私しーまチャンのこと傷つけてたもんね・・・」  
「偽善者ぶるなっ!!!お姉ちゃんはどうして私にだけそうなの!何を気を使ってるの!?お姉ちゃんと私何が違うの!?双子なのに!?」  
「しーまチャン・・・」  
「煩い煩い煩い煩い煩いッ!!!」  
空気が、歪む。何かがおかしい・・・・  
「きゃぁっ!」  
瞬間、巨大な圧力のような物が俺達を襲った。  
「ふ、ふふ、ふふふ、お姉ちゃん、いい格好ね・・・そうだ、私がお姉ちゃんを悪い子にしてあげる」  
 
そこから、俺は吹っ飛ばされ、しーなサンはしーまサンの所に引き寄せられた。  
「ふふふ、お姉ちゃん。可愛い唇、んっ・・・」  
と、そのまましーなサンに口付けをする。  
「ふぁぁっ・・・しーまチャン・・・」  
「あら、小さくても性感はあるのかしら・・・ならこれはどう?」  
と、今はサイズが全然違ってしまっている服に手を入れると、なにやら弄くり始めた。  
「ふぁぁぁっ、やめてよしーまちゃ・・・あぁっ」  
「にいなちゃんより小さくなっちゃってるのに、いやらしいのね。そうやって俺田くんとも仲良くなったの?」  
「ち、違・・・違うもぅん・・・ああんっ」  
しーまサンの大胆かつ繊細な攻めにしーなサンもマトモな状態ではいられないようだ。  
「それにお姉ちゃん、実の妹に犯されてるの彼氏に見られて感じちゃってるの?」  
「そんなこと、いわないでぇぇっ・・・」  
「本当に、仕方ないのね。お姉ちゃんったら」  
非常に危険である、俺の股間もさることながらこのままでは反撃の糸口が見つからない。  
すると、視界の外から石が飛んできて、俺の頭に直撃する。  
「いてっ・・・・林?」  
視線を石の飛んできた方向に向けるとそこでは林が俺に何かを伝えようと一心不乱にサインを出していた。  
「えっと、何々?ぅ・ゎ・ょ・ぅ・ι゛・ょ・っ・ょ・ぃ・・・・何言ってんだ?」  
何だか解らないが可哀想になってきたので適当に頷いておく。  
すると林はいつも俺に見せるような信頼の表情をうかべた後、立ちあがって。  
「しーまサン、貴方は間違っているッ!姉妹同士でそんな、そんな、うぉぉぉッ!」  
もはや言葉になってない、あいつ、そんなに好きな子がえっちするのがショックなのか。  
「もう・・・帰ってなかったの林くん・・・邪魔、しないでッ!!」  
再び放たれる衝撃波、目に見えない波動が林に襲い掛かる。  
「とぉりやぁっ!行くぞ、バーニング一匹狼ッ!」  
しかし林はなにやらわけのわからない事を口走って華麗に衝撃波を回避している。そして一気にしーまサンとの間合いを詰めると。  
「今だっ俺田ァァッ!!!」  
俺に振ってきた。  
「へっ?」  
まぁ確かにしーまサンの意識が逸れたおかげで動ける様にはなっていたが。  
「幼女が強いのとオマエの特攻に何か関係があるのか?」  
「なんですとぉ!のわぁぁぁぁぁ!!!」  
勢い余って林がつんのめる、そしてそのまましーまサンに・・・  
ふにゅ  
「ふにゅ?」  
「ふにゅ?」  
「ふにゅ?」  
「・・・・・・あ、あああああっ」  
誰もがそのとき烈火のごとく怒るしーまサンを想像した、だがしかし。  
「む、むねむねむね・・・お、おとこのひとに、むね、ふにゅって、ふにゅって・・・」  
様子がおかしい  
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」  
ぺたん、としーまサンはそのままへたりこんで気絶してしまった。そして林も  
「ね、姉さんと違って、着痩せするタイプなのか」  
と洩らした後、しーなサンに殴られて気絶してしまった。  
 
************************************************  
 
〜数日後〜  
「で、この事件って何だったんだろうね?」  
その後、学校は元通りになり、俺の手甲も機能を取り戻し、総ては平穏無事に流れている。  
「まぁ、よくわからないけどドタバタしてたよなぁ」  
「うん、結局妹子ちゃん達や俺田くんのお父さん達も帰っちゃってたし」  
「林もしーまサンもどっかいっちゃったしなぁ」  
「ああ、しーまチャンならなんか部屋に篭もっちゃったまま出てこない上に記憶が飛んじゃってるけど、なんか毎日そわそわしてるよ」  
「ふーん、そわそわって何が語源なんだろうなぁ」  
と、その時俺の携帯が残酷な天使のテーゼを奏で、ほぼ同時にしーなサンの携帯が魂のルフランを奏でる。  
「あ、ごめん。電話掛けてくる」  
「うん、なら私も」  
ピッ  
「あ、俺田か。俺俺、林だけどさ」  
ピッ  
「・・・お姉ちゃん?うん、私、しーまだよ」  
「「実は相談があるんだけど」」  
 
〜スパ○タンX篇 完〜      つづく?  
 

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