裸の王様に「裸だ」と言った子供があの後どうなったのかは知らないが、  
おかしい世の中に「おかしいよ」と言った妹は徹底的にいじめられて学校に  
行かなくなって、最初の一ヶ月は部屋からご飯とトイレと風呂と夜中のコンビニ以外  
は一歩も出なくなって、部屋の中ではそれこそMMOやらFPSやらblog作りやらに没頭し続けた  
みたいだったけどそれもすぐに飽きてしまい、それからはまるで無邪気な背後霊といったような  
濃密な距離感で私にまとわりつくようになった。私は、妹、何やってんだと思った。  
 
妹は本来ならランドセルを背負って小学校に通っているはずなのだ。小学校では  
小学校なりの社会が展開されていて、大人が想像する以上の汚れた精神性が蔓延していて、  
先生は先生で『先生』を演じていて、それどころか”先生”は『先生』的を演じざるを  
得ないんだよ皆そこら辺わかってくれるだろう? という複雑に屈折した笑顔を見せ続けて  
いて、生徒も生徒で『生徒』的であって毎朝「みんな仲良く元気良く。朗らかに清々しく」などと  
声を高らかに合唱したりして、そのくせして妹のクレヨンを隣のクラスの掃除用具棚の天井に  
隠して図工の時間をニヤニヤしながら迎えたりして、私は妹から助けてメールをもらった次の瞬間には  
英語の授業を抜け出して小学校に闖入していて4年3組の教室で声を張っている。  
 
「夏海ちゃんのクレヨンの箱の中に私の大事なものが入ってるんだけど、もし、  
それを見つけてくれた誰かさんには謝礼として私に何でも好きなことをしてもよい!」  
 
情報過多な社会に生きる男子小学生。既に色んな言葉を知ってしまっている。  
教壇に立っているだけでわかる。その多感な目線達。私はブレザーのスカートを  
ほんのちょっとだけズリ上げる。肉感的で白く艶めかしい太腿が淫猥な陰影の下に浮かび上がる。  
 
「はい!」  
 
と、律義に手を挙げる男子。おれ、わかります、と震える声で言い、そいつが立ち上がると、  
おれもおれも、と他の男子達7、8人が焦ったように立ち上がり、教室を出ていく。  
先生が、授業中は外へ出るな、と『先生』風に声を上げ、それでも止まらない男子の後を追い掛ける。  
私は一息ついて教壇から教室を見渡す。妹と目が合う。うるうるした真っ直ぐな目で私を無心に  
見つめている。それでいい。他の生徒は、よくわからん、といった様子でぽけーっとしている。  
それでいい。私はペコリと御辞儀してから廊下に出る。さっきの男子達がまるでカマキリの  
孵化のシーンみたいに慌ただしく絡み合って隣のクラスから出てくる。  
 
「はいっ! これが夏海のクレヨンです!」  
 
私はそいつらを片っ端から締め落としていく。  
落としては次の奴の頭を引き寄せて頚動脈を締める。  
皆、私の不条理で圧倒的な暴力に衝撃を受けながらも女子高生の柔らかな胸に顔面を埋め、  
妙に満たされた嬉しそうな表情で意識を手放していく。ついでに先生も締め落とす。  
どさ。先生が落ちる。よれよれのネクタイに先生のよだれが伝う。みんな幸せ。それでいい。  
 
――だけど、いつでもこうして助けに行けるわけじゃなく、妹は学校に行かなくなった。  
一ヶ月ヒキこもり、そして、その後に外へ出てきた時には私のストーカーになった。  
それからしばらくして、妙なことが起きてしまう。  
 
 
朝。  
私は妹を抱きしめていた。妹は全裸だった。私のパジャマの前ははだけていた。なんで?  
とにかく私は妹を抱きしめていた。手のひらの上で寝てしまったハムスターを起こさない  
ように、人間がじーっとしているのと同じようなニュアンスで、私は微動だにせずに妹を  
抱きしめていた。ちらりと時計を見る。6時24分。あと6分はこうしていよう。  
 
「……ん。ん」  
 
妹の髪の毛はつやつやしている。天使の輪のようなハイライトが目にまぶしいくらい。  
と、妹が私の胸元でもにゅもにゅと蠢いている。私は時計と妹の頭を交互に見る。  
 
ふかぁ。  
 
「あ」  
突然だったので声を出してしまった。妹がシャツの上から私の胸を口に含んだのだった。  
「……っ」 息を飲んでしまう。妹は唇で突起を咥え、そのまま呼吸する。シャツがちょっと  
ずつ湿ってくる。な、何やってんだ妹。ふつふつと私の中にエロい気分が沸き立ってくる。  
でもそのキューティクルな頭を撫でる程度に抑えておく。なでなでしてから気付く。  
 
 
――妹は若返っている。  
 
 
若返っている?  
違和感がある。私は妹の上に乗る。腕立て伏せのかっこの下に妹がいる状態。  
まじまじと見る。若い。そもそも元が若いが、さらに若い。幼稚園くらいか。  
不思議だ。腕立て伏せのかっこが疲れた。何がどうして。頭の中がいっぱいになってしまって、  
私はおっぱいを欲しがる妹の口の上に乳房を持っていってやる。ちぱ。妹はすぐに含んでしまう。  
「はう」 その度に感じてしまう自分もどうかと思うが、今は真剣に妹のことを考えるべきだろう。  
時計を見ると6時47分を回っているけど無視。時間なんか無視。  
 
ふと気付けば、私の胸が軽い。中学校に入ってから、急に胸が重くなったのだが。  
手が幼い。なぜか私は舌を伸ばしてみる。なんとなく、子供の舌に見える。どういうことか。  
妹をぎゅうと抱きしめる。そのまま横になって頭を枕に埋める。右耳がタオルに押し付けられて  
ぎゅうぎゅう鳴る。その不協和音の中で私は自分も若返っていることを考える。  
 
あり得るか。  
あり得ない。でも実際に起きているんだからあり得るんだろう。では、どうするか。  
 
 
――トントントン。  
母親が階段を上がってくる。起こしに来る。どうするか。……どうしよう。  
何がまずいって、姉妹が全裸で抱き合ってるのが一番まずいよな。  
 
「起きなさい! 遅刻するわよ!」  
「はーい……っ!?」  
 
妹のざらざらした舌が私の乳首を責め立てた。布団の中でもぞもぞする。何この……。  
 
 
【まともな文章が書けないので、以下プロット案】  
 
●姉は小学4年の年齢になっていた。なので妹と摩り替わって小学校へ行く。小学校を掌握する。  
●妹は姉について回り、そういう生き方をすればよかったのかー、と思う。  
 
●また妹が小学4年になるころ、私が2回目の高校入学するころ、あの日のことを思い出す。  
●「こんな感じで、お姉ちゃんのおぱいが欲しくて、……ねえ、また、おっぱいしていい?」  
 「いいけど……、ま た 戻 る ん じ ゃ な い の ?」  
 
●また戻る。  
 
 
完  
 

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