日曜日の夜の憂鬱。  
 
夜中に家を飛び出して、携帯で呼び出した彼氏と電信柱の下でキスをする。  
彼氏は私が欲情しているんだと勘違いして、暗闇の中で行為に到ろうとするが、  
ハァ? 何やらかしてんの? それが私には苛立たしい。  
すぐさま家に帰って部屋の電気も点けずにPCを立ち上げる。eXの起動画面が  
フェードインしてきた瞬間に、なんだか全てに飽きてしまって電源長押しスタート。  
ガリガリ鳴ってたHDがブシュゥーンと唐突に力尽きる。私は机に突っ伏す。  
口元にあった端面処理済みキーボードの端っこに噛み付いてみる。  
その後にちろちろと舐めてみる。硬質で滑らかな曲面を堪能する。味は特に無し。  
ハァ?  
何やってんだ? 真っ暗闇の中で自問する。そのとき、携帯が3回震えて止まる。見る気無し。  
金が欲しい。金があったら何する? 学校やめる。一生遊んで暮らす。  
でも、実際はそんな金はない。働くしかない。働く? 無理無理。  
やりたいこともない。やれることもない。やってきたこともない。  
この現代社会は腐ってるな。完全に終わってるよ。くだらない。本当にくだらない。  
 
 
でも一番くだらないのは、こういう生臭い私の感性であって、全然現代社会は悪くない。  
なので、朝の6時をそのままの体勢で迎えた私は一大決心をする。  
 
 
死のう。  
 
 
私は制服を着ていつも通りの不機嫌さで朝ご飯を食べ、いつも通り家の人とは一瞬も目を  
合わせずに家を出た。まだまだ肌寒い3月の空気。いつもの通学路。遠くから聞こえる電車の音。  
私はipodの音量を上げる。そしてぐんぐんと歩いていき、『トトロの橋』の土手を下り、  
湿った不潔な草むらの中に教科書とノートをぶちまける。ついでに鞄も叩き付ける。  
 
その瞬間、ipodがシャッフルを開始する。刹那的な静寂が心地よい。Aphexが選択された。  
頭の中央でドリルのようなめちゃくちゃなブレイクビートが鳴り響く。そこに  
異常なほどやっつけ仕事なストリングスが重なっていき、遠くで既知外のシャウトが  
挿入される。私はとてつもなくハイテンションになる。オーイエー!  
イヤホンを引き千切るように耳から引きはがし、ipodごと川に投げ捨てる。おお、沈まない。  
 
 
架橋を下から見上げる。朝もやの中から鋭い日差しが地上に突き刺さっている。  
あまりに暗い私の居場所。残酷なまでにしけった私の下の土。ごうんごうん、と  
頭上の橋を重量のあるトラックが通過する。私は息を吐く。白いipodがゆさゆさと  
波に揺られながら流れていく。私は私の自意識過剰が苛立たしい。  
 
――私は死のうと昨日決意した。具体的には考えていないが、死ぬのは簡単だったと思った。  
でも、最後、私は私の死ぬ本当の理由を見つけてから死にたいと思った。  
 
 
私は背中に括り付けられている日本刀を右手に握る。  
そのまま筒を真っ二つにする勢いで刀を前方へと滑らせる。  
赤みがかった朝の空気に殺気立った鋼鉄が光を灯す。私は右手の下に左手を添える。  
何年修行しても、重みを感じる。でも、この確実な重みが心地よい。  
それがイコール攻撃力となりうるからだ。私は目をつぶり、息を吐く。  
肺の中の空気を全て吐き出す。徹底的に吐き出す。街のノイズが私には何も聞こえなくなる。  
そして、2割ほど吸う。目を見開く。  
―― 一気に振り下ろす。  
鋭いエネルギーの残像が空間に焼き付く。私はそれを恍惚と見つめている。よし。行こう。  
 
 
あいつら、全員、皆切り捨てる。  
 
 
私の友達の一人が徹底的にいじめられていた。彼女は何も悪くなかった。  
ただ真面目だったのだ。そして、正直過ぎた。全校生徒を巻き込んだそのいじめの  
発端は「私、テレビは見ないんです」、その一言から始まったのだからバカバカしい。  
日頃、個性個性言ってる先生ですら、「まあ、立花はテレビ見ないからわからないだろうな」  
とぬかしたのだった。私は初め、彼女がいじめられていくのを見て、無関心を装った。  
ところが、無関心の理由というのを遠回しに聞かれた私は焦ってしまって、コロっと彼女を  
いじめる立場に回ってしまったのだった。適当にレッテルを貼りつけて、彼女をいじめる  
全校生徒。そして、彼女の自殺。校長のコメント。「彼女は精神的な問題を抱えていました」  
 
 
――あいつら、全員、皆切り捨てる。そして私も死ぬ。  
 
 
駅に着いた途端、視界がウチの中学の制服で溢れかえる。  
私は刀を強く握る。小さく息を吐き始める。  
――彼ら彼女らが別にゲームの敵キャラのように見えているわけではない。  
現実と虚構の区別がついてないわけでもない。多感な少女の暴走でもない。  
私は地に足付けて、しっかりと物事考えて生きている。時代の閉塞感? ハァ?  
 
胸から空気が完全に抜けたとき、私は一人の男子に目をつける。  
ぼさぼさの無造作ヘアで制服を着崩して、だるそうにキヨスクで立ち読みをしているあいつ。  
息を吸う。全身に酸素が供給され始める。視界の全てがモーションブラーを起こす。  
男子が殺気に気付いて振り返った時には、私の集中力はピークに達している。  
1秒の出来事を細分化して積分する。つまりスローモーション。脳の処理速度が  
間に合わず、ブロックノイズが男子の背後を埋め尽くす。男子の恐慌。表情の異形化。  
次の瞬間には男子の肉に鋼鉄が通過している。  
 
静寂。  
 
聴覚の閾値を遥かに越えた叫び声が駅に満ちた。私はすぐに振り向いて索敵を開始する。  
息を吐き始める。まだ全然行ける。口をぽかーんと開けて馬のような顔になっている少女に  
飛び掛かり、斬る。私を押さえようとした駅員2人をまとめて斬る。すると、蜘蛛の子を  
散らしたように私の周りに人がいなくなる。線路に降りる人もいる。残されたのは、  
いずれも9歳になった男子、女子、駅員の二人。  
――私は再び小さく息を吐き始める。  
 
**  
 
私の通う中学校は駅の目の前にあった。それはまるでオフィスビルの一つのような風体だった。  
そこでは効率化が最優先だった。私たちは登校すると生徒カードをカードリーダーに通した。  
先生は金網で補強されたガラスの向こうにいた。彼らは授業以外は教務室から出なかった。  
一時間目は8時8分に開始され、8時53分に終わる。この気持ちの悪い端数は文部省が  
『今年は去年より15時間多く授業しなさい。進学率が悪いから』と抜かしたその辻褄合わせの  
結果だった。私はその話を聞いた途端に、学校が本当に嫌になった。マンガやドラマの中の  
理想的(?)な学校像を少なからず頭の中でエミュレートしてきた私ですら、本当に根本的に  
学校が嫌いになった。でももうどうでもいい。私はこの学校の全てを斬って捨てる。  
 
刀の柄で教務室のガラスを叩き割る。だけど文字通りガラスしか割れない。くちゃくちゃに  
なった金網の向こうで先生達がマニュアル通りに動き始める。それでいい。なにせ、教務室の  
扉は普通に開くのだから。失礼します。と、教務室に入る。  
 
――おとなしそうな?  
――真面目な少女で?  
――最近は学校をサボりがちだが、部活は真面目に出ていて?  
――成績は中の下だが、頭は良くて大人の分別もあって?  
――今時珍しい黒い髪で? その長い髪がちょっとした大和撫子みたいな?  
 
猿が喜んで金網を揺するみたいな断続的な金属音は私がスチーム棚を蹴り倒した音だ。  
教務室の出入り口は一つしかない。そこを塞いだわけだ。これは何を意味するか。  
社会科の吉田先生は興奮した表情で私を見つめている。正解。一人残らず、皆殺し。  
 
「橘くん。わかった。わかってるんだ。だ、だから」  
 
――美術の長田先生。  
わかってらっしゃるか。いや、否定はしませんが。中学生はもう十分に大人ですよ?  
私は自分が恍惚に溺れた虚ろな瞳を弄しているという自覚がある。教務室に  
点在して私にフォーカスを当てている先生達に向けて、切っ先をゆっくりと横移動。  
お前らは、私たちに何を教えてるんですか? 先生、曖昧な答えを言ってもらっては困ります。  
先生、お前らは一体どうして私たちの先生なんですか? その資格は本来は私たちが  
与えるべきなんじゃないんですか? ゆらり、ゆらりと距離を詰めていく。  
 
「ひっ」  
 
張った布を爪で掻いたような小さな悲鳴を上げ、長田先生がしゃがむ。  
私は3歩進んで長田先生の横に立ち、その頭にまっすぐ鋼鉄を差し入れる。  
頭蓋骨がジクソーパズルのようにめくれあがる。そのビジュアル自体は  
他の先生には見えていないだろうが、誰でもその情景はわかる。  
長田先生が宗教音楽のような混沌とした音階を発声する。  
――これが全ての始まりだった。この世界が私の人形劇ではないことを如実に表現するかのように、  
全ての先生が各々に動き始める。一番遠いところにいる教頭先生が震える手で受話器を持つ。  
視界の隅で国語の吉永先生が蠢いているのを感じ、咄嗟に床を蹴る。空間自由度が1つ増える。  
先生からは私が天井に張りついたように見えたかもしれない。私は天井の蛍光燈の脇を蹴り付けて、  
本棚の裏に隠れようとする吉永先生へ飛びかかる。その豊満な背中に突き刺した刀は柄まで沈んだ。  
 
刀は引き抜く時に一番よく肉が切れる。ズルゥリ――その音が部屋に反響した。  
引き抜かれた刀はそのまま空間に弧を描き、飛び掛かってきた体育教師の喉元を通過する。  
私に向かってくるその肉の塊を空中で踏み台にし、私はそのまま猛進を開始する。  
 
乱雑に散らばったデスクを両脇にした一本道。その道を塞ぐ先生達の群れ。  
その全てに刃を通す。肉を通過する感触は刀の持つ慣性力に黙殺される。  
まるで刀が意志を持って自律的に行動しているようにすら感じる。血の一滴も浴びない  
刃が清潔な蛍光燈の白色を反射する度に誰かの身体を鋼鉄が通過していく。  
――私は狂気じみた加速度で教頭に接近する。私の視力はどんどん低下していく。  
空間を色彩の偏移でしか捉えられない。でもそれで十分だった。もう目の前に教頭がいる。  
 
あまりに鋭すぎる刃は何一つ切断しない。  
肉と肉を押し分けて分離させるような刃は石器時代のハンマーと同じだ。  
 
――脳天から下腹部まで、真っ直ぐ刃を通す。  
豆腐を斬るような感触。それはだいぶスピードを落として振り下ろしたせいだ。  
全世界の不幸を背負ったような教頭の顔が一転して破格の笑顔になる。  
 
「た、橘君。全然、全然痛くないよ……?」  
 
教頭はその濁った黒目で私をしっかりと捉えたまま、崩れ落ちるように牛皮の椅子にもたれかかる。  
そして、はぁはぁ、と息を整えようとし、震える右手を私に差し向ける。人差し指と中指を  
激しく擦り合せながら、私を見上げ、私の身体を値踏みし始める。  
 
――――吐き気がする。  
 
――それは断片的なイメージだった。安っぽいVシネマのワンシーンのようにも見えた。  
 
駅の定点カメラは少女が一人目に斬りかかったその瞬間を写していなかった。  
男子生徒が床に膝をついてみるみる小さくなっていくシーンから、やっと秒間12フレームで  
撮影し始めている。だが、少女の動きは残像の中にぼやけていた。ききゅ、という音が  
鳴り、彼女が駅員二人の隙間を縫って止まる。長い黒髪がワンテンポ遅れて少女の腰に  
まとわりつく。駅員たちはそのまま突然意識を失ったように崩れ落ちる。どんどん小さくなる。  
――少女は小動物のような敏捷さで索敵し、刀を背中の筒に戻し、フレームアウトする。  
そのあとで気付く。少女の振り回している刀は、少女の身長ほどの長い刀だ。  
 
「橘あやね。14歳。成績は中の下。真面目でおとなしく……」  
「やめやめ。そんな情報に何の意味があるんだ? それより、あの刀は何だ?」  
 
『くれは』はふう、と小さくため息をつく。そのあと、困ったような顔で笑う。  
 
「やっとマジメに探偵ごっこしてくれそうじゃん? 」  
 
俺は『くれは』を軽くにらんだ。くれはは探偵だった。でもくれはは一度だって推理をしない。  
くれはは自分で事件を作り上げる。そして自分で解決する。自作自演の最低な人間だ。  
 
「あの刀はね。何も斬れないの。たったひとつ、斬られた人の連続性を除いて」  
「はぁ? 連続性?」  
「時間のことだよ。9歳程度の年齢に戻る。ま、社会的には死んだようなもんだね」  
 
 
 
警視庁の資料室の壁には夕方の赤い日差しが映り込んでいた。  
JRから提出されたCD-R3枚が物憂げにテーブルに散らばっている。  
今回のこの事件は本来、探偵の出る幕ではない。なにせ、犯人はすでにわかっている。  
あとは捕まえればいいだけだった。――しかし、捕まらなかった。  
 
橘はあの後、全クラスに闖入し、片っ端から斬り捨てた。最後の最後に校長を斬った。  
警察とセコムが学校に到着したのは8時22分、通報から14分後のことだったが、  
そのときにはダボダボのスーツを身体に巻き付けた9歳の校長と教頭が半泣きで  
待ち構えているだけだった。橘の姿はどこにもなく、すぐに行われた周辺区域の  
捜索でも彼女を見つけ出すことはできなかった。  
 
 
ホワイトボードには大きな『?』マーク付きで一つの自問自答が記されている。  
『橘も9歳になった? ←だが、9歳の行動範囲は広くないはずである』  
 
 
「くれはは、どう思う?」  
 
夕暮れのくれはは年齢が低い。こて、っと頭を斜めにして考える。  
パイプ椅子に腰掛け直す。そうすると床に足が付かない。ぶらぶらと足を振り始める。  
そして、俺をおどおどと自信なさそうに上目使いで見て、言う。  
 
「……どうだったら、好き?」  
 
 
ハァ?  
 
 
資料室の重いドアを後ろ手に閉める。カチリ、とオートロックが掛かる。  
もあっ、と耳に騒音が入り込んでくる。資料室はオフィスに面していた。  
俺達が出てくるのを見て、いつもお世話になっている刑事さんが疲れきった様子で頭を下げる。  
俺も下げる。くれはも下げる。ただ、子供状態のくれはは『名探偵くれは』ではないため、  
黙殺される。くれはは、つててて、と出口に向かって走っていく。俺はその後ろ姿を  
ぼんやりと見つめている。相変わらず俺には現実感が戻ってこない。  
 
帰りの運転は俺がしていた。  
当然、無免許だ。街は寂しげに赤めいていて、夕ご飯の準備のために車を走らせる  
主婦達と多くすれ違った。くれはは助手席でよだれを垂らして寝ていた。フロントガラスに  
映って逆さまになっているくれはは、俺にもうひとつの現実を想像させた。  
――こういう自分の娘がいる現実。  
本当のくれは、くれはだ。でも、フロントガラスに映る、光度の低いくれはは俺のそんな  
貧弱な想像を赦してしまうくらい、曖昧にぼやけた存在感だった。  
 
 
――『橘あやね』はどっちの現実を見ていたんだろうか?  
 
 
アパートの鍵を開ける。  
俺の現実が口を開く。くれはが俺の横を摺り抜けて部屋の奥へ消えていく。  
「うわー。眠い眠い眠いー!」  
遠くで幼い叫び声が聞こえた。くれはは9歳になっていた。  
 
 
最初、子供用の服を見たとき、大人の服のミニチュア版だと思った。  
でも、色んな服を見続けたら、大人の服は子供用の服の拡張版だと思うようになった。  
 
くれはがタオルを手にバスルームの戸を開ける。  
「じゃ、先に入ってるからね」  
俺は小さなおしりの深い谷間を見てから、くれはの服を伸ばして洗濯機に入れる。  
俺は服を脱ぎ始める。ポケットの中身を確認している間に、シャワーが騒がしく床を叩き始める。  
 
カラカラ、とバスルームの軽い戸を開く。湯気が乏しい風呂は寒々しいものだな、と思う。  
小さな肩と背中を俺に向けて、くれはが小さい桶にお湯を集めている。俺はその横に立って  
大きな桶で風呂からお湯を掬い、くれはの桶に入れてやってから自分の身体に掛ける。  
くれはの顔の横にある俺の男性器にお湯が伝って床にしたたる。くれはは、別にそんな俺の  
くだらない関心を無視してお湯を浴びる。  
 
俺は風呂に入る。肩まで浸かる。ブォー、という換気扇の音が今頃になって耳に届く。  
くれはが内股を閉じて脚を外側に開く女の子座りで、俺に言う。  
 
 
「私のせいだと思ってる?」  
「何が?」  
「あの子が狂ったのが。私があの子を狂わせてあの事件を起こしたと思う?」  
 
 
9歳のくれはの瞳には、不安と怯えが色彩の震えとなって表われていた。  
俺はどう答えるべきか迷った。でも、正直に言った方がこの場合はいいだろう。  
 
「くれはがあの中学生を狂わす。それを解決する。あとは忘れる。  
これが俺達の仕事なんだから、くれはのせいとかそういうことはないんじゃないかな?」  
「違うよ!」  
 
くれはが凛として立ち上がる。そして、おずおずと風呂の中に入ってくる。  
俺の右足の太腿の上に腰を下ろし、内腿で挟み付ける。その挟む力にくれはの感情の  
強さを感じてしまう。  
 
「全然、違う。  
私は犯人をゼロから作る探偵であって、もう犯人がわかってる事件というのは  
私の範疇じゃないんだ。だから、私はあの子を狂わせたりはしない」  
 
 
――うーん?  
 
 
「あの子が今どこにいるか。それは私は知らない。けれど、知るためには、この  
事件に対して1から介入する必要がある。私が私の手であの子を狂わせる必要があるんだ」  
 
 
――えーと?  
 
 
お湯の中で揺らめくくれはの胸元に指で字を書く。張りのある肌は俺の指を強く弾き返す。  
 
 
『1』  
 
 
「や、ぁ?」  
「1。くれはは、事件を捏造したりはしない。事件は、くれはの意志以外で起きる」  
 
 
 くれはは俺の指を両手で包み込んで、うんうん、と肯く。  
 俺は大きく『2』と書く。胸の桜色の先端を通過する。くれははもぞかしそうに震える。  
 
 
「2。くれはは犯人を捏造する。過去を作り替える。すると、事実はどうあれ、それが  
現実の事実となる。本当の犯人が犯罪を犯してないパラレルな現実が本当の現実になる」  
 
 ――右腿を締め付ける力が強くなる。  
「あう……、ま、まあそうだね……っい!?」  
 
 
 俺は『3』を書く振りをして、くれはの胸の桜色をやさしく摘まむ。  
 くれはの手が俺の指を引き離そうとするが、無視してわざと無機的に摘まみ続ける。  
 
 
「3。ところが、今回の事件は犯人が既にわかっている。動機は、まあわからないけど。  
今回の依頼は橘あやねを見つけること。だけど、これは知らない。知るためには、  
過去に戻って、橘あやねを狂わせるところから事件に介入しなくてはならない」  
 
 
くれはは泣きそうだった。顔を真っ赤にして、時々、許しを請うような目で俺を見上げた。  
――俺はくれはの乳首から手を放す。そして、くれはの手を握り、半勃ちだった男性器に  
持っていく。  
 
「はう。い、いじめ……?」  
 
握らせる。そして、最初はゆっくりと、次第に強く扱かせる。  
やわらかくも、気持ち良く締め付けるくれはの手。  
 
 
「この事件を解決するためには、やらなくてもいい事をしなくてはならない。だな?」  
 
くれはの耳元で非難を篭めた声色で言ってやる。  
 
「狂わせなくてもいい人間を狂わせなくちゃなんだな?」  
「い、いや……」  
 
「この、悪魔め」  
 
――ビクっ!! 一瞬、くれはの全身に力が入って、そして脱力した。  
俺の左手がくれはの幼い割れ目を開く。俺の脚の上にピンク色の肉がむき出しになる。  
水面で揺れていても良く見える。くれはの手を上下させていた右手を、そのピンク色に持っていく。  
 
「あ、い……っ」  
 
ちぱ。小さな唇に舌を差し込む。  
 
 

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル