■碇シンジ  
14歳の中学二年生。人工進化研究所所長碇ゲンドウ・ユイ夫妻の一子。  
            
■EVE−type−02Asuka 通称アスカ  
研究所の人工知能プロジェクトによって製作された研究用ヒト型アンドロイド。  
外見年齢は13〜14歳に相当。  
自分の出自に絶大なるプライドを持つ。シンジに預託。  
はちみつ色とでも称すべき赤毛と金髪の中間の色合いを持つ髪、青色の瞳。  
「バカシンジっ!アタシに隠れてまぁたあの”ロボット”のとこ行ってたでしょ!?  
ハン!バレバレだっつーのよ!!アンタ、ホントまぁーだわかってないようねぇ・・  
アンタは”アタシが貰った”マスターなのっ!!お・し・お・き・な・ん・だ・かぁ・らァァァァ!!」  
 
■EVE−type−00Rei 通称アヤナミ  
研究所の人工知能プロジェクトによって製作された研究用ヒト型アンドロイド。  
外見年齢は13〜14歳に相当。  
青みがかった銀髪、アルビノを思わせる白磁の肌と紅い瞳。  
「・・ワタシはだれ?・・EVEーtype−00Rei・・・でも碇くんは”あやなみ”って呼ぶ・・なぜ・・?」  
 
 
「ちょっと、悪いわねリツコ」  
 
 アスカの手がリツコのスカートの中に潜り込み、太股を分け入って下着のなかに侵入する。  
その気になれば音速を凌駕する速度で動く事ができるEVEシリーズの動きを、生身の人間に止められ 
る訳がない。  
なにが起きているのかリツコが認識する間もなく、アスカの人差し指は彼女の割れ目に深く沈んだ。  
左右の秘唇がもたらす柔らかな圧力だけが儚い抵抗を試みているが、差し込まれた指は内側の粘膜をこ 
そげる様に前後する。  
 
「・・・な?・・な・な・な・なにするのおおお!!??」  
 
ようやく自分の身になにが起きているのか悟ったリツコのくちから絶叫が漏れた。  
顔が一瞬蒼褪めてから、急激に赤みを増していく。  
 
「ん?・・ちょっとね・・これでいいかな?」  
当初の目的を果たしたのであろうか、アスカはおもむろにリツコの割れ目から指を抜き出した。  
それを顔の前に持って行き、じぃっと注視している。  
 
 しかし、リツコがそれを黙って見過ごす筈もない。  
 
かぷっ!  
 
アスカの一瞬の忘我を見逃さず、いましがた、よりにもよって自分の大切な女の部分の粘膜をアクティ 
ブセンシングしてきた無礼なプローブである処の人差し指をくわえ、己れの舌と唾液を以て洗浄した。  
 
 リツコはアスカの行動の意味を、ほぼ正確に直観していた。天才の所以である。  
ちゅぽん、と音を起てながら口を離し、アスカを睨みつけた。  
 
「・・・う」  
さすがに怯んだ様子で表情を強ばらせるアスカに畳み掛ける様に確認をした。  
「あなた、臭いを嗅ごうとしたでしょう?」  
 
「くっ・・さすがリツコね。ど、どうせ”女”同士でしょ?ちょっとくらいいいじゃない!?」  
開き直り始めたアスカを後目に、リツコは額を抑えながら呟く。  
「はぁ〜・・女同士だから余計タチが悪いんじゃないの・・あなたがなに考えてるんだか、大体想像つ 
いてるし・・・自分も”匂い”付けようって、そういうことでしょ?」  
 
「だって・・だって・・・あいつ、バカの癖に、アタシが脱いだ下着にちぃーっとも興味示さないんだ 
から! アタシ、知ってるわよ。男の子って普通、女の子の下着使って・・その・・・ヘンなこと・・ 
したりするんだって」  
 
「・・普通かどうかはわからないけど・・・」  
リツコの想像通りであった。アスカが部屋の中に”仕掛けた”罠を、シンジは全く苦もなく突破して見 
せたのだろう。  
プライドを傷つけられた人工知能は、その理由を推論し、結論を出した。自分になくて、他の女の子に 
あるもの・・・下着の付着物、即ち匂いの欠如が敗因であろうと。  
 
アスカ達EVEシリーズの外見を含む身体情報は、一般のアンドロイド筐体とは異なり、ロジックのみ 
から生み出された架空のものではない。人間の遺伝子を基に作成された、”仮想生体”の情報をベース 
に設計が行われている。  
その再現は、外観は元より、皮膚の質感や筋肉の弾力に至るまで、微に入り細に入り徹底的なものであった。  
が、しかし、流石にその分泌物質までは再現される事はなかった。無論、発汗や排泄といったマクロな 
ファンクションは擬似的に搭載されているのだが、その物質の化学構成は生体のそれとは別のものであった。  
 
故に、彼女達には体臭がない。  
アスカは自分に匂いの機構を取り付けて、わたしの匂いを再現するつもりなのだろう、危うくデータ収 
集されるとこだった。  
リツコの背中を冷たいものが伝った。  
 
「あのバカはアタシの”マスター”なの! だからアタシが想像した事はすべからく実行して、アタシ 
を満足させる義務があるのよ!!」  
”マスター”が”下僕”に聞こえるのは気のせいかしらね・・はぁ〜・・・と小さく溜息をつくリツコ。 
自分の”匂い”を他人が再現、利用するなんて、考えただけでも怖気が走る。例え匿名であろうとも、 
彼女の羞恥心はそれを許容できなかった。  
「あなたにとってそれが劣等感になってしまうのもわからなくはないんだけど・・よく聞いてね。アスカ。 
所詮はタンパク質が細菌分解された老廃物の臭いに過ぎないじゃない。  
悪く言うと悪臭。そんなものなくったって、あなたくらい綺麗だったらデメリットはないと思うわ。 
いつでもシャワー浴びたてみたいな状態って事よ? それって憧れこそすれ、コンプレックスの対象に 
する必要性なんてないのよ」  
 
「けど、それっぽい匂いがついてるんだって知れば・・その・・バカシンジだって・・・」  
しおらしい態度と物言いであったが、アスカの視線は、リツコのその部分に注がれていた。  
 
「わ、わたしは石鹸の匂いしかしないわよ!? 今朝シャワー浴びたばっかりなんだから!ほんとよ!?」  
そう言いつつも彼女は再度の侵入をブロックすべく、がっちり重ねた両掌を太股で挟み込む様にして股 
間をガードしていた。 
アスカとて、流石にもう一度やれば人間関係に支障を来す事態を引き起こすであろう事くらいは推論で 
きたので、力づくの突破を試みるつもりはなかった。  
「・・もう、いいわよ・・。ごめんね、ヘンなことで仕事の邪魔しちゃって」  
引き攣った笑顔で辞去の挨拶を陳べ、アスカはリツコの研究室を後にした。  
 
 
 
はぁぁぁ〜・・・と長い吐息が漏れ聞こえてきた。 
本日のリツコの煙草とコーヒーの最終消費量は、通常の3倍が妥当な予測か。  
   
 アスカにしたところで、実を言ってしまえば他人の情報なんて使いたい訳ではない。  
しかし、自分の仮想生体情報には、彼女の保有する権限ではアクセスする事は適わなかった。  
 
 アタシは史上最高のアンドロイド、言うなればヒトのかたちをした現時点での至高の存在・・決して 
生体なんかに憧れてる訳じゃないわ・・けど、アイツは・・・ほんとのとこ、どう思ってるんだろ。  
 
 ま、いいわ。とりあえず次いってみよっと。  
 
 

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