日本一イケてる小学三年生を自負する今城ひさめの部屋には、二十六世紀あたりから
タイムマシンでやってきたウサギ型ロボットがいる。その名をノバエモン。ちょっと世の中
を斜めに見た、一杯しゃべれる系のあんまり可愛くないキャラクターである。
「ノバエモ〜ン」
ひさめが泣きながら帰ってくる。おそらく、学校でいじめにでもあったのだろうと、ノバエモン
は彼女の自室で漫画を読みながら推測する。そしてすぐ、ひさめは転がるように彼のもとへ
なだれ込んできた。
「ノバエモン!」
「どうしたんだい?ひさめちゃん」
「いじめられたの。ヒネオとジャイやんに!」
ヒネオとは金持ちを鼻にかけた嫌味な少年で、ジャイやんは関西から越してきた力自慢で
ある。彼らは、ひさめをポッと出の若手芸人のようにイジるのをライフワークとしているので、
今日のようなことはあまり珍しくない。
「ナニをされたの?」
「パンツ脱がされて、おしっこする所を見られちゃった。あいつら、ペンライトであたしのアソコ
じっくり見たの。すっごい恥ずかしかったんだからァ・・・」
それを聞き、ノバエモンはうなった。子供の悪戯にしては度が過ぎている、と。そして、彼らに
はおしおきが必要だとも思った。そこでノバエモン、おもむろに二次元萌えポケットに手を入れ
ると・・・
「どこでもヘアー!」
と叫びながら、小さ目のカツラって感じの代物を取り出したのである。
「なに、ソレ?」
「いいからこれを、ペンライトで見られた所につけてごらんよ」
ノバエモンに言われて、ひさめはしずしずとパンツを下ろし、恥丘の上へどこでもヘアー
を装着。するとどうだろう、見る間に彼女の体が大人びていくではないか。
「体が大きくなる!」
「そうだよ。それを身につけると、今の年齢より十歳大人になれるんだ」
二十六世紀っぽい技術の勝利である。なんとノバエモンが出した物は、体を成長させる
道具だったのだ。そしてひさめは、見た感じで二十歳前後のいかした女性に変化した。
「体が大きくなったら、ジャイやんたちにも負けないだろう?さあ、ひさめちゃん、しかえし
に行っておいで」
「ありがとう、ノバエモン!」
ひさめは成長してサイズが合わなくなった服を脱ぎ捨て、母親のクローゼットへ向かった。
そこで、下着から何からを拝借し、素早く表通りへ出て行く。
「待ってろ、ヒネオ!ジャイやん!」
釘を打ったバットを手にして、通りを駆け抜けるひさめ。行き先は彼らがいつもたむろって
いる空き地だ。きっと、そこで野球をやっているはずだと、ひさめは踏んだのである。
「いくでー、ヒネオ」
「オッケイ、ジャイやん」
空き地では、ヒネオとジャイやんが野球をやっていた。しかし、彼らはボールもバットも持っ
ていない。その上、彼らの前には何故だか素っ裸の少女が居る。辺りに女児物の衣服が
散乱している事から察して、どうやら野球は野球でも『野球拳』をやっているらしい。
「や〜ん、もう脱ぐものがないわ」
素っ裸の少女は胸と股間を手で隠しながら、腰をくねらせていた。彼女の名はしずく。
ひさめやヒネオたちとは同い年だが、風呂を覗かれたいという露出願望を有する、おま
せな少女である。キャラ的には、チビッコ向けの由美かOるさんと思ってもらえればよ
ろしい。
「今度負けたら、その格好で町内一周してもらいまっせぇ、しずくちゃん」
「それもワンワンスタイルでね。アハハハ!」
「ああ・・・それ、いいかも。二人でもっと、しずくを辱めて・・・」
シュールな野球拳が盛り上がりを見せる中、バットを持ったひさめが空き地へやって
きた。目にみなぎる闘志は、殺る気マンマンといったところだ。
「ド外道が!覚悟しやがれ!」
母親のクローゼットから拝借してきた服を着崩しながら、ひさめは踊り出た。しかし、傍目
から見ると狂った女が少年たちへ襲い掛かる絵柄に見えて、危険極まり無い。通報セヨ!
「なんや、あれ?」
「ひさめのような気がするけど・・・」
「あんなに大きかったかしら?」
まだ遠目にしか見えないのではっきりとは分からないが、向こうからやってくるのは、どう
やらひさめらしい。だが、体がずいぶん成長している。ここで、賢しいヒネオはピンときた。
「あれはひさめに間違いない。きっとノバエモンに何か道具を借りて、体を大きくしたんだ」
「となると、ワイたちにしかえしにきたと考えるのが妥当やな」
ジャイやんがすっと前に出た。一見、大人だが、相手がひさめであれば、気後れなどは
しない。彼女が手にしているバットは脅威としても、それを凌ぐ手はいくらでもあると考えて
いる。
「あのアマ、オメコ見られたくらいで逆上しよって。いっちょ、いわさなアカンな」
「まあ、待ってよジャイやん。僕の計算だと、ひさめはココに来ることは出来ないぜ」
ヒネオは自信ありげに言うと、顔をゆがめて笑った。そして、何か策があるのかひさめの
前に出て、大人と化した復讐鬼を軽く挑発し始めた。
「おーい、ひさめ。ズボンのチャックが開いてるぞ!」
「えっ?ホント?・・・あッ!」
チャックが開いているといわれ下を向いた途端、ひさめは足がもつれて転倒した。しか
も、彼女は今、母親から借りたワンピースを着ている。ズボンのチャックなどありはしない
のだ。ヒネオにまんまとかつがれたのである。
「きゃーッ!」
二転、三転ともんどりうって転がるひさめ。持っていたバットは手から離れ、体は無防備
な大の字に伸びた。おまけに転んだ時の衝撃で、ノバエモンからもらったどこでもヘアー
が股間から外れてしまい、見る間に元のひさめに戻っていく。
「ああ、どこでもヘアーが!」
「ジャイやん、それを拾って。そのカツラみたいな物に、体が大きくなる秘密があるらしいぜ」
「まかしとき」
ひさめが手を伸ばすよりも早く、ジャイやんがどこでもヘアーをゲット。そして、おもむろに
それを鼻の下に持っていく。
「こうすると、ワイも大人になれたりしてな」
冗談のつもりだったのだが、ジャイやんがどこでもヘアーをひげに見立てて顔につけた時、
やっぱりなあ・・・という変化が起きた。ジャイやんが大人になったのである。
「ああ!なんてことなの」
がくりと頭を垂れるひさめ。これで、状況は一変した。おまけに若返った事でだぶついた母親
の服が足を取り、立つ事も出来ない。ひさめは絶体絶命の危機に陥ったのである。
「すごい、こけしさん!大人チンコ見せて!」
しずくが飛び上がって喜んだ。ちなみに、ジャイやんのフルネームは殿堂こけし。ちょ
っと頭が痛い感じである。
「おお、しずくちゃん!ワ、ワイのチンコ剥けてるでぇ!ごっつ、いい感じ」
「やっぱり、ノバエモンの道具だな。ひさめめ、どうしてくれようか」
「ああ・・・」
ジャイやんとヒネオがひさめを囲んだ。先ほどは、ペンライトで秘所を見られるだけで
済んだが、今度はそうもいかないだろう。なにせ、ジャイやんが大人の男根をぶらつか
せ、そこに血を集めつつあるのだ。ひさめが無事でいられるとは、とうてい思えない。
「こけしさんの大人チンコ、とってもイカスわ!ああ、それで早くひさめさんを・・・」
しずくがひさめを犯せと煽る。同級生の貞操が危ないというのに、のん気なものである。
しかも、いまだに野球拳で剥かれた服を着ようともせず、素っ裸のままだ。これには由美
かOるさんも吃驚だろう。
「ひさめ、足、開け。ワイのイチモツ、くれてやる」
「い、いや・・・」
元の小学三年生となったひさめに、大人姿のジャイやんが圧し掛かった。その様は、危
険というか、現行犯逮捕という雰囲気。
「あたしがリードするから、こけしさん、ズブッといっちゃって」
しずくが先導役を買って出た。なりは大きくなったが、ジャイやんは小学三年生。誰かの
手ほどきがなければ、男の冥加は得られないだろう。そこでしずくはひさめの女唇を指
で割り、見るも美しい女肉を露わにしていく。
「まあ、きれいね。ひさめさんも早くあたしみたいに、大人になるといいわ。形が崩れてくる
けど、殿方のオチンチンが入れやすくなるから」
「イヤーッ!やめてえ、しずくちゃん!」
しずくが空いた手でジャイやんの男根を女穴へ導いた。もう、ひさめの純潔は風前の灯と
いった所である。そのとき、時代が動いた!(某国営放送でやってるアレ風に)
「こんにちはー。けいさつです」
何時の間にか空き地の入り口にパトカーが停まっている。そして、警察官が数人、ジャイ
やんに向かって飛び掛った。
「わあ、なんや、なんや!」
「このぺドやろう、しね」
「こっかけんりょくをなめるな」
ジャイやんは、警察官たちにサッカーボールのように蹴り転がされ、ひさめの体から引き
離された。傍にいたしずくは猥褻物陳列罪で補導、ヒネオは逃げようとした所を取り押さえ
られ、後に強姦の教唆の罪で起訴される事となる。
「ワイは未成年や!小学生やど!」
「ふざけるな。そんなおとなちんこのしょうがくせいがどこにいる」
大ぶりな男根をぶらつかせているので、ジャイやんの言葉は誰も信じてくれない。即、逮捕
と相成った。
「僕は何もしてません!無実です!」
「おまえみたいなこざかしいがきは、むしょできたえなおしてやる」
ヒネオはその小憎らしいキャラゆえ、問答無用の対応を取られた。これもまあ、妥当な線。
「ああん!しずくをもっと見て!」
しずくは集まってきた無数の野次馬に裸を見られて、エクスタシーを断続的に味わっていた
と後に語る。こうしてジャイやんをはじめとする三人組は、小突かれながらパトカーの中へ
放り込まれていった。
そして、ひとり空き地に残されたひさめは。
「国敗れて山河あり・・・か」
空き地の草を掴みながら、天を仰いだのであった。
おわり