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 彼らは非常な熱心さをもって舞衣の体をすみずみまで調べ尽くそうとしていた。その熱心さ  
が学術的関心から来るものではほとんどないことは彼ら自身も認めるだろう。まさにつぼみ  
から花咲こうとする年頃の少女を、全裸にして思うようにできるのである。男子学生たちに  
興奮するなというほうが無理なのだ。  
 ときおり舞衣が見せる嫌がるそぶりもまた彼らの望むものといえた。相手が世間ずれした、  
(少なくとも表面上は)平然としていることができる娘であれば、陰鬱な喜びはそれほどでは  
なかったかもしれない。耐えがたい行為を強要され、いやいやながらも命令に従う少女だか  
らこそ、彼らは情欲をかきたてられているのか。  
 学生らの想像のとおり、今の舞衣の境遇は思春期の少女にはまったく信じられないもので  
ある。自分もろくに見たことがない性器や肛門を、下着一枚すらなしにあけっぴろげにされ、  
男たちにかわるがわるのぞかれているのだ。  
 これだけでも年端もいかない少女の身には想像を絶する屈辱だというのに、それどころか  
股間をいじられて放尿する姿までさらす破目に陥っている。さらに一部始終はカメラに撮られ、  
誰に見られるともわからない。  
 せめてこの状況に同情してくれれば、舞衣の扱いももっと丁寧になったかもしれない。  
 しかし、おびえる少女にやさしくするには、舞衣を囲む学生たちの感情はたかぶりすぎてい  
た。何人かは舞衣の求めるいたわりとはまったく逆の方向に、この機会を利用した。どさくさ  
にまぎれ、少女特有の、細い、だが丸くやわらかな肉体に手を滑らせ、感触を楽しんでいった  
のだ。  
 手袋越しとはいえ執拗に体に触れられてから、舞衣はあおむけに戻された。状況の好転と  
いうよりは、やはり悪化だろう。一時とはいえ隠されていた乳房や性器が、また学生の目の  
前に展開したのだから。  
 前と同じように両手をバンザイの形に押さえられる。  
 ついで、村松医師の指示が出されたので、舞衣は唇をかみながらも両足を曲げて広げ、恥  
辱のM字を再現する。  
 こちら側の視診は終わったはずなのに、次はなにをするのだろう。  
 舞衣の疑問に答えるように、村松医師が宣言する。  
「剃毛を行います」  
「……え?」  
(テイ、モウ……)  
 聞きなれない単語に、胸中で音を繰り返し、漢字を並べるのに数秒を要した。  
(あ、そうか――! いや、やだっ)  
 意味を悟り、舞衣は顔色を変えた。この体勢で、体のどの部分に対してそれが行われるの  
か。考えるまでもなく、答えはすぐに出るだろう。  
 両足の付け根、こんもりとふくれた神秘の丘。生殖器官を守るべく群生するはずの、乙女の  
草むら。  
 といっても、舞衣には今のところ大人の女性のような黒々とした陰毛は生えそろっていない。  
ほんの少しだけ、それとわかる細いちぢれ毛がかろうじて根を下ろしているだけだ。  
 しかし、生えかけたばかりの薄いわずかな恥毛であっても、失うとなれば平穏ではいられない。  
 いったん失ってしまえば元どおりになるのにどれくらいかかるのか。  
 恥ずかしさよりも不安が勝った。  
 黙っていられない。  
「あ、あの、それって……毛を剃るんですか」  
「そうよ。剃るのとは少しちがうけど」  
 間髪いれず、山内看護師が答えた。  
「邪魔になるし、感染症の原因にもなるかもしれないから、剃らないといけないのよ」  
 ここの毛をね、と舞衣の股間に目を向ける。  
「それじゃ、少ししたら元どおりになるんですよね……」  
「さあ? 濃いほうじゃないみたいだし、少しくらいかかるかしら。まあ永久脱毛するんじゃな  
いんだし、そのうち生えてくるでしょ」  
 そっけない回答であったが、最低限のことはわかった。それに、山内看護師は舞衣の顔を  
見ようともせず、カチャカチャといろいろな器具類を並べている。そんな彼女の冷たい横顔を  
見ると、これ以上の質問ははばかれ、舞衣は口をつぐんだ。  
 天井から伸びるライトの向きが変えられ、舞衣の股間を明るく照らす。そのはずみで一瞬、  
舞衣の視線に光が入ったが、想像以上に強烈な輝きだった。  
 その光が、いっさいの陰さえ作ることなく舞衣の恥丘を浮かび上がらせている。  
「手術前の体毛の処理には長年カミソリが使用されてきましたが、今はクリッパーやハサミ  
による除毛が推奨されています。本来は手術直前に行われるのが望ましいのですが、前日  
に行われることが多いです。今回は直接手術に関係したものではありませんが、クリームを  
使用して除毛します」  
 剃毛と聞いて、舞衣はきらめく刃を想像していたのだが、そういうものは使わないらしい。  
恐怖感はいくぶん弱まる。  
 河村看護師がチューブ状の入れ物をよく振って、手袋の上に出す。  
 学生たちの視線がまたも、舞衣の秘所に集中する。  
 注目を感じるその部分に、毛を覆うようにうすくクリームが塗られていく。  
 肉の丘を往復する指の感触に、血液が集中するようだった。  
(あ、ああ……)  
 思っていたよりも広い範囲にクリームは塗りのばされた。  
 これで次にクリームが取り払われたときは、舞衣の恥毛は残らず消えてなくなるのだろう。  
 力ないうめき声が思わず漏れる。  
 
 
 五分ほどして、「もういいでしょう」との声で、まずガーゼでクリームが取り除かれた。根づい  
ていたはずの毛も、薬品の力には抗しきれず、もろく崩れながらあっさりと皮膚から離れていく。  
 仕上げに湿らされた布でぬぐわれると、舞衣のふくらみに、白い地肌があらわれた。  
 それを見届けて、山内看護師がささやく。  
「つるつるになっちゃったね。赤ちゃんみたい」  
 その言葉にかっとなるが、彼女のいうとおりだった。  
 ほとんど跡さえ残さず陰毛のなくなったその場所は、毛を失った大人のものというより、まだ  
性徴のあらわれない子供のそれに近い。  
 汚れのないつつましいひだは、足を左右に強引に広げられて、その口を半開きにさせられ  
ているものの、なおその未踏の空間を守るべく亀裂は狭く、容易な侵入を許そうとしていない。  
黒ずんだ場所もなく、全体にピンク色で、形は奥まで左右対称にととのっている。  
 もちろん実際に比較すれば赤ん坊のものなどよりはるかに発達し成長しているのだろうが、  
その幼さはいまだ十二分に残っていた。  
 この体では、否定しようにもまるで説得力がない。  
 毛と一緒に気力まで刈り取られたように、舞衣は気落ちして顔をそむけた。  
 一方、学生らは、舞衣の胸中をまるで思いやらず、食い入るように舞衣のその完全にあら  
わになった股間を凝視している。いまや下着はもちろん恥毛ですら覆うものがなくなった舞衣  
の裸体は、よくできた人形のようにベッドの上に横たわっていた。しかしそうではなく、生きた  
人間であることは、恥ずかしさに震える体が証明している。  
 作業が終わるのを待って、村松医師が新たな指示をうけた看護師たちが、舞衣を動かす。  
「またこのベッドに寝転んでね。うつぶせに」  
「頭をこちらに……ひざを立てて四つん這いになって。そう、手を顔の前で組んでひじをつけ  
てちょうだい。そのまま頭を下げて、胸をベッドにつけるように。腰はできるだけ高く上げて」  
 白いベッドの上で、指示どおりの格好を取る。  
 頭を下げるといってもほとんどあごをシーツに押しつける形になるし、腰を高く上げろといわ  
れてもひざを立てていれば自力ではほとんど動かす余地はない。なにもせずともおしりを突き  
出しているような形になるのだ。  
(恥ずかしい……)  
 あらためて体が熱っぽくなってくる。  
「婦人科診察台を使用するのが望ましいのですが、思春期前の子供などではクスコを使用  
するのは困難です」  
 そういって、舞衣の小さな体を見る。  
 舞衣は思春期前、というよりは思春期の少女なのだが、体格からいったら似たようなもの  
なのだろうか。  
「思春期前の子供などでも、このように胸膝位をとらせると見落としが少ないのです」  
 
 村松医師の言葉とともに、ライトが当てられ、隠すもののない臀部が全員の前に剥き出し  
にされた。  
(全部……見えてるんだ)  
 何度もさらしものにされてきたとはいえ、今度の体勢はまた別の恥ずかしさがある。手で  
押し広げるまでもなくしりの肉は左右に分かれ、菊の座を隠すものはない。また、その下の  
秘溝もなにものにもさえぎられず、光を浴びて見られるがままになっている。  
 そして、うつ伏せになっていたときと同様、それらの一切の様子は舞衣にはわからない。  
誰がどんな顔で見ているのか、まるで目が届かないのだ。  
(……まだ? いつまで続くの……)  
 村松医師は学生らに説明を続けている。もっとも、舞衣はできるだけ聞こえないように気を  
そらしていた。舞衣にとって現状の姿はあまり直視したくないものだからだ。  
「んんっ……」  
 おそらく村松医師だと思われるが、彼の手が舞衣の肛門に触れた。たんに移動しただけで  
はなく、なにやらドロリとした物体が穴の周囲に塗られていく。いったいなにをしているのか、  
学生らは了解していても、舞衣にはわからない。訊ねれば応えてくれるだろうが、余計なこと  
をして事態を長びかせたくはなかった。  
 それに、自分がしゃべると、自分自身の存在をどうしても思い出してしまう。何もいわず、抵抗  
せず、じっとしていれば、ベッドの上の裸の女の子のことは、他人事のように思える気がしたのだ。  
 黙っておとなしくしている舞衣の秘裂を、村松医師の指は左右に引き広げた。この体勢で  
そうすることによって、舞衣の体の奥まで自由に覗き込むことができるのだ。  
「はい、大きく息を吸って。――吐いて。――吸って。吸気にしたがって膣入口部が開かれる  
のがわかりますね」  
 舞衣には見えないものの、その部分が動いているらしいことはなんとなくわかった。この洞窟  
は肉の壁でできていて、舞衣の呼吸に従って脈動する。  
「――いいですか。今からおしりの穴に指を入れますが、つらかったらいってください。力を  
抜いて体を楽に。指にもゼリーを十分に塗ります」  
 はっとして身構えた。少し前におしりに塗られた薬は、このための準備だったのだ。  
 思わず力をこめる舞衣に「肩の力を抜いて」といいながら、村松医師は肛門にゆっくりと  
指を入れた。  
「んん……うあ」  
 本来出される一方のはずのその穴に、ぐいぐいと異物が入り込んでくる。  
 ていねいに行われているようだが、初めて味わうその感触に、舞衣は体をこわばらせなが  
らうめき声を上げた。手袋をしているため、感触は素肌によるものではない。  
 体内をさぐる触感に耐えられず、涙が目にたまってくる。  
「んっ……」  
 腸の内壁をひととおり調べ尽くすと、入ってきたときと同じようにゆっくりと指は引き抜かれ  
ていく。人前で出てはいけないものが出るような排泄感に、舞衣は必死に肛門を締めつける  
が、動きを止めることはできず、そのまま村松医師の指は離れた。  
「……あああ――」  
 指が抜かれてもなお残る排泄欲求を必死に押さえながら、舞衣は肛門にさらに力をこめた。  
力むのではなく、その反対だ。その努力の甲斐あって、口を開けかけていたその穴も、ひくつ  
きながら戸を閉める。  
「いいですか。傷つけないよう、慎重に行ってください」  
(ああ、やっぱり。みんなやるんだ……)  
 死刑宣告を受けた気分で、たまっていた涙があふれてくる。  
 看護師たちが配置につき、舞衣の体を支えるようにその手足を押さえつけた。  
 最初の学生がその指を、あまり丁寧とはいえない動作で舞衣の肛門に押し込む。  
 なにかが引き裂かれるような、鋭い痛みが走った。  
「ああああ――っ! いたい、いたい――っ。 や、いやあ、やめてえっ」  
 痛みから逃れようともがくが、不自然な体勢で手足が押さえられていることもあって、ろく  
な抵抗はできない。  
 学生にとってはせいぜい目の前でしりがゆれるだけのことであって、肛門に入れた指で  
舞衣の腸内をかきまわすのに不都合はない。  
「いたい、いたいよぉ――! やだあ、抜いてえっ、おねがい――っ」  
 こらえきれず舞衣が涙とともに重ねて悲痛な哀願を繰り返すと、さすがに見かねて村松医師  
が「もう少しゆっくりとやさしく」などと注意した。  
 そうするとさすがに激しい動きはなくなり、痛みもずいぶんと弱くなったが、それでもやはり  
不慣れなのか、村松医師のときよりもはるかに苦痛が大きい。  
 次に代わった学生も、待つ間に気分がたかぶっていたのか、拙速な指使いで舞衣の肛門  
を蹂躙した。体の中から肉壁をつつくと、舞衣はビクンビクンと体を反応させるため、それが  
おもしろくてならないようだ。  
 もちろんやさしく接してくれる学生もいるのだが、それにしても屈辱的な直腸触診に変わりはない。  
 次々と指が肛門に出し入れされる。学生の心のうちはどうであろうと、挿入された指はじっ  
としているわけではなく、往復運動を繰り返し舞衣の不浄の穴を容赦なく通過する。加えて、  
ときおり指はくいと曲げられ、舞衣をお腹の中からかきまわす。  
 そのうち、最初に交代した学生が好奇心からか、わざわざ舞衣の前方に移動し、その顔を  
眺めにきた。おしりの穴をいじられて涙を流している舞衣がどんな表情をしているのか、興味  
をかられたのだろう。  
 一人がそうすると、他の者も気になったのか、次々と舞衣の顔をのぞきこんでいく。  
 ただ、傍目から見ると、順序良く列を作って交代しているようにも見えるので、村松医師も  
なにもいわない。  
「く、ううう。痛いよ、もうやめてよ、ゆるしてよぉ……」  
 もはや涙はとどまることを知らず、垂れ流すままになっている。あとからあとからとめどなく  
あふれ、シーツに染みを作っていく。  
 しかし舞衣がいくら泣き叫んで許しを請いつづけても、その悲鳴に慣れてしまったのか、  
学生らの手が休まることはない。  
 そうしているうちに、やはり最後となった、例の女子学生が舞衣の肛門に指を入れるところ  
になった。舞衣の背筋に悪寒が走り、身をこわばらせる。首をひねって捉えた彼女の顔には、  
確かに抑えようがない興奮が見てとれた。  
「ん……ああっ、や、あん、いやあ、ひ、あぁん」  
 圧倒的な苦痛を予想していた舞衣だが、襲ってきたのはこれまでにない快感だった。  
 彼女の細い指は舞衣の小さな肛門にもそれほど苦痛をあたえず、出し入れもスムーズで  
あったのだ。  
 ただ、それとは別のところにも舞衣の快楽はあった。  
 彼女は舞衣の腸内を指でなでながら、もう片方の手を他の人間にわからないよう、舞衣の  
陰裂に当て、いじりまわしてきたのである。  
「んあっ、あ、あ。いや、動かさないで、触っちゃだめぇ」  
 手のひらを盾にして指をほんのわずかに動かすようにして、外からは単に当てているよう  
にしか見えない。たいした動きではないのだが、徐々に舞衣に苦痛を忘れさせていく。  
(でも、この人、さっきは……)  
 気を抜かせておいて、また体のどこかをつねって遊ぶつもりかもしれない。  
 そう思うと気を引き締めて、彼女の思うとおりにならないようにしなければと考える。  
「んく、う、う、う」  
 快楽も苦痛も感じないように、声を押さえて我慢する。  
 だが、そんな舞衣の努力をあざ笑うかのように、女子学生は先ほどもおもちゃにした、舞衣  
の、秘裂の中の小さな急所をつまみあげた。  
「ひいっ」  
 しかし今回は押しつぶすことはしない。  
 集中する神経に適度な力を加えるように、コリコリと指の中で転がす。  
 もう片方の手を動きも止まらず、指をグルグルと回転させながら肛門を刺激していく。  
 入り口付近とはいえ、二つの穴を同時に責められ、苦痛よりもはるかに大きい快楽を舞衣  
は浴びせられた。  
 それでも舞衣はひたすら我慢していたが、もはや言葉も考えもまるでまとまらない。  
「ああ、はぁっ、あ――っ。ひ、やぁん、あっ、ん――」  
 力が抜け、かろうじて浮かせていた顔も、横にしてシーツに押しつける形になった。おかげで  
喘ぎ声も聞き取られにくくなったが、涙に加え、口からよだれがこぼれ落ちるままになっている。  
「はぁっ、はぁっ、はぁっ」  
 舞衣の呼吸はますます荒くなり、限界が近いことを示していた。  
 もはや抵抗することも思いつかず、舞衣はされるがままである。  
 舞衣のしりはじっとりと汗ばんでライトに輝いていた。その肛門を、女子学生は突き刺した指  
で曲げて広げながら、もったいぶるように引き抜いていく。  
「はぁっ、あっ、わあぁぁん」  
 同時にずっと確保してあった舞衣の陰核をこすっていくことも忘れていない。  
「ん、んん――っ!」  
 顔を赤らめ、声を乱し、快楽を全身で訴えながら舞衣は達していった。  
 しりを突き出した格好のままだが、微妙に安定感があって、ほうけてしまっても倒れることはない。  
「はぁ――っ、はぁ――っ」  
 息は深く、長くなっている。  
 涙どころかよだれまでたらし放題で、舞衣の顔はぐしゃぐしゃになっていた。その顔を一番  
近い距離からずっと見物していた看護師たちだったが、全員の内診が終わったのを見て、  
汚れた顔や性器をきれいにするため動く。  
 涙とよだれにまみれた顔以上に、舞衣の性器はさまざまな分泌物が織り交ざって汚れて  
いた。看護師らはタオルをいくつか交換しながら、丁寧に清めていく。  
 その間も舞衣の四つんばいは崩されることはない。  
 手足に無理な力が加わる姿勢だったためか、舞衣が我を取り戻したのは前の同様の体験  
のときよりも早かった。  
(はぁっ、はぁ、わたし、また……!)  
 一度ならず二度までも、見ず知らずの学生たちの前で恥ずかしい姿をさらしてしまった。  
 それも、二度目にいたっては、彼女の行動からいたずら半分であったことは間違いない。  
気丈にも舞衣は原因となった女子学生をきっとにらみつけた。  
 彼女はもう一人の女子学生となにか話していたようだが、少し遠い。  
 だが、不思議と、なにをいっているのかわかった。  
 もう一人の女子学生はどこか、とがめるような口ぶりで、それに対して彼女は。  
 ――でも、あの子、他の子に触られていたときも感じてたみたいじゃない。  
 彼女は確かにそういっていた。  
(ちがう! わたしは、ただ――)  
 舞衣の叫びは、しかし口から出ることはなかった。  
 胸中の弁明は誰にも届かない。  
 かぶりを振った舞衣の眼に、テレビモニターが飛び込んできた。  
(あ……今のも全部、撮られてたんだ……)  
 そこには、大きなテレビに映った舞衣の臀部のアップはもちろん、舞衣の体の全体図、さ  
らには今、看護師にタオルがあてられる舞衣の顔までもがしっかりととらえられていた。この  
位置なら、涙とよだれを垂れ流す舞衣の淫靡な表情も、映像に確実に残っていることだろう。  
 舞衣がなんといおうと、その体に起きた変化はすべてレンズが見つめていたのである。  
(…………!)  
 体全体がきれいに拭かれて、体も伸ばすことが許され一息つけたが、舞衣は絶望的な  
気持ちになって、ただうつむくばかりだった。  
(ううう……)  
 再び涙があふれてきて、せっかくタオルで拭かれた顔もまた汚れる。  
 よく注意していたのか、河村看護師はすぐに顔をぬぐってくれた。  
「大丈夫? もうすぐ終わりだからね」  
「……本当?」  
「うん。あと、お薬塗るだけだから。もう少しだけ、我慢してね」  
(もうすぐ終わるんだ……)  
 あと少し……と自分にいい聞かせ、気を持ち直す。  
「いい? 最後だから。もう一回だけ、あおむけになってね」  
 何度も繰り返されてきた命令だ。もういわれなくても先はわかる。両手は頭の横に軽くこぶし  
を握っておく。それを山内看護師が握手するようにつつみこんで押さえるのも同じだ。  
 腰の下にマクラが差し込まれ、舞衣のしりは宙に浮く。  
「…………っ」  
 両側からひざを支えられ、割れ目があらわにされる瞬間、舞衣は顔をそむけた。  
 少女として相手が誰であろうと隠しておきたい場所、といっても、今となっては、であるが、  
屈辱に変わりはない。舞衣の年齢ならば、母親であっても見せるのは恥ずかしいというのに、  
周りを囲むのは今日会ったばかりの学生たちだ。  
「今、かゆみはありますか?」  
 村松医師の質問が舞衣に投げかけられた。  
「えっ、ううん、あ、あまりない」  
 突然だったが、なんとかとっさに答える。  
「皮膚の赤み、硬化にはこちらを使用します」  
 いいながら、やはりチューブに入った薬品を示してみせる。  
「激しいかゆみをともなう場合がほとんどです。小陰唇の周辺が軽い炎症を起こしているよう  
なので、塗っておきましょう」  
 結局、かゆくなる場所というのは村松医師には最初からわかっていたのだろう。  
 これまでのパターンどおり、塗るのは河村看護師の役目だった。  
 チューブからひねり出されるその薬を、短く手入れされたつめの真っ直ぐな指が舞衣の陰部  
全体に広げていく。  
「んっ……く……はぁ」  
 またもや舞衣の性器は巧みな指使いにさらされ、甘い吐息が漏れる。  
 だが、指がそれ以上の感触を残していくことはなく、作業はさっさと終了した。つい、もの欲し  
そうな目で河村看護師を見てしまったが、はっとしてあわてて目をそらす。  
 それを見ていたのか見ていなかったのか、  
「ここがかゆいんじゃない?」  
 といって、山内看護師が指でトントンと叩いたのは、まさに少女の体の一番繊細な肉の芽だった。  
「あああっ」  
 まったく予期していない動作で、舞衣は叫びながら体をビクンとはねさせた。  
 舞衣の返事を待つ間も山内看護師はリズミカルなノックを続けるので、舞衣はたまらない。  
「いい、やぁっ、かゆくないですからっ」  
「そう」  
 これまたあっさりと山内看護師は離れていく。体のうずきが残ったが、この状況では静める  
ことなどできるわけがない。  
「新しいパンツつけるからね」  
 いつの間に用意されたのか、ひらひらと例の特殊パンツを舞衣に見せる。汚れはまったく  
なく、真っ白だ。  
 腰の下のマクラと入れ替えるようにおしりの下に敷かれ、てきぱきと舞衣の股間を包んで  
いく。少女の部分が隠されて舞衣は安堵した。  
 続いてパンツ自体を覆い隠すカバーが装着させられる。ただの布よりも丈夫にできたそれ  
は、一点で小さな鍵に留められ、脱ぐことができなくなる仕組みだ。しかし、今の舞衣にはその  
鍵をかける音さえ頼もしく聞こえた。  
 そこで、体を支えていた手はすべて離れ、舞衣はようやく自由の身になった。たたまれた患者  
着が手渡され、着るようにいわれる。その患者着も新しい物で、こわごわとした折り目が残っていた。  
 ズボンと上着を身に着け、あまり恥ずかしくない格好に戻ると、これでやっと終わったのだと実感する。  
「お疲れさま。よくがんばれたね」  
 河村看護師がそういってくれたときには、すでに各機材も電源が落とされ、学生たちは部屋  
から出て行くところだった。  
「戻っていいの?」  
「あ、うん。今日は午後もないと思うからね、部屋にいてくれればいいよ」  
「……今日は? ……あ」  
 今日はこれで終わりかもしれないが、まだ次がある。その次も、またその次も、今回と同じ  
ように恥辱に満ちた時間を送らなくてはいけないのだ。  
 拒否するも抵抗することも許されず、助けてくれる人もいない。  
「……次はいつあるの? こういうの」  
「どうかな。明日もないと思うけど」  
 その答えでは、舞衣に与えられた休息の時間がそれほど長いものではないことしか意味しない。  
 暗澹たる気持ちのまま、部屋に戻る舞衣の足取りは重かった。  
 
 
(続く)  
 

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