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たぶんオチモノの漫画を読んだのが原因だろう
「見ろ!キャットインコタツの能力を!」
主人がコタツから首だけを出して叫んでいる
「もはや!何者にもここから動かすことはできない!」
バカじゃなかろか
分かったから出てきてくだ「聞いていなかったのか!」
知りません
「猫井技研の科学力は世界一ぃぃぃぃぃ!」
コタツも漫画もよほど気に入ったらしい
が
それとコタツから出ないのは別問題
「別に誰に迷惑かけている訳でもないだろう」
私が迷惑です
「まあいいからお前も入れ」
私には家の掃除が「命令」分かりました
まあいいか
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こたつの上に集うみかんたちが、今日も天使のような
無垢な笑顔でいる、ご主人様の口ををくぐり抜けていく。
汚れを知らない心身を包むのは、橙の皮。
袋の房は乱さないように、白い筋は
残らないように、丁寧に剥くのがここでのたしなみ。
1階右奥突き当り。ここは、こたみかの園−。
「ほら、馬鹿なこと考えてないでさっさと剥く」
もう手が黄色なんですが
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コタツに入って黙々とみかんをむく。
ご主人様はコタツに入ってテレビを見ながらそれを食べる。
テレビからはわざとらしい笑い声が聞こえる。
最初のうちは話題もあったが、
ほぼ外界との接触が断たれている現状では、
それが底をつくのも当然であり。
ただみかんをむいて
ただみかんを食べて
「ねえ」
なんですか?
「前の主人ってどんな人だったの?」
前のご主人様は女性だったんですが、
聞きたいですか?
「やっぱり、いい」
コタツに入って黙々とみかんをむく。
ご主人様はコタツに入ってテレビを見ながらそれを食べる。
テレビからはわざとらしい笑い声が聞こえた。
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