「えーと……次はこれを……」
自筆のメモに書かれた手順に従って、フラスコの中に褐色の液体を注ぐ。
孤児だった私が、町外れにある塔で錬金術の研究を続けている先生に引き取られてから、もう10年近くが経つ。
最初の4年間は親子のように、そして残りの6年、自然と錬金術の道を志した私と先生の関係は師弟のそれになった。
『何かあたしを唸らせるような物を作ってみな』というのが先生から与えられた卒業試験の課題。
これで認めてもらえれば、晴れて私の肩書きから見習いの文字が取れる。
そうすれば、見習いでははまだ許可されていない書物も読むことができるようになるし、
扱いが禁じられている薬なんかもかなりの部分扱えるようになる。
だから私はこの試験に懸けていた。
先生が唸るほどの何か。
本に載っている物をそのまま作っても、先生は納得してくれないだろう。
だから私は色々考えた結果、人造生命――ホムンクルスを作ることに決めたのだ。
正しいホムンクルスの製造法が記された本は、私にはまだ読めない。
だから許可された範囲での断片的な情報を掻き集め、そこに自分なりの理論を組み合わせることで、私は私なりのホムンクルス製造法を考えた。
それがこのメモ。
「あ、色が変わった。うん、順調順調。じゃあ、いよいよこれを」
手の平に収まるほど円筒形のケース。
それを傾けると白く濁った液体がどろりと流れ出した。
私と一緒に錬金術の勉強をしているレオルの精液。
これを採取した時のことを思い出すと、自然と顔が火照ってしまう。
できれば何か別のもので代用したかったんだけど、ある意味ホムンクルス製造の核とも言えるこればっかりは他の物で代用はきかなかった。
とはいえ、まさか本人に直接頼むわけにもいかない。
だから私は強硬手段に出ることにしたのだ。
見習いとはいえ私だって錬金術師の端くれ。
加えて家事の中でも料理を任されている私にとって、レオルの食事に眠り薬を盛ることは簡単なことだった。
そしてその晩、こっそりと……。
初めて見た勃起した男性のそれを思い出して、私は知らず生唾を飲み込んでしまう。
手袋越しでもはっきりと伝わってきた硬さと熱さ。
自分でも驚くほど大きく響いたごくりという音に私は我に返った。
「あ、あれはあくまで錬金術のためにやむを得ずやったのであって、別にそんな……」
誰もいないのに思わず言い訳が口を突いて出る。
そう、今日この塔にいるのは私1人だった。
先生は月に1度町へ出て、錬金術で作った色々な物を商店に卸すことで生計を立てている。
それが今日で、レオルはその荷物持ち。
たまに急な用事で直接依頼がくることもあるけど、それはあくまでイレギュラーな物で収入源として当てにするにはあまりにも不確かだ。
「あっ!」
そこで私は重大な失敗に気が付いた。
余計なことを考えている内に、円筒形のケースがほとんど空っぽになっていたのだ。
レオルが出した精液は必要量よりも随分と多かった。
元々がそれくらいなのか、それともついでに食事に混ぜておいた男性用の媚薬のせいなのかはわからなかったけど
とにかく予定では半分くらいで十分だったはずなのに。
フラスコの中の液体が泡立ち、見る見るうちに体積を増していく。
怖くなった私は慌ててフラスコに栓をした。
後から考えてみれば、それはこれ以上ないほど愚かな選択だったと思う。
体積が増えているのに、その逃げ場をなくしてしまえばどうなるのか。
ようやくそこに思い至り、反射的に私が両腕で顔を覆ったのと、ガラスが割れる音が聞こえたのはほとんど同時だった。
体重がなくなったように身体が宙に浮く感覚。
直後、後頭部を襲った衝撃に私の意識はあっさりと薄れていった。
なんだか周囲が騒がしい。
朦朧とする意識の中で最初に思ったことがそれだった。
変声期前の子ども特有の甲高い声。
しかも1人や2人の話し声じゃない。
もう随分曖昧になってしまった孤児院にいた頃を思い出すような喧騒。
「つっ……」
頭の後ろがズキンと痛む。
ただ、その痛みのおかげでようやく頭が動き始めた。
瞼を押し上げると石造りの天井が見える。
見慣れた天井。
ここは私の部屋。
(そうだ、私は実験中に気を失って……)
「あ、ママが目を覚ましたよー」
その声をきっかけにして、部屋の中を歓喜の声が包み込む。
全方位から聞こえるその歓声と、ぺたぺたという小さな足音。
何が何だかわからない。
とにかく身体を起こそうとして、けれどそれができないことに気が付いた。
全身が痺れていていくら動かそうとしても脳の指令に反応しない。
不意に部屋に漂うかすかな異臭が鼻をついた。
実験中に使った物の中には痺れ薬の材料になる物もあったから、それがあの事故で空気中にばらまかれたのかもしれない。
それを気を失っている内に吸い込んでいたとしたら、身体が動かないのはわからないでもない。
少なくとも頭を強打したせいというよりは、時間が経てば効果がなくなる分そちらの方がマシだろう。
「ママ、だいじょうぶ?」
「きゃっ!」
突然目の前に見覚えのない顔が現れて驚きの声を上げてしまう。
人間離れしていると言っていいほど整った顔立ちの少年。
その作りものめいた綺麗な顔を抜きにしても、人形のようなというのはこういう子のことを言うのかもしれないと思った。
なにせ、その子は身長が10センチほどしかないのだ。
そう思っている内に、視界の中に2つ3つと顔が増えていく。
判を押したようにそっくりな顔、顔、顔。
そこに浮かぶ表情も皆一様な眉を寄せた心配顔。
口々に「ママ、だいじょうぶ?」と問い掛けてくるその子ども達に私の頭はパニックになっていた。
(そもそもママって……もしかして)
「あ、あなた達はもしかしてホムンクルスなの……?」
幸い言葉は普通に喋ることができた。
少し舌が重いような感じはあるけど困るほどじゃない。
「そうだよ。僕達はママが作ってくれたんだよ」
最初に現れた男の子がにっこり笑顔で言う。
「じゃあ、成功してたんだ……?」
予定ではもう少し大きくなるはずだったし、こんなに数が増えるはずでもなかったんだけど。
それでも人工生命の製作という意味では、これは成功と言っていいんじゃないだろうか。
(これなら先生も納得してくれるかも)
そう思うと胸の奥からじわじわと達成感が湧き上がってきた。
「あのねあのね、僕達ママが眠ってる間に、みんなで相談してたんだ」
「相談?」
「僕達ね、ママに恩返しをしたいの。作ってくれてありがとうって気持ちを込めて。いいかな?」
「え、あ、うん」
どうやらこの子達は随分といい子らしい。
つい頷いてしまう。
「ママがしていいってー! みんな、始めるよー!」
その子の呼びかけに、部屋中の子ども達が「おー!」と掛け声を上げた。
「でも、恩返しって何を……ひゃぁあ」
全身を襲った予想外の刺激に変な声を出してしまった。
あろうことか、何人ものホムンクルスが実験用のローブの下に潜り込み始めたのだ。
侵入を防ごうにも身体は未だに痺れたままで、できることといえばわずかに身を捩る程度。
「な、なにするの……ふあ、くすぐった……ちょ、だめ」
身体の色んな所で細い指が踊る。
それによって生まれるのは我慢できないほどのくすぐったさと、そしてそれとは別の感覚。
自分で慰める時に感じた経験のあるそれが、早くも身体の至るところで生まれ始めていた。
(どうして、こんなにすぐに?)
そこではっと気付いた。
実験に使ったセルシオンという名前のハーブ。
媚薬の材料にもなるあれの成分が、痺れ薬のものと同様に部屋中に充満していたら。
「どうしたらママが喜んでくれるかなぁってみんなで考えたの。それでね、ママに気持ちよくなってもらおうって決めたの」
悪気の欠片もない笑顔。
この子達が心底私のことを喜ばせようとしてくれているのがわかる。
(わかるけど……できればもっと別の何かにしてほしかったかも。だいたい……)
「あ、あなた達、どこでそんなこと」
生まれたばかりのはずのこの子達が、なぜそんな行為について知っているのか。
ホムンクルスは生まれながらにして全ての真理を得ているというのは確か迷信だったはず。
それとも、失敗が逆に功を奏してそんなすごいホムンクルスができてしまったのだろうか。
「新発見、新発見! 女の人は舌を絡められると気持ちいいんだってー!」
「な、なななな……」
少し離れた場所から聞こえたその声に、何とか首だけ動かしてそちらを見る。
「そ、それは……」
そこでは何人かのホムンクルスが床の上に本を広げていた。
この部屋にある本で、さっきその子達が言ったようなことが書いてある本なんて1冊しかない。
レオルから精液を採取するときの参考にしようと思って、顔から火が出る思いで買ってきたエッチな本。
先生やレオルに見つからないように厳重に隠しておいたはずなのに……。
「りょーかーい! でも舌を絡めるって言ってもどうしよう」
頭の横にいた子が困ったように首を捻る。
私とその子、サイズの違いを考えれば普通にディープキスをしようとしても前歯にすら届かないんじゃないだろうか。
私の方から舌を出してあげれば別だろうけど、さすがにそれはちょっと。
「こうなったら……」
「はぅあっ!?」
その子の上半身がいきなり私の口の中に飛び込んでくる。
そのまま舌に両腕を回されて、がっしりとしがみつかれてしまった。
「ほ、ひょっほ、はひ」
舌の根元を何かが掠める。
それがホムンクルスの舌だということに気が付いた。
ぬるぬるとした物同士が擦れ合う感触。
ピリピリとした刺激があって、直後、全身から送られてくる感覚が一気に倍増した。
「ひゃぃ……な、なんれぇ……!?」
くすぐったさの影に隠れていた性感が、立場を逆転させて一気に自己主張を始めた。
「ぷはぁっ! みんなー、ママ、舐めてあげるといいみたいー」
口から出てきた子が、上半身を唾液でベトベトにしたままで他の子に呼びかける。
「おっけー」という大合唱とともに、全身に張り付いている子達が素直にその指示に従った。
指とは違う、ぬめりを持った感触が全身の至るところで這いまわる。
背筋をゾクゾクする震えが走りぬけた。
樹液を啜る昆虫の熱心さで、汗を舐め取り代わりに唾液を塗り込められる。
耳元、首筋、脇腹、足の裏。
元々敏感なそれらの部分は当然として、普段は意識もしないような場所からも甘い愉悦が込み上げてくる。
(も、もしかして、セルシオンの成分が……)
この子達の身体を作っている材料の1つ。
その成分が体液に、それも空中に漂っているのとは比べ物にならない濃度で含まれているとしたら。
「だいぶ準備できたみたい。そろそろ本格的にいっていいよね」
リーダー格なのか、最初に話しかけてきたホムンクルスが言う。
(今までのが準備なんて……)
次は何をされるのかと身構えていると、ローブの中で胸の膨らみを包んでいた布地が外される感触があった。
そこでようやく、今まで胸と股間だけホムンクルスの手が伸びていなかったことに気付く。
他の場所のあまりにも強すぎる刺激に気付けずにいたんだ。
(う、腕とかでもこんなにすごいのに……)
恐れと、そして少しだけの期待が頭を過る。
ローブの厚い生地越しに「せーの」という声が聞こえた。
「ふはあぁぁぁあ」
次の瞬間、何本もの細い腕が乳房にめり込んできた。
肺の中の空気が残らず搾り出されるような圧迫感。
なのに痛みなんて全然感じない。
それどころか胸の細胞がぐずぐずに溶けてしまったかのような快感が溢れてくる。
「よいしょ、よいしょ、これは重労働だぞ」
左右それぞれ3人ずつが、人間にしたら数十人分のパン生地を捏ねるような感じで揉んでくる。
「ひゃ、ああ、それ、だめぇ……」
「あ、さきっちょのが大きくなってきた。よーし」
胸の先端が温かいものに包まれる。
ローブの中から聞こえてくるちゅぱちゅぱといういやらしい音。
胸全体から感じるどっしりとした重い快感とは対照的に、先端からの刺激は鋭く私の脳を貫いた。
濃厚な媚薬成分を含んだ唾液が、身体の中でも特に敏感な場所に塗される。
そんなものに堪えられるはずがなかった。
「や、だめ、イクっ、イッちゃうからぁぁああああ!」
眼の奥で火花が散って、視界が白一色に包まれる。
1人でしていた時のものが子どものごっこ遊びだったとを思い知らされる、壮絶な絶頂感。
「ママ、気持ちよかった?」
「う、うん……こんなの……すごすぎるよぉ」
恥ずかしいことを言っているのを頭の片隅ではわかっていながら、それでも正直に答えてしまう。
「よかった。みんなー、ママ気持ちよかったって!」
ローブの下から歓声が上がる。
それを聞きながら私は暖かな満足感を覚えていた。
私が気持ちよくなれば、この子達が喜んでくれる。
それならもう我慢する必要なんてないんだ。
「ね、ねぇ……最後まで……してくれる?」
「いいの?」
「うん、お願い」
「もちろん! ママが喜んでくれるなら」
少しだけ込み上げてくる恥ずかしさも、開き直ってみると快感を増幅させるスパイスのような物だった。
これだけ全身責められていながら、唯一放っておかれた場所から催促するようにとろりと液体が零れ出していく。
そして、その液体で張り付いていた薄布が剥がされていくのがわかった。
(あぁ……見られてるんだ。私の1番恥ずかしいところ……)
何対もの視線がそこに注がれているのが、実際に見なくても感じられた。
ホムンクルスの本当にかすかな息遣いすら感じ取れるほどに敏感になった場所。
そこに、細い細い腕が差し込まれた。
身体の中で指が蠢くのが気持ちいい。
気持ちいい、けど。
「ママ、物足りない?」
心の内が顔に出てしまったらしく、顔を覗き込んでいた子が悲しそうに眉を顰める。
「そ、そんなことないよ」
咄嗟に否定はしたけれど、やっぱりホムンクルスの腕は細くて短すぎる。
今も全身から送られてくる快感に比べると、期待が大きかったせいもあって少しだけ物足りなかった。
思い出すのは勃起したレオルの男性器。
あれくらいのもので奥まで抉られたらと思ってしまう。
「よーし、なら……」
「ふひゃぁぅ!」
入口部分に確かな存在感を感じて私は声を上げる。
口の時のように頭から潜り込んでいると気付くまでに、少しだけ時間が必要だった。
愛液を塗されて刷毛のようになった髪の毛にくすぐられると腰が抜けそうなほどの快美感が駆け抜けていく。
待ちわびていた感覚。
「ぷはっ! ダメだ。息ができないよ」
けれどそれは奥に届くことなくすぐに出ていってしまう。
スペース的に多少余裕があった口の中とは勝手が違うらしかった。
「そうだ!」
そして3度目の侵入。
入ってきたのは腕よりも少しだけ太いものが2本。
2回目とは逆に足から私の中に入ってくる。
「あ、あああぁぁぁ」
ズブズブと、今までは届かなかった場所までつま先で引っかかれる。
欠けていた場所を埋めてもらえたことによる、それだけで気が遠くなりそうなほどの充足感。
「やった! みんな、最後の仕上げだ」
ホムンクルスが、下半身どころか胸のあたりまで身体を埋めている穴のすぐ傍にある突起。
そこに乳首と同様、小さな口が吸い付いてきた。
膣口から零れ落ちた粘液を纏った後ろの穴に何本もの手が伸び、何十本もの小さな指でクニクニと揉み解された。
胸を始めとして、全身に張り付いている子達もここぞとばかりに動きを激しくさせる。
ただでさえ1つ1つでも気がおかしくなりそうな快感が、相乗効果で何倍にも感じられて私は全身を戦慄かせた。
そして――、
「えーとー、膣の上壁に存在するGスポットを刺激することでー、女性をより深いオルガスムスに誘える、だってー!」
情報収集に努めていたホムンクルスから、新たな情報が提供される。
「上壁って、このあたりかなぁ」
その言葉に、膣の中にいるホムンクルスがもぞもぞと身体の位置を変えていく。
「はひぃっ!」
その途中、ある1点を擦られてそれまで以上の快感がスパークした。
「あ、ここなのかな」
心得たとばかりに同じ所を繰り返し刺激される。
「ら、らめぇ……こんな、はへしぃしゅぎるよぉ……」
全身が性感帯になったような感覚の中で、私はそのまま2度目の絶頂に打ち上げられてしまった。
ようやく意識が戻ってきたタイミングを見計って、チュッという音とともに頬に柔らかい感触が生まれた。
「どうだった、ママ?」
言葉を紡ぐ気力すら圧倒的な快感に押し流されていた私は、わずかに首を上下させることで気持ちを伝える。
それを見たホムンクルスは、本当に嬉しそうに微笑んだ。
人間には絶対真似できそうにない、混じりっけのない透明な笑み。
不意に、私の心の中に根拠もなく不安が鎌首をもたげた。
「ママ、僕達を作ってくれてありがとう。ママに会えてすごく嬉しかったよ」
何かを言わないと、そう思った直後だった。
こちらをじっと見つめていた瞳が焦点を失い、その輪郭が崩れた。
残ったのは、床にある小さな白い水溜まり。
「バイバイ、ママ」「じゃあね」「さよなら、ママ」
聞こえてくるのはお別れの大合唱。
そして次々に溶け崩れていくホムンクルス達。
ローブの下にいた子達も次々と消えていくのがわかる。
「や、だめだよ。みんな……」
それを止める方法を、私は持っていなかった。
膣の中にいた子、私の身体を内側から押し広げていた確かな存在感が消失する。
それが、最後の1人だった。
喪失感がキリキリと胸を締め付ける。
(あの子達、時間がないことを知っていたんだ……)
最初はあまりに強引な行動に驚いたけど、限られた時間で私の為にできることを精一杯考えた結果だったんだ。
さっきまでが嘘のように静まりかえった私の部屋。
だけどあれが夢ではなかったことは私が覚えている。
まるで涙のように、膣から最後の子の名残がトロリと溢れ出して肌の上を伝っていった。
「って、あーーーーーー!!!」
そんな感傷を吹き飛ばすほどの大声を思わず上げてしまう。
大変なことに気付いた。
気付いてしまった。
あの子達の材料の1つ、それはレオルの精液なわけで、膣内であの子が元に戻ったということは、言ってみれば……。
加えて、セルシオンのこともある。
原液とでも言うべきものを膣粘膜から吸収したらどうなるか。
私が気がつくのを待っていてくれたかのように、膣全体がカッと熱くなった。
その奥にある子宮がズクンと疼いて居ても立ってもいられなくなる。
だけど私の手足はまだ動いてくれなくて、自分でその疼きを解消することはできなかった。
窓から外の空を見る限り、レオルが帰ってくるまであと数時間はかかるはず。
だいたい、帰ってきてこの姿を見られたらなんて説明すればいいんだろう。
「ど、どうしよう……」
私は頭を抱えることもできないまま、床の上でその後の数時間を悶々と過ごす羽目になってしまった。