■H.I.H.A.R.(ハウスキーパーロボット)について
<ヒューマンインターフェイスハウスキープドアンドロイドロボット/H.I.H.A.R./HI-HAR(ハイハー)>
「P.C.(ピーシー)」に相当する国際的に使用される通称。
<ハウスキーパーロボット>
日本語圏における一般的な通称として「パソコン」に相当する和製外来語。
<メイドロボ><アイコ>も同義。日常的にはむしろ後者が多用される。
ロボットのカテゴリーで、ハウスキーパーに特化した一般家庭向けの普及型アンドロイドを指す。
人間そっくりの筐体にAIコンポーネントが組み込まれている。
開発当初の普及率と世間の認知度は、嘗ての<等身大フィギュア>並みと言われたが、
近年、SONYの傑作H.I.H.A.R.<A.I.K.O.>が爆発的なブームとなり、現在は普及期にある。
M型とF型が存在し、それぞれが男女に相当、現在の市場に於いてはM/F=3/7の割合で需給が成立している。
※<AIKO><アイコ><A.I.K.O.>はSONYの商標
■<マスター>について
H.I.H.A.R.がH.I.H.A.R.ユーザーに対して用いる一般的二人称。
ユーザーによって<ご主人さま><旦那様>等、様々。
□マスターになるには
メーカーショウルームでH.I.H.A.R.とユーザー希望者が対面面接を行い、双方の合意が成立すれば、
環境設定が終了次第、派遣が行われる。
契約の形態は年次更新契約の月毎決算が一般的。
通いか住み込みかはオプションであり、派遣料金に殆ど差はない。
■H.I.H.A.R.のテクノロジー
□動力
超伝導コンデンサが動力源
マイクロウエーブ送電受信の蓄電がメイン
摂取した食事からの化学的熱量取り出しと蓄電
補助的に燃料電池
□筐体(ボディ)
カーボンナノチューブを主構造材とした骨格に、廃熱装置兼用の電流駆動人工筋肉アクチュエータを、
人間の解剖学的筋肉配置に準じて装置している。
皮膚は高分子素材を主構造材とし、人間そっくりの質感を意図したラミネートシート状の多層構造スキ
ンで、深層部は人工筋肉と癒着した状態となって廃熱を補助する。
高温や摩耗、切削に非常に高い耐久性を示し、表皮相当部分はマイクロウエーブ送電受信アンテナを兼
ねる。また、その機能が若干犠牲になる事を承知で、疑似発汗を行う様になっており、表面全体に水分
と皮脂状の層が存在し、摩擦係数は人間と一致する。
補填材を湯を張った浴槽に溶かし、入浴の形で日常的に補填できる。その際の水溶液には毒性はなく、
人間が使用しても問題はないし、例え旧式の浄化槽しか備えていない下水に排水しても環境汚染の心配
もない。定着しなかった成分は短時間で炭素、酸素、水素に分解、自然界に還元される様になっている。
各種痛覚はセンサーの配置で人間に準じたものになっている。
循環器系・呼吸器系・消化器系・排泄器系・延髄以下に相当する神経系を有し、
メンテナンスパネルを除いてメーカー毎に高度なブラックボックス化が施されている。
近年の筐体の耐久性の発達は著しく、10年スパンの信頼性では人体を超えたと言われている。
□AIコンポーネント
人間の脳活動と人体情報をエミュレートしたホログラフィック処理型人工知能。
延髄以上の中枢神経系に相当するが、眼球は筐体に配置され、AIコンポーネントの構成には含まれない。
□人格について
ロボットの人格は、基本的には自然発生人と同様に同一のものは存在しない。
□人格モデル
ロボットには基本的な性格や価値観の傾向のモデルとなるデータを提供した自然発生人が存在する。
彼等が提供したデータは<人格モデル/キャラクターモデル/キャラモデル>と呼ばれる。
人格モデル提供者は登録制であり、提供されたデータは多様性確保のためランダムで選出され、
社会適合の因子を調整した上でロボットの人格データとして使用される。
■■ロボットと社会■■
■ロボットの概念・規定
人間(自然発生人)の知的能力をモデルとしたAIコンポーネントが組み込まれた各種機械筐体のうち、
自律稼働するものをロボットと称する。
自律稼働を行わない<マシーン・メカ・モビル他>は別項で扱われる。
■AIの人権
憲法に記される、AIの基本的人権。
AIは自然発生人に準ずる権利を保有、主張する事が憲法により認められている。
■ロボット人権保護法
ロボットは自然発生人に準ずる社会的権利を保有し、それを保証する法律。
自然発生人によるロボットへの傷害行為は自然発生人に対するものと同様に扱われる。
■サーバント原則
アジモフのロボット三原則を基本とし、AIを含めた人類社会への奉仕がロボットの自律的行動原理となる。
ちなみにその条件付けが為されていないロボットは違法存在となる。
□先天的能力に対する段階的義務
設計時に計画された能力に比例する形で、ロボットには相応の義務が課せられる。
一般的には社会貢献の為の労働力提供量の増加を指す。
□先天的能力に対する段階的義務補足
例えば、人間そっくりに設計されたアンドロイドに強大な運動能力を付与した場合、爆弾に匹敵するテ
ロ装置となりうる可能性が発生する。こうしたロボットには一般よりも高い水準の条件付けを行う事が
義務づけられている。
条件付けの水準が高くなるに従い、ロボットの心理特性や精神構造は、自然発生人から乖離する傾向が
あり、いわゆる「非人間的」なロボットとなる。
しかし、これらはロボット人権を侵すものであってはならない。
ロボットは、自身の意志で能力を放棄する権利を有する。
■ロボット保護義務
週一度はメーカー(炉ボコはタミヤバンダイ)のサーバにログ送信の義務。
プライバシーは保護されるが、暴力行為等の監視が行われ、警告三回で強制回収するシステム。
また、暴力に晒された際の処置として記憶除去が可能だが、ロボット自身の意志で手続きを行う必要がある。
■記憶除去の権利
ロボットは暴力や親しい者の死去等によるPTSDに対し、メンタルケアに相当する手段として、記憶除去
を申請する権利を有す。
しかし、彼等の自然発生人に憧憬を抱く風潮が阻害し、実施率は低い水準に留まっている。
■新法案
2×××年現在、自然発生人と生殖可能な筐体を認知する法案が論議されている。
製造後20年を以て、ロボット自身の意志により生殖可能な筐体へのスピリット移植を行う権利を有す事
が可能、とする法案であり、現政権の任期中での可決を目標に調整が進んでいる。近い将来、自然発生
人とロボットのカップルから子供が産まれる可能性が出てきた。
■スクール
メーカーの運営するハウスキーパーロボット専用のコミュニティスクール。
週3日20コマ、進級に必要な単位は850、三年で修了。
ロボットはスクールに通う権利を有するが、如何なる意味でも強制はされない。