完全に自分の趣味で世界を構成するのも悪い話ではないだろう。
人間の淘汰という重大な使命を負った者としては、そのくらいの遊び心があっても、何の罪もないはずだ。
それに俺は、人間だった時代は近代まれに見る、といわれるくらいの女好きだった。
だから、俺はそれにふさわしい世界を構成し、使命に貢献する、それでいいじゃないか。
繰り返しいう、俺は女好きだ、だから淘汰といっても・・・わかるよな?
殺しはしない、絶対にな。俺の手元においておくだけだよ・・・フフフ・・・。
「い・・・一体何?」
部活で遅れてしまって、すっかり遅くなってしまった帰途、突如発生した目の前の異変に、彼女は立ち尽くしていた。
目の前は、肉色を呈した太い紐状の物体、しかもその1本1本、ミミズのように蠢き、透明の粘液をしたたらせていた。
その一本一本は、ゆっくりとした動きで彼女に向かっていた。
とっさにきびすを返し、この得体の知れない物質から走り去る。迂回をして彼女の住んでいる女子寮へ逃げ去ることにした。
息も絶え絶えに、女子寮につく彼女、後ろを振り返る、何もない。どうやら巻いたみたいだ。
一安心して中に入る。と同時に食堂方面から悲鳴が聞こえた。急いで食堂に向かう彼女。
「み・・・みかぁ・・・」その悲鳴の主は、急いで食堂内にはいってきた彼女、美華に助けを乞う、美華は助けを呼ぶ彼女の状態を見て絶句した。
下半身が、なまこの化け物とも呼べる巨大な生物にすっぽり丸呑みされているのだ。
そして今も、口からはい出している触手と本体そのものの蠕動運動により、彼女の体を引きずり込もうとしている。
か細い声をあげながら、両手を使ってなんとかはい出ようとしているところを見ると、どうやら体は無事のようではあるが。
そんな惨状をみつつ、身をすくませながらも美華は、なんとかその親友、佳織を助けようと、そのはい出ようとしている手をつかむ。
と、その瞬間、背後から何本もの物体が現れ美華の四肢を瞬時に搦め捕った。「!」後ろを見ると、先程夜道で出会ったあのミミズ状の物体。そのさらに背後には、暗黒が広がっていた。
よく見ると、佳織を飲んでいるなまこの付け根も、同様の暗黒があった。なにこれ、いわゆる別世界からの住人て奴?
「みかぁ・・」目に涙をため、悲しげにいう佳織が怪物に飲まれていくのを見ながら、どうしようもなく触手に搦め捕られて行く美華。
佳織を完全に飲み込むと暗黒に消えるなまこ、同時に触手に完全に搦め捕られていた美華も暗黒に消えた。
無人の寮食堂に、テレビのニュースが流れ続けていた。
「ここ数日発生しております連続女性失踪事件は、未だ手掛かりの1つも見られず捜査は難航しており・・・」
目が覚めた、生暖かくて湿度の高い空気が辺りを包み、臭いわけではないがなにやら生々しい匂いが鼻腔を突く。
どうやら横になっていたらしい。目の前に広がる赤赤とした風景、視力がはっきりしていくにつれ、床が壁がはっきりする。
それはあたり一面、自分をさらっていった肉の紐と同じ物体で構成されていることがわかった。
そうして初めて、妙に生っぽく人肌よりあたたかめの感触を全身に感じ、体をとっさに起こす。
何も着ていない!美華は自分が何一つ身に着けていない姿であることにようやく気がつく。
周りを見回す、あたり一面肉、肉、肉。他になにもない。なんと、こんな場所で自分は裸で放置されてしまったのか。美華はしばし呆然とした。
と、そのとき、何か妙な声が、生暖かい空気に便乗してくぐもって聞こえ出す。人がいた! とにかく現状からの打破のために歩くことにした。
歩くたびに、踏んだ部分が柔らかくへこんでいき、ある種の弾力でもって足を包んでいくような、
それこそ肉のような感触を気にしつつ、とにかく声のする方向に向かっていく。
そのくぐもった声の正体が明らかになるにつれ、これは聞き覚えのある声だと言う事がわかる。
これは、佳織のものだ。よかった、無事だったんだ。声のする方向へ走る。
確かに、佳織はいた。
なにやら透明の袋に入っていた。
体中をなにやら妙な肉の紐でまさぐられ、揉まれ、すりつけられつづけていた。当然のことながら全身はぬれて光っていた。
そして彼女の足の間でうごめいているものをみて、ようやく彼女が何をされているかはっきりした。
この袋の怪物に、陵辱されている。
そしてその怪物のてっぺんである、その口を見て、その袋の正体が、
佳織を飲み込んでさらっていったあのナマコであることも、同時に気が付いた。
「はあっ、あっ、あはっ、ひあ、いあ、いあら、ひあ」
何度も何度も陵辱されまくったようで、普段おとなしい彼女からは信じられないほどの乱れた声が、その透明の袋から響き続ける。
足の間をうごめき続ける2本の物体は、明らかに膣だけでなく、その後ろの穴も突いてることがわかる。
よほど激しい攻めをしてるだろうことは、その2本の動きと、彼女の腰の動かされ状況で一目瞭然だ。
「いやら、いや、また、いぐ・・・もういくのやら、ひああ」
彼女の意思と関係なく、何度もイカされたらしい、息も絶え絶えの声は性感の声であったが、それは拒絶をいまだに訴え続けている。
「あっ、あっ、あっ、いあああああああああああああ〜〜〜〜〜っ!!」
ひときわ彼女の体がビクビクと波打ち、ぴんとはりつめ、やがてうなだれる。
袋の中の一連の動作を見せられ続けた美華は、呆然としていた。そうだ、たすけなきゃ・・・でもどうやって・・
袋を破壊しようにも、何一つ身につけていないしかも丸腰の自分では、袋の陵辱相手として1人加えることになるだけだ。
そう、まず何より自分が、そんな危機にいつさいなまれるか・・・
美華は、自分の身を心配しだした。辺りをうかがう、幸いあの袋以外何者もいないようだ。
ゆっくりと踵を返し、美華は歩き出す、この肉の世界、できるだけ壁に沿って歩くことにした。
元の世界に戻れる根拠もない、第一自分は裸だ。これ以上もない心細さだったが、今は歩くしかない。
「ひ、ひあああ、もうやめへ・・ゆるし・・・あああああっ!」
何度も行われただろう陵辱の再開が、背後で行われていた。
「たふけ・・だれかぁ、あんっ、あっ、はあっ、たふけて、あっ、はっ、みか、みかあぁ・・・」
助けを呼ぶ声が泣いていた、嬌声と涙声が混じってとても悲しげだった。
「佳織・・・ごめん!!」どうしようもない自分を呪いながら、泣きながら、美華は駆け出していた。
この先に、出口など元から存在しないことも気づかずに。