「・・・・・・奥田民生聴きたいですね」
「何の話だにゃあ?」
抜けるような青空の下、馬車がゆっくりと農道を進む。
地平線まで見える牧草地でちらほらと乳牛が草を喰んでいた。
思わず漏れた独り言に、擬装用の麦わらの上に乗った御主人様が聞き返した。
御者に退屈していた僕も思わず返してしまう。
「ハイロウズでも可」
「だから、何の話にゃ」
身を乗り出して御主人様が顔を出す。
「わわわ!御主人様荷物崩さないでくださいよ!」
「そんにゃ間抜けはしないにゃあ」
「そんな事言って山脈越えの時だって・・・・・・」
「そ、そりは・・・・・・って前!前!」
「え?うわあ!!」
馬車の前にはいつの間にか道に落書している子供達。
思わず手綱を思いっきり引いてブレーキをかける。
「にゃんとーっ!?」
その急ブレーキに耐えきれず、御主人様と麦わらと、隠していたマタタビの木箱が崩れてきて・・・・・・。
聞こえたのは、木箱が崩れる音、ビンが割れる音、それから御主人様の呻き声。
……やばい。完全にスイッチが入ってる。
「ご、御主人様……。目が、と〜っても、コワイですよ?」
「にゃふふ……そんな筈はないにゃ〜?」
慌てて駆け寄った僕を組み倒し、がっしり掴んだまま放さない御主人様。
思いのほか力が強く、地面に縛られたまま振りほどく事が出来ない。
そ、そうだ、さっきの子供達!!
急いで目を向けると、さっきの子達はこっちを心配そうに見ている。
全員、イヌの子供だった。助かった。
「ちょ、ちょっと向こうに行っててもらえる……かな?」
汗ダラダラの顔で訴えると、子供達はハッと驚いた顔をして、すぐにどこかへ走っていく。
よかったよかった。本当によかった。
「よかったにゃ。これで、こころおきなくエッチできるにゃ〜?」
にぱ。と微笑む御主人様の顔を至近で見せ付けられ、ただ僕は苦笑するしかなかった。
「あ〜んッ、すっごいにゃ〜奥まで当たるにゃ〜?」
初夏の太陽の下、御主人様は恥ずかしげも無く大声を上げる。
周りに人が居なかったのがせめてもの幸い。
居たら、恥ずかしいだけじゃなくて……ぜったい逮捕モノになる。
「ふぁん……にゃ、おみゃーも喘ぐにゃ〜?」
「む、無理です絶対!! そんな恥ずかしい事、人前で……」
「にゃ……。そのヒトマエで、こんな恥ずかしいモノで、
にゃーをぐちゃぐちゃにシテいるのに、恥ずかしいからイヤダにゃんて〜?」
騎乗位の体勢で組み敷かれた僕と上に乗った御主人様の結合部、
パンツずらしただけの御主人様に、僕のが飛沫をあげながら出入りして……
「ん、くッ……」
「にゃふふ。やーっと声をあげたにゃ〜?」
日向は熱いけれど、それ以上に熱い御主人様に締め付けられて、
「にゃ〜の、お○ンコ、そんなに気持ちイイにゃ〜??」
「や、だめ、そんなきゅって締め付けたら……ッ!!」
「いいにゃ〜? 出すにゃ〜? 全部受け止めてあげるにゃ〜?」
そのまま、ぎゅーって全身で抱きしめられた。
「にゃうん……。だいすきにゃ〜?」
うん。まあ、こういうのもたまには良いかなーって……
「で、これで何回目ですか?」
馬車にゆられながら、ふと聞いてみた。
アレからすぐに片付けてみると、割れたのは1ビンだけで、そんなにひどい被害では無かったようだ。
「にゃ……ええと……」
指を折々、数え始める御主人様。そうだ、今回の道中でもそれだけシてるんだ……。
「え〜っと、やっぱりハイロウズが聴きたいですね」
「だから、何の話にゃ!!」
「なんだって良いですよ。さ、今度こそ商品に傷を付けないようにしないと」
「う〜。わかったにゃ……」
渋々と麦わらの上によじ登っていく御主人様。
さて、今度は何時間もつのかなぁ。と嫌な汗を書きながら、
抜けるような青空の下、僕は手綱を持ち直した。