俺には、特技がある。  
催眠術、というのと似ているが、少し違う。どちらかと言うと、  
社会のルールを変えてしまう、というのに近いかもしれない。  
何、ほんの少しいじってやるだけだ。社会という奴は、もともと  
いろんな歯車を無理矢理組み合わせて動いてる馬鹿でっかい機械  
だからな。俺はその組合せを、少し変えてやるだけなんだ。  
 
俺は今、医者をやっている。そして、今日は担当の学校の  
健康診断の日だ。この学校では男子と女子の健康診断は  
別々の日に行われる。そう、今日は女子の日だ。  
ここまではまったく問題ない。だが、少し違う点があるとすれば、  
今日は日曜日だってことかな。  
なあに、ここの社会では一般的なことさ。  
…いや、一般的なことになった、というべきかな。  
 
今、この学校では、用務員や警備員なんて奴は一人もいない。  
残っているのは、少数の教員と、健康診断を受ける女子学生達と、  
俺だけだ。そりゃあ誰だって、健康診断する様子をを人に見られたく  
ないだろうさ。まったく自然な事だ。  
 
あと数分で、診察の時間だ。どれ、待合室の教室を見に行くとするか。  
 
待合室を開けると、いきなりむわっとした熱気が押し寄せて来た。  
待合室には、診察を待つ女の子がずらっと並んでいる。  
だが、彼女らの様子は、普段と少し違う。  
よく見ると、彼女らは一様に顔を火照らせ、身体のあちこちを  
いじくり回しているのだ。  
「……ぁ…はぁ……」  
「…んっ!…」  
「……ああん…先輩っ……」  
彼女らは思い思いの世界に浸りながら、一生懸命オナニーをしていた。  
部屋の中は、まだ年端もいかぬ乙女たちの醸し出す匂いで満ち満ちている。  
そんな中、一人だけ平然とした顔で、女の子達の間を回って、声を  
張り上げている女がいた。  
「はい。そろそろ診察ですからねー。みんな、ちゃんと濡らしておいて下さいね。  
やり方わかんない人いるー?いたら私に声をかけて下さいねー」  
彼女はこの学校の教師。この日は原則として、教師は全員学校を  
休まなければならないが、彼女らの健康診断を指導するため、特別に  
来てもらっている。  
「イカないように気をつけてねー。イク寸前で止めてください。  
上手く出来ない人は先生が見てあげますからー」  
 
俺は彼女に近よって、声をかけた。  
「そろそろ時間ですので、チャイムが鳴ったら一人ずつこちらに  
呼んでください」  
「あっ、先生。わかりました。こっちの方は大体、準備できてますので」  
「ご苦労さまです」  
 
異常だって?そうでもないさ。診察前に準備しておくのは、当り前だろ?  
 
 
俺は診察室となった教室に戻り、椅子に座って準備を行った。  
やがてチャイムが鳴り響いた。そして、しばらくして、  
扉がギイ…と空いて、最初の診察者が入って来た。  
 
「あ…一番。青山由紀です…」  
おお、少し大人しそうだが、なかなかの顔つきの子だ。  
さっき扉を開けたときに、一番前でぎこちなく胸を触ってた子だな。  
少しドキドキしながら入って来るのがわかる。  
まぁ、誰だって最初の診断は緊張するもんだ。  
歩きながら、時おり下半身を気にしている。  
下着が濡れているのが気になるんだろう。  
「心配しないで…はい。そこに腰かけてください」  
俺はやさしく声をかけ、椅子を指した。  
 
「それでは診断を始めます。…まず最初に。青山くんは、処女ですか?」  
「…あ、ハイ。そうです…」  
…見た感じから、半分予想通りではあったが…  
初っ端から面白いことになりそうだ。  
「ふうん。それじゃ、オナニーとかはしたことある?」  
「…えっと、さっきのが初めてで…」  
顔を真っ赤にしながら、答えている。  
どうやら、まったくそのへんはウブなようだ。ちょっと珍しいかも  
しれないな。  
 
「へえ…気持ちよかった?」  
「あ、はい…最初は良くわかんなかったんですけど、あ、あの、先生が  
やり方とか教えてくれて、それでなんか…友達のこととか考えて…  
それで…」  
一生懸命喋っている。が、喋っているうちに、段々その友達のことを  
思い出して、恥ずかしくなってしまったようだ。  
 
「そうか。その友達、好きなの?」  
「…えっ!…あ…いや…えっと…好きだったっていってもあの…  
あんまり会ったこととかないし…大体見てるだけで…」  
真っ赤になりながら、手を動かしている。ちょっとコミカルでもある。  
俺は質問を畳み掛けてみた。  
「ふうん。そうか。…その友達と、エッチしたいとか思った?」  
「え!…っと…まだそんなんじゃなくて…  
その…ちょっと恐いし…それは診断の日の後がいいって思ったので…」  
そう、診断の日。それが今日だ。  
 
未成年の性の乱れを避けるため、若いうちから性教育を教え、  
童貞処女などを一律して無くすための画期的なシステム、それが  
診断の日というわけだ。  
そう、俺はなにもスケベ心でここにいるわけじゃない。これはそういう  
システムなんだよ。社会が俺を呼んでいるのさ!  
…なんてな。  
 
「それじゃあ、時間も無いし、そろそろ始めようか」  
 
俺はそっと立ち上がると、彼女を見下ろして言った。  
「君はいま男の人といっしょの部屋にいる。そして君は  
エッチなことをしてもらいたがっている。さて、まず相手に  
なんて言えばいいでしょう?」  
「…えっ…と…わかりません…」  
ありゃ、考え込んじまった。しかたない、リードしてやるか。  
「わからない?…そうだな。じゃあ、まず君の場合だ。  
そういうときは、男の人に静かに近よって、腕を回して  
抱き付きながら、上目使いで相手を見て、『抱いてください…』って  
言うんだ。やってみて」  
「…あっ…ハイ」  
彼女は、よろよろと近付いて、俺におそるおそる近付くと、ぎこちなく  
手を伸ばして、俺を抱きしめた。つつましい胸が俺に触れた。そして、  
上目使いで俺を見て、言った。  
「…だ、抱いてください」  
うーん。  
「もうちょっと、感情を込めて。なんていうのかな、本当はすごく  
恥ずかしいんだけど、彼のためなら一生懸命やる、って気持ちで  
頑張って。そう、友達の事とか思い浮かべて」  
友達とやらの事を言った途端、彼女の表情が変わった。そして、  
しばらく逡巡したあと、目を潤ませながら、俺を上目使いで見て、  
せつなそうな声で言った。  
「…抱いて…ください…」  
おおっ、なかなかのもんだ。  
「…よ、よしOK。じゃあ、服を脱いで」  
 
「次、脱ぎ方だけど、男の人の前で服を脱ぐときは、なるべくいやらしく  
脱ぐこと」  
「…え、い、いやらしくって…」  
制服のボタンを外す手がピタリと止まってしまった。やれやれ。  
「そういうときは、まず相手の目をずーっと見る。そして、相手が見ている  
身体の場所を、なるべく前に突き出すように、『もっと見てください』って  
おねだりするように脱いでくんだ。とにかく相手を意識すること。そうすると、  
自分ももっと気持ちよくなれるから。わかった?」  
彼女は目をつぶりながら、しばし考えていたが、やがて俺の目を見ながら、  
制服を外し始めた。  
俺は彼女の胸のふくらみをじっと見ていた。やがて彼女は慌てたように、  
胸を突き出して、ブラウスのボタンを外し始めた。  
 
「いやらしいよ、由紀ちゃん」  
それを聞くと、彼女は真っ赤になって、目を閉じてしまった。  
「目を閉じないで、俺を見て。そして、見られている場所に意識を  
集中するんだ。そうすると、だんだんそこが、触られているみたいに  
気持ちよくなって来るから」  
彼女はまた目を開け、一生懸命俺を見て、震える手でブラウスのボタンを  
外し始めた。  
 
教室で黙々と向き合う俺達。俺は、ブラウスのボタンを外す彼女の指を  
凝視していた。由紀は緊張しながら、ボタンを一つずつ外していった。  
やがて彼女の顔がだんだん上気してきて、息づかいが荒くなっていく。  
そして、ブラウスが落ち、スカートに手をかける頃には、彼女の胸の  
小さなつぼみは、ブラの上からもしっかりわかるくらい、立って来た。  
緊張しているのだろう。  
 
そして、彼女はスカートを脱ぎ捨て、ブラとパンツだけの姿になった。  
口はきゅっとしまって、目は落ち着かない様子で動いていた。  
「…ぬ、脱ぎました…」  
ややかすれた声で答える由紀。初々しい反応だ。  
 
‐これから、もっといろいろ教えてやろう  
俺は心の中でほくそ笑みながら、由紀に近づいた。  
 
「ようし、それじゃ次は、準備の時間だ。男の人とする前には、  
必ず身体をあっためとかなきゃいけない。水泳の前に準備体操する  
ようにね。わかる?」  
「は…はい」  
「どうやって体を温めるか、わかる?」  
「えーっと…こすったり…お風呂入ったりとか」  
俺は笑って答えた。  
「ちがうよ。だって由紀ちゃんは、一人じゃないでしょ?」  
「えっ!…は、はい」  
「だったら、体だけ暖まったってだめだね。心からあったまらなきゃ」  
「えっと、でも、どうやって…」  
俺は顔を近づけた。  
「さっきのオナニーは思い出せるね?じゃあそれをまたやってみて」  
 
由紀は少し顔をそらし、やがておずおずと胸に手を伸ばした。  
ぎこちなく手を動かす由紀。俺はその様子を楽しみながら、  
声をかけた。  
「あんまりうまくないね」  
「あっ!えっと、ごめんなさい」  
とっさに謝る由紀。俺はさらに助言を続ける。  
「自分が今、何をやっているか口に出してごらん。  
そうすれば、相手も由紀ちゃんの事がもっとわかりやすくなるからね」  
「わ、わかりました。私は…えーっと、今、胸をいじってます」  
「胸の、どのあたり?」  
「えっと…ち、ちくびのあたりです」  
「そう。そこは気持ちよくなる部分だから、しっかりと  
いじってみてね」  
由紀はそれを聞き、一生懸命手を動かした。  
 
「それじゃあ次は、下の部分も弄ってみようか。」  
由紀は左の手を下に伸ばして行く。  
 
「ほら、今どこを弄っているのか、ちゃんと言わないと」  
「は…はい。えっ…と、私は、い、いま、お、お…」  
「ちゃんと言わないとわからないよ」  
「はい…お、おまんこを弄っています」  
「おまんこのどこらへん?」  
「えっ…と、あ…い…いりぐちの…あたり…」  
「そう、男のひとのおちんちんが入るところだね。男のおちんちん、  
見たことある?」  
「あ…な、無いです」  
「そう。たとえばこんなだけど」  
俺はそう言って、ズボンをずりおろした。  
由紀は突然出された物にびっくりして、口を開けている。  
「あ…あ…」  
「手を休めちゃだめだ」  
「は、はぃ…」  
 
「由紀ちゃんがそうやっていやらしいことをすればするほど、男の人の  
おちんちんはこうやって固くなってくるんだ。友達のおちんちん、想像できる?」  
「え…えっ…」  
「じゃあ想像してごらん。由紀のおまんこの中に、友達の固くなった  
おちんちんがゆっくりと入って来るところ」  
由紀はそれを聞くと、ビクっと身体を震わせた。心なしか、目がうわずって  
来ている。そして、由紀の手の動きが早くなって来た。彼女の下着は、やや  
染みのようなものも見える。  
「へえ、感じやすいんだね」  
「あ、ごめんなさい…」  
「いや、感じやすいのはいいことなんだよ。男の人がすぐに  
由紀ちゃんの中におちんちんを入れられるようになるからね」  
「そ、そうなんですか…」  
 
「おっと、そこでストップ」  
俺は時計を見て言った。  
「よし、そのやり方を覚えておけば、君の言う友達と会ったときも、  
もう大丈夫だ。本当はもう少し教えなきゃいけないことがあるんだけど、  
次の人がまってるし、そろそろ『注射』の時間にしようか」  
俺がそう言うと、彼女はビクッと震えた。一瞬にしてまた緊張感が  
戻ってしまったかのようだ。  
「…あ、えっと、でも心の準備が…まだ…」  
「つき合いたいのは山々なんだけど、こっちも仕事だからね」  
言いながら、俺は彼女に近付く。彼女が軽い悲鳴をあげた、後ずさった。  
下着姿で仔羊のようにおびえる少女の姿を見ながら、俺は言いようの無い  
嗜虐感に捕われた。それを隠しつつ、あえてやさしい調子で声をかける。  
「さ、由紀ちゃん。こっち来て」  
彼女は立ったままもじもじしている。俺は急いで彼女に近付くと、  
彼女を乱暴に抱き寄せた。  
「…い、いや…」  
そして、そのままブラをむしり取る。  
「やっ、やめてー!!」  
つつましやかなオッパイが現れる。俺はそのまま彼女を押し倒すと、  
彼女のじっとり濡れたパンティを無理矢理引っ張った。  
「や、やあーっ!!」  
彼女は一生懸命暴れたが、所詮は女の子。それに先生に向かって暴力を  
振るう勇気は無いようだった。  
一瞬にして彼女の、まだ未発達な割れ目が晒される。由紀の毛は少なく、  
秘所はぴっちりと閉じていた。  
俺は彼女のパンティをそのまま足首にかけると、彼女の両腕を抑え、  
ギンギンと勃った自分の物を押しつけた。  
「それじゃあ、挿れるよ」  
「や、だ、だめーっつ!!」  
彼女は俺の身体のしたで必死に身を動かし、俺の物を入れさせまいと  
頑張っていた。ビンタでもして無理矢理犯してしまうのは簡単だが、  
体罰に訴えるなど、教育者としてやってはいけないことだ。  
俺は、彼女を抑えていた力を抜くと、立ち上がり、大声で先ほどの  
教師を呼んだ。  
「すいませーん。ちょっと来てくれますかー!」  
「はーいー」  
彼女はすぐにぱたぱたとやってきた。  
 
やってきた女教師は一瞬で状況を判断し、  
「あーどうもすいませんねー。まだ慣れない子もいるんですよー」  
と俺に向かって言った。  
「いや、こちらこそすいません。申し訳ありませんけど、ちょっと  
言ってあげてくださいますか」  
俺は彼女を女教師に預けた。  
そこから、彼女の説教が始まった。  
 
「…だからだれでも最初の『注射』はいやがるのよ。痛いのは  
わかるけど、みんな経験することだからね」  
「…今やっておくと、後で本当に好きになった人が出来たとき  
後悔しないから」  
「…先生も診断の日にはそりゃあ痛がってずいぶん騒いだんだけどねー。  
でも、後であのとき、ああやっといてよかったーって思ったわけよ」  
診断の日の大切さを、自らの思い出を交えて、滔々と語り出す女教師。  
その流暢さには、俺も驚いた。由紀も、さっきよりおとなしくなって  
聞いている。俺も苦笑を押し隠しながら聞いていた。歯車は彼女の中で、  
うまく回ってるようだ。  
…まぁ、その日は『さっき作られた』んだがな。  
 
彼女の説教は、それから何分にもわたった。  
 
 
「…やります…私…」  
合計で10分近くに渡る、女教師の機関銃のような説教を聞いた後、彼女は  
こくりとうなずいた。  
「うん、うん。わかった?そう、それじゃ、頑張ってね」  
「…はい」  
俺はそれを見て、由紀に声をかけた。  
「よし、いいんだな」  
「……お願いします…」  
「どうもすいません先生。でもちゃんと言っておきましたから。ほんと  
ごめんなさいねー」  
横で女教師がひたすら謝っている。いい加減面倒くさくなったので、  
丁重に礼を言って、帰ってもらった。  
 
さて、いよいよだ。  
----  
 
 
「よーし、それじゃ、挿れるぞ」  
「…はぃ…」  
消え入りそうな声で、ガクガクと震えながら、俺の方を見ている。  
真っ赤に泣き濡れた顔が可愛らしい。  
彼女はさきほどの説教で、すっかり乾いていたようだったが、俺は  
やむをえず、突っ込む事にした。  
「いくぞ」  
声をかけ、一気に身体を沈める。メリメリっという感触が感じられ、  
一瞬の後に彼女の絶叫が響いた  
「いやあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!」  
その悲鳴は教室に響き渡り、となりの部屋から漏れ聞こえていた雑談は、一気に引いた。  
 
「いやっ!!痛いっ!!抜いて、抜いてえっ!!」  
静かになった教室に、由紀の声が響きわたる。  
その悲鳴を聞きながら、俺は一生懸命に腰を振る。  
最初はぎこちなかった抽送も、彼女の残っていた愛液と血によって、  
少しずつ滑らかになっていった。  
なに、鬼畜野郎だって?何を言っているのかね。  
これは『仕事』だよ。  
「やぁ!!やめて!痛いよう!痛いー!」  
由紀は叫び続けたが、俺は構わず『注射』を続けた。これも先生の愛情だ。  
それから俺は、なんとかして抜け出そうとする由紀の腰を、がっしりと  
掴んで抽送を繰り返し、まだ未開拓だった彼女の身体をたっぷりと楽しんだ。  
 
やがて、抵抗するのを諦めたのか、あるいは現状を受け入れたのか、由紀は  
暴れるのをやめ、ただ俺の思う通りに身を任せ始めた。  
そしてしばらくすると、彼女の涙も枯れてきたらしく、気がつくと教室には、  
時おりしゃくりあげる彼女の声と、俺の腰を動かす単調な音だけが響いていた。  
俺は彼女に声をかけた。  
「もう、大丈夫かい?」  
彼女は、ゆっくりと涙を拭いながら答えた。  
「…はい、なんとか…」  
「そうか。これで君も大人の関門を乗り越えたわけだ。さ、笑って」  
「…あ、はい…」  
由紀は顔を落としている。俺は、腰をゆっくりと振りながら答える  
「これで、友達とするときも、大丈夫だよ」  
「…あ、あは…」  
彼女に少し笑顔が戻って来た。  
 
それを見て、俺は声をかけた。  
 
「なあ、ところで、ちょっと本当の話をしてもいいか?」  
「…ぇ…?」  
由紀は、きょとんとした顔をした。  
「本当は…『診断の日』なんて無いとしたら、どうだ?」  
突然口調を変えた目の前の男を見て、由紀は、なにがなんだかわからない、  
という顔をしている。  
「今日の出来事が、全部作り物だとしたら、どうする?俺が先生じゃなかったら、  
どうする?本当は、一人の男が、ふらりと高校にやってきて、そこに通ってる  
まだ若い女子高生を、手当たり次第にレイプしているだけだとしたら?」  
「…よく…わかり…ません…」  
由紀は何かを思い出そうとしているような顔をしたが、どうしてもわからない  
ようだった。  
 
 
俺は、彼女の歯車だけを、元のものに組み換えた。  
 
 
一瞬にして、由紀は全てを悟った。そして直後、俺の顔を見ると、  
顔を愕然とさせて叫んだ。  
「あ、あなた誰!な、なんで私…私…裸…」  
「はっははははは!君が大切にしていた処女は、もう俺が奪った後だよ。  
いやー!初体験がこんなんで、残念だね」  
「は…はつ…たい……けん…」  
彼女は弾かれたように自分の身体を見た。そこには、華々しく処女を散らした後の  
血痕と、まだ彼女に突き刺さったままの俺の肉棒があった。  
「あ…あ…いやああああああああ!!」  
先ほどとは種類の違う絶叫が響き渡る。由紀は顔をぱくぱくさせて、助けを求めた。  
「やっ、やあーっ!誰かぁ、誰か助けて!先生、先生!助けて、助けてよ!」  
 
壁の向こうから、のん気そうな声が聞こえた。  
「だいじょうぶですかー?」  
「あ、大丈夫です。もうすぐ終わりますから」  
俺は間髪入れずに答えると、彼女の耳元にそっと近付き、ささやいた。  
「無駄だよ。おまえ以外、誰も気づいてないからな」  
「う、うそっ…!」  
彼女の顔が真っ青になる。そして一瞬の後、彼女はさらに大声で叫んだ。  
「逃げてっ!逃げてえっ!かなえ!みか!犯される!犯されるよう!」  
壁の向こうから、かすかに笑い声が聞こえて来る。  
「まだ騒いでるよ、由紀」  
「臆病なんだから」  
「あたしずっとまってるのに…んんっ…」  
「あんたさりげにイキ過ぎだから」  
どっと笑い声が聞こえて来る。  
「な…なんで…」  
「あきらめろ。大丈夫だ。お前の大好きなかなえちゃんやみかちゃんも、後で  
しっかり『犯して』やるから」  
追い撃ちをかけるように、俺は彼女の顔に向けて、ゆっくりとどめの言葉を放った。  
由紀はそれを聞いて、絶望したように顔を覆い、再び泣き始めた。  
 
「しかし運が良かったな。君の友達より先に楽しめて嬉しいよ」  
由紀は再び顔をゆがめた。  
「まあ、先にセックスの練習が出来て良かったよな!」  
俺は気にしないそぶりで、さらに腰を突き出す。  
「…う…」  
「あれ、ショックが大きかったかな?」  
由紀は突然大声を上げた。  
「嘘!嘘っ!全部嘘なんだから!助けて、助けてよっ!!」  
大声で叫ぶ由紀。俺はそれを眺めながら、声をかけた。  
「ふうん、助けてほしいか…」  
「もうイヤっ!…イヤ、イヤ、イヤアッッ!!」  
俺から半分顔を背けながら、彼女は首を左右に振っていた。  
 
俺は彼女の歯車をまた組み換えた。  
一瞬にして彼女の顔が緩み、瞳がぼける。  
 
俺はまた声をかけた。  
「どうしたの?なんかぼうっとしていたみたいだけど…」  
「…あっ…なんだか…ちょっと恐い夢を…見てたみたいで…」  
息を荒げながら、答える由紀。心のスイッチが変わったが、  
身体だけが追い付いていないのだろう。  
「そう。でも、大丈夫だよ。もうすぐ終わるから、ね」  
「あっ、ハイ…」  
ゆっくりと息を落ち付けさせる。  
 
「じゃあ、最後は自分で動いてみて。エッチするときは常に、相手が気持ちよく  
なるようにこころがけること。ありがとう、っていう気持ちを忘れないことだね。  
じゃあ、言ってみて」  
「あ…いろいろ教えて頂き、ありがとうございました」  
ほう、ずいぶん言えるようになったな。  
「そう…そういう気持ちが大事なんだ。じゃあ上になって、腰を動かしてごらん」  
彼女はゆっくりと腰を上下に振り始めた。  
「…おっ…上手くなって来たな。そう、常に相手の様子を見て、相手が気持ちよく  
なることを考えること。エッチして『もらってる』っていう気持ちを忘れないことだね」  
「…あっ…はい…っ…」  
由紀は、俺の物をくわえながら、一生懸命うなずく。  
頬にはわずかに、さきほどの泣き跡がみられるが、彼女がその理由に気づくことは、  
もう、ない。  
‐男に奉仕することを、最後まで覚えてもらおうか。  
 
「そう…おおっ…いいね…。気持ちイイかい?」  
「…す、少し…」  
「そう。いいね。それじゃ、声に出して『気持ちイイ!』って叫んでごらん」  
「…き、気持ちイイ…」  
「…う、いいぞ…これからは…毎日、今日やったことを思い出して…寝る前に自分で、  
オナニーしてごらん。そうすれば…どんどん気持ちよくなれるから」  
「…あ…はい。オナニーします…」  
「友達の事を考えながらやってごらん。そうすれば、上手くなるから」  
あそこがきゅっと締まる。  
「…お、おおっ…よし。それじゃ、今から、俺をイカせてごらん、ほら」  
 
由紀は戸惑いながら、やがてゆっくりと腰をまわして動き始めた。  
「…あっ……気持ちイイ…気持ちいい…」  
時おり思い出したように、由紀は『気持ちイイ』という言葉を繰り返す。  
「…気持ちいい…気持ちいい…」  
そして、言いながらだんだんと興奮して来たかのように、グラインドの  
動きが速くなっていく。  
「気持ちいい…気持ちイイ…気持ちイイ!」  
言いながら、どんどん動きが速くなっていく。いまや由紀は目を閉じて、  
ひたすら身体をそらせながら、一心不乱に身体を動かしていた。  
 
「よし、行くぞ!」  
俺は、由紀の腰をつかみ、彼女を引き寄せると、自らの精を彼女に向けて放った。  
 
 
行為が終わった後、着替え終わった彼女に向かって、俺はコンドームを手渡した。  
「はい、これ。診断の日を終えた記念品だから、しっかり持っておくんだよ」  
「…はい…ありがとうございます」  
彼女は乱れた髪のまま、俺の精液が入ったコンドームを丁寧に受け取った。  
 
「それじゃ、また。今日教わったことを忘れないでね」  
「はい。ありがとうございました」  
ぺこんとおじぎをして、彼女は教室から出ていった。  
いずれ、俺がまた歯車を組み換えたとき、彼女は自分の部屋に飾ってあったコンドームを  
見て、たいそう驚くに違いない。そんなことを考えながら、俺は入口に向き直った。  
 
 
「次の人、どうぞ」  
 
 

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