このディスコには様々なヤツが集う
白い粉をストローで吸い込み、頭の細胞を壊すヤク中
口のところに矢印とINという刺青を入れたギャング
中だしスカトロSMなんでもありで両手両足の無い娼婦を売る中国人
血と腐肉と暴力の世界、今も俺の後ろで殺し合いをする悲鳴がする
「脱走兵がこんなトコでディスコなんざやるからだ」
俺は意味の無いつぶやきを漏らす
「その脱走兵の息子のカウンターに逃げ込むなんざいい度胸だなぁken」
「仕方がねぇだろ腰ヌケ、黄色は臆病の色じゃなかったか?
お互い様だろミック」
俺は銃まで使い始めたケンカから逃げ、バーの内側でビールを口に入れる
間に入る銃声に聞き慣れたものが入る
「おいミック、おめぇのスパス使われてんぞ」
「勘弁してくれ」
「つくづく不幸な店だな
我等が父よ、このクソッタレな店に幸せな最後をお与え下さい」
面白半分に十字をきる
「ken、おめぇ余程アナルにウォッカ突っ込まれてぇみたいだな」
「うわおっかねぇ、泣きそうだ」
俺はそう答えるとカウンターから少し頭を出してバカのケンカを観察する
「覗き屋は早死にすんぜ」
「オメェのスパスが大活躍してるか見てんだよ」
「活躍しなくていいからこっからトリガーの軽いバカは出てけ」
「俺じゃなくてあいつらに言えよチキンめ」
やたらとドンパチが多いこの店じゃあ潜望鏡は大活躍する
俺は潜望鏡でバカの姿を確認。ってなんだありゃ!?
「おいミック、誰だあの女」
おいおい、バカのケンカのド真ん中にビリヤード台の上で呑気にワインをラッパ飲みしてるよ
こりゃ余程ブッ飛んだヤローか頭の風通しのいいやつのどっちかだな
「んぁ?何だよken
ここで裸のパーティでもおっぱじめたクソッタレでもいたか?」
「そっちの方がナンボかマシだぜ」
俺はミックに潜望鏡を渡す
「何だあの女?
ヤク浸けでイカれたか?」
「おいミック、このケンカ終らせてやるからよ、俺の借金チャラにしねぇか?」
「バカ言え
あんな大金逃してたまるかよ」
「このままブッ飛んでも良いのか?」
お、悩んでやがる悩んでやがる
「だぁーークソッタレ!!!!!!
半額だこの野郎!!!!」
「中々話がわかるじゃねぇか
OK! やってやるよ」
俺は手近にあった冷蔵庫の蝶番にグロッグを打ち込んで盾代わりにする
「何やってんだこのタコ!!!!
とうとうその小せぇドタマに蛆でも湧き始めたか?」
「まぁカタイこと言うなよミック
ショボいホワイトカラーみてぇだぜ」
「今まで何回修理してると思ってんだ!!!!
今度は木の板の代わりにテメェを打ち付けるぞ!!!!」
「そいつはおっかねぇ
泣きそうだ」
冷蔵庫の盾持っといて正解だったな
立ち上がった途端バカバカ弾がバンバン当たって来るぜ
そうボヤボヤしてらんねぇな
「レディースアーンドジェントルメーン!!!!
JAPの真髄、クソッタレのSashimiショーの始まりぃ!!!!
巻き込まれたくなきゃその汚ねぇツラかばっとけぇ!!!!」
天井で回ってるプロペラの根元にグロッグ撃ちこんで落っことしゃすぐに一丁上がりぃ
その程度に気を取られてるバカは頭が涼しくなっただけでもありがたく思え
「ほれ、片付いたぜ店長」
あ〜ダメだ、ちょっと暴れただけでブッ倒れてやがる
仕方がねぇか、今度はこっちの女だ
「お怪我はありませんか姫様?」
ワザと気取ってみる
遠くで見たときゃわからなかったが結構可愛いじゃねぇか
だけど黄色猿にしちゃちと肌がしろいな
肩まで伸びた黒髪がそのギャップでもう誘ってるとしか思えん
無反応の女にもう一度話しかける
「お怪我はありませんか姫様?」
で返ってきたのが
「あいきゃんとすぴーくいんぐりっしゅ」
はぁ?こいつ今なんつった?
英語が喋れない?
「ブハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!」
「おいken、日本人だろ? 日本人落とすなら日本語使え!!」
「それともアレか?
ハワイに長く居すぎて日本語忘れたか?」
周囲から放たれる野次、野次、野次
「今口動かしてるヤツは頭からクソ捻り出してぇって解釈していいか?」
ようやく黙りやがった、クソが頭に詰まったみてぇなジョークばっか垂れやがって
「おい、助けた騎士に礼もなしか!?
日本のBushidoはそんなモンだったとは知らなかったぜ」
呆れ顔で何処へ行こうってんだ女
お勘定は済んでねぇぞ、酒の方も体の方もな
「あんたたちみたいなバカの巣窟に来たのが間違いだったわ
サヨナラ、エセ猿」
何だよ、英語喋れんじゃねぇか。こりゃ話が早い
「おいおい、嘘はいけねぇな、お嬢さまよォ」
俺は女の前に周りこんで足止めする
「ちゃんと俺の話を聞け
ママに言われなかったか?」
ケッ、あくまでシカトこきやがるかこのクソッタレ
女の目の前の壁にケリ入れて無理矢理止まらせる
これがホントの足止め、ってか?
「テメェよォ
さっき俺のことなんて言った?」
今回はマジだぞコラ
なんつったって俺様が一番嫌いな言葉吐いたからなぁ
「もう一回さっきの言葉言ってみろこのクソッタレ!!!!」
あくまでその姿勢貫くかこのクソアマ
結構だよ、こっちもやらせてもらうぜ
オードブルに腹にフックはどうですかねクソッタレJAP
腹を抱えて苦しむ女の顔にミドルキックを打ち込む
「テメェ今猿って言ったよなぁ、あぁ!?」
女の長い黒髪を掴んで無理矢理立たせる
「俺ぁな、この世で許せねぇものが二つある
一つは核ボタン持ったクソッタレ
もう一つは俺を猿って言うクソッタレだ」
こいつの口を開いてグロッグを咬ませる
俺はグロッグの引金を引く
ぱん、という乾いた音と同時に女の後ろの壁に血の残酷な絵画が出来上がった
「ケッ」
俺はツバを女の顔にかけてディスコへ戻る
「おいチャン、死体処理頼めるか?」
まったく、隅っこでガタガタ震えてやがって、こいつ本当に処理屋かよ
「何が起きた?」
どっかの怯えた動物みてぇにそろそろと首をあげるその仕草やめろ、キモイから
「涼しげに伸びてるバカと輪切りになったバカと
俺様を怒らせたクソッタレJAPの三人だ」
「日本人? どこだそりゃあ」
「ん? あっちで頭冷やしてんじゃねぇのか?」
まったく、なんだよ、JAPに知り合いでもいたか?
俺はチャンをあの女のところまで連れていく
で、チャンが女を見たときの一言
「なんだよコイツ…
なんでここにいるんだよ」
「なんだチャン、オメェ知ってんのか?」
「知ってるも何も
コイツ俺の達磨屋の商品なんだよぉ!!!!!!」
達磨屋? あぁ確か両手両足を切られた女売ってるとこね
「だとしたらコイツは……まさか……
チャン
これ俺の予想なんだけどよ
コイツ人間じゃねぇような……」
「よくわかったじゃない」
こ、コイツ喋った……
死んでんじゃねぇのかよ
つーか大人しく死んでてくれよ
「逃げろぉぉぉぉ!!!!」
ヤベェ、女の頭がどんどん元の形に戻っていきやがる
とりあえずミック起こさねぇと
「おいミック!!
起きろ!! 死にたく無ければ起きろ!!!!」
「んだよken、テメェまた壊しやがって!!」
「あぁわかった話は後で聞くからとりあえず今は逃げよう」
「どうしたんだよ
血相変えやがって」
「俺が説明してもらいてぇよ。ホラ行くぞ!!!!」
「裏口は何処にあるんだ?」
「あぁ二番目の棚の横に……ってコラァ!!!!
俺の店を壊すなぁ!!!!」
「あったぜ、ミック、オメェは俺の最高の友だ」
「あぁわかったよ
お願いだから壊さないでくれぇ!!!!」
「おいチャン!! こっちだ!!」
「わ、わがっだ」
泣きべそかいてんじゃねぇよチョンが
オメェ以外にあいつの情報持ってるやついねぇんだぞ、死ぬなよクソッタレ
「どうしたんだよそんなに慌てて」
「ワリィけどなエンリコ、オメェを巻き込みたくはねぇ
だからあのディスコにいろ」
「思いっきり逃げる体制で何言ってやがる
死にたくねぇから俺ァついてくぜ」
ちくしょう、なんでコイツまで
ついてね……
うぉ、ディスコから爆発音
「何だぁ?」
「仕方がねぇ
逃げるぞ!!!!」