「…先生、だ」  
思わず口にした。周囲には誰もいないのに。  
涼みに入ったデパートで、隆也が女子生徒に手を引かれていた。顔は知っているが名前は知らない。  
たしか3年生だったと思う。  
二人がいたのはよりによって水着売り場で、華やかな女性物の水着を物色している。  
大胆な水着を体に当てて笑う女子生徒に、隆也も笑いながら何か言っている。  
隆也がもてることは知っている。学校でも、男女問わず生徒に囲まれていることが多い。  
「………」  
足早に、逃げるようにその場から離れた。  
隆也が笑っているのを見たくなかった。  
これが学校の中でなら、きっと我慢できたのに。  
苛立ちだけで家に帰ったが、自室に足を踏み入れた途端涙が溢れてきた。  
バカだ、と自分を笑う。  
きっと隆也は無理やり連れまわされているだけで、人が良いからああやってのん気に笑っているだけで。  
きっとそうなんだ。それなのに。  
「…ぅ…っ」  
ベッドに倒れこむ。頭にくるくらい温かい布団に涙がしみこんで、こんなときだけ吸水性に感謝する。  
わけがわからない。このくらいのことで泣くなんて。  
携帯が鳴った。  
隆也からの通話の着信音だ。この音が鳴るたびにドキリとする。  
何度聞いても慣れなくて、心臓に悪いので普通の着信音にしようと思うのにできずにいる。  
今は、出たくない。枕に顔を押し付ける。  
十数回はコールがあっただろうか。着信音は鳴り止んだ。  
「…馬鹿」  
誰に対して言ったのかもわからない。そのくせ、言った途端にまた涙がこみあげてきた。  
「………っ」  
感傷的な気分なんてお構いなしに、外では蝉が鳴いている。  
 
気温は体温並で、まだ窓も開けていない部屋はサウナのように暑い。  
それでも、温かすぎる布団に身を沈め、枕に涙をしみこませていた。  
じわじわと、汗が噴出す。堪えきれずに顔を上げ、立ち上がった。  
そうだ、暑いのに耐えられないからベッドから降りたんだ。そう自分に言い訳して、窓を開ける。  
放り出したままの荷物を拾い上げ、”仕方なく”携帯を手に取る。  
画面を見れば間違いなくそこには隆也の名前がある。  
唐突に(携帯なんてものは大体がそうだが)携帯が鳴った。あの着信音で。  
反射的に通話ボタンを押してしまう。しまった、と思ったが遅かった。  
耳に持ってくる前に、慌てた声が聞こえてきた。  
「司?お前いまどこにいる?」  
「…え…」  
自分の声が泣き声だったことに気付く。気持ちを落ち着けようと、ベッドに腰掛ける。  
「…あ、家に、いますけど…」  
「あぁ…そっか。うん。さっき鳴らしたんだけど気付かなかったか?」  
罪悪感に胸が痛む。  
「いえ…ちょっと、手が離せなくて」  
「そうか。あのな、さっきお前のこと見かけたんだけど、探してもみつからなかったから…もう帰ってたんだな」  
「…はい…」  
司の声がいやに低く小さいことに、隆也はようやく気付いた。  
「…あー、その、だな。暇ならこれからどっか行かないか、って誘うつもりだったんだけど…機嫌悪いのか?」  
司が嫉妬に胸を痛めていたなんて、想像もつかないのだろう。それが当然かもしれないが、それでもカチンときた。  
「いえ、別に」  
今度は確実に声にトゲが含まれている。  
「別に、って…怒ってるな。何かあったのか?」  
てめぇのことだよ、といささか口汚く心の中で罵って、どうやってこの怒りを伝えようかと考える。  
「別に何も。でもそうですね、俺、機嫌悪いみたいだから、これからどっか行ってもこのままかもしれない」  
電話の向こうで隆也が頭を抱えているのがわかる。司がこんなに機嫌が悪いのは初めてのことだ。  
もっと困ればいいんだ、と思う。こんなことをしてもどうにもならないと、本当はわかっているのに。  
「…なぁ司…少し、話がしたい」  
「してるじゃないですか。まだ何かあるなら、どうぞ」  
我ながら人を馬鹿にした物言いだ。それでもイライラは収まらない。  
「司」  
 
ぐっと。  
心臓を掴まれた気がした。  
それが緩むと、また涙腺が緩んだようで、胸から何かがこみ上げてくる。  
だめだ。こんなの。  
「…せん、せい」  
今度こそ本当に泣き声だ。  
それこそ隆也は困惑しているだろう。さっきまで怒っていたのに、いきなり泣き出すなんて。  
「ごめんなさい。先生…ごめんなさい」  
「…な…泣くなよ、おい…俺がでかい声出したからか?…いや、あー…その、だな…  
 くそ…そこで泣かれても何もできないんだよな…」  
がしがしと頭を掻いているのだろう。本当に困らせた。きちんと話さなければ、と司が口を開こうとしたとき。  
「今から行くから、待ってろよ」  
「え……」  
一方的に切られた。  
呆然としていた司は、はっとして洗面所に向かった。とりあえず顔を洗って、それから少し落ち着こう。  
赤い目はなかなかもどりそうもなくて、途方にくれる。幸い両親は仕事に出ていて、夕方まで帰ってこない。  
部屋に戻ってウロウロと歩き回りながら、何をどうやって話そうかと考える。  
嫉妬しました、と言えばいいんだろうか。  
たったあれだけのことで嫉妬して、怒って、泣きましたと言えばいいのだろうか。  
笑われそうな気もする。それでもやっぱり、気持ちは収まらない。  
もやもやを吹き飛ばすようにクラクションの音がして、窓から下を見下ろす。隆也の車が止まっていた。  
降りてこないということは、これからどこかに行くつもり、なのだろう。  
あわてて窓を閉めて荷物を手にとって、家を出る。  
「先生」  
迷わず助手席のドアを開けてすべりこむ。腰を落ち着けると同時に、隆也に抱き寄せられた。  
「…もう、泣いてないな?」  
優しい声を聞くと、かえって泣きたくなる。  
「……はい」  
背中をぽんぽん、と叩いて、隆也は手を離した。  
「よし。じゃあ行くか」  
にこりと笑う。なんというか、罪作りな人だ、と司は思う。  
困ったことに今日の司は怒るか泣くかしかできないらしい。また嫉妬の怒りが復活して、ぐい、と隆也の肩を掴む。  
 
「待って。その前に」  
運転席にまで身を乗り出して、キスをする。戸惑う隆也の頭を抱いて、深く深く。  
「ん…む……ちゅ……」  
舌を絡ませ、唾液を注ぐ。いつもとは逆に、少し上にある司の頭を掴んで、隆也は無理やり唇を離す。  
「っは、ちょっ、待て待て。どうした?今日のお前変だぞ?」  
「嫌?」  
じっと見つめると、隆也の頬が少し染まった気がする。  
「嫌って…嫌じゃないけどな…その、さっきから怒ったり泣いたり…俺もどうしたらいいかわからないよ」  
「…俺もわかんないんです」  
お互い答えようがない。  
「……とりあえず、ちゃんと座れ。車出すから……」  
「はい……」  
揺らぐアスファルトの上を滑り出した車の中には、変な空気が漂っている。  
耐え切れずに隆也がラジオをつけると、何年か前に流行ったテンションの高い夏の歌が聞こえてくる。  
この空気にはじつに合わない。  
『♪水着のあとの/ヤらしさに身悶えて…』  
そしてその歌詞が、司の地雷を踏んでいる。  
「……先生」  
「ん、何だ?」  
ほっとしたような隆也とは対照的に、司の声は硬い。  
「俺も、先生見かけたんだ、今日」  
「何だ、そうだったのか?なら声かけてくれれば―」  
「女の子と一緒だったから。水着売り場で」  
隆也が固まる。うっかりブレーキを踏まなかっただけまだ冷静だろう。  
「そうか…あれはな、3年生の…」  
「知ってます」  
『♪ためらうことに慣れすぎた/素肌の上で事件を起こせ』  
起こしたくない事件の予感がする。隆也は先を促したいような促したくないような気分でハンドルをきる。  
ためらいがちに司が口を開く。  
「…先生がもてることは知ってるけど…」  
「いや、待て。俺のはアレだぞ?モテるとかじゃなくて人気があるっていうか…今日のもつき合わされただけで…」  
「わかってます!」  
 
どうも下手なことは言わない方がいいらしい。隆也は今度こそ黙りこむ。  
「…わかってるけど…でもやっぱり、見てていい気分じゃなかった。頭に来て…泣きたくなった」  
横目に司の表情を伺う。むくれたような、泣きそうな、声をかけにくい雰囲気をまとっている。  
「…泣きたくなって…こんなことで、落ち着いてられない自分が嫌になって…」  
また泣くかもしれない、と思わせるような声だ。この距離感がもどかしい。  
「……俺の家でいいか?ちょっと…遊ぶ気分じゃないな」  
ようやく明るすぎる曲が終る。司は何も言わない。ただ、頷いたような気がした。  
次の曲は静かだった。この空気には似合いだが、少し物悲しすぎて、司が泣き出さないかとハラハラする。  
美しい月夜の失恋を歌った歌が終るころには、隆也のマンションについた。  
「…司」  
車が止まっても降りようとしない司に声をかける。見ると、自分の拳をもう片方の手で握りしめている。  
そして、痛々しいほど真剣に、何もないダッシュボードを見ていた。  
「…いくぞ」  
助手席のドアを開け、司の手を引く。  
部屋は暑く蒸していた。冷房をつけて何か飲み物を出そうと台所に足を向けたら、司に止められた。  
服の裾をつかんだ司の、真摯な瞳が隆也を捕まえる。  
「…泣いたんだ…俺、何でか、わかんないまま…」  
司の頭をゆっくりなでる。  
「うん…座ろう。ちゃんと、聞くから」  
さっきまでの距離を埋めるように、ソファに腰掛け、自分の膝の上に座らせる。  
後ろから抱きしめると、腕に手を添えてきた。  
「…車の中で、考えてたんだ。何で俺、こんなに不安になったんだろうって…」  
「…うん」  
「……それで……きっとまだ、自信がないんだろうって、思って。それと」  
それも否定してやりたかった。けれど最後まで聞かなくては。隆也は黙って続きを待つ。  
「…俺が……俺より先生のこと好きだって言う人がいたら、先生がそっちに行っちゃうんじゃないかって…」  
思わず、抱きしめる腕に力が入る。  
「……馬鹿なこと言うなよ…」  
「だって」  
司が腕の中でみじろぐ。  
振り向こうとしているのだと気付いて腕を緩めてやると、あっという間に隆也の腰にまたがった。  
泣きそうな顔をしているくせに、やることがいつになく大胆だ。  
 
「…俺、いっつも先生に言ってもらったり…して、もらったり…して、それを返してるだけで…  
 だから、ちゃんと伝わってないんじゃないかって思って」  
たしかに司は受け身だが、別に隆也はそれが不満というわけではない。  
苦笑してなだめてやろうと思ったら、口を塞がれた。  
そういえばさっきも司は唐突にキスをしてきた。こういうことだったのかと納得しながら、キスに応えてやる。  
「んふ…ん、ぅ……ん……」  
応えてやる、つもりが結局は隆也のほうが上手で、力の抜け始めた司の背を支えて、存分に舌を貪る。  
「…んは…先生」  
とろんと惚けたような目で見つめられると、このままどうにでもしたくなる。  
ひょっとしたら自分が性急すぎるのだろうか、と苦笑せざるをえない。  
「俺は今のままでも構わないぞ?ちゃんと司の気持ちは伝わってるし…」  
「…そんなの、わかんない…」  
司の眉間に皺がよる。  
「わかんない、って言われてもなぁ…こればっかりは」  
頭を掻く隆也に、司はただでさえ近い顔をさらに近づける。  
「だから俺が、ちゃんと先生のこと好きだって、わかってもらえるようにするから」  
「……するからって、何を?」  
司の口元がにやりと笑った、ように見えた。  
「……色々」  
言った司の唇が、耳を食む。  
「っう!?」  
間抜けな声をあげてしまった隆也にはおかまいなしに、耳の形を唇と舌でなぞり、吐息をふきかける。  
「お、おい、ちょっと…」  
待てと言われて止まるわけがない。そのまま舌は頚動脈をたどり、手はいつの間にかシャツのボタンを外している。  
意外に手際がいい。などと感心している場合ではない。  
「つ、司、気持ちは嬉しいんだけどな…」  
ついでに少し気持ちいいのだが、そんなことを言ったら取り返しが付かないことになりそうな、気がする。  
「…俺にされても、気持ちよくない?」  
 
下からこう、上目遣いで見上げられるのは、やはり男としてはぐっとくるものがあるわけで。  
「いや…気持ちいい…」  
言っちゃった。嬉しそうに歪んだ司の唇が鎖骨におとされ、舌が這う。丁寧に往復されるとぞくりと肌が粟立つ。  
シャツは完璧に脱がされ、司の舌は胸へと降りる。  
男には意味のない飾りを、柔らかな唇がねぶる。  
「……は……」  
思わず漏れた息に、司は満足げに目を細め、ざらざらとした舌で乳首を責める。  
隆也は不思議なデジャヴュを感じる。おかしい。こんな経験はないはずなのに、と考えて、気付いた。  
いつも隆也が司にするように、司はしているのだ。  
また苦笑しそうになったが、それより先に司の手が股間にのびていた。  
服の上から撫でられると、情けないことに半分立ち上がりかけていたモノが喜んでしまう。  
「ん、先生……ふふ、興奮してる?」  
悪戯っぽく笑った司の手が、服の上から竿を握る。  
「お、おい……」  
制止の声をふりきって、司は床に降りて隆也のファスナーを下ろす。  
下着の中で硬くなってしまった肉棒を開放してやると、ぴくぴくと嬉しそうに震えている。  
この状況はまさか、と隆也が本気で焦り始めたがもう遅い。  
司の手が根元を掴んで、そのまま扱き始める。  
「ちゅ…ぺろ…」  
亀頭にキスをして、舐めあげる。  
「…く…司、そんなこと…」  
して欲しかったが、させたくなかった。  
隆也なりに司のことを思って自制してきたことが、思いがけなく実現して、否応なしに反応してしまう。  
「ん…ぺろ……んむ……」  
裏筋を何度か往復していた舌の動きが止まると、今度は完全に咥えこまれて  
柔らかな唇と唾液にまみれた舌が、強弱をつけながら刺激を与え続ける。  
つたない動きだが、それでもやはり気持ちいい。刺激に反応して跳ねる肉棒の先から、先走りがにじむ。  
「…は…司、もう……」  
何度やめろと言っても、止めようとはしない。  
この光景自体も、だいぶまずい。  
 
シャツの胸元からは鎖骨やサラシにおさえつけられた胸元が見えるし、半ば伏せられた目が苦しげに潤んでいるのも、  
柔らかな唇にグロテスクな自分が咥えられているのも、どれも興奮を誘う。  
「んく…っむ、う……っ…」  
強く吸い付いたかと思うと、そのまま大きく唇をスライドさせる。  
最初は根元から先端まで、ただ往復するように繰り返していたのが、次第に首を傾け角度に変化をつけてくる。  
快感が押さえきれなくなる。わきあがる射精感を押しとどめ、なんとか司の頭を離させようとするが。  
「……」  
じっと上目遣いにこちらを見上げた司は、どこか余裕を浮べた表情で隆也を挑発している。  
びく、と肉棒が跳ねる。司の責めが再開され、一度湧き上がった射精間はこらえ切れないところまで発展していく。  
「っく…つか、さ……もう……!」  
情けない声をあげながら、力づくで頭を引き離す。それと同時に、司の顔に精液をぶちまけた。  
「…は…悪い…」  
この光景もそれなりに扇情的で、じっと見入ってしまいたくはなるのだが、  
なんだか汚してしまったという意識が強くて、直視できない。  
とりあえず手でぬぐってやると、司は非難がましい目で見上げてきた。  
「…なんでちゃんと最後までさせてくれないの?」  
「最後までって、お前…」  
口内発射なんて、司相手にはまだ…まだ?そうだ、たしかに隆也もそのうちしたいとは思っていたのだが。  
なんというか、やはり、17の少女相手にするのは少し罪悪感があったというかなんというか。  
口ごもる隆也にはお構いなしに、司は不満の声を漏らす。  
「…先生のだったら、ちゃんと飲んだのに」  
「の、飲むって、お前な、その…俺はお前がしたくないだろうからって…」  
床に座り込んでいた司が、隆也の上にまたがる。  
「……だから。フツーならしたくないけど…」  
どうしたものかと戸惑っていた隆也の汚れた手を取って、口をつける。  
「先生のだったら、できるよ」  
言って、せっかく顔からふき取ってやった精液を、きれいに舐め取っていく。  
「司……も、もういいから、な?良くわかったよ…」  
胸を締め付けられる思い、とでも言えばいいのだろうか。  
こうも健気な素振りを見せられると、嬉しいと同時に戸惑ってしまう。  
「だめ…最後まで、させて」  
飲み下すのに時間をかけて、眉間に皺を寄せながらの作業だと言うのに、まだ退かない。  
 
「だめだ。こんなモン舐めるの嫌だろ?もう十分わかったから…」  
「……わかってない……俺が、したいからしてるの。気が済むまでさせて」  
言うと、指の股まで丁寧に舐めていく。もう、今日の司は止めようがない。本当に気が済むまでさせるしかない。  
諦めた隆也の手を完璧に舌で掃除して、ようやく司は笑って見せた。  
「はい、お終い。気持ちよかった?」  
「…はは……あぁ、良かったよ……興奮して困った。どこで覚えたんだ?あんなこと」  
こっそりと服を戻そうとした手を、司の手が止める。  
「だめ。まだ終ってないよ。…まぁ、情報源は男だから、俺」  
まだって、と嫌な予感に背筋を凍らせた隆也は、ぼんやりと考える。  
あぁそっか、男子高校生だもんな、エロビデオなりDVDなり、見る機会もあるだろう…って。  
「ま、待て、お前クラスの奴らとエロビデオ見たりするのか?」  
司の視線が逃げる。かすかに頬を染めて。  
「…まぁ、そういうこともあった」  
「あった、って…」  
それはけっこう、いやかなり、危険なことではないだろうか。  
うっかり股間を触られたりしたらそれこそ一発でバレるし、下手をすれば貞操の危機という可能性も…  
「それはもういいから!…それより先生、したくない?」  
司の手が油断していた隆也の股間をまさぐる。  
「いや、よくないぞ…って、おい。ま、待てって……っ」  
鈴口に爪をひっかけるなんて、それこそ見て覚えた知識だろう。  
「待ってもいいけど、止めないよ?」  
強めに竿を握られると、うっかり反応してしまいそうになる。  
「…う、いや、司、その前にちょっと話をしよう。  
 そのだな、お前が男としてエロビデオを見るのは別にいいんだが、その場に他の男がいるっていうのは…」  
萎えた肉棒をいいように弄ばれながらの説教はあまり説得力がない。  
我ながら情けないと肩を落とす隆也の上から、司が降りる。  
「……もう、しないよ」  
隆也の正面に立って、司はおもむろにシャツを脱ぎ捨てた。  
「…司?」  
「俺も危ないなって思ったから……ねぇ先生」  
バックルをはずすと、男物のジーパンは腰骨の下まで落ちる。  
細めのジーパンだと腰からの丸みのあるラインが見えてしまうのだ。  
 
「先生も、ヤキモチ焼いてくれるの?」  
司の頬は朱に染まっている。ジーパンは足元に滑り落ち、日に焼けていない白い腿が目の前に現れる。  
「…ヤキモチ、か。それもあるな…司のこんなかっこ、誰にも見せたくないしな…」  
下着の一部が色が変わっているのが見える。  
「…濡れてるな」  
その一言に、司の下半身がうずく。  
「…うん……したく、なっちゃったから…」  
ゆっくりとさらしを巻き取っていく。おさえつけられていた白い胸が露になって、呼吸とともに上下する。  
見れば頬は火照っていて、少し息が上がっているようだった。司も興奮しているのだ。  
濡れた下着を下ろすと、愛液が糸を引く。  
するすると下ろして足を引き抜くと、生まれたままの姿になった司が再び隆也の上にまたがった。  
明るいところで見ると、体の陰影がよくわかる。  
「…ね、先生、しよう…ううん、して、あげる」  
司の唇が重なって、舌が差し入れられる。精液の匂いが鼻につく。  
わずかに苦味の残る口内を貪ると、それに負けじと舌を絡めてくる。  
まだ、気持ちを伝えきれていないと思っているのだろうか。  
「…っは……司。何度も言うけどな…ちゃんと、お前の気持ちは伝わってるぞ……と、いうか」  
司の腰を抱き寄せて、笑う。  
「心配しなくても、俺はお前しか見えてないよ」  
「…俺だって、先生しか見えてないもん……先生じゃなきゃ……こんなこと、できない」  
火照った頬に口付けて頭を撫でてやると、拗ねたような顔がすこし緩む。  
「うん…そうだな。嬉しいよ。ただな……無理はしなくていい。あと」  
腰を強く抱き寄せ、司をソファに押し倒す。  
「ひゃ、先生っ!?」  
「…俺をリードしようなんて100年早い」  
 
にやりと笑って、胸の谷間に吸い付く。  
「っふ、やっ…あ……」  
じっくりと舐め回し、色付き立ち上がった乳首を口に含む。吸い付き、舌でこね、歯を立てる。  
空いた手でもう片方の胸ももみしだき、指先で乳首をいじってやる。  
「…っん、ひゃあ…んっ……」  
やっぱりこちらの方が性にあっている。司にしてもそうだろう。  
いつも最初は抑えてしまう高い声が、今日ははっきりと聞こえる。  
存分に胸を弄んで顔を上げると、すっかり惚けた顔でこちらを見ている。  
いい加減に服を脱ぎ捨てて、体を後ろにずらした、  
「…お返しだ。もうちょっと我慢しろよ」  
言って司の腿を持ち上げて、片足をソファの背もたれにかけさせる。大きく開かれた脚の間は、予想通り。  
「や、せんせ…恥ずかしいっ……」  
「…こんなにびしょびしょじゃ恥ずかしいよな…俺のをしてて、興奮した?」  
花弁を開いてやると、膣口が愛液に濡れてひくついている。  
「……う、ん……」  
恥ずかしげに絞り出した声に満足げに笑って、次はどうしてやろうかと考える。まぁ、お返しだろう。  
「ふ…やっぱ司はこっちの方が合ってるな」  
「何言っ…ひゃっ……あ、や……は……」  
上下線を舌でなぞり、愛液を舐め取る。膣口に口をつけてすすりあげると、びくりと腰が跳ねる。  
「っや、あぁっ……っは、はぁ、はっ…はぁ…」  
息が乱れているようだが、もう一押し。膣口を舌でつつきながら、陰核を指で弄ぶ。  
「…あ、だめっ…や、やぁっ、せんせぇっ……!」  
司の手が頭を抑える。快感に震える腰を引こうとするが、太ももを抱いて抑える。  
「ん…舐めても舐めても出てくるな…」  
口を離し司の羞恥心を煽って、指を入れる。膣壁を押し分けて、中をほぐすようにぐるりとかき回す。  
「っ、や…ぁ…はぅ…んんっ…」  
「……いい声だ……」  
司の背がしなる。ソファにかけさせた腿の内側に舌を這わせて、責めを再開する。  
 
水音をたてて抜き差しを繰り返し、親指では陰核を弄り続ける。  
「ひ、やぁっ…あぁっ…だめ、だめぇっ……!」  
苦しげな息の合間を縫うように喘ぎ続け、全身が小刻みに震える。  
さらに激しく指を抜き差しし、陰核を強くつまむ。  
「っあ、ひぁっ…あぁぁぁっ………!」  
悲鳴のような声とともにびくびくと体が跳ね、膣が指を締め付けて、勢い良く愛液が零れる。  
「は、はぁっ…はっ……ふ…せん、せぇ…」  
指を抜いて目線を合わせるように体を伸び上がらせると、涙で潤んだ目に捕まった。  
「せんせっ…も…やだ…」  
泣き声を可愛いと思うあたり、自分の性癖も多少歪んでいるかもしれない。背に腕を回される。  
「ん…やだって、何が嫌だった?」  
朱に染まった首筋にキスをして、できる限り優しく、頭を撫でる。背もたれからずり落ちた足が、腰を挟む。  
「だって、先生の顔も見えないし…指だけで…」  
可愛いことを言ってくれる。それでもからかいたくなるのはどうしようもない。  
「口も使ったんだけどな」  
むっとした表情を浮べた司の手が、耳をひっぱる。  
「いてててて。悪い、ごめん」  
やっと耳を開放されて、羞恥に消え入りそうな司の言葉に耳を傾ける。  
「…だけど…それだけで、い…っちゃう、のは…やだ」  
「司も手と口でイかせてくれただろ?お返しだよ」  
本当に、それだけのつもりでやったのだが。司にはどうも報復のようにとられたらしい。  
「……う……先生は、嫌だった?」  
思わず苦笑する。この顔の近さで見つめられて聞かれると、正直に答えるほかない。  
「いや、嫌ってことはないけどな…その、おれもやっぱり司といっしょだよ。  
 一方的にされるよりは、一緒に気持ちよくなりたいな」  
照れくさそうに笑いかけると、はにかんだ笑みを返してくれる。ついでに囁かれる言葉は、可愛くて仕方ない。  
「うん……じゃあ、くれる?」  
「もちろんですとも、姫」  
笑って、再び力を取り戻した肉棒を膣口に押し当てる。  
「…あ、今なら証明できるな。司しか見えてないって」  
ぴく、と震えた司の潤んだ目が、不思議そうに隆也を見る。  
「…正直、キスだけで勃っちまうんだよ……これは司が好きでしょうがないってことだよな」  
 
照れ笑いばかりしていて、十代に戻ったようだ。  
「…俺も、キスだけで……濡れちゃう…」  
あぁ、もうどうしようもない。いくらでもキスしてやろう。  
はにかんだ司の頬に手を添えて、唇を食む。そのままゆっくりと腰を進めて、熱い膣の中へと肉棒を押し込む。  
膣内のぬめりと躍動は受け入れるようにも拒絶するようにも感じられる。ただそれが、たまらなく気持ちいい。  
「…ん、んぅ…っ……んむ…」  
「ん…んむ……ちゅ……」  
声をあげたがる司の口を塞いだまま、根元まで押し込む。  
「…っは、はぁ……は…んぅっ…」  
口を離すと、すぐに鼻にかかった高い声が漏れる。  
「ん…司の中、すごいな…絡み付いてくる…」  
その肉壁を押し分け、腹側のざらざらしたところをこすり上げる。頭に突き抜けるような快感。  
「…っく……は……」  
「ん、あっ……は…はぁっ……あ…ん、せんせぇ……」  
喘ぎ声に耳を傾け、しばしゆっくりと腰を振り続ける。  
しかし絡みつく膣壁と、わずかに揺れ始めた司の腰の動きに快感が高まり、びくりと肉棒が跳ねる。  
「司……は……いく、ぞ…」  
しっかりと司を抱きしめて、徐々に腰の動きを速め、内部をえぐる様に突く。  
「は…んっ、や…あ、あっ……ふ、くっ……あぁっ…!」  
できる限りの力で持って腰を打ちつけ、押し開いても押し開いても締め付ける膣をえぐる。  
それに応えるように膣はより激しく複雑に収縮を繰り返し、お互いの性感を高めていく。  
「ひゃ、せんせっ…は、あっ…せんせぇっ…!」  
がくがくと司の膝が震え、背に回された腕に力が入る。  
「ん、司……一緒に……っ」  
「ふ…うんっ…」  
司の返答を待たずに腰を打ちつけ、絡みつく内部を犯しつくす。  
快感が全身をかけめぐり、肉棒の膨張も限界に達する。  
「あっ、だめっ…せんせっ…ひゃ、あっ…あぁぁぁぁぁっ!」  
悲鳴とともに膣は暴力的な締め付けで精液をしぼりとろうとし、それに抗いきれず最奥に精を放つ。  
「…っく……は…はぁ……」  
びくびくと跳ね、蠢き続ける肉棒と膣に追い討ちをかけられながら、互いを抱きしめあい息を整える。  
「はぁ、は…は……せんせ……」  
 
濡れた目が隆也を見つめる。この顔は誰にも見せたくない。  
「は……司……好きだ……」  
頭を撫で、頬にキスをすると、同じように頬にキスを返される。  
「ん、俺も…先生が好き……」  
顔が緩むのを抑えきれない。ようやく落ち着いた肉棒を抜き、司の体を抱き起こして座らせる。  
力なく体を預けてくる司を抱きしめてぼんやりと考える。  
抱き心地のよい体はまだ火照っていて、重ねた肌の間を汗がつたっていく。  
まだ外は明るい。冷房の効き始めた室内は涼しくて、このままでは風邪をひきそうだ。  
「…一緒に風呂、入ろうか」  
頭を撫でながら何の気なしに言うと、司に耳を引っ張られる。  
「……やだ」  
さて。どうやって納得させようか。  
とりあえず謝って、なだめて、あとはいつものように真面目にお願いしたら、きっと聞いてくれるに違いない。  
3Rは無理だろうが、今日は存分に可愛がってやらなければ。  
でないと、いつまた今日のように「可愛がられ」るかわからない。  
そのときは今日のように返り討ちにしてやろうと、腹の中では決まっているのだが。  
 
                      とりあえずおしまい  

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