ふわぁぁ、と色気のないあくびをしている司が、ソファにうつぶせに転がっている。  
手にしているのは三国志…の漫画だ。一人暮らしの隆也の部屋を圧迫している漫画のひとつである。  
両親が家にいない日中(行き先を聞かれるから)。友人からも誘われなかった日。加えて、司にその気がある。  
この条件が揃うと、司は勝手に、何の連絡もなしにやってくる。  
携帯の番号もメアドも交換したが、ほとんど連絡してこないし、こちらからもしない。  
この年頃の女の子なら、それこそ絵文字顔文字満載のメールを頻繁に送ってきそうなものだが、  
やはりそのあたりの感覚が違うのだろう。  
とはいえ。  
「……司。胸見えてるぞ」  
暑いから、といって早々にサラシを解いてシャツを脱いで、タンクトップ一枚で転がっていると、  
日に焼けていない白い胸元がだいぶ見えてしまう。いまさらだが、目のやりどころに困る。  
「え……まぁ、いいじゃん。先生しかいないんだし」  
悪びれもせずに言う司には、羞恥心がないのか、油断しているのか。  
ため息をついて、不本意ながら教師らしい説教を始めなければならない。  
「あのな、普段男のかっこしててもお前は女なんだから、もうすこし恥じらいを持てって。無防備すぎるぞ。  
 その、な…俺も心配なんだよ。お前が女だってバレたらと思うと…な」  
最初はむくれていた司も、最後の方を聞くと困ったような顔をする。  
「俺だって、いっつもこんなんじゃないよ?確かに、学校にいるときは自分が女だって忘れてることもあるけど…」  
忘れてるのか。いやたしかに、忘れていなければ男子生徒と下ネタで馬鹿笑いなんてできないだろうが。  
「バレないようには、頑張ってるし…実際俺が女だって知ってるのは、先生と三崎さんと、あいつだけだし」  
あいつというのは司の親友で、最初の相手である男子生徒のことだ。  
「…でもあいつにはバレたんだろ?……結局、そのまま…」  
抱かれたんだろう、と口にすると、隆也にはやはり、おもしろくない。  
「あー、あれ、は…不慮の事故というか、あいつだからバレたというか…とにかく大丈夫、だと思う。多分」  
体を起こしながら言った最後の方は、だいぶ自信がなさそうだ。  
多分では困るのだ。司自身がどこまで自覚しているかわからないが、中性的な外見は男女どちらから見ても魅力的だ。  
加えて男気にあふれていて、女の細やかな心配りもできるとなれば、それなりに人気も出る。  
これで女だとわかったら、この年頃の男なら間違いなく意識してしまう。そのまま本気になられたら問題だ。  
 
思わず口を開こうとした隆也より先に、司の口が動く。  
「こう、恥ずかしくなったりとかっていうのは、自分が女だって自覚してるときだけで…  
 だから、先生の前でだけだから…体触られても、普段はなんとも思わないし…」  
「あ…そうか……そうなんだな……」  
自分が触れたときの司の反応しか思い浮かばなかった隆也は、思わず頬をかく。  
「いや、どうもここで一緒にいるときのイメージが強くなってて…あんな可愛い反応してたらばれるだろうって…」  
司の頬が赤く染まる。  
「だから、そんなんじゃとっくにバレてるって…俺は、先生の前でだけこうなの!」  
上体を乗り出して、触れるというよりはぶつける、といった感じで唇を押し当てる。  
その頭をなでてやって、にこりと笑う。  
「…そっか。そうなんだな…ありがとう、っつーのも変か…はは」  
正座のような姿勢だった司が膝を抱えて体育座りをする。  
そのすぐ横に腰を落ち着けて頭を撫でてやっていると、何故か司は黙り込む。  
「………」  
何か機嫌を損ねるようなことを言っただろうか。  
「…先生。相談があるんだけど」  
「うん?なんだ?」  
司は正面を向いたまま、何かいいにくそうにしている。  
「…その、バレないように、ってことで」  
「うん」  
「……修学旅行の、話」  
隆也が固まった。  
そうだ。10月には修学旅行がある。修学旅行といえば観光と枕投げとちょっと浮かれてしまった思い出と…  
「いや、待てよ。ちょっと待て?修学旅行…って、あれだよな、そうだよ、風呂とかどうするんだ?  
 いや、風呂がどうとか言う前にそもそも男の中に一人で行動して、しかも同じ部屋で寝るなんて…」  
慌てる隆也の様子に、司もため息をつく。  
「そう、だから…まぁ、部屋とかはどうにでもなるとして、風呂だけなんとかなんないかなって…」  
「どうにでも…ってわけにはいかないだろう。同じ部屋で寝るのも十分マズイぞ…うーん…」  
本気で考え込む隆也が担任でよかったと、司はのんびり考える。  
こういう関係になっていなかったら、それこそ自分でどうにかするか、修学旅行をあきらめるしかなかった。  
「そうだ、お前身体測定のときとかどうしてたんだ?というか、そろそろお前が男子生徒として通用してる  
 からくりを教えてくれないか?」  
 
司は膝を抱えたままこちらを見上げて、そのままぐるりと天井まで視線を巡らせて、しばし考える。  
流石に世間を欺くだけのからくりなので、慎重にならざるをえない。  
「んー…まぁ、いいか…うちの理事長ね、俺の大叔父さんなんだ」  
いきなり大物がきた。隆也でも年に数回しかお目にかかれないが、確かにあの理事長なら許しそうだ。  
「トップダウンかよ…いや、確かに安全だな。…あれ、待てよ?たしか…」  
「うん。保健の高木先生は理事長の姪で、俺の叔母さん」  
磐石だ。これでだいぶ納得がいった。たしかに学校行事で服を脱ぐ場合、保健の先生が関わることが多い。  
納得のため息をついて、次の瞬間には違うため息をつきたくなった。  
「…しっかし担任やってて気付かないとはなぁ…可愛い顔してるとは思ってたが…俺もまだまだだな」  
頭を撫でながら苦笑すると、なんだか微妙な表情でこちらを見ている。  
「ん、なんだ?」  
「…ね、先生…やっぱ俺、学校で女に見えること、ある?」  
その質問の意図がどこにあるのかわからないが、とりあえず正直に答えておこう。  
「そうだな……女っていうか、可愛いと思うことはあるな。女子にも言われないか?  
 でも、普通性別は疑わないだろ。だから大丈夫じゃないか?」  
「ん…そっか、うん。えへへ。正直見えるって言われても見えないって言われてもちょっとヤだったんだ…」  
取り扱いにくいことこの上ない。それでもはにかんだ笑みを見るとこちらも笑みがこぼれる。  
「ま、俺にはもう可愛くしか見えないけどなw」  
可愛いを連呼していると、司の頬がほんのり染まって、それを隠すようにむくれた顔をする。  
そろそろ慣れてもいい頃だと思うのだが、そうはいかないらしい。  
「……先生、学校では前の通り接してよ?俺、まだ学生生活楽しみたいんだから」  
「あぁ、わかってるって。と、そうだそうだ、修学旅行の話だったな。風呂は絶対何とかしなきゃいけないな。  
 ちょっと待て、宿泊施設の資料持ってくる」  
資料を探しに立ち上がった隆也の背を見て、司はぼんやりと再確認する。ほんとに隆也でよかった。  
言い方は悪いが、やっぱり便利だ。  
「あったあった。えーと…一日目は広島のホテルだな。夕食の前に被爆者の体験談を聞いて…か  
 ここは部屋ごとに風呂ついてるから大丈夫だな。心配なら夜中にこっそり入るとか…」  
司の横に腰を下ろした隆也の手にはプリントの束がある。  
職員の間ではもうほとんどの日程が決まっているのだろう。司は興味津々といった様子でそれをのぞきこむ。  
「うん。大丈夫そう、だね。二日目からは京都だよね」  
「あぁ。ここは…女子は部屋ごとに風呂あるんだけどな。男子の部屋になると…いや、待てよ?」  
隆也はいつになく真面目な表情で考え込んでいる。  
 
「……やっぱりだめだ。男子と同室はまずい。着替えもあるし雑魚寝上等だし脱がされるかもしれないし」  
「脱が…どんな状況ですかソレ…」  
「いやあるんだよ。大体。女子が恋愛トークをするのと同じような状況で男は下ネタトークをするんだ。  
 そしてそこには教師にバレないように調達した酒があったりなかったりで、酔っ払った奴らは裸になって  
 騒ぎまくり、結局見つかってホテルの廊下に正座させられるという…」  
それは教師としての経験談なのか生徒としての経験談なのか。ちょっと司が退いているがそのへんはご愛敬。  
「…でも、だからって男子と同室じゃなく、ってわけにもいかないでしょ?…疲れたとか言ってさっさと寝ちゃう  
 とかすればなんとか…」  
「ダメだ」  
すっぱり否定。  
「さっきも言ったろ?もうちょっと危機感持ってくれよ、頼むから…」  
本当に、危機感がない。よっぽど自分が女だとバレない自信があるのか、読みが甘いのか。  
どちらにせよ隆也には頭が痛い話だ。  
不満そうな司の顔を両手で挟んで、ぐぅ、と潰してやる。  
「む。だってしょうがないじゃん…先生にどうにかできるの?」  
「まだ言うか。俺をなめるなよ?これでも大学時代は段取りの鬼と呼ばれた男だ」  
「…何ソレ」  
うん、ナメられてる。  
ナメられているのは気に入らないが、こう、潰した顔もなんとなく可愛く見えるのはやっぱり惚れた欲目だろうか。  
「先生、顔変形する」  
「ん、ああ、悪い。まぁつぶれてても可愛いから安心しろって」  
笑って言ってやると、またむくれたような顔をする。こういう子供っぽい反応をみていると、やはり心配になる。  
「…そういえば、班はもう決まってたよな。えーと、お前の班は…」  
「あ、別に、班は問題ないから!」  
何故か慌てる司の反応に、嫌なものを感じながら、クラスの修学旅行の情報をまとめてあるノートをめくる。  
「だからいいってば…」  
腕をつかんでまで止めようとする司の反応は確実におかしい。  
班分けについて書かれたページを開いて、隆也の表情が固まる。  
「…問題ないから…って…」  
予想はできていたことだが、例の司の親友が同じ班になっている。  
「……いや…問題ない、と思う…んだけど…」  
くちごもる司に、思わず眉をしかめる。  
 
「お前の言うことを信じないわけじゃないけどな…やっぱり俺としては…」  
司の肩を抱き寄せ、少し気恥ずかしそうに呟く。  
「心配だし…嫉妬も、するぞ」  
「うん……」  
大人しい司の肩を抱きながら、想像してみる。  
親友とはいえ一度は男と女の関係になったわけで、司の気持ちが固まっていても相手はどうだかわからない。  
ひょっとしたらずっと司のことを女として思い続けていて、修学旅行で一緒に行動しているうちによりを戻そう  
とする…可能性もある。その手段が告白であるとか説得であるならまだいいが、もし強硬手段に出られたら…  
と思うと、やはり黙ってはいられない。  
自分の生徒を疑うのは本意ではないが、どうも警戒心の薄い司にはよく言って聞かせなければ…  
「でもあいつは、協力してくれるよ?」  
まさに警戒心が薄い。というか、その全幅の信頼がやはり気に食わない。  
眉間に皺を刻んで、ため息をつく。  
「……司。俺も自分の生徒を疑いたくはない。けどな、お前のことになったら話は別だ」  
じっと目を見つめて言うが、司は困った表情のままだ。  
「…あのね、先生。嬉しいんだけどちょっと俺の話聞いてくれる?」  
「ん?」  
「あいつはもう俺と先生のことも知ってて、協力してくれてるの。だから大丈夫」  
今までの思考をひっくりかえされるような事実である。  
「…そうなの?」  
「そうなの。俺がここに遊びに来るときのアリバイ工作もしてくれてるし。あいつは信頼していいよ」  
それが事実なら、まぁ大丈夫だろう。  
…司のことが好きなのに涙を飲んで協力しているとか、こっちも泣きたくなるような事態になっていなければ。  
しかしそうなると、司が班分けの話を嫌がった理由がわからない。  
「じゃあなんで班の話を嫌がったんだ?」  
「う……」  
口ごもった司の視線がノートに落ちる。そっと指差したのは、同じ班の、男子ではなく女子の名前。  
「…三崎ゆい、か」  
なんなんだ、この班は。色々と危険すぎるぞ。なんなんだ。なんで司はこんな班なんだ。  
いや、あのときは妥当だと思ったんだ。とくに危険なことをしそうな奴もいなくていい班だと…  
「せ、先生、今意識が飛んでた」  
目の前をひらひらと司の手が動いている。なんというか、頭が痛い。とりあえず抱きしめておこう。  
 
「…先生?」  
「…いや、な。司が悪くないのもわかってるし別にこの班が悪いってわけでもないんだが……落ち着かないな…」  
少々無理な体勢で司を抱きしめてため息をつくと、膝の上に乗せていた資料が退けられた。  
空いた腿の上をまたいで、司が正面に回りこんで抱きついてくる。  
「……これで落ち着く?」  
「…うん…落ち着くな」  
しばらくそのまま司の頭や背をなでている。そうだ、決まったことは仕方ない。  
ゆいやあいつの協力が得られればやりやすくなるだろう。前向きに考えなくては。  
ふと視線がカレンダーに移った。  
「そうだ司、もうすぐ…」  
声をかけようとして、司が寝息を立てているのに気付く。だから油断しすぎだと言っているのに。  
油断しきった寝顔が可愛いので、起こすつもりはないが。  
「…やっぱり男子と同室はよくないな、うん」  
前髪をよけて額に口付けて、じっくりと寝顔を観察する。半開きの口からよだれがこぼれそうだ。  
本当に無防備で…そういえばシャツ一枚隔てて胸に胸があたっている。  
本人は普段はこんなに無防備ではないと言っていたが、実際どうなのか妖しい。  
「…あ。そうかそうか」  
司を起こさないよう小声で呟きそっと抱き上げて、ソファに横たえた。  
 
「…ん……ふぁ……」  
数十分後、司は寝たときと同じ姿勢で目を覚ました。  
わざわざ担ぎ上げた隆也の努力が実って、司は何事もなかったと信じ込んでいる。  
「ん、起きたか?」  
「うん…ごめんなさい。重かったでしょ」  
むしろこっちが謝らなければいけないのだが。  
笑い出しそうになる口元をひきしめて、いつもの調子で話しかける。  
「いや?それよりさっき言い忘れたんだけどな、俺もうすぐお盆で実家に帰るから、  
 その間はちゃんと用心して生活しろよ?」  
「あ、そっか…俺もお父さんの実家行くんだった。大丈夫だって、先生は心配しすぎ」  
笑う司の胸元に、さっきの悪戯が見える。そろそろ教えてやろうか。  
「そうか?まぁ用心に越したことはないからな。ちゃんと虫除けのマークつけといてやったぞ」  
 
一瞬キョトンとした司が、はっとして自分の体を確かめる。  
鎖骨に一つ、それより少し下の胸元に二つ。わきばらに一つ。まだ司は気付いていないが、内腿にも一つずつ。  
くっきりとキスマークがついている。  
「せ、先生っ!これっ…何して…!」  
真っ赤になって抗議する司の様子がおかしくてたまらない。笑って抱き寄せて、耳たぶを甘く噛む。  
「これで数日は安心だな?」  
「……ぐ……」  
修学旅行もこれで通そうか、などと馬鹿なことを考えながら、首筋に舌を這わせる。  
「んっ…せ、先生?ちょっと…」  
服を引っ張られて顔を離し、にこりと笑いかける。  
「ついでに俺にもつけてくれるか?虫除けのマーク」  
ちゅ、と唇を重ねてやれば、わざと鹿爪らしい顔をしてみせる。  
「…それが人にお願いする態度ですか」  
「申し訳ございません姫君。どうぞ私にも愛のお印を賜りたく候」  
ふざけた返答がお気に召さなかったのか、司は隆也の喉元に吸い付く。  
「っお、おい、そこは…」  
「……んはっ…先生は見えるとこにつけなきゃ意味ないでしょ?  
 俺のは肌を見せるなってことだろうけど、先生の場合はそのまんま虫除けなんだし」  
どうやらこちらの意図は完璧に把握していたらしい。できのいい生徒だ。  
…とはいえ数日後には親族の集まる席に出るのに、こんな目立つところにキスマークがあるのは困る。  
「…わかっててやってるのか?」  
ほんの少し怒気をはらませた声で問いかけると、司も怒ったような口調で返してくる。  
「俺だって家族の前でもくつろげないじゃないですか。…それに」  
そういえば鎖骨はちょっとやりすぎたかもしれない。それより喉元のほうがよっぽど目立つが。  
「先生はいい歳だから、親戚集まったら絶対聞かれるでしょ?結婚しないのかーって」  
よくよく見れば怒ったような顔も赤く染まっていて、照れているのがわかる。  
「……わかってたんだな」  
「わかってます」  
つまりはそうか、これも司なりの愛情表現、ということか。  
困るには困るが、可愛い。言い換えれば、可愛いことは可愛いが、やっぱり困る。  
「その気持ちは嬉しいがな、司。だからってここまで目立つとこにつけられると俺も困るんだよ…」  
 
「それは先生だって……」  
言いかけた司の両腿を押さえつけ尻に手を回して、気合を入れて腰を持ち上げる。  
抱っこというよりは駅弁の姿勢で、慌てて首に腕を回した司をベッドに運ぶ。  
「せっ、先生!?」  
「…困るから、お仕置きだ」  
だからそれは、と言い返そうとする司をベッドに横たえ、覆いかぶさって口を塞ぐ。  
逃れようとする頭を押さえて唇を啄ばみ舌を絡ませると、次第に抵抗が弱まってくる。  
見開かれていた目は力なく伏せられて、胸を押し返していた手は服を掴んだまま止まり、やがて背に回された。  
「んちゅ…ん……む……」  
「…ん、んぅ………」  
司の舌が絡み付いてくる。それをしばらく楽しんで、口を離すと銀の糸が引いて、消えた。  
「…っは……先生……」  
うっとりと開かれた目で見つめて、背に回した腕に力を込める。司もその気がなければここにはこない。  
「ん……司……」  
耳を甘噛みしながら、片手を胸に伸ばす。タンクトップの上からそっと撫で、脇から円を描いてよせるように揉む。  
「…は、あ……ん……は……」  
切なげな吐息を間近に聞きながら、乳輪、乳首を存分に弄る。  
硬く立ち上がりかけた乳首を少し強くつまんでやると、その硬さが増す。  
「んっ…やぁ、せんせ……ちゃんと、触って…」  
耳を舐めまわしていた舌をうなじに滑らせてから顔を上げ、司の頭を撫でる。  
「……だめだな。お仕置きだって言っただろ?」  
優しそうに笑って言うのは、だいぶ性質が悪い。司の顔が歪む。  
あまり見ているとかわいそうになるので、さっさと鎖骨に吸い付いて赤い印を舌先でくすぐる。  
その間も手は相変わらず服の上から胸を弄んでいる。  
「ふ、やぁっ……は…せん、せぇっ……」  
背に回された腕が服を掴んだのがわかる。抵抗はしないが甘えはするのが、一種の才能だと思う。  
大きく開かれた胸元に舌を滑らせて、また赤い印をくすぐる。  
胸を責めていた手を腰に滑らせ、わきばらを―服の上から―撫で、軽く揉む。  
「ひ、や…せんせぇ…やだ……」  
「…ちゅ、ん……これだと気持ちよくないか?」  
なだめるように頭をなでて言ってやると、また甘え声が耳をくすぐる。  
「気持ちいい、けど……先生の手…感じたい」  
 
これが本当に本心らしいからたまらない。  
「…ほんとに…可愛いな、お前は…」  
頬に口付け、額をくっつける。  
「……それでも……お仕置き、なの?」  
言う声が、どこかに期待を含んでいる、気がする。  
「……どうかな。司は意地悪された方が感じるんだろ?」  
顔を離して笑ってやると、すでに染まっている頬をさらに染めて、ふいと横を向く。  
「んなこと、ない…もん……」  
語尾が消えかけているのは、自覚があるからだろう。  
「ふーん…そうかそうか…じゃあ確かめるか、うん」  
ズボンの上から股間をにぎると、司の体が跳ねる。それにかまわず揉み続ける。  
「っひゃ…や、やぁっ…やだっ…」  
「…どうだ、濡れてるか?」  
なんというか、自分もこういう性癖を自覚しなければいけないのかもしれない。  
「……っく……や…ぁ……ひゃぁっ……」  
小刻みに体が震える。服の上からでもこんなに感じるとは思わなかった。やはり興奮しているのだろう。  
「…やだ……いやぁ……」  
声も震えている。はっとして見ると、目が潤んでる。  
「わ、悪い。やりすぎた…ごめん。ごめんな…」  
慌てて手を離し、頭を撫でキスをしてやってなだめすかし、なんとかご機嫌を取る。  
「ほんとにごめ…」  
「濡れてる……」  
今なんて言った。  
「……え?」  
間抜けな声をあげて、顔も目も赤くしている司を見つめる。  
「…キスだけで濡れちゃうって……この間言ったじゃん……」  
そういえばそんなことも言っていた。  
「一方的にされるのはやだから、一緒にって…言ったのに」  
すいません、そうは言ってもお前さんは完全にMで受けっ子です。やられる側です。スレ全体で認知されてます。  
とはいえ隆也も完全にSの血に目覚めたわけでもなく、結局泣きつかれると弱いわけで。  
「ん、そうだな……じゃあ一緒に、するか」  
にっこり笑って(そして司はこの笑顔に弱い)やれば司の泣き顔も少しはマシになる。  
 
「…うん…」  
むくれた頬を両手で包んで、とがらせた唇をふさぐ。  
「ん……む……ふぁ……」  
とりあえずはタンクトップをたくしあげ、直に胸に触れ、滑らかな感触を楽しみながら側面を撫でる。  
その柔らかさを味わいたくて、文字通り口をつける。ぱくりと乳首を口に含んで、唇で食んでから舌を這わす。  
「んっ、やぁっ……はぁ……あ……」  
「んちゅ……ぺろ……」  
わざとらしく音を立てて吸い付き舐めて、手を下に伸ばす。  
毎度の事ながら男物の服の中から細い腰や白い腿が現れると、不思議な興奮が呼び起こされる。  
顔を離して体を起こしてじっと見つめると、司が枕を顔に押し付けて恥じ入っている。  
「……まだ恥ずかしいか?」  
「……うん……」  
初心さを失ってくれないのは嬉しいが、苦笑せざるをえない。  
下着は辛うじて女物だが、無地のヒップハンガーという色気のなさが司らしい。  
ただその下着の一部がぐっしょりと濡れそぼっているのを見ると、  
この体を味わい尽くしたいという欲求につきうごかされる。  
「…ちょっと腰、浮かせてくれ」  
言葉どおり持ち上がった腰を抱えて、ぐいと持ち上げ四つんばいにさせる。  
「っひゃ…ちょ、せんせっ…」  
次に言いたい言葉は"恥ずかしい"だろう。かまわず下着をずり下げる。  
「…っ……」  
司が枕に顔を押し付ける。頭かくしてなんとやらだ。  
花弁を指先で押し開いてやれば、濡れそぼった膣口がひくついている。生々しい肉の色に誘われて、口を寄せる。  
ちろちろと舌を這わせ、差し入れ、愛液を吸い上げる。  
「……っ!」  
ぴくぴくと体を跳ねさせるが、声が聞こえない。枕に顔を押し付けて、息を飲んでいるらしい。  
少し物足りなく思いながら上着を脱ぎ捨て、硬くはりつめた肉棒を取り出す。  
濡れた秘裂を見せ付けるように尻を突き出したまま、司は肩を上下させている。  
その肩に顔を寄せるように覆いかぶさり、耳元で囁く。  
「……司……いくぞ」  
押し当てられたモノの感触に、背が跳ねる。  
それでも確かに頷いたのを確認して、腰を押し出し、今にも暴れだしそうな肉棒を膣内へと侵入させる。  
 
「んんっ……っふ……ん……」  
鼻から漏れる息だけが聞こえる。  
乳房を撫でながら腰を進め、柔らかく締め付ける膣内を押し開き、根元まで埋める。  
「は…やっぱり……いいな、司の中……」  
上がり始めた息を耳に吹き込んで、ゆっくりと腰をスライドさせる。絡みつく膣壁が与える快感に、肉棒が跳ねる。  
「ふ…ん、んぅっ…」  
「…司…声……聞かせてくれよ……」  
乳房を優しく撫でながら囁くと、司が震える。僅かに顔を背けて枕から離れた口が、薄く開かれている。  
「…ん…は…」  
僅かにしか見えないが、目も半ば伏せられていて…そそる表情だ。  
思わず腰を止めても、お互いの下半身は勝手に蠢き、跳ねる。  
「……く……やばい、な……」  
徐々にピストンの速度を上げ、乳房と乳首を責める手の動きも激しくなってくる。  
「ん、あっ……や、やぁっ…だめ……っ」  
枕を握る手に力が入ったがわかる。しかし言葉とは裏腹に、腰は快感を求めて揺れはじめる。  
腰の揺れと膣内の躍動に、いっきに快感が高まる。  
「…司っ……」  
たまらず激しく腰を振り、膣内を抉るように突く。水音と肌のぶつかる音が響く。  
「ひゃ、あっ…だめ、だめっ……は…あ、あぁぁぁぁっ…!」  
悲鳴とともに緊張した体を抱きしめ、締め付ける膣に逆らわず精液をぶちまける。  
「…うぁ……は…はっ……」  
びくびくと跳ねて精液を吐き出し続ける肉棒を奥深くに突きこんだまま、  
崩れ落ちそうな司の体を抱えて無理やり横に倒れる。  
「は…はぁ、はっ……せん、せ……」  
抱きしめた腕に手が添えられる。どうしようもない脱力感に逆らって強く抱きしめて、耳に口付ける。  
「は…ん、司……」  
そのまましばらく休もうと目を閉じるが、司がみじろぐ。  
「先生、そっち向きたい……」  
「ん…あぁ、そうか……」  
腕の力を緩めて肉棒を引き抜くと、一瞬震えた肩がくるりと反転する。  
「…印、一個しかつけてない」  
なんのことだっけ。本気で失念していた隆也の胸に、司が吸い付く。  
 
「…あと、わき腹だっけ?」  
隆也が口を開く前に、司はもぞもぞと腰に顔を近づけて、赤い印を落としていた。  
自分がつけた印を満足げに眺めて、司はまた隆也の腕の中に落ちつく。  
「はい、愛の印」  
にこりと笑う司の表情が、どう変るか楽しみだ。頭をなでてやりながら、さわやかに言い放つ。  
「いや…他にもつけてあるぞ。太ももの内側に一個ずつ」  
固まった。  
「…嘘…」  
「ついてどうする」  
固まっていた司はするりと腕の中から抜けだして、愛の印を確認している。  
確認したまま凹んでいる。  
「…俺、全然気付かなかった…」  
「うん、途中で起きたらどうしようかと思ったんだが…全然起きなかったな」  
寝つきがいいのも考え物だ。本当は多少反応したのだが、このくらい言ってやらないと危機感を煽れないだろう。  
「脱がされても痕つけられても起きないんだしな、ちゃんと用心しろよ?」  
「……はい……」  
これで自分がいない間も大丈夫だろう。ついでに修学旅行中も少しは警戒してくれるだろう。  
そんな希望的観測が、わりとすぐにぶち壊されることになろうとは、隆也も司も思ってもいなかった。  
 

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