2人で並んで歩く帰り道。私はちょっとしたいたずらを思いついた。
ほっぺにちゅー作戦である。
説明しよう。ほっぺにちゅー作戦とは、不意打ちでほっぺにちゅーをするのである。
そしておそらくは焦り、照れるであろう彼を笑ってやるのだ。えへへ。
以上説明終わり。作戦を実行に移します、隊長!
頬に照準を合わせ、つま先を伸ばしたその瞬間。
最悪の、あるいは最高のタイミングで彼はこちらを振り向いた。
「ところでさ――」
「――」
時間が止まる。互いの表情は近すぎて見えず、それでも彼の驚きは充分に伝わってくる。
夕暮れの余光は、頬の火照りを誤魔化してくれるだろうか?
それは、ちょっと間抜けな私たちのファーストキスの物語。