一人の少年が、会議室で頭を抱えていた。
「このタイミングでか……」
当り散らすようにそう言うと、少年は机をじっと睨みつける。
「薬の予備持ってくりゃ良かったな……」
何も確かめていないのにそう言うと、少年は会議室で頭をじっと抱え続ける。
少年が探しているのは『魔封じの薬』と呼ばれる特殊なアイテムだ。
魔法、超能力と呼ばれる力を封じると言われるそれは、少年にとって最も必要とするもので、
本来は予備も含めて複数持ってるが、今日は原材料の予備が少なくなっていたので節約の為に、
予備を持ってこなかったのだ。
「……しばらく待つか」
そう言って、少年が目をつむって、寝るように腕を組む。
少年の目は只の目ではない。『魔眼持ち』それが少年の正体だった。
『赤外線視覚』『紫外線視覚』『生命力視覚』の感覚強化は当然のこと、
『透視』『遠隔視』『微細視』『闇視』『磁力感知』などのよく訳のわからない物から
『破壊の魔眼』『感情感知』『誘惑の魔眼』などもあり、危険な能力であった。
中でも『誘惑の魔眼』は制御が難しく、薬では視線だけでハーレムが作れる代物である。
が少年はハーレムなどには興味が無く、そんなべたついてくるだけの女性などうっとおしいだけであった。
ハーレムよりも誰から見てもバカップルと呼ばれる相手がいいな。
そんなことを思いつつ、少年はふと入り口から誰か入ってくるのが見えた。
「あっ、先輩……一人で何してるんですか」
ヤバイ!何も知らない子羊の少女が会議室に入ってきた。
寝たふりを続けつつ、少年は少女の様子を透視で見つめる。
「寝たふりですか?ずるいですよそんなの」
そう言って少女がすたすたと近づいてくる。無視、ひたすらに無視。
後ろに回りこんでくすぐろうとするが、別の女性が現れてそれを阻止した。
「私、ここで仕事するから、伝えたい事があるんだったら言いなさい」
後ろから現れた生徒会長はそう言って、別の椅子に座る。
「あっ、えーと、明日の部活動は先生が用事ができたので無しだそうです」
「わかった、後で伝えておくから」
「はーい」
そう言って子羊の少女が外へと出て行く。
「起きてるんでしょう」
「ああ」
そう言って、目を開けないまま少年は生徒会長に返事をする。
「あの子を誘惑しようとと思わなかったの?」
「……会長みたいにしたくなかった……あんな顔は二度と見たくない…」
間違えて薬を忘れてしまい間違えて生徒会長と目を合わせてしまった時、
ドロドロになった股間を隠す事ができずに委員長は顔を真っ赤に染めて哀願する。
「見ないで見ないで」と。
少年の心に涙と言葉の矢が突き刺さり、そっと保健室に連れいていって、自らの正体を明かした。
「………そう………」
委員長もまたあの時のことがトラウマになっていた。
快楽に負けてしまった自分を。目を合わせただけで快楽に負けた自分を。
そんな顔を見たくないと言ったのだ。嫌われて当然だと思う。
「泣くなよ、委員長…そんな顔見たくないって言っただろう?」
「えっ?」
少年の言葉に泣き止む委員長。目は相変わらず閉じたままだ。
「私が嬉しそうな逝った顔が見たくなかったんじゃないの?」
「…嬉しそうな顔なら幾らでも見てやるよ」
少年はそう言ってハンカチを取り出し、委員長の涙を拭く。
「ねえ、目を開けて」
そう言って委員長が顔をしっかり掴む。
「委員長……そうしたら」
「誘惑されたって構わないから!私の泣くところ見たくないんでしょう!」
涙を貯めて言う委員長。少年はそっと目を見開く。
ドロリと委員長の股間が濡れ始めた。
「あああ………」
あまりの快楽に身悶える委員長。
「気持ちいいのか?」
顔の赤らめが答えの委員長。背中に手を回されてそれだけで乳首が立ち始める。
「悪い……委員長とってもきれいで……キスしていいか?」
肯定の頷き。簡単にキスをされただけで頭の中がスパークしてしまった。
「泣かないから……今度は泣かないから……一つだけお願い」
委員長はそう言って少年に抱きつく。
「……付き合ってください」
今度は少年が肯く番だった。