「頼む、もうやめてくれ!」  
「どうして?まだまだ元気じゃない」  
僕は目の前の全裸の少女を振り払おうとする。  
だが、その手は虚しく空を切るだけだ。  
「どうせもう助からないんだから…せいぜい楽しもうよ」  
少女の舌が僕の首筋を舐め上げる。  
薄い胸を僕に摺り寄せ、無毛の秘部が僕の茂みを擦る。  
「ほら…イっちゃえ!」  
「くあぁっ!」  
ズボンの中できゅきゅきゅっと、新たな刺激が走る。  
搾り取られるような感覚に、僕はたまらず射精していた。  
「んっ…3回目ぇ〜」  
少女は、いや【少女のように見えている映像】はびくびくと身体を震わせ  
満足げな声を上げた。  
ちゃんと服を着込み、ベッドに一人で横たわる僕の耳には  
確かにそういう風に声が聞こえている。  
 
20XX年、人類は滅亡の危機に瀕していた。  
突如発生した新種のウイルス。  
それは脳を侵食し、当人の理想の異性とSEXしているかのような情報を与え続け、  
最終的に衰弱死に至るという、バカバカしくも恐ろしいものだった。  
感染者である僕の命を吸い取っているのは、目の前に見える魅惑的な少女ではなく、  
脳を狂わせた0.0何ミクロンかの悪魔達なのだ。  
 
「夢と現実ってどこが違うの?」  
前頭葉で小悪魔のような少女が微笑む。  
「キミとHしてる私は夢みたいなものだけど」  
側頭葉に甘いエロゲ声優の声が響く。  
「ほら、ちゃんと触ってるように感じるでしょ?」  
自律神経がさらさらの髪に撫でられる。  
「キミ達はもう、私達の夢に溺れるしかないんだよ」  
ああ…そうだな…  
確かにこの先生きてても、こんな可愛い子と実際にHすることなんてできないよな…  
「わ、私…私もうイクーっ!」  
隣のベッドで、同じウイルスに感染したお姉さんが絶頂を迎える。  
しかし、その姿も声も霧のように消えていく…  
「だーめ。余計な情報は与えてあげない」  
微笑む少女に唇を奪われ、観念した僕は自分から腰を使い出した。  
そう、もう逃げられない。ワクチンも研究できず、  
五感の全てを握られた僕達は、もう滅びるしかないのだ。  
 
人類滅亡まで、後××日……  
 

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