「おらっ!おとなしくしろ!!」
「いやっ、やめて」
ひと気のない体育倉庫。ひとりの女生徒が数人の男子生徒に乱暴を受けていた。女生徒は
必死に抵抗しているが、手足を押さえつけられ成す術のない状態だ。
リーダー格と思われる男子生徒の手が女生徒の制服にかかった。
「きゃぁぁぁぁ!!」
ビリビリッという音とともに胸元のあたりが引きちぎられる。
「やめて、やめて」
泣き叫ぶ女生徒。卑猥に口元をゆがめる男子生徒たち……
と、その時──
「お待ちなさい!!」
体育倉庫の扉がバンッと開き、数人の女生徒たちが入ってきた。
「な……きさまら」
「生徒会特別風紀委員会推参!!」
「くっ、鮎川忍か!?」
「まったく懲りぬ連中だ。その娘から早くはなれろ!」
鮎川忍と呼ばれた少女は、毅然とした口調でそう言った。
「う、うるさい!おまえらヤレ!!」
リーダー格の男の合図で他の男子生徒たちが『特別風紀委員会』の女生徒たちにとびかかった。
男は七人対する女は三人である。男有利はゆるぎないと思われた。しかし──
一瞬にして倒されたのは男どもであった。
鮎川と呼ばれた女が三人を、残る二人がそれぞれ二人づつ。電光石火の早業とはまさしくこのことだった。
「さぁ、残るはおぬしひとりだが。郷田どうする?」
忍の言葉にくっ、とくやしそうな表情をし唇をかみしめる郷田。
「お、覚えていろよ!!おい、おまえらいつまでも寝てんじゃねぇ! いくぞ」
郷田たちは「バカヤロー」などと捨てぜりふを吐き捨てその場をあとにするのだった。