痺れるような射精の快感が少しずつ覚めるとともに、頭に冷静さが戻ってきた。  
……お、俺は何てことをしてしまったんだ。マズイ、このままでは非常にマズイ。  
初対面の、しかも年齢的にはまだ毛も生えてもいないような相手に、いきなり手コキをさせたのだ。  
いくら…いくら木魚みたいに頭をどつかれても、これは犯罪だろう。  
しかもしかも、本当かどうかは知らないが、彼女は自分を『天狗』とか名乗っているし。  
……待てよ? だとすると見た目はともかく、年齢は18歳以上と考えて差し障りない、のか?  
いや、それ以前に天狗だったら、そもそも人間の倫理なんて関係ない、だろ?  
うん、そうだそうだ。気にすることは無い。何も気にすることはないんだ。そういうことにしておこう。  
 
「の、信幸殿。これは穢れが去ったと見ていいのか? 少しずつしぼんできましたぞ?」  
「え? あ、ああ?」  
突然絹代の声がする。しばし別の世界へ出かけていた俺は、反射的に言葉を出していた。  
言葉どおり、俺のモノは一度果てたのと、考え事のおかげで少しずつ平常時に戻りつつある。  
「あ、えっと……。そ、それよりも、顔についたのを拭いたほうがいいと思うのだが…」  
「ううむ……しかし…穢れを聖なるものに換えるとは……信幸殿、わらわは心底感服しましたぞ」  
俺の言葉を受け、絹代はモノからそっと手を離した。  
かと思うと、今度は己の顔についていた精液を拭いとり、まじまじと見つめながらつぶやいた。  
いや…確かに穢れを精なるものに換えはしたが……って、字面と意味が全然違うぞ。  
 
「わらわにも、そうした能力が携わるといいのだが……」  
などと考えながらズボンをあげていると、何を思ったか絹代は自らの股間に手を這わせだした。  
…って、おいおい! 何考えてんだ!? まさか俺のせいで、妙な色気に目覚めたか!?  
「ふむ……やはり…わらわには、信幸殿のような物が……ん? これが…そう、なの…か?」  
はあ? 『これ』? 冗談抜きで生えてきた、とか言わないだろうな?  
「……の、信幸殿……もしかしたらわらわにも、信幸殿と同じようなものが付いているのかもしれぬ。  
かたじけないのだが、確認していただけぬか? これが、これがそうなのか?」  
おもむろに着物の裾を捲りあげながら、絹代が問いかけてきた。  
その目は期待感からか、キラキラ輝いている。まさか………なあ。  
いや、絹代が人間じゃないのなら、そういうことも十分あり得るのかもしれないのか。  
そう考え直して、俺は恐る恐る絹代の足元にしゃがみこんで、股間を覗き込んでみた。  
当然のことながら、そんなモノは生えているはずもなく、人間の女性と何ら変わりない、  
男を受け入れたことが一度も無さそうな、ピッタリと閉じあわされた割れ目が見えるだけだ。  
うん、やっぱり毛は生えていない……か。  
「こ…この……この出っ張りが…そのうち、そうなるのか?」  
と、絹代は片方の手で、秘部の先端のちょんと突き出た、皮に覆われている部分を指で指し示した。  
いかん……ここまでされると、さすがに我慢できねえぞ………。  
「そう…さな……どうだろうか?」  
「あ! んんっ…! の…信幸殿……?」  
軽く指の腹で割れ目を撫で上げると、途端に身をすくめながら、怪訝そうな表情で俺を見下ろす。  
こりゃあ………自分で弄ったことも無さそうだな。  
「な、なあ。もしかして、自分で触ったことって無いのか?」  
「………………」  
無言で頷く絹代。よく見ると、プルプル体が震えている。  
 
………まったくの未経験、か。これは……チャンス、かも……。  
「そうか……。少し調べてみるから、じっとしているんだぞ」  
「わ、分かった。か、かたじけない……んっ……」  
一応真面目な顔をしながら、絹代の足を立ったまま広げさせ、割れ目に沿って指を這わせる。  
絹代は両手で裾を捲り上げたまま、目をぎゅっとつぶりながら、震える声で答えた。  
……この反応…かなり俺のツボ、だ……。  
「あ…ん……んっ……」  
軽く割れ目を指で押し広げてみる。中は綺麗なピンク色だ。しかも、少し濡れてるし。  
指の動きに反応して声をあげるなんて……未経験な割には敏感だな。まったく、勿体無い。  
「は! あっ!」  
今度は、先ほど絹代が指し示した皮を軽く捲ってみると、これまたピンク色の小さい肉芽が姿を現す。  
「わぷっ」  
直接肉芽を触れられる刺激に堪えきれなかったのか、絹代は服から手を放して口元を抑えだした。  
その結果、絹代の服は当然のことながらニュートンの法則にしたがい、俺の頭の上に被さってきたのだ。  
「あっ! も…申し訳な……あ…は! あ…ああっ!」  
絹代は慌てて再び裾を捲り上げ、俺に詫びの言葉を述べながらも、あえぎ声を漏らし続けている。  
ふと見ると、その足はブルブル震えていた。……必死に堪える姿……たまらないね、こりゃ。  
「はっ! あ…は……ひゃ………あ…」  
右腕を絹代の左太ももに絡ませ、左手の中指を割れ目の中に潜り込ませてみた。  
すでに、透明な液で濡れていた絹代の割れ目は、あっさりと俺の指を飲み込んでいく。  
「んああっ!?」  
「ちょ……これじゃ…よく見えない……」  
「…あ……も…もうし…わけ…あ……は…あ……ふわ……あっ…!」  
第二関節まで飲み込まれたとき、軽く指を動かしてみると、絹代は身体をビクンと震わせ、  
悲鳴とともに腰を落とそうとするが、俺が軽く抗議の声をあげると、震えた声で詫びの言葉を述べ、  
へたり込みそうになるのを、どうにかこらえようとしている。  
「ああっ! はっ! んあっ!?」  
中指をうごめかしたまま、親指でそっと肉芽を突っつくと、  
たちまち今までの押し殺した悲鳴とは違う、艶っぽい声を漏らし始めた。  
 
「ふあ…あ……あ…ひゃ……あっ…ああっ……の…のぶ…ゆき……ど…の…わ、わら…わ……あっ」  
「ん? どう……した?」  
しばらくその状態で、秘部を弄っていたが、絹代が悶え声とともに俺の名を呼ぶ。  
既に下半身はガクガク震え、俺が支えてないと、まともに立っていられない状態だ。  
俺は中指を絹代の秘部から抜き、顔を見上げながら問い掛けた。  
「……あ…ああっ………お、…おしっこ…おしっこ……で…でちゃ……う…っ……」  
「んん? ああ……。………よい…しょ……っと……さ。これで、大丈夫、だろ?」  
思いもよらない言葉に一瞬動揺してしまうが、すぐに気を取り直した俺は絹代の背後に回って  
絹代の両膝に手を掛け、ゆっくりと抱きかかえながら、そのまま両足を開かせた。  
「はあ…あ……そ…その…は……恥ずか…し……いあ……あ! あああっ!!」  
M字型に大きく足を開かされた絹代は、真っ赤に染まった顔を左右に振って、  
いやいやの仕草を見せたが、俺が軽く割れ目に指を這わせると、全身を震わせながら悲鳴をあげた。  
同時に、しゃーっという音とともに、金色の液体が絹代の股間から迸り、  
幾分の飛沫を伴いながら、草むらに向かって金色のアーチを描いていた。  
 
「は…あ……ああ…っ……」  
天を仰いで全身をプルプル震わせる絹代。……ふうむ、経験が無いのなら、これ以上はキツイかな?  
「何だか…何だか変な……こんな…こんなのって……」  
口の端からひと筋の涎を垂らしながら、俺のほうを仰ぎ見てつぶやく。  
その目はとろんとして、焦点が定まっていない。………やっぱり、我慢できねえかも……。  
「あ……ああっ!?」  
そう思うや否や、少し乱暴に絹代を地面に寝転がせた。絹代はうつろな目のまま、俺をじっと見ている。  
いや……俺のほうを向いているだけで、実際に”見て”いるかどうかはなんとも言えない。  
ズボンとパンツを慌てておろし、既に勃ちあがっているモノを絹代の秘部に突き立てようとしたそのとき――  
 
ポツリ ポタ ポタ  
 
頬に冷たい物が当たる。雨……か。ちくしょう、いいところだったのに。  
「こ、これは………まずい、大雨の気配がする。信幸殿、今宵はわらわの庵に参られよ」  
雨粒が当たったことで正気に戻ったのか、絹代が俺の袖を引っ張りながら話しかけてきた。  
おお、これは誘われているのか………?  
「え、えっと…俺は……その…」  
しかし……こんな毛の生えてない娘と一晩を共にするのは………いやいや、問題はそこではない。  
問題は、休みは今日限りで、明日からはまた仕事が待っている、ということだ。  
あんな会社でも、一応会社は会社だ。俺が会社を辞めた場合、故郷の母への仕送りは誰がする?  
「気になさることは無い。修行中の身ゆえに、庵にはわらわしかおらぬ。気兼ねなど無用ぞ。  
それにわらわは修行中のうちに、世間のことをもっと色々と知っておきたいのじゃ」  
ううむ……絹代しかいない? それは……チャンスかもしれない。いや、だからそうではないって。  
いやしかし。よく考えりゃ俺の休暇は名目上、47日間残っている。  
多少休暇が増えても、いきなりクビにはならないだろう。  
よし、そうと決まればさっそく会社のヤツに連絡しておこう!  
……そう思いながら携帯を取り出そうとした俺は、あることに気がついた。  
「お…思い切り圏外じゃないか………」  
まったく……これじゃ、ただのデジカメじゃねえかよ……。  
 
「………高位の天狗殿に対して、言葉が過ぎたようじゃったな。これは失敬した。  
今宵はわらわの庵にて、色々なことを教えていただけぬか?」  
顔を上げ下げして考え込む俺を見て、絹代が覗き込むようにして話しかけてきた。  
軽く眉間にしわを寄せ、こちらを気遣うような表情がまたなんとも…って、そうではなくて、よ。  
ふむ……色々、か。これは…あんなことやこんなことも教えて欲しい、ということなのだろうか?  
だとすれば、ここで引いては男が廃るだろう。会社? ………まあ、なんとかなるだろ。  
「…………わ、わかった。それじゃ、お世話になるよ」  
「か、かたじけない! わらわの願いを聞いていただけるなんて!」  
俺がそう答えると、絹代は年相応な笑顔でにっこりと頷いていた。  
うーん……あらためてこうして見ると、結構可愛いな。  
見た目がアレだから、さすがに恋愛対象にはならない………はずだ、うん。  
「さあ、さっそく参ろうぞ! さもないと、ずぶ濡れになってしまう!」  
「う、うわあっ!?」  
絹代は妙に明るい声で、俺の手を握り締めながら駆け出す。  
俺はつんのめりそうになりながら、絹代のペースに合わせるのがやっとだった――  
 
 
山の中をしばらく歩いていると、前方に小さな小屋が見えてきた。  
どうやらあれが、絹代の住んでいる庵、なのかな? などと思っていると、  
「………………の、信幸殿! か、かたじけない! し、しばしこちらで待たれよ!」  
突然俺の前方に回り、俺を制止する絹代。一体何事だ? しかも雨が降ってる、ってのに。  
「あ……た、確かにこのままでは濡れてしまわれるな! ど、どうぞこちらへ!」  
軽くしかめっ面で空を見上げていると、絹代は俺の手を引っ張りながら、庵の軒先へと案内する。  
「よ、よろしいか!? わ、わらわは今から中へ入るが、わらわが合図するまで、  
ここから決して動かれるでないぞ! さ、さもないと大変なことになる!」  
縁側に腰掛ける俺に、真剣そうな表情で語りかける絹代。ほ、本当に何事なんだよ?  
「も、もちろん信幸殿が出張れば、あっという間にカタがつく!  
だ、だが、こればかりは、わらわが出向かねば、修行にならないのじゃ!  
わ、わざわざ招いた信幸殿に、や、役不足なことをさせるわけにはいかぬ!」  
「あ、ああ。分かった。ここで待たせてもらうことにする、よ」  
絹代のあまりの迫力に押され、俺は素直に頷いた。  
……まさか危険な生き物が、中にいるとでもいうのか? やっぱり、来なきゃよかったかも……。  
「か、かたじけない! そ、それではしばし! …………あ。  
…で、ここから庵の中が見えるが、ぜ、絶対に中を見ては、ならぬですぞ! そ、それでは!」  
窓を指差し、しつこい位に釘を刺しながら、庵の中へと入っていった絹代。  
というか、そんなこと言われたら思い切り気になるし、まるで”覗け”と言っているようなものじゃないか。  
「なあに…ちょっとだけ……ちょっとだけなら、気づかれっこないさ……」  
まるで、自分に言い訳をするように、独り言をつぶやきながら、そっと窓の中を覗いてみた――  
 
そこには、部屋一面に散らかったゴミを、慌てて片づける絹代の姿があった。  
やれやれ……何を必死になっているかと思ったら、こんなことかい…。  
俺は吹き出しそうになるのをどうにかしてこらえ、絹代が呼ぶのをじっと待つことにした。  
 

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