「ふう…。久々に山はいいねえ…」  
思わず独り言をつぶやく。久々の休みで、山を散策しに来たんだけれど…。  
「……葉がねえ…」  
そう、紅葉の時期は既に終わりかけていた。と、いうか、ほぼ終わっていた。  
今ではその名残である、落ち葉が山道を覆うのみで、両脇の木々は既に葉を落としている。  
 
…まったく、余計な仕事あてがいやがって…おかげで紅葉の季節を逃したじゃねえか。  
しかも俺の休みを奪った挙句に、自分はちゃっかりと家族旅行だ? あの腐れ課長。  
自分がヅラだってこと、バレてないつもりじゃないだろうな? すでにバレバレだっつーの。  
ふざけんじゃねえよ……。あんなふざけた会社、さっさと見切りつけてやる……。  
その時は、記念にヤツのヅラを思い切り晒してくれるわ……。  
 
……っと、ネガティブな感情に浸ってても仕方がない。ここは大自然だ。  
大らかな気持ちにならねば。第一の目的である、『紅葉を写真に収める』がボツになった今、  
第二の目的である、『山頂に登って課長のバカヤローと叫ぶ』を一刻も早く遂行せねば……。  
そう思いながら、意味も無く山道で立ち止まり、天を見据えて拳を握り締める。と、その時、  
 
ガツッ ドサンッ  
 
「いってえええっ!!」  
何かがぶつかるような音とともに、頭に激痛が走り、思わず叫び声をあげながら頭を擦る。  
「い…痛たたたた……」  
「痛たたたじゃない。それはこっちのセリフだ……って、何だ? 何者だ?」  
俺の前方で聞こえた声に向かって悪態をつく。が、ちょっと待て。いったい誰の声だよ。  
ずっと歩いてきたけど、人なんてどこにもいなかったぞ。まさか…人外のもの、とか?  
そう思った俺は、恐怖半分興味半分で、涙で滲む目をそっと開いた。  
 
ゴツンッ  
 
「い…痛え……」  
「無礼者。相手に名を尋ねるときは、まず自分から名乗らぬか」  
いきなり硬いもので頭を殴られ、再びうずくまる俺に向かって浴びせられる言葉。  
その声は、口調や語り方とは正反対で、妙に甲高かった。  
「うぐ……ぐ…」  
頭を押さえながら、再びゆっくりと目を開ける。……目の前にいるのは………。  
「女の子? ………ぐぎゃっ!」  
「ええい、今度はわらわを子供扱いするか。無礼な奴よ」  
ポツリとつぶやいた途端、再び頭を殴られる。……畜生、俺の頭は木魚じゃねえぞ……。  
 
「で、おぬしこそ一体何者なのじゃ?」  
しばらく頭を押さえてうずくまっている俺に、女の子が話しかけて来る。  
……おい、さっき自分で何て言ったんだよ。しかも俺は挙句に殴られたんだぞ……。  
 
ゴツッ  
 
「痛だああっ!」  
「ええい、わらわの言葉を無視か。この無礼者が」  
みたび殴られ、悲鳴をあげる。今度は堪えきれずにゴロゴロ転がりだす。  
 
「何を大袈裟にしているんだ。これがそんなに痛いはずが……」  
そんな俺の姿を見て、女の子は呆れ顔で自分の頭を、手にしていた棒のようなもので殴り……  
「痛だあいっ!!」  
俺と同じように、地面をゴロゴロ転がりだしていた――  
 
「……済まなかったな。痛みはひいたか?」  
「あ…ああ。何とか」  
しばらく後、女の子が俺に問い掛けてくる。  
もっとも、山道で二人揃って頭を押さえながら、しゃがみ込む姿はかなり間抜けなのだが。  
「……最初の話に戻ろうか。俺は信幸、君の名は?」  
「申し遅れた。わらわの名は絹代。……この山で修行中である、天狗の絹代、じゃ」  
天狗だって? そう思って彼女を見てみると、山伏の服装、腰には太刀、そして左手には羽団扇。  
確かに、確かに見掛けは天狗っぽいけれど……。  
「信じない、というのか?」  
「あ、いえいえ……。ただ…鼻が短いな、と思ってさ……」  
俺の顔色で言いたいことが分かったのか、  
彼女は右手で、例の棒――よく見ると錫杖だ――を振り上げながら問い掛けてきた。  
その痛さを身を持って経験してる俺は、あえて彼女を刺激しないように言葉を選びながら答える。  
「う…それは……修行不足の天狗は、嘘をつくと鼻が伸びるのじゃ。……情けないことだがな」  
「ふうん、そうなんだ。と、いうことはキミは…っと、絹代は修行不足ではない、と?」  
顔をしかめながらつぶやく彼女――絹代――に質問する。…ピノキオじゃ、あるまいし。  
「ぐ………わらわもまた、修行中の身じゃ。ゆえに嘘をつくと、鼻が伸びる」  
その言葉にどこか安心した俺は、ふう、と溜め息をつきながら、  
改めて絹代を見て…目のやりばに困っていた。  
 
頭の烏帽子は横にずり落ち、だぶだぶの服は合わせ目のところで大きくズレ、胸の頂がちらりと見える。  
「な…なあ。ここじゃアレだから、場所を移さないか?」  
「うむ、それもそうだな。人間にできるだけ姿を見せないのも、修行のひとつだしのう」  
俺は理性を総動員させながら絹代に言い、絹代もそれに答えた。  
「…って、俺一応人間だけど」  
「あ…あはは。それは仕方ない。問題はこれからじゃ、これか……らあっ!?」  
俺のツッコミを誤魔化すように、羽扇子を口に当てながら笑いだす絹代。  
だが、一歩後ろに後ずさった途端、豪快にひっくり返ってしまった。  
「あい…たたた……」  
尻餅をつく絹代を助け起こそうと、手を伸ばそうとして……俺は思い切り固まっていた。  
今の衝撃で、完全に胸のところがはだけ、だぶだぶの服とは対照的に、  
短い袴の下は何もつけてないようで、観音開きの割れ目が目に飛び込んできた。  
…しかもまだ生えてないし……。  
「あれ? 信幸よ、どうしたのだ、これは?」  
絹代が俺の股間の膨らみを、ちょんちょんと突っつきながら言う。  
これが引き金となって、理性が弾け飛んだ俺は、ある悪巧みが浮かんだ。  
 
「実は……俺も天狗なんだよ」  
「…なんと! そうであったか! 道理で、わらわが人間風情に遭遇するはずがない、  
とは思っておったのだが…。して、これは一体どういうこと…?」  
俺の言葉に、驚いた顔を見せる絹代。……あっさり信じ込んでいるようだ。  
「うん…絹代は、嘘をつくと鼻が伸びるのだろ? 実は俺は、穢れが溜まるとココが大きくなるんだ」  
ズボンのチャックを下ろし、パンツをずらす。すると、すでに戦闘状態に入っていたモノが悠然と姿を現した。  
「ふっはあ……。これはまた立派に伸び上がった……。何だこれは? 先端から水が出ているぞ?」  
「あうっ…。そ…それは、な。穢れが姿を現したんだ。早く…早く追い出さねば……」  
興味津々と言う顔で、じっと見つめる絹代。モノに彼女の息が当たって一瞬悶えてしまうが、そこはそれ。  
大袈裟に顔をしかめながら、苦しそうな声を出す。  
「わ…わかった。同じ天狗として、放ってはおけぬ。私に何か、出来ることはないか?」  
「……か…かたじけ…ない…。コレを…しばらくの間、擦ってくれまいか…?」  
…何だか…言葉遣いが移ってしまったな。まあいいや。  
俺は本音を押し殺したまま、腰を絹代に突き出した。  
「うむ、お安い御用だ。しばしの間、辛抱されよ」  
絹代の小さい手が俺のモノに触れる。……おおうっ…辛抱って…もたないかもしれないぞ…。  
 
「ん…しょ……っと…。どんどん穢れが溢れてくるぞ。かなり溜まっていたようだな」  
「あ……ああっ…。で…出来れば……しっかり握ってくれると、ありがたいのだが……」  
ああ、この前にヌイたのは、いったいいつだったか……。彼女もいなきゃ、そりゃ溜まるってものさ。  
一心不乱に俺のモノを擦り続ける絹代の言葉に、心の中で答えながら、さらなる要望を出す。  
「そうなのか……。だが、穢れが私の手にもついてしまうが………」  
「大丈夫だ…すでにこの穢れたちは、この中で浄化されているのだから…」  
絹代が躊躇する表情を見せるが、こういう時に回転する俺の頭脳は、すぐに出まかせを思いついていた。  
「なるほど……。この中で浄化を…では改めて僭越ながら、わらわもお手伝いさせていただこう」  
「ぐ…あう……っ…。そ…その調子…だ……」  
俺の言葉をすっかり信用している絹代は、しっかりとモノを握り締め、しごき始める。  
今までの擦ってた刺激よりも、より大きな刺激が快感となって押し寄せてきた。  
 
くちゅくちゅくちゅ……  
 
山の中に響き渡る、湿った音。……ふと我に返り、ここがただの山道だということを思い出した。  
もし、俺以外の登山者が現れたら…申し開きできない…ぞ。  
俺の心の中で、急に冷静さと同時に、焦りと緊張感が芽生えてきていた。が、  
「何と…穢れの量が、急に増してきたですぞ?」  
絹代が驚いた顔で俺の顔とモノを交互に見つめる。  
そう、誰か来るかもという緊張が、新たな興奮となってモノに刺激と快感を与えていたのだ。  
「あ…ああそうかい? ここまできたら、あと少しだよ……」  
「うむ…わらわも出来る限りのことをする。信幸殿も、頑張ってな」  
俺は快感に打ち震えながら答えた。さらにその言葉を受けて、真剣な表情でモノをしごき続ける絹代。  
一瞬、絹代に対して罪悪感がちらりと脳裏をかすめた。  
だが悲しいかな、そういう心理でさえも、貪欲に快感として受け入れている俺がいた。  
「そう…か。それでは……もう少し、手の動きを早くしてくれ……」  
「分かった…。これでよろしいか?」  
うわ言のようにつぶやいた俺の言葉を受けて、絹代はモノのしごくピッチをあげる。  
い…いかん…。も…もう……もう限界…かも。  
「く…ううっ……うぐうっ!!」  
絹代がモノをしごくピッチをあげ、2、3回しごいた直後、  
頭の中が真っ白になり、今までとは比較にならない位の快感がモノに押し寄せ、  
無防備な絹代の顔目掛けて、大量の精液を噴き出させていた。  
「?? な…な!?」  
勢いよく噴き出す精液に顔面を汚しながら、絹代は驚きの声をあげ、呆然としている。  
だが、それでも彼女の手の動きは止まらずに俺のモノをしごき続け、  
第二第三の発射を促していた――  
 

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